アンケートとインターネット行動ログデータを組み合わせた市場調査および事業成長支援サービスを提供する株式会社ヴァリューズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:辻本 秀幸)は、中国本土でインターネットリサーチを実施し、中国人の日本の食品ブランド認知・購入状況について調査しました。
年々増え続け、2017年には延べ700万人以上が日本を訪れた(*1)中国人の消費は、「爆買い」が落ち着いてからもインバウンド産業の最大のターゲット層であり続けています。最近では中国人の中でも旅行先として日本の人気が高まっており、中国の旅行予約サイト大手、携程旅行網(シートリップ)が発表した今年の国慶節期間中の人気旅行先ランキングでは、日本が初めて首位に立ちました(*2)。
直近のヴァリューズの調査では、訪日中国人が日本滞在中に購入する品目の中で最も多くの人に購入されているのは化粧品、2位はお菓子でした。また、日本滞在中に限らず、帰国後の越境ECでの購入率もお菓子が2位となっています。お菓子に限らずインスタント食品や健康食品など、数多くの訪日中国人が日本の食品を購入していますが、中国人は日本のどの食品ブランドを求めて来日するのでしょうか。本調査では、越境ECの利用習慣及び訪日経験のある中国人の食品ブランド認知状況、購入状況を探りました。
*1 月別・年別統計データ(訪日外国人・出国日本人)|統計・データ|日本政府観光局(JNTO)
https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/visitor_trends/
*2 中国人の「国慶節」人気旅行先、日本が初の首位 (写真=共同) :日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3553935019092018FFE000/
分析概要
中国本土の大手市場調査会社モニター会員の協力のもと、越境ECの利用習慣があり、かつ過去1年間に訪日経験のある中国人に対して、食品ブランドの認知、購買状況や越境ECの利用状況、食生活に対する意識等についてアンケート調査を実施しました。
※回答期間: 2018年6月28日~2018年7月9日
※全体回答者数: 4,112人
※本調査対象者数: 1,059人
※性年代別インターネット人口に則したウェイトバック集計後の有効サンプルサイズ: 1,032 ss
※ 当初発表時の記事に掲載した図1、図3に下記の誤りがございましたので訂正いたしました。
誤:「ベイク(明治)」
正:「ベイク(森永製菓)」
ご迷惑をおかけした皆様にお詫び申し上げます。(2018/11/28 16:25)
考察サマリ
■訪日経験のある中国人の8割近くがポッキーを認知。中国進出の早いブランドが上位に。
越境ECの利用習慣があり、かつ過去1年間に訪日経験のある中国人の各食品ブランドの認知率をランキングにしたところ【図1】、78.8%に達したポッキー(江崎グリコ)が1位となりました。71.2%で2位となったコアラのマーチ(ロッテ)、54.3%で4位となったチョコパイ(ロッテ)と、ロッテの2ブランドが5割超の認知を得ています。明治のブランドも複数上位に位置しており、中国進出の早いブランドほど多くの中国人に認知されている様子が表れました。
即席めんの日本ブランド1位は認知率33.2%のカップヌードル(日清食品)ですが、認知率69.5%となった韓国の辛ラーメン(農心)には遠く及ばない結果となりました。
※本調査では日本の食品に加えて、中国人に人気のある韓国の即席めん「辛ラーメン」の認知率も聴取しています。
■全年代で女性の心を掴む辛ラーメン。若い男性にはCM×SNS効果でラ王が人気。
続いて性年代別の認知率をランキングにすると【図2】、全体で1位となったポッキー(江崎グリコ)が男女ともに全年代で2位以内に入りました。性年代を問わず幅広く親しまれていることがわかります。
辛ラーメン(農心)は女性では全年代、男性では30歳以上で3位以内に入りました。特に40歳以上の女性では1位となっています。WeiboなどのSNSでも他の食品との食べ合わせなど食べ方のアレンジを紹介する投稿が多くなされており、辛い食べ物を好む中国人女性から強く支持されているようです。
30歳未満の男性のランキングは他の層との大きな違いが見られ、全体では18位のラ王(日清食品)が2位となりました。実は、ラ王が日本で放映しているCMが独創的で面白いとWeiboなどで紹介されており、中国人の間で人気の話題になっています。若い世代の利用が多いSNSでの盛り上がりが、ブランド認知に繋がっていると考えられます。
■明治のお菓子ブランドは“知る”と“買う”が近い。ラ王は話題先行型ブランド。
さらに認知だけでなく、各ブランドの購入経験についても聴取しました。
まずお菓子のブランドについて認知率を横軸、購入経験率を縦軸にプロットしたところ【図3】、知っている人は購入しているブランドと、知られていてもあまり購入されていないブランドの差が見えてきました。ポッキー(江崎グリコ)は認知率と購入経験率の差が小さく、知っている人のほとんどが購入しているブランドといえる一方、コアラのマーチ(ロッテ)は認知率と購入経験率の差が大きく、知っていても購入したことのない人が数多くいることがわかります。このように見ていくと、きのこの山・たけのこの里(明治)やMeltykiss(明治)は認知率と購入経験率の差が小さく、明治のお菓子は比較的“知る”機会と“買う”機会の近いブランドが多いといえます。
同様に即席食品、健康食品系のブランドについても見ていったところ【図4】、ラ王(日清食品)は認知率と購入経験率の差が比較的大きく、認知が先行しているブランドであることが明らかになりました。若い世代での認知獲得が購入に繋がっていくか、今後の動向が楽しみです。
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