白物家電購入時のネットの役割とは?「エアコン」「洗濯機」の購買検討行動を調査

白物家電購入時のネットの役割とは?「エアコン」「洗濯機」の購買検討行動を調査

夏の商戦期と言えば、ボーナスが支給される6月~7月。この時期は家電量販店のCMをよく耳にすることもあり、自然と家電の購入意欲も高まってくるのではないでしょうか。さらに猛暑に備えて、性能のいいエアコンをボーナスで購入する人も多いと言われています。今回は白物家電の中でも「エアコン」と「洗濯機」に注目して、購買検討行動の中でどのようなニーズが発生し、ネットがどんな使われ方をしているのか、Web行動ログ分析ツールの「Dockpit」を用いて検索データから調査しました。


夏の「エアコン」検索数は冬の2.8倍に

まずは、「エアコン」と「洗濯機」の直近2年間の検索ユーザー数推移を見てみましょう。

「洗濯機」は年間を通して大きな波はなく、季節に左右されていないことがわかります。これに対し「エアコン」は5月頃から検索数が徐々に伸び始め8月にピークを迎えることがわかりました。「エアコン」は、夏には冷房を、冬には暖房を利用するイメージがありますが、2020年8月と2021年1月を比較すると検索数に2.8倍もの差があり、「エアコン」関連のワードは圧倒的に夏に需要があるようです。

これは、エアコン以外で涼をとる手段として候補に挙がるのが扇風機くらいなのに対し、暖をとる手段は、ストーブ、オイルヒーター、ホットカーペットなどエアコンに代わる選択肢が多いのも冬にエアコンの検索数が伸びていない理由なのかもしれません。

検索ユーザー数推移

検索ユーザー数推移

期間:2019年7月~2021年6月
デバイス:PCおよびスマートフォン

「エアコン」は男性割合が、「洗濯機」は女性割合が高い

続いて、それぞれの検索者の属性を見てみましょう。

性別では、大きな差はないものの「エアコン」は男性割合が高く、「洗濯機」は女性割合が高くなっていました。

検索ユーザーの属性:性別

検索ユーザーの属性:性別

期間:2019年7月~2021年6月
デバイス:PCおよびスマートフォン

年代別では、「エアコン」は40代、「洗濯機」は30代~40代の割合が高くなっています。

検索ユーザーの属性:年代別

検索ユーザーの属性:年代別

期間:2019年7月~2021年6月
デバイス:PCおよびスマートフォン

「エアコン」は価格、「洗濯機」はメーカーを重視?

「エアコン」の検索ワード

次は、直近1年間の「エアコン」の検索ワードを見てみましょう。

『ダイキン』や『パナソニック』などのメーカー名と共に検索されているものの、上位には『価格』や『掃除』がランクインしていました。中でも『価格』は2番目にランクインしており、価格に対しての興味関心度が高いことがうかがえました。

「エアコン」検索ワード/TOP10

「エアコン」検索ワード/TOP10

期間:2020年7月~2021年6月
デバイス:PCおよびスマートフォン

では、この『エアコン 価格』と検索したユーザーはどんなサイトに流入しているのでしょうか。

トップは販売価格やクチコミ情報などが比較検討できる『価格.com』となっていました。
2位の『楽天市場』と比較しても約10倍もの大差をつけていることから、価格はもちろん、スペックや口コミなど一度に多くの情報を収集でき総合的に判断できる『価格.com』が強さをみせつけた結果となりました。

「エアコン 価格」検索ワードの流入サイト/TOP5

「エアコン 価格」検索ワードの流入サイト/TOP5

期間:2020年7月~2021年6月
デバイス:PCおよびスマートフォン

さらに、検索数が多かった『エアコン 掃除』の流入サイトも見てみたところ、上位は『お掃除本舗』や『くらしのマーケット』、『あなたのマイスター』となっていました。

ユーザーは自動洗浄機能が付いている「お掃除機能付きエアコン」を探しているのではなく、プロのエアコンクリーニング業者を探しているようです。

「エアコン 掃除」検索ワードの流入サイト/TOP5

「エアコン 掃除」検索ワードの流入サイト/TOP5

期間:2020年7月~2021年6月
デバイス:PCおよびスマートフォン

『エアコン 電気代』と検索したユーザーの流入ページも見てみまた。

つけっぱなしの場合の電気代や、夏の電気代、電気料金プランなどが気になっているようでした。
温暖化による気温上昇や、新型コロナの影響でテレワークなど在宅時間が増加していることもあり、『電気代』も悩みの1つとなっているようです。

「エアコン 電気代」検索ワードの流入ページ/TOP5

「エアコン 電気代」検索ワードの流入ページ/TOP5

期間:2020年7月~2021年6月
デバイス:PCおよびスマートフォン

ちなみに、『エアコン 電気代』と検索しているユーザーの年代別を見てみると、40代の次に20代が多いことがわかりました。

エアコン全体の20代と比較すると『エアコン 電気代』は5ポイントほど高くなっており、電気代を特に気にしていることがうかがえました。

「エアコン 電気代」検索ワードの属性/年代別

「エアコン 電気代」検索ワードの属性/年代別

期間:2020年7月~2021年6月
デバイス:PCおよびスマートフォン

「洗濯機」の検索ワード

次は、「洗濯機」はどんなワードが検索されているのか見てみましょう。

『パナソニック』や『日立』、『シャープ』などのメーカー名の指名検索が上位にランクインしており、「エアコン」と比較するとメーカー名で検索をしているユーザーが多いことがわかりました。「洗濯機」の検索ユーザーは価格よりも、メーカーを重視している可能性があります。

また、最近話題のジェネリック家電の代表でもある『アイリスオーヤマ』の洗濯機も関心が高いようです。

「洗濯機」検索ワード/TOP10

「洗濯機」検索ワード/TOP10

期間:2020年7月~2021年6月
デバイス:PCおよびスマートフォン

では、『洗濯機 おすすめ』と検索したユーザーの流入ページも見てみましょう。

洗濯機も各メーカーで特徴があり、多彩なラインナップとなっています。縦型とドラム式の違いや、使いやすさ、人気商品などの記事を参考にしていることから、価格やスペック以外の情報を少しでも多く収集したい気持ちが読み取れました。

「洗濯機 おすすめ」検索ワードの流入ページ/TOP5

「洗濯機 おすすめ」検索ワードの流入ページ/TOP5

期間:2020年7月~2021年6月
デバイス:PCおよびスマートフォン

『パナソニック 洗濯機』と検索したユーザーの流入サイトも見てみました。

トップはパナソニックの公式サイトとなっていましたが、次いで『価格.com』がランクインしていました。メーカー名で検索しているユーザーも『価格.com』を参考にしていることから、総合比較サイトは商品を検討する際に頻度高く利用されていることがわかりました。

「パナソニック 洗濯機」検索ワードの流入サイト/TOP5

「パナソニック 洗濯機」検索ワードの流入サイト/TOP5

期間:2020年7月~2021年6月
デバイス:PCおよびスマートフォン

「リエア」など、プライベートブランド家電も人気

最後に、直近3ヵ月と昨年同時期の「エアコン」検索ユーザーの季節ワードを比較してみました。今年と昨年でどんな違いがあるのでしょうか。

今年はヤマダホールディングス オリジナル商品である「RIAIR」や「リエア」などのワードが目立っていました。近年、家電量販店が注力している”プライベートブランド家電”ですが、昨年は「AMADANA」や「アマダナ」が目立っていました。こちらは家電量販店ビックカメラのamadana監修ブランド「TAG Label」となっています。

「エアコン」は『価格』との掛け合わせワードが多いことから、比較的安価なプライベートブランド家電も気になっているのかもしれません。

また、昨年は『コロナ対策』や『抗菌』、『換気機能付』など新型コロナに関するワードが目立ちましたが、今年はランクインしていないことも特徴的でした。

「エアコン」季節比較

「エアコン」季節比較

期間:2021年4月~2021年6月、2010年4月~2021年6月
デバイス:PCおよびスマートフォン

ヤマダオリジナルエアコン RIAIR<リエア>yselect | ヤマダウェブコム

TAGlabel by amadana

まとめ

今回は「エアコン」と「洗濯機」について調査・分析しました。

「エアコン」は夏に需要が高まるのに対し、「洗濯機」は年間を通して安定していることがわかりました。

「エアコン」はメーカーよりも価格が気になっているようで、特に『価格.com』で情報収集しているようです。
「洗濯機」はメーカー名での検索が多く、各メーカーの公式サイトから情報を得ている他に、商品紹介の記事や『価格.com』からも情報を得ているようです。

このように、商品はもちろんカテゴリでもニーズが異なることから、トレンドの変化をキャッチし情報提供することが重要と言えそうです。

分析概要

全国のモニター会員の協力により、インターネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析ツール『Dockpit』を使用し、2019年7月~2021年6月におけるユーザーの行動を分析しました。

「Dockpit」は、検索キーワード分析や消費者のトレンド調査にも役立ちます。 無料版もありますので、下記よりご登録ください。



dockpit 無料版の登録はこちら

この記事のライター

マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。

編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。

関連する投稿


新興テック企業「Nothing」。2年で7倍成長の理由を世代別に分析

新興テック企業「Nothing」。2年で7倍成長の理由を世代別に分析

ロンドン発、今注目のテクノロジーブランド「Nothing(ナッシング)」。2020年の設立以来、スマートフォンやオーディオ製品を中心に、透明感ある唯一無二のデザインと高い性能で、多くの大企業がひしめくテック業界で急速に存在感を高めています。そんな革新的なNothing製品は、どのような人々に支持されているのでしょうか。本記事では、Nothingのサイト訪問者データをもとにユーザー像を分析し、なぜNothingが注目を集めているのかを年代別に考察していきます。


【2025年版】人気キャラ図鑑|ヒットしたミャクミャク・ラブブ等の注目度、次来るキャラは?

【2025年版】人気キャラ図鑑|ヒットしたミャクミャク・ラブブ等の注目度、次来るキャラは?

2025年、たくさんのかわいいキャラクターが流行りました。今回の記事では、2025年で人気が急上昇したキャラクター10選をご紹介します。また、ちいかわ・ミャクミャクなどの人気キャラの経済効果にも迫ります。最後には、2026年に人気が上昇するキャラクターを予想しました。


食べ放題ファンの生態。ケンタ・ミスド・かっぱ寿司の食べ放題って知ってる?

食べ放題ファンの生態。ケンタ・ミスド・かっぱ寿司の食べ放題って知ってる?

好きなものを好きなだけ選べる「食べ放題」は、友人や家族との食事で人気の選択肢です。焼肉やしゃぶしゃぶといった定番に加え、近年はさまざまなジャンルで食べ放題を展開するお店が増えています。本記事では、「食べ放題」を検索するユーザーを分析し、今注目の食べ放題を紹介します。


おじさん構文、おぢポ、無課金おじさん...なんで“おじさん”ってバズるの?

おじさん構文、おぢポ、無課金おじさん...なんで“おじさん”ってバズるの?

おじさん特有のLINEの文面「おじさん構文」、軽装備のオリンピック選手「無課金おじさん」など、聞き覚えのある方も多いのではないでしょうか。ポイ活アプリ「おぢポ」は250万ダウンロード、「おじさん構文」をテーマとした楽曲は3,000万回再生というようにバズっています。なぜ数々の「おじさん」は流行するのでしょうか?この記事では、おじさんがヒットの要因となる理由を探ります。


Threadsユーザー数1,000万人突破。ヒットの要因と未来予測

Threadsユーザー数1,000万人突破。ヒットの要因と未来予測

「Threads(スレッズ)」は、「Instagram」や「Facebook」で知られるMeta社が提供するテキストベースのSNSプラットフォームです。2023年7月にサービス開始したThreadsですが、ここ2年でユーザー数を大きく伸ばしていることをご存じでしょうか。本記事ではThreadsユーザー増加の背景と、今後の推移について分析します。


ページトップへ