Googleアナリティクスの流入元分析はきちんと活用されていますか?
Webサイトの集客力を高めるためには、ユーザーがどこから訪れているのかを正確に把握することが重要です。流入元を知ることで、「自然検索の流入が少ないから、SEO対策を工夫しよう」「このキャンペーンは効果が出ているから、さらに予算を充ててみよう」というように、Webサイトの集客施策に活かすことができます。
そこで今回は、流入経路分析にあたり理解が必要な「参照元、メディア、チャネル」の基礎知識と、流入元分析の精度を落としてしまう原因の一つである「Directトラフィック」の解析方法について詳しく解説します。
参照元、メディア、チャネルとは?
ここではまず、流入元分析する際に見るべきポイントである参照元、メディア、そしてチャネルについて確認します。
参照元とは、その名の通り、ユーザーがWebサイトを訪問した際に、その直前まで閲覧していたWebサイトや検索エンジンのURLのドメインを「参照元」として計測しています。
また、その参照元がどんな種類(自然検索、リスティング広告等)なのかを「メディア」として計測しています。
「チャネル」とは、その参照元とメディアをまとめて分類したもので、ざっくりとどんな流入経路なのか把握することができます。
参照元/メディアとチャネルの例
「参照元/メディア」は、集客>すべてのトラフィック>参照元/メディア から確認することができます。
大まかに流入経路を区別するのが「チャネル」で、詳細に区別するのか「参照元/メディア」という仕組みを理解しておきましょう。
Googleアナリティクスで利用できるチャネル
Googleアナリティクスでは以下の2種類のチャネルが利用できます。
・集客レポート:デフォルトチャネルグループ
・コンバージョンレポート:MCFチャネルグループ
ここまでお伝えしてきた参照元、メディア、チャネルは集客レポート:デフォルトチャネルグループにおける内容です。
引き続き、デフォルトチャネルグループについて詳しく解説していきます。
■デフォルトチャネルグループとは
Default Channel Grouping(デフォルトチャネルグループ)は、
集客>すべてのトラフィック>チャネル レポート等
から見ることができます。
デフォルトチャネルグループでは、すべてのセッションはGoogleアナリティクスによって最初から定義されている8つのチャネルグループに分類されます。
Googleデモアカウントのデフォルトチャネルグループの例
デフォルトチャネルグループのグルーピング
※8つのチャネルグループの他、参照元が判別できない流入は「Direct」に分類され、8つのチャネルグループ+「Direct」に分類されない流入は「(Other)」に分類されます。
「Direct」は正確な流入元分析を妨げる原因の一つです。「Direct」チャネルの分析については後ほど詳しく解説します。
これら9つのチャネルグループが、セグメント、マイレポートやカスタムレポートといった各種レポート、APIで利用されます。
■MCFチャネルグループとは
MCFチャネルグループは、コンバージョン>マルチチャネルから確認できる、マルチチャネル 配下のレポートで使われているチャネルグループです。
マルチチャネル 配下のレポートは前述の集客レポートとは異なり、「コンバージョンに至るまでの訪問(セッション)」を独自仕様で参照元判定をし、集計・計測されています。
例えば「マルチチャネル → コンバージョン経路」を開くと、コンバージョンに到達するまでに接点となったチャネルが分かります。
コンバージョン>マルチチャネルレポート>コンバージョン経路 の例
グルーピングの種類に関しては、デフォルトチャネルグループとほとんど同じですが、参照元判定のルールが異なります。具体的には、以下のような判定となります。
・ノーリファラーの流入は過去の参照元を引き継がず参照元情報をそのまま表示
・同じ参照元で連続して流入した場合は、ノーリファラーと判定
MCFチャネルグループのグルーピング
■ユーザーの独自定義も可能
ここまで2種類のチャネルグループについて解説してきましたが、実はチャネルグループは自分でカスタマイズした独自定義での集計、計測も可能です。
1つは、ビューに対してデフォルトチャネルグループのグルーピングを編集するもの。こちらは、ビューに対して適用されます。過去のデータには影響しません。
もう1つはカスタムチャネルグループと呼ばれる、作成したユーザーに対してのみ適用されるもの。こちらは設定後すぐに過去データにも反映されます。
このように一言で「参照元」といっても、その定義や集計には様々なルールが適用されています。それぞれのレポートで使用されている参照元の定義を正しく理解したうえで、流入元分析を進めましょう。
GoogleアナリティクスのDirectとは?
参照元について理解できているものの、direct/noneで表示されるアクセスをそのまま放置してしまい、「Direct」の流入が多くてお困りの方も多いのではないでしょうか。
実は、適切な設定をすれば、この「direct/none」についてさらに詳細にデータを取得することができます。
この「direct/none」で表示されるアクセスは、参照元がDirect(直接)、メディアがnone(無し)という意味になります。つまり、Webサイトに直接流入しているため、参照元とメディアの情報が取得できなかった流入であることを示しています。
例えば、以下のようなアクセスがdirect/noneとして分類されます。
【direct/noneとして分類されるアクセスの例】
1.ブラウザのアドレスバーにURLの直接入力またはURLサジェスト機能からの訪問
2.ブックマークやお気に入り、履歴から訪問
3.スマートフォンアプリ(LINEなど)から訪問
4.Gmailなどのブラウザメールではないメーラーソフト(Outlookなど)からの訪問
5.QRコードを読み取ったリンクから訪問
6.httpsで始まるページからhttpページへの訪問(自社サイトがSSL化されていない)
6について
SSL化されたWebサイト(httpsから始まるサイト)から、SSL化されていないWebサイト(httpから始まるサイト)へのアクセスは、セキュリティ上の観点からユーザーの情報が引き継がれないため、「direct/none」が発生します。決済や個人情報を扱うページはSSL化してあるものの、それ以外のページはシステム改修にかかるコストの都合上SSL化されていないというWebサイトは少なくありません。しかし、SSL化されているかどうかはSEO上の評価にも影響を及ぼすため、可能であればWebサイト全体をSSL化しておくことをおすすめします。こうした仕様を理解せず、サイト誘導を目的としたメルマガやQRコードによる集客施策を行ったとしても、通常ではdirect/noneに分類されてしまい、それら施策の効果測定ができません。ただし、事前に設定をすることで本来ならdirect/noneに分類されるようなメルマガやQRコードからの流入も、正しく計測できるようになります。
それが次に解説する「キャンペーンパラメータの設定」です。
サイト誘導目的での施策投下時には参照元の判定がどうなるかあらかじめ確認をし、キャンペーンパラメータを設定することで正確に計測できるように準備をしましょう。
キャンペーンパラメータを設定し、direct/noneのアクセスを詳細に分析する
何もしないとdirect/noneに振り分けられてしまうアクセスも、キャンペーンパラメータの設定により、正しい参照元情報を計測することができます。
キャンペーンパラメータとは、主に広告、メルマガなどの施策の効果測定をする為に設定するパラメータのことです。Googleアナリティクスでは「カスタムキャンペーン」と呼ばれています。デジタル広告やソーシャルメディア、メールマガジンなどに掲載するサイトURLの後ろにutmパラメータを追加することで、各流入元からどれだけのユーザーが訪れたのか、またどれだけコンバージョンに至ったのかなど流入経路ごとの正確な効果を把握することができます。
utmパラメータは、全部で5種類あります。上から3つ(utm_source、utm_medium、utm_campaign)は設定が必須です。下の2つ(utm_term、utm_content)は任意のため、必要に応じて使いましょう。
5種類のキャンペーンパラメータ
キャンペーンURLは、以下の手順で設定を行います。
1.URLの末尾に「?」を追加
2.「UTMパラメータ=値」という組み合わせで設定
3.「&」でつなぎ、複数のパラメータを設定(utm_source, utm_medium, utm_campaingnの設定は必須)
例:Instagramのストーリーに掲載する場合のURLにキャンペーンパラメータを設定する例
https://xxxxx.com/?utm_source=instagram&utm_medium=social&&utm_campaign=story
また、キャンペーンパラメータはその他にも、「配信している広告キャンペーンごとに効果測定したい」「複数のキャンペーンを配信してA/Bテストをしたい」といった目的でも活用できます。
キャンペーンURLの作成ツール
毎回手入力でパラメータを付与するのは大変ですし、設定ミスも起きてしまいます。Google社公式のキャンペーンURLの作成ツールを使えば、「付与したいURL」と「各パラメータの値」を入力すると、キャンペーンURLを簡単に作成できます。
作成したキャンペーンURLを、LINEやメールなどこれまでdirect/noneとして計測されていた流入経路からのリンク先として設定することで、正しい参照元情報を計測することができます。
Googleアナリティクスでdirect/noneのアクセスを調べる方法
ここまででDirectトラフィック(direct/noneのアクセス)の計測仕様や正確な参照元計測のための設定方法が理解できたので、ご自身のGAでDirectトラフィックがどうなっているか現状を把握してみましょう。
まずは、ご自身のWebサイトのアクセス全体に占めるDirectトラフィックのボリュームを調べます。
集客>すべてのトラフィック>チャネル
から確認することができます。
Googleデモアカウントの例
上記画面でもDirectトラフィックが全体に占める割合が最も高くなっていることがわかります。きちんと設定すれば正確な参照元を把握できるものが混在していそうです。
この画面で、「Direct」をクリックすると、Directトラフィックに分類されたアクセスのランディングページを確認することができます。
Googleデモアカウントの例
流入しているランディングページの種類により、どの集客施策(広告、メルマガ、QRコード)からの流入なのか判断できるものがあるかと思います。それらはぜひカスタムキャンペーンの設定をし、正確な参照元で分類できるように改善しましょう。
また、Directトラフィックでアクセスを集めているページはブックマークやお気に入りされている可能性も高く、ユーザーが求めているページとも考えられます。
このようにDirectの中身を紐解くことで、ユーザーに求められているページのヒントなどWebサイトの改善に役立つ情報を得ることもできます。
まとめ
今回は、Googleアナリティクスで流入元分析を行う際に気を付けたいチャネルグループの種類やDirectトラフィックへの対策を解説しました。
Web集客・マーケティングでは、どんな施策に対してどのような反響がどれほどあったのかを確認し、サイト改善を繰り返していくことが非常に重要です。流入元別の集客状況やコンバージョンを把握し、ご自身のWebサイトの改善に役立てていきましょう。
※本記事は、2021年9月時点の情報に基づいています。
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3~5について
GoogleアナリティクスはブラウザのCookieでユーザーを識別するため、ブラウザ以外からのアクセスは正常に計測できません。そのため、スマートフォンアプリやメーラーソフト、QRコードからの流入が「direct/none」に分類されます。