インスタ映えからストーリー映えへ。インスタストーリーに凝る若者たち

インスタ映えからストーリー映えへ。インスタストーリーに凝る若者たち

「インスタ映え」が流行語大賞となったのは2017年。そのころはいかに“映える”写真をUPしてアピールするかが醍醐味でしたが、今どきはストーリー(※)に気軽に投稿し、友達のストーリーも流し見で終わらせるユーザーが増えているようです。「インスタ映え」から「ストーリー映え」へ。今回はストーリーの魅力にはまるユーザーについて分析します。 ※正式にはストーリーズ機能


「インスタ映え」から「ストーリー映え」へ

インスタのストーリー(正式にはストーリーズ機能)とは、通常の投稿(タイムライン投稿)とは別で、24時間という限定制限付きの投稿のことです。投稿できる動画は、1ストーリー最大15秒まで。

24時間後に自動的に消えてしまうため、ちょっとした投稿、わざわざタイムラインに残さなくてもいい投稿、タイムラインに残したくない投稿に向いている機能です。

「インスタ映え」を狙ったフィード投稿なら時間と手間がかかります。すぐに消えるからこそ、そう悩まずにさっと上げてしまえて、今どきの若者にはうってつけ、というわけです。

Instagramの「ストーリーズ」と「フィード」

Instagramの「ストーリーズ」と「フィード」

実際、Facebook社によると、日本におけるデイリーアクティブアカウントの約70%がストーリー(Instagramストーリーズ)を利用しています(2018年10月時点)。3年前のデータのため、現在はこれより増加していると想像できます。

Instagramの国内月間アクティブアカウント数が3300万を突破 - Facebookについて

https://about.fb.com/ja/news/2019/06/japan_maaupdate-2/

日本におけるデイリーアクティブアカウントの70%がInstagramストーリーズを利用(2018年10月)

インスタ ストーリーは若者に支持されている

ここで、「インスタ ストーリー」と「インスタ」それぞれのキーワードについて、ネット上の検索ユーザーの属性を比較します。分析には、Web行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を利用しました。

以下のグラフのように、「インスタ」と検索したのは、女性が59%、20代〜40代が20〜25%でした。一方、「インスタ ストーリー」と検索したのは女性が7割以上を占め、年代は20代が40%と最多です。
ストーリーのメインユーザーは若い女性と考えていいでしょう。

インスタは20代〜40代の幅広いユーザーに利用されている一方で、ストーリーへの関心を示しているのは若年層が中心ということがわかりました。

「インスタ」検索ユーザー属性/性別・年代

「インスタ」検索ユーザー属性/性別・年代

デバイス:PCおよびスマホ
期間:2019年10月〜2021年9月

「インスタ ストーリー」検索ユーザー属性/性別・年代

「インスタ ストーリー」検索ユーザー属性/性別・年代

デバイス:PCおよびスマホ
期間:2019年10月〜2021年9月

インスタ ストーリーの楽しみ方

続いて、「インスタ ストーリー」と検索した後の動向を分析します。

「インスタ ストーリー」と同時に検索されたキーワードは以下の表のとおりです。
「保存」「足跡」「PC」などの機能について検索している人が多いようです。

「インスタ ストーリー」と同時に検索されたキーワードランキング

「インスタ ストーリー」と同時に検索されたキーワードランキング

デバイス:PCおよびスマホ
期間:2019年10月〜2021年9月

属性別マップで詳しくみてみると、インスタストーリーのメインユーザーである若い女性は、「足跡」「保存」などの機能の他に、「おしゃれ」「エフェクト」「背景色」などの「ストーリー映え」を狙った検索も多いことがわかります。

「インスタ ストーリー」検索ユーザー属性マップ

「インスタ ストーリー」検索ユーザー属性マップ

デバイス:PCおよびスマホ
期間:2019年10月〜2021年9月

インスタストーリーへのニーズは?

次に、インスタストーリーについて検索したユーザーの流入ページをまとめました。

ストーリーの使い方のまとめページが14万UUと最もユーザーを集めましたが、これらのページの特徴を見ると、以下のようなニーズが浮かび上がりました。

・足跡(既読)をつけたくない
・消えてしまうストーリーを保存したい
・URLリンクを貼りたい
・複数の画像をコラージュしたい
・リポストしたい
・背景色を変更したい
・音楽を設定したい(MUSIC機能)

「ストーリー映え」を狙うこだわりニーズに加え、「足跡を残したくない」というニーズも多いことがわかりました。

※インスタは基本的には足跡(既読)を残す機能はありませんが、ストーリーを含むいくつかの機能で、何人が見たか、誰が見たかがわかるようになっています。そのため、若者の間ではサブアカウント(通称:サブ垢)を持つのが一般的になっているようです。

「インスタ ストーリー」検索ユーザーの流入ページ

「インスタ ストーリー」検索ユーザーの流入ページ

デバイス:PCおよびスマホ
期間:2019年10月〜2021年9月

失敗しない、インスタグラム「ストーリー」の使い方まとめ | アプリオ

インスタグラムのストーリー機能とは?投稿方法、足跡やシェアなど、使い方を解説|TIME&SPACE by KDDI

インスタストーリーの企業活用事例

インスタストーリーの人気急上昇を受け、多くの企業がマーケティングやファン形成などで活用し始めています。実際の活用例をご紹介します。

スターバックス公式(@starbucks_j)

スターバックス公式(@starbucks_j)

スターバックス公式(@starbucks_j)

スターバックスジャパンは、季節の限定メニューやキャンペーンをタイムラインで展開し、同時に、カスタマイズやビバレッジのランキングやファン参加型のイベント(投票など)、スタッフの声など、フォロワーとの交流目的、またはSNS横断のキャンペーンなどをストーリー投稿にするなど、戦略的にインスタを活用しています。

いろいろなランキングをすべてタイムライン投稿していては、ユーザーのタイムラインをすべて埋め尽くしてしまいます。あえてストーリー機能を選択し、後からハイライトにまとめる手法もさすがです。

また、UGC(User Generated Contents:ユーザーが発信したコンテンツ)をストーリーに再掲し、ハイライトにまとめることで、よりたくさんの投稿、かつ身近に感じやすいストーリーを展開し”バズ”を生んでいます。もちろん、ストーリー映えする写真加工、おしゃれなGIF、背景など、ハイセンスな世界観も支持される所以です。

クラシル(@kurashiru)

クラシル(@kurashiru)

クラシル(@kurashiru)

クラシルのストーリー投稿はすべて自社サイトの動画へスワイプアップさせるように設計されていて、各ストーリーが自社サイトの送客に大きく貢献しています。また、注目されているレシピを日常的にストーリーで紹介した後、月ごとにそれらをハイライトでまとめています。

このように、ストーリーのたくさんの投稿をして後からハイライトからまとめるという手法は、Instagramアカウント運用では王道のマーケティング手法となっているのかもしれません。

ユーザーを巻き込むコンテンツ戦略にインスタストーリーは必須

この他にも、インスタストーリーを巧みに活用している企業は多く、マーケティング、サイト送客、ブランディングに大いに貢献しているようです。

時間限定投稿とはいえ、タイムライン投稿では出せない限定感と親近感はユーザーの心を掴みます。限られた時間でいかに伝えるか、どう伝えるか、好事例は他にもたくさんあるのでぜひ研究してみてください。

まとめ

今回はインスタストーリー(正式にはストーリーズ機能)について、ユーザー属性やニーズについて分析しました。

インスタストーリーとは、通常の投稿(タイムライン投稿)とは別で、24時間という限定制限付きの投稿のことです。24時間後に自動的に消えてしまうため、ちょっとした投稿、あえてタイムラインに残したくない投稿に向いている機能です。その手軽さが、今どきの若者のライフスタイルに合っているようです。

「インスタ」と検索したのは、女性が59%、20代〜40代が20〜25%でした。一方、「インスタ ストーリー」と検索したのは、女性が7割以上を占め、年代は20代が40%でした。ストーリーのメインユーザーは若い女性と考えていいでしょう。

「インスタ ストーリー」と同時に検索されたキーワードは、「保存」「足跡」「PC」などの機能が上位を占めました。さらに詳しく分析すると、若い女性には「おしゃれ」「エフェクト」「背景色」などの「ストーリー映え」を狙った検索も目立ちました。

ストーリーについて検索したユーザーの流入ページからは、以下のようなニーズが浮かび上がりました。

・足跡(既読)をつけたくない
・消えてしまうストーリーを保存したい
・URLリンクを貼りたい
・複数の画像をコラージュしたい
・リポストしたい
・背景色を変更したい
・音楽を設定したい(MUSIC機能)

「足跡を残したくない」というニーズは多く、既読をつけない方法、裏技などもよく検索されていることがわかりました。

また、インスタストーリーをうまく活用している企業事例として、スターバックス公式(@starbucks_j)とクラシル(@kurashiru)をご紹介しました。どちらもストーリーならではの機能を戦略的に活用しています。

企業が取り組むインスタストーリー戦略
・投稿機能など双方向コミュニケーション
・人気ランキングなどマーケティング(商品化も!?)
・ストーリーは一旦消えるがハイライトで再掲
・ストーリー映えコンテンツでブランディング
・UGCの活用でバズを生む
・自社サイトへの送客

分析概要

今回の分析には、マーケティング分析ツール『Dockpit』を使用し、ユーザーのデジタル行動を分析しました。

『Dockpit』は、競合サイト分析や消費者のトレンド調査にとても役立ちます。もし宜しければ、無料版もありますので、下記よりご登録ください。

dockpit 無料版の登録はこちら

この記事のライター

フリーライター。大手キャリア系企業で編集の仕事に出会い、その後、3つのメディアの立ち上げなど行い、2014年にフリーランスに。医療系、就活系、教育系、結婚系のサイトで執筆中。

関連する投稿


JRE BANKの現在地。利用者数・属性をメガバンク等と比較

JRE BANKの現在地。利用者数・属性をメガバンク等と比較

JRE BANK開始から、1年が経ちました。銀行取引がスマートフォンで完結する利便性はもちろん、JR関連の特典が豊富にあるのも魅力的な銀行です。実際に、どのようなユーザーが利用しているのでしょうか。今回は、JRE BANKのユーザーの属性や、興味関心を分析します。


「エナドリの買い方」が物語る20代と30代、ライフスタイルの違いとは

「エナドリの買い方」が物語る20代と30代、ライフスタイルの違いとは

集中したいときや、眠気を覚ましたいときに頼れるエナジードリンク。忙しい日々の中で、欠かせない存在になっている人も多いのではないでしょうか。なかでも活用頻度が高い20代・30代。購買データを分析すると、この2つの世代間でエナジードリンクの頼り方に明確な違いがあることが見えてきました。


Z世代の「推し活」はもはやライフスタイル!約7割が日常に実践、「人生」や「生きがい」との声も多数【GMO NIKKO調査】

Z世代の「推し活」はもはやライフスタイル!約7割が日常に実践、「人生」や「生きがい」との声も多数【GMO NIKKO調査】

GMO NIKKO株式会社は、同社が提供するZ世代とのコミュニケーションに課題を持つ企業に向けたマーケティング支援サービス「Z世代トレンドラボ byGMO」にて、高校生~大学生・大学院生・専門学生を対象に、「Z世代の推し活事情に関する自主調査」を実施し、結果を公開しました。


5大カラオケチェーンのユーザー比較。まねき/ビッグエコー/BanBan/カラ館/ジャンカラ

5大カラオケチェーンのユーザー比較。まねき/ビッグエコー/BanBan/カラ館/ジャンカラ

スムーズなカラオケ体験を提供し、ポイント機能などで囲い込みを行うスマホアプリ。ブランドロイヤリティを向上させるために、各社はどのような戦略を講じているのでしょうか。今回は、「まねきねこ」「ビッグエコー」「BanBan」「カラオケ館」「ジャンカラ」の5大カラオケチェーンを対象に、消費者のアプリ起動データから、その利用実態を調査しました。


au・UQモバイル・povoを比較!料金プラン・ユーザーの違いは?

au・UQモバイル・povoを比較!料金プラン・ユーザーの違いは?

通信会社は多様なプランを展開し、幅広いユーザー層の獲得を目指しています。本記事では、KDDIが展開するau・UQモバイル・povoを比較し、それぞれのユーザー層の違いを分析します。


最新の投稿


国内電通グループ、AI活用・開発の中核を担うグループ横断組織「dentsu Japan AIセンター」を発足

国内電通グループ、AI活用・開発の中核を担うグループ横断組織「dentsu Japan AIセンター」を発足

国内電通グループの5社(株式会社電通、株式会社電通デジタル、株式会社セプテーニ・ホールディングス、株式会社電通総研、イグニション・ポイント株式会社)は、AI活用・開発の中核を担うグループ横断組織「dentsu Japan AIセンター」を発足したことを発表しました。AIに関する専門的リソースを結集した体制を構築し、電通グループや顧客の企業変革の加速に貢献していくといいます。


教科書のマーケティングを実践に落とし込む 一橋大学上原渉ゼミのDockpit活用

教科書のマーケティングを実践に落とし込む 一橋大学上原渉ゼミのDockpit活用

一橋大学商学部の上原渉教授は「学生たちに継続的なデータ活用環境を」という思いから、ゼミ生にWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を導入しています。なぜ学生のうちからデータ活用のスキルを身につける必要があるのか、どのような活用をしているのか。今回は上原渉教授、そしてゼミ生の伊藤亜起さんと大日方佑衣さんに、取り組みの詳細をうかがいました。


「データは若者の武器になる」― ヴァリューズが実践する、学生支援と社会貢献のカタチ

「データは若者の武器になる」― ヴァリューズが実践する、学生支援と社会貢献のカタチ

ヴァリューズ代表・辻本に社会貢献活動にかける想いをインタビュー。「マーケティングの力で日本を元気にしたい」―創業時の情熱を胸に、大学へのDockpitの提供や同志社大学のビジコン支援など未来を担う若者育成にも注力するヴァリューズ。本記事では、社会貢献活動の具体的な取り組みと、その根底にある企業理念、「世の中のマーケティング力向上」への熱意を紐解きます。


お店が集客目的で口コミ依頼するケースがあることを知っている人は約9割 集客目的の口コミ依頼への印象は"信頼性が低下する"が最多【マイスタースタジオ調査】

お店が集客目的で口コミ依頼するケースがあることを知っている人は約9割 集客目的の口コミ依頼への印象は"信頼性が低下する"が最多【マイスタースタジオ調査】

株式会社マイスタースタジオは、全国の男女を対象に「集客目的の口コミ依頼に関する意識調査」を実施し、結果を公開しました。


【徹底分析】証券会社の申し込み完了前後のWEB行動

【徹底分析】証券会社の申し込み完了前後のWEB行動

近年、資産運用を行う人が急増しています。消費者の検索も、年間の「証券」に関する検索を行う人は、VALUES調べによると約1600万人にも上り、 WEB行動からも多くの関心が集まっていることが分かります。そこで本資料では、直近半年間で証券会社の口座を申し込んだ消費者を対象にWEB上の検索行動を追跡し、その背景を分析・推察した内容を解説。消費者のCV前後の検索行動から、関心のきっかけや情報収集プロセスを把握する分析の有用性がお分かりいただける内容となっています。※資料は記事末尾のフォームから無料でダウンロードできます。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ