2021年の新語・流行語の年間大賞は『リアル二刀流/ショータイム』に
■新語・流行語のトップテンには『うっせぇわ』『Z世代』などもランクイン
早いものでもう12月。毎年恒例の新語・流行語大賞が12月1日に発表され、今年はロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手の「リアル二刀流/ショータイム」が年間大賞に選ばれました。
今年の年間大賞とトップテンは下記のようになっています。
ユーキャン 新語・流行語大賞
第38回 2021年 年間大賞
新語・流行語トップテン
【年間大賞】
リアル二刀流/ショータイム
【受賞語】
うっせぇわ
親ガチャ
ゴン攻め/ビッタビタ
ジェンダー平等
人流
スギムライジング
Z世代
ぼったくり男爵
黙食
年間大賞に選ばれた「リアル二刀流/ショータイム」のうち「二刀流」というキーワードの直近2年間の検索ユーザー推移を、ヴァリューズのWeb行動ログ分析ツールDockpitで見ると、やはり検索数は右肩上がり。
特にMLBオールスターゲームが開催され、大谷選手が史上初の球宴二刀流(投打同時出場)を果たし注目を集めた2021年7月は、検索数が大きく伸びていることがわかります。
『二刀流』検索ユーザー数推移(2019年11月~2021年10月)
デバイス:PC・スマートフォン
ノミネート語を振り返ると、昨年は半数近くを新型コロナウイルス関連の言葉が占めていましたが、今年は東京オリンピック・パラリンピックの開催もあり、スポーツに関する言葉が目立つ結果となりました。
「ゴン攻め/ビッタビタ」や「13歳、真夏の大冒険」などオリンピック中継の実況から生まれた名言に加え、「カエル愛」「スギムライジング」といった選手個人にフォーカスした言葉もノミネートされており、オリンピック・パラリンピックへの人々の関心の高さがうかがえます。また、日本人として20年ぶりに全米野球記者協会が選ぶ最優秀選手賞・MVPを獲得した大谷翔平選手にまつわる言葉「ショータイム」など、2021年はスポーツ界全体が大いに盛り上がった1年であったことがわかります。
ユーキャン 新語・流行語大賞
第38回 2021年 ノミネート語
続いて、ヴァリューズで分析した週間検索キーワードランキングのうち、その週の中で特に象徴的な語句を月ごとにまとめたものがこちらです。
週間検索キーワードランキングの急上昇ワードより
新語・流行語大賞のノミネート語と同じく、8月まではオリンピック・パラリンピック関連のキーワードやゴルフ・野球といったスポーツに関する言葉が多く並んでいます。また、1月~3月には前菅内閣が組閣当初から力を入れていた携帯電話料金の引き下げ要請に関連した各社の新料金プラン名が並んでいるのも特徴的です。一方、昨年に比べて新型コロナウイルスに関するキーワードは全期間を通して少なめで、コロナ2年目となった今、人々がwithコロナの生活に慣れてきている様子がうかがえます。
次世代SNS競争?『Clubhouse』はピークを越えて下火傾向に
続いて注目したのは、1月の急上昇ワードとなった「Clubhouse」。2021年1月に日本に上陸し、SNS上で一気に話題となり爆発的にユーザー数が増加した音声SNSアプリケーションです。しかしながらDockpitを用いて分析してみると、2021年2月に検索ユーザー数はピークを迎えるとその後一気に減少し、現在ではほぼ横ばいで低い数値が続いていることがわかります【図1】。
【図1】Clubhouse検索ユーザー数推移(2020年12月~2021年10月)
デバイス:PC・スマートフォン
検索ユーザーの属性では、男性が約6割とやや多く、年代は20代~40代が中心です【図2】【図3】。
【図2】Clubhouse検索ユーザー属性・性別(2021年1月~10月)
デバイス:PC・スマートフォン
【図3】Clubhouse検索ユーザー属性・年代(2021年1月~10月)
デバイス:PC・スマートフォン
さらに、Clubhouseを検索したユーザーが他に関心を寄せているワードを抽出し特徴値順に並べたところ、以下のような結果となりました【図4】。
【図4】関心ワード(2021年1月~10月)
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上位10ワードのうち、1位と7位には「Dispo」「Voicy」といった比較的新しいSNSがランクインしています。
DispoはDisposable Camera(使い捨てカメラ)から着想を得た新世代写真SNSアプリです。昔のインスタントカメラのようなレトロな写真を撮影することができ、その写真が見られるのは翌朝9時というのが大きな特徴です。撮影された写真はロールに保存され、プライベートか公開かを選択できます。Instagramとは違い、作りあげられた写真ではなくありのままの今を切り取った写真が多く、従来のSNSに疲れた若者から支持を集めているようです。
一方「Voicy」は日本発の音声プラットホームです。審査を通過したパーソナリティによる配信や、ニュースや英語学習コンテンツなど幅広いジャンルの音声配信を視聴することができます。
これら2つのSNSについても検索ユーザー数推移やユーザー属性を分析してみると、「Dispo」は「Clubhouse」と同じく2021年2月をピークに検索ユーザー数が激減している一方、「Voicy」は着実にユーザー数を伸ばし続けていました。また、検索ユーザー層にも違いがあり、男性ユーザーの多い「Dispo」に比べると「Voicy」のユーザーは男女差があまりなく、年代も20代が突出している「Dispo」に対し、「Voicy」は20代~40代まで満遍なく広がっています。現在でも多くのユーザーの関心を維持している「Voicy」は、「Clubhouse」や「Dispo」に比べて幅広い属性のユーザーの獲得に成功しているようです【図5】【図6】【図7】。
【図5】Dispo、Voicy検索ユーザー数推移(2021年1月~10月)
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【図6】Dispo、Voicy検索ユーザー属性・性別(2021年1月~10月)
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【図7】Dispo、Voicy検索ユーザー属性・年代(2021年1月~10月)
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近年、さまざまなSNSが登場していますが、InstagramやTwitter、Facebookのように世界中で圧倒的なユーザー数を獲得するSNSは多くはありません。2021年は新しい音声プラットフォームへの関心が高まった1年でしたが、その盛り上がりはいつまで継続し、来年はどんなSNSが流行るのか目が離せません。
▼Clubhouse、Dispoについては下記の記事でも詳しく取り上げています
リアルな会話への飢えを満たすClubhouse ~コロナが及ぼす影響とこれからを考察
https://manamina.valuesccg.com/articles/1283アメリカ発の音声SNSアプリ「Clubhouse」が2021年1月に日本に上陸し、大ブームを巻き起こしています。既存SNSで招待を求める声が相次ぎ、その投稿を見てアプリの存在を知ったという方も多いのではないでしょうか。今回はヴァリューズ蓄積の検索データに加えてClubhouse初心者の筆者と、上陸初期からフル活用されているというヴァリューズのマーケティングコンサルタントの見解を交えながら、流行の背景や現状、今後の展望について分析・考察していきます。
▼Voicyに関しては、下記の調査レポートが無料でダウンロードいただけます
個人での情報発信や「ながら聴き」を楽しむ人も増える中、盛り上がりをみせる音声メディアに着目し、個人で配信可能な「Voicy」「stand.fm」「spoon」「Radiotalk」「himalaya」「REC.」の6メディアの特徴を比較分析しました。(ページ数|25p)
女性に人気の『マリトッツォ』意外にも検索ユーザーの中心は40代
最後に深堀するのは、連日さまざまなメディアで取り上げられ一大ブームを巻き起こした「マリトッツォ」です。
「マリトッツォ」とはイタリア発祥の伝統的なドルチェで、ブリオッシュなどのパンにたっぷりの生クリームが挟まれています。コロンとしたかわいらしい見た目と名前のインパクトが合わさり、今年大流行したスイーツです。新語・流行語大賞にもノミネートされ、ヴァリューズの急上昇ワード調査でも6月にランクインしています。そんな「マリトッツォ」についてDockpitを用いて詳しく分析してみましょう。
まず、検索ユーザー数推移とユーザー属性を調べてみると、2021年6月まで一気に検索ユーザー数が増加し、その後下降傾向ではあるものの、2021年10月時点でも多くのユーザーに検索されていることがわかりました。
また、検索ユーザーは圧倒的に女性が多く7割を占めており、女性からの関心が非常に高い様子がうかがえます。意外な結果となったのは年代分布で、10代・20代の検索ユーザーは少なく30代~50代が中心で、特に40代の検索ユーザーが多いという点です。新しいスイーツというと若い女性からの人気が高いイメージがありますが、マリトッツォについては大人の女性からの関心が高いようです【図8】【図9】【図10】。
【図8】マリトッツォ検索ユーザー数推移(2021年1月~10月)
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【図9】マリトッツォ検索ユーザー属性・性別(2021年1月~10月)
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【図10】マリトッツォ検索ユーザー属性・年代(2021年1月~10月)
デバイス:PC・スマートフォン
さらに、「マリトッツォ」はどんなキーワードと一緒に検索されているのか掛け合わせワードを調べてみると、以下のような結果となりました【図11】。
【図11】掛け合わせワード(2021年1月~10月)
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上位10キーワードのうち半数となる5つがコンビニに関するワードとなっており、コンビニで購入し気軽に楽しもうとする人が多そうです。近年コンビニではスイーツの開発に力を入れており、メディアでも頻繁に取り上げられることでコンビニスイーツブームが巻き起こっています。コロナ禍で外出が思うようにできない中、より一層、身近なコンビニスイーツが盛り上がりを見せるのではないかと思われます。
続いて流入サイトを調べてみると、最も多くのユーザーが閲覧しているサイトはイエモネでした【図12】。
【図12】流入サイト(2021年1月~10月)
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イエモネは、暮らしと自由をテーマにした家中(イエナカ)情報メディアです。お取り寄せスイーツやインテリア雑貨、おしゃれな家電などおうち時間を彩るさまざまな情報を提供しています。
2019年10月にローンチされ、コロナ禍の2020年3月以降一気にユーザー数が伸びています【図13】。
【図13】iemone検索ユーザー数推移(2019年11月~2021年10月)
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新型コロナウイルスの感染拡大以降おうち時間が増加し、家で過ごす時間を快適にしたいと考える消費者ニーズにマッチしており、まさにコロナ禍にふさわしい情報サイトといえそうです。
コロナ一色となってしまった2020年に比べ、スポーツや文化、食といった分野でさまざまな明るい話題も多かった2021年。来年は新型コロナウイルスが収束し、さらに多くのトレンドが生まれる1年になることを期待します。
分析概要
全国のモニター会員の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「Dockpit」を使用し、インターネットにおけるユーザーの検索行動を分析しました。
※ユーザー数はヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。
「Dockpit」は、過去どのような変化が起こり、どんな兆しがあるのか、消費者のトレンド調査にとても役立ちます。無料で利用できる機能もありますので、ぜひ無料登録してみてください。
マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
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