明日から話せる!デジタルマーケティングにまつわる一言二言
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・<クイズ> 消費者が検索する、また掛け合わせるワードは?|〜金融商品編〜
・Googleの画面上でなにが起こっているのか?
・データをマーケティングに活用するには?
<クイズ>消費者が検索する、また掛け合わせるワードは?〜 金融商品編
株式会社ヴァリューズ 横井涼(以下、横井):「まず、簡単なクイズを出題します。デジタルマーケティングにおいて重要な、どんなワードが「検索」されているか?という問題です。1問目です。
Q:お金を貯める行動の中で検索ボリュームが1番大きいものはどれでしょうか?
(調査期間:2020年7月~2021年6月)
①貯金
②貯蓄
③預金
この3つのワードをご存知ない方はいらっしゃらないと思いますが、この3つは、「お金を貯める行動」として同じ意味合いでも、それぞれ違いがあります。どれが1番検索されているのでしょうか?
答えは「①貯金」でした。
ちなみに2番目は「③預金」で3番目が「②貯蓄」という結果に。
どれも「お金を貯める行動」としての意味は同じですが、これだけ検索数が変わってくるという結果がポイントです。
それぞれのワードにおける検索ボリュームがどのくらいあるのか?を判断する際には自身の勘や経験だけに頼るのではなく、客観的なデータからも判断することが重要です。消費者の検索行動の傾向やその変化を知らずして、Webマーケティング・デジタルマーケティングは成立しないと言えます。
下図のデータを見ても明らかですが、この例ですと、「③預金」よりも「①貯金」というワードを使うことで約3倍の消費者にリーチできると考えることができます。」
図:A.消費者は何と検索しているか?
横井:「では2問目です。「貯金」検索者はどのような掛け合わせワードを入力しているでしょう?
Q:「貯金」の掛け合わせワードで、検索ユーザーが多いのは?
(期間:2020年7月~2021年6月)
①20代
②平均
③1000万
では答えを見てみましょう。
答えは「②平均」でした。続いて2位に「①20代」となっています。
「貯金」を検索する人はどんなことを考えて検索しているか、これを考えることが「検索キーワードから消費者の意図を考える」ということになります。
この例ですと、1位の「平均」と2位の「20代」だけではなく、30代、40代といった検索数も多いことから、「自分は平均的なのだろうか?他の人は?」といった関心があるということが推測できると言えるでしょう。」
図:A.「貯金」検索者の興味関心について
横井:「こちらは我々の独自データから出てくる「貯金」検索者がこの1年の間で、どのWebページをよく見ていたかというランキングと一例です。
1位のページはりそな銀行の「30代の平均貯金額はいくら?貯金なしから1,000万円到達はできる?」というページです。このページをよく見てみると、こういったデータをご存知の方が作ったとしか思えないものになっています。
なぜかというと、先程の「貯金」との掛け合わせワードが、ご覧の通りいくつも明記されています。まさに「貯金」検索者の知りたいワードが見事に列挙されているページと言え、このページに多くの消費者が辿り着くのもうなずけます。
ちなみにこういった“検索”に対して集客率の高いページを作ることなどをSEO(Search Engine Optimization)対策と言います。GoogleやYahoo!での検索結果で上位表示され、消費者に気づいたもらうための施策が実施され、結果に反映されている例と言えるでしょう。」
図:「貯金」検索者がどのページを閲覧しているか
Googleの画面上でなにが起こっているのか?
横井:「先程の例で、消費者の検索行動を知ることの重要性、また、有効な検索ワードを知ることで、SEO対策という施策に有利になるということもご理解いただけたかと思います。
ではここからは、例として「化粧水」と検索し、どのようなページが上位表示されるのか見てみましょう。
複数の人が同じ検索行為をしても同じWebページが上位に上がってくるとは限らないのがGoogleのすごいところでもありますが、これは検索者ごとの位置情報や、性年代、Webページの利用状況などによる相違が関係するからです。ただ、この「化粧水」を検索する場合は多くの方に「広告」と記載されたページが上位表示されるのはないでしょうか。これは「化粧水」と検索している消費者に向けて、「広告を出したいという事業会社が存在する」ということです。
「広告」を出すにはもちろん費用がかかります。そして、この広告宣伝費というのは、(変動もしますが)ある程度の目安があるということをご存知でしょうか。
その広告宣伝費の目安が一体いくらなのかということは、Googleの提供しているツールを使えば誰にでもわかるようになっています。」
図:「化粧水」とGoogleで検索すると
横井:「この「広告」に対する広告宣伝費ですが、以下のような形で見ることができます。
CPC(Cost Per Click)と言って、一回クリックされたことで、いくらの広告宣伝費がかかるのかという意味合いになります。」
図:キーワード「化粧水」を広告で出そうとするといくらかかる?
横井:「このように「広告」を使うとその分Googleへ支払いが生じ、費用がかかるということはご理解いただけたかと思います。では、「広告」と出て来ないのに上位に出てきたWebページというのはどういうものなのかを考えたいと思います。
下図に、「化粧水」のワード検索で表示される、代表的なページを挙げてみました。
このWebページは「広告」で集客せずにどのように集客しているのか。どのようなワードを用いているのか。それを下図右にランキングで掲載しました。
「化粧品 効果」から始まり、「化粧品 乳液」「化粧水とは」「化粧水 使い方」といった、消費者が検索するであろう掛け合わせワードをいくつも想定して使用しています。これらのワードが牽引してこのWebページを押し上げていると想定できます。
「広告宣伝費」をGoogleに支払えば確かに上位表示されますが、要は「広告宣伝費」をかけずともこのように上位表示されることもできるということです。つまり「無料」で多数の消費者にリーチできるということになります。
重複しますが、このような施策が、先のりそな銀行のページの例でもお話したSEO対策、またコンテンツマーケティングとも言われるものです。
したがって、このような優良記事コンテンツを作ることによって、Googleに上位表示をさせ、多数の消費者に訴求するということが、SEO対策の施策によって可能となるというわけです。」
図:Google検索上位のこの記事はどんな役割があるのか?
横井:「では、前述のようなサイトをどのような人が、どれくらいみているのかというのを考えます。
ヴァリューズではそういった検索行動ログ分析のできるツールを有しています。
この「Dockpit」で閲覧状況を確認してみましょう。
まず、2020年10月から2021年9月までの期間中、いつ閲覧されていたのかという点では、2021年の3月が最も多いというのがわかります。また、検索者の属性を見てみると、男女比率では男性が7割と多く、年代では20代、30代が多く占めています。
これらのデータは競合他社などの状況を把握するのに、より役立つ情報かと思います。」
図:競合やベンチマークサイトに関心のある事業会社様は多い
データをマーケティングに活用するには?
横井:「ここで現代の社会を取り巻くデジタル環境について、少しお話します。
下図はインターネットが今現在どれだけ浸透してきているかということがわかる図になっています。
左の図がインターネット利用者の割合を示しています。年々増加傾向にあるのは言うまでもありませんが、特に高齢者の利用が着実に伸びているという点が特徴的です。
また、右の図は媒体別広告費の推移を示しています。この図を見ても、もはやテレビよりもインターネット広告の方が多いという実情がわかります。その規模は約2兆円を超えており、いかにインターネットの影響が私達の生活に大きなインパクトを持っているかがわかります。
ちなみにこういったデータをセカンダリデータとマーケティングの世界では言われています。」
図:インターネットの利用やWEB広告は伸び続けている
横井:「では、従来型のマーケティングとデジタルマーケティングの違いは何なのかという問題です。
よく言われているのは、従来型のマーケティングが土台となって、そこから進化したものがデジタルマーケティングであるという考えです。」
図:データはマーケティングにおける5つの領域を進化させる
横井:「マーケティングというのはそもそも、「もの」を「人」に「売る」ためにある概念ですが、先程のマーケティングにおける5つの領域の図をさらに簡略化したものを、下図でご紹介します。こちらをフレームワークと呼びます。
それぞれの用語については、マーケティング担当の方であれば使い慣れているかと思います。それぞれのプロセスが「環境分析」「戦略立案」「施策立案」とあり、それに対しての対応策として、「3C/PEST」「SWOT」「STP」「USP」「4P」となっています。
本日はこの中から、「SWOT」に焦点をあててご説明します。」
図:フレームワークの概要
横井:「この「SWOT」ですが、それぞれ「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」「Opotunities(市場機会)」「Threats(脅威)」を示しています。
まず、この「O」と「T」の「外部環境要因」分析を先に取り掛かり、次に「S」と「W」の「内部環境要因」分析をするのがセオリーとなっています。
「市場機会」を考え、そこにおける「脅威」を考えます。それから自社の「強み」を考えて「弱み」を考えるということです。
マーケティング業界で高名なフィリップ・コトラー氏の引用となりますが、「外部要因の変化から成功要因を導き出し、それを所与の条件として自社の強みを活かすことができる市場を検討する」ということが、この作業に当てはまります。」
図:SWOT分析とは
横井:「ここまでさまざまな角度からマーケティングにまつわるお話をしてきましたが、最後にマーケティングとは、ということを考えたいと思います。
マーケティングとは、いきなり何か素晴らしいアイデアを生み出すといったものではなく、前述にもあるように、「3C」「PEST」「SWOT」「STP」「USP」「4P」といった段階を確実に踏んで行くものだと考えます。
実に成功しているマーケティングのケースをみると、この階段をきちんと上り、最後に思考のジャンプのようなことをして見事なアイデアに繋がっている例が多く見受けられます。
このように、マーケティングはひらめきではなく確実に踏まえられたステップにより成立すると言えるでしょう。」
図:フレームワークを登ってからなら、一つの閃きでアイデアに到達できる
まとめ
横井:「本日はクイズから始まり、消費者を知るための「検索行動」を知る重要性、Google広告の仕組み、SEO対策、そして、マーケティングとは?、についてお話させていただきました。今後クライアント様と様々な場面で向き合うなかで本日の話が少しでもお役に立てれば幸いです。」
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マナミナ 編集部 編集兼ライター。
金融・通信・メディア業界を経て現職。
趣味は食と旅行。