コロナ禍で伸びる冷凍食品-コンビニが力を入れ、フランス発の専門店が注目集める理由とは-

コロナ禍で伸びる冷凍食品-コンビニが力を入れ、フランス発の専門店が注目集める理由とは-

今回は2022年ヒット予測にも取り上げられた「冷凍食品」について調査します。冷凍食品といえば、「便利で手軽だけど美味しくない」というイメージも強いはず。さらに、スーパーなどで手軽に手に入るもので、わざわざ新商品について調べたりする印象はありませんでした。なぜ「今」ここまで冷凍食品が注目されるのか? 「冷凍食品」検索者のデータから分析します。


冷凍食品の進化がすさまじい!

なぜ最近になって冷凍食品への注目が高まっているのでしょうか。その理由のひとつとして、近年になって冷凍食品を製造するための技術が進化していることが挙げられます。

これまでの冷凍食品といえば、「解凍するとなんか水っぽい」「おいしくない」というイメージが強いものでした。しかし近年は急速冷凍・瞬間冷凍などの技術が進化し、乾燥や変色を抑えつつ解凍してもドリップが出ないようにすることができるように。逆にそのまま食べるよりも冷凍することでうまみを閉じ込め、より美味しさが増すと謳う商品まで登場しました。

緊急事態宣言期間で冷凍食品の検索ユーザー数が増えた

さらに新型コロナウイルスによる「外食自粛」も冷凍食品の需要増の追い風になっています。「冷凍食品」の検索ユーザー数推移を見てみてみましょう。(なお分析には、毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えるヴァリューズのWeb行動ログ分析ツールDockpit(ドックピット)を使用しました。)

「冷凍食品」検索ユーザー数推移

「冷凍食品」検索ユーザー数推移
(集計期間:2020年2月〜2022年1月、デバイス:PC&スマートフォン)

緊急事態宣言が発令されていた期間と合わせてみると、「冷凍食品」の検索数が伸びているのはこの期間とほぼ一致することがわかります。「外食は控えたい」「スーパーなどへの食糧の買い出しも極力控えたい」と考える人が増えたときに、日持ちのする冷凍食品のニーズが高まったのではないか?と推測することができます。

特に普段自炊をしなかった人たちや、家族の在宅勤務が増えたことにより料理を作る回数が増えた人たちが、少しでもその負担を減らすために美味しくなった冷凍食品に頼っていることもあるかもしれませんね。

冷凍食品に興味を持っているのは40代の女性が中心

こうした仮説をもとに、冷凍食品に興味を持っているのはどんな人なのかデータで検証してみます。まずは検索ユーザーの属性から見てみましょう。

「冷凍食品」検索ユーザーの属性<性別>

「冷凍食品」検索ユーザーの属性<性別>
(集計期間:2020年2月〜2022年1月、デバイス:PC&スマートフォン)

「冷凍食品」検索ユーザーの属性<年齢>

「冷凍食品」検索ユーザーの属性<年齢>
(集計期間:2020年2月〜2022年1月、デバイス:PC&スマートフォン)

「冷凍食品」を検索しているのは「40代の女性」が多いことがわかります。「コロナ禍で外出を控えたい」「夫や子供が在宅勤務やリモート授業になって昼食の負担が増えた」といったことから冷凍食品に頼りたいけれど、「長引く自粛生活で出来るだけ良いものが食べたい」というニーズがあるのではないでしょうか。

フランス発の専門店、コンビニの注力…冷凍食品のトレンドとは

「冷凍食品」について調べている人が気になっているのはどのようなことなのでしょうか。検索者の流入ページランキングを見てみましょう。

「冷凍食品」流入ページランキング

「冷凍食品」流入ページランキング
(集計期間:2020年2月〜2022年1月、デバイス:PC&スマートフォン)

「冷凍食品」というワードを調べた人がたどり着いたページには、冷凍食品メーカーの「ニチレイフーズ」や「マルハニチロ」「味の素冷凍食品」などが多い中、「ピカール」という見慣れないものが。

「Picard(ピカール)」というのはフランス発の冷凍食品専門店。「牛肉の赤ワイン煮」「白トリュフのタリアテッレ」「ゴルゴンゾーラのニョッキ」などといった食欲をそそる料理の冷凍食品メニューがラインアップされている上に、店内は「映える」オシャレな内装。都内を中心に現在14店舗あり(2022年2月現在)、通販でも購入できるため、人気が高まっています。

さらに、「冷凍食品」と掛け合わせで検索されているワードを見てみると、「ピカール」と並んで上位にコンビニエンスストアの名前も目立ちます。

※上記、本文中でピカールの店舗数を誤表記しておりました。訂正しお詫び申し上げます。(2022年3月28日)
「冷凍食品」掛け合わせワード

「冷凍食品」掛け合わせワード
(集計期間:2021年8月〜2022年1月、デバイス:PC&スマートフォン)

コンビニ各社も需要の高まりを受け冷凍食品のラインナップを充実させており、特にローソンは2022年に冷凍食品ラインアップをこれまでの約2倍にし、2025年度には冷凍食品の売り上げを2020年度から5倍にまで引き上げたいと発表しています。そのために登場した新商品は「マカロン」や「馬刺し」など魅力的なものばかり。今後はより一層手軽に冷凍食品を手に取ることのできる機会が増えそうです。

こうした流れもあり、「日経トレンディ2021年12月号」で発表された「2022年ヒット予測」では2位に「冷凍食品専門スーパー」がランクインし、「今はそんなものがあるのか!」と興味を持つ人が増えている状況です。とはいえ、「冷凍食品」と一緒に「体に悪い」というワードを検索している人も。

「冷凍食品」季節比較

「冷凍食品」季節比較
(集計期間:2021年5月〜2021年7月、デバイス:PC&スマートフォン)

このことからわかるように、気になるのは栄養面。手軽ではあるものの、栄養の偏りや体に悪いという印象を持っている方が多いと思います。しかし近年では冷凍食品といえども栄養バランスにも配慮したものが増えており、「冷凍食品にはデメリットがない」と言っても過言ではない状況になっています。

たとえばこちらは冷凍食品の味噌汁「MISOVATION」。水を注いでレンジでチンするだけで完成するという手軽さながら、1食で必要な31種類の栄養素をバランスよく配合しているのが魅力です。

さらに「非接触」での購買ニーズが高まったことを受け、冷凍食品の自販機も登場しています。

飲食店が早い時間に閉まってしまうことの多い今、自販機であれば24時間非接触での買い物が可能であり、さらにその中身が冷凍食品であれば日持ちもするというわけです。

今後、老若男女問わず需要が高まることが予想できる「冷凍食品」。保存が効いて調理の手間もかからず、さらに美味しいとなれば常備したいと考える方もますます増えるのではないでしょうか。

この背景にはフードロスを減らそう、という近年のSDGs的な流れもマッチしています。一人暮らしの高齢者や単身者が多い現代では、食材を購入しても使い切れずに腐らせてしまった経験がある方も多いかもしれません。そんな時でも冷凍食品であれば賞味期限を気にせず、調理もほとんどする必要がなく食にまつわるストレスを減らすことができます!

2022年は専門店やコンビニ各社の冷凍食品ラインアップに注目し、手軽に美味しい食事を楽しみませんか?

▼今回の分析にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えます。Dockpitには無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。

dockpit 無料版の登録はこちら

この記事のライター

恋愛・就職・食レポ記事を数多く執筆し、社長インタビューから芸能取材までジャンル問わず興味の赴くままに執筆するフリーランスライター。コンビニを愛しすぎるあまり、OLから某コンビニ本部員となり、店長を務めた経験あり。

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