競合分析の目的

Googleの検索ロジックは複雑化し、特定のタグを変更するといった単純なSEO対策では検索順位を上げづらくなっています。こうした状況において、現在検索結果上位のサイトにはGoogleが評価する要素があるとし、上位サイトと自社サイトを比較して差分を補うのが競合サイト分析の目的です。
また、広告出稿においても、似た顧客層を持っている競合サイトの分析は、効率的な施策立案に役立ちます。
■競合サイト分析のメリット
競合サイトを分析するメリットとしてまず挙げられるのは、競合サイトと差別化するポイントを得やすい点です。
SEOではGoogle側から「ここまでやればOK」と教えてくれることが少なく、上位を獲得するのにどのくらいの記事本数や品質が必要なのか、基準を決めづらいことが多いはず。また、検索順位は相対的に決まるので、どのキーワードでも一律同じ基準ではなく、その分野における競合サイトを上回る記事本数や品質が必要になってきます。
そのために競合サイトを分析し、相手が打ち出している強みを自社サイトに取り入れたり、自社サイトだけが持つオリジナリティをどうするか考えます。
分析を進めていくと、差別化要素以外にも、競合サイトの戦略が見えてくる場合もあるでしょう。競合サイトで注力している施策で自社サイトにて着手していないものがあれば、積極的に取り入れるべきです。
また、ある程度同じ施策を打っているサイト同士であれば、競合サイトの流入キーワードで自社がまだコンテンツを用意していないキーワードはないか、など差分を抽出する手法も有効です。
こうした競合サイト分析を通じて、ユーザーのニーズに気づける点もメリットの一つです。
競合サイトの見つけ方

競合サイトを探すには、まずは自社サイトで重視するキーワードを決め、そのキーワードで検索結果上位を取っているサイトをピックアップします。
自社サイトで重視するキーワードは、「自社サイトのアクセス流入上位キーワード」と「これから検索上位を取りたいキーワード」の2種類があります。検索上位を取りたいキーワードは、リソースの都合上、数個に絞るのが得策です。ビッグワードで検索上位を狙うとなると、複数記事、場合によっては数十記事の投入が必要になってしまう場合もあるので注意します。
ピックアップした競合サイトが多い場合、無関係なサイトを除外し、よりユーザー層が近いと考えられるサイトにしぼります。例えば、大手企業が運営していてドメインの強さで上位になっているようなサイトは、外してもよいでしょう。
なお、上位を取っているサイトは半年1年単位で見ると入れ替わっていることも多いので、どのサイトが上がっているか分析すると、検索トレンドの理解に役立ちます。競合サイトの探し方については以下のリンクにてさらに詳しく解説しています。ぜひご確認ください。

狙っているキーワードで上位を獲得している競合サイトを分析して良い部分を自社サイトに取り入れましょう。すべてのサイトを見るのは大変なので、効率的に競合分析するには競合サイトの見つけ方が大事。メインの流入キーワードの競合となるWebサイトを探し、サイトの規模や更新頻度を自社サイトと比べることで、競合Webサイトに追いつくために必要なコンテンツ量や更新頻度の参考になります。
競合分析で得るべき情報

競合分析にあたって、「アクセス数・UU数」「属性」「直帰率」「流入経路」「流入キーワード」「流入先コンテンツ」「被リンク獲得先」「上位表示ページ」といった指標をもとに調査を進めます。
■アクセス数・UU数
アクセス数やUU数(ユニークユーザー数)を競合サイトと比較し、差が開いているのであれば、自社サイトに伸びしろが多く残されていると言えます。
とくにUU数の計測は競合サイトの人気度を知る指標になります。競合サイトに比べてUU数の差が開いている場合は、人気を高めるにはどのようなサイト構築を行うべきか、またどのようなサイト誘導施策を行っているのか、を掘り下げて調査します。
一人のユーザーが複数ページ閲覧することもあるため、一般にはアクセス数よりUU数の方が小さくなります。流入に注目するなら、UU数で十分です。
■属性
性別、年齢、興味や関心といったユーザーの「属性」調査は、自社サイトで作成すべきコンテンツ内容の精査、そしてそこから施策を出すために必要となります。
■直帰率
直帰率の調査は、そのサイトがユーザーにとって良いか悪いかの基準となります。競合サイトよりも直帰率が高いのであれば、コンテンツや誘導の導線を見直したり、UIの改善やモバイルの最適化などの施策に取り組む必要性が上がります。
■流入経路
流入経路の調査・分析は、集客方法の確認が第一です。しかし、集客はひとつの手段で、最終的な目標はそこからコンバージョンにつなげることです。したがって、単に流入経路を探るのではなく、コンバージョン率を高められる流入経路を特定するようにします。
■流入キーワード
競合サイトを訪問したユーザーが検索エンジンで入力したキーワード、流入キーワードの調査は、競合サイトがそのキーワードでサイトに誘導していると分析できます。よって、その流入キーワードで自社サイトを検索上位に表示できるよう、流入キーワードに関するコンテンツの増加などのSEO対策を施します。
■流入先コンテンツ
流入先コンテンツとは、そのサイトのどのコンテンツが人気かを測る指標ですが、これを測定できるツールは珍しいのが現状です。しかし、ヴァリューズが提供する「Dockpit(ドックピット)」というマーケティングツールでは、検索後にどのようなコンテンツを見ているかであったり、サイト内の人気コンテンツをページ単位で詳細に分析可能です。
■被リンク獲得先
Googleの検索エンジンは、被リンクを獲得しているページを信頼度の高いサイトと解釈します。つまり、被リンク数が多いほどGoogleからの信頼を得て上位表示される可能性が高くなるのです。競合サイトの被リンク数が自社サイトよりも上回っていれば、自社サイトにさらに被リンクが集まるように改善策を講じます。
■上位表示ページ
極めて基本的な事柄ですが、検索上位のサイトはアクセス数が多く、それだけユーザーのニーズ・人気を集めていることになります。上位表示されている競合サイトにあって自社サイトにないものはなにか、徹底的に調査・分析を行います。
競合分析後に行うべきこと
上で紹介した指標をもとに、競合サイトの情報を仕入れたら、参考にできる部分は積極的に自社サイトにも取り入れるようにします。しかし、すべてそのままでは競合サイトに双肩できても追い抜くには至りません。
したがって、自社(サイト)にしかない強みがあれば、それを積極的に打ち出し、競合サイトとの差別化を図ります。それによって、アクセス数の向上、新規ユーザーの獲得を期待できます。
【無料版あり】おすすめの競合分析ツール
競合サイトの分析を行うにあたって便利なツールを「無料版あり(使用期限あり。その後は有料)」「有料」「無料」の3つのカテゴリーに分けて紹介します。
■Dockpit
「Dockpit(ドックピット)」は、国内の主要サイトのユーザー数やPV数、訪問者属性、流入元やその検索ワード、よく見られているコンテンツなどをすぐ調査できる競合分析ツールです。
国内主要サイトの情報がわかる理由は、ヴァリューズが独自保有する国内250万人規模の消費者パネルを活用しているためです。
機能の制限はありますが、Dockpitの無料版も用意されています。まずは無料版のお試しをおすすめします。
Dockpit無料版の機能を詳しく解説

Dockpitならではの利便性の高い機能や活用方法を解説
■Gyro-n SEO
「Gyro-n SEO」は、検索順位チェック、問題点の洗い出し、分析、施策、検証という一連のSEO対策フローをワンストップで行える競合分析ツールです。
Gyro-n SEOはとりわけSEO順位チェックに特化していて、競合サイト、自社サイトの検索順位を自動チェックするほか、キーワードごとの検索順位の変動、インデックス数の推移の調査に適しています。
利用者登録をしてから3ヶ月間は無料で利用できるので、とりあえず試してみたいという場合にも最適です。

【SEOツール】なら検索順位チェックから競合比較、内部対策管理まで、インハウスSEO担当者が行うフロー、SEO対策のノウハウを詰め込んだGyro-n SEO。効率的にSEOを管理する高機能SEOプラットフォームです。無料から利用OK!
■パスカル
パスカルは「競合分析」「コンテンツ分析」「キーワード分析」「ランキング取得」の4つの柱を持つ、おもに内部対策が中心のSEO競合分析ツールです。
「競合分析」については、検索ページの上位50位までの競合サイトについて、ページ内の文字数や関連キーワードの使用数、さらにはメタディスクリプションの文字数というコンテンツSEOにおいて必須とも言える50の項目から統計的に分析してくれるのが特徴です。

SEOツール・パスカルは、コンテンツマーケティング および SEOの大幅な作業効率化を実現する有料ツールです。時間のかかる競合サイトの分析を自動化。検索上位ページの傾向からコンテンツやタグの改善点を比較分析します。
【無料】おすすめの競合分析ツール
■SEOチェキ!
「SEOチェキ!」は2009年から運営されている老舗の無料SEOツールで、「サイトSEOチェック」「検索順位チェック」「キーワード出現比率チェック」「発リンクチェック」「Whois情報チェック」の5つのツールから成り立っています。
このように機能を多く搭載していますが、Webサイト上から気軽にチェックできるのが利点です。
サイトのさまざまな情報をチェックします。SEOチェキ!は、サイト調査・検索順位チェックなど、SEOに役立つさまざまなツールを無料でご提供いたしております。あなた自身のサイトや気になるあのサイトをチェック!
■Internet Archive Way Back Machine
「Internet Archive Way Back Machine」は、競合サイトの以前のデザインを見られる無料ツールです。競合サイトのURLと見たい日付を入力すると、その日のページを閲覧できます。
競合サイトの変遷を把握することで、デザインの参考や改変のタイミングなどを参考にできます。なお、必ずしも希望する日付で見られなかったり、画像が表示されないケースもあるのでご注意ください。
■Page Speed Insights
「Page Speed Insights」は、Googleがリリースしている無料のサイト速度計測ツールです。URLを入力するとそのサイトの速度の総合評価が行われます。
評価される指標について数値による計測や、改善可能な項目のリストアップがレポートされるため、具体的な改善がしやすいのが特徴です。
■SEO TOOLS
「SEO TOOLS」は、サイトの基本的なSEO状況をレポートしてくれる無料の分析ツールです。分析項目は検索順位・インデックス数・被リンク数・キーワード率・強調タグ・ドメイン取得年月日となっています。とくに、競合サイトがどのようなキーワードで検索上位を狙っているのかを調べるのに最適です。
すでに廃止されたページランクが分析項目に残っているなど、最近の状況に対応していない部分もありますが、被リンク数を見られる点が重宝します。
■Built With
「Built With」は、対象サイトのシステム構成、WordPressで使っているプラグインなど既知のシステム/ツールを一式検出してくれる無料のツールです。
有料プランには上記の機能のほか、競合サイトと見込みユーザーの特定機能も用意されています。見込みユーザーを特定できれば、自社サイトで取りこぼしているユーザーに向けた、新たなアプローチ施策の検討材料になります。
■MOZ
以前「Open Site Explorer」として知られていたツールです。「Content is King」と言われつつも、ドメインの強さはSEOの大きな要素を占めています。例えば同じコンテンツならば、強いドメインの方が上位に表示されることが多いはずです。
MOZではGoogleのPageRankを模した「Domain Authority」を算出しています。Domain Authorityを見れば、そのドメインの強さがわかります。Domain AuthorityはMOZが独自にクロールして検出した被リンクと被リンクされたドメインのDomain Authorityなどから総合的に計算されます。

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【有料】おすすめの競合分析ツール
■GRC
SEO業界で広く使われている検索順位チェックツールです。登録したサイトのキーワードを大量かつ定期的に取得できるツールとして定評があります。Windowsの有料ソフトになります。
自社以外のサイトも順位取得対象できるので、自社サイトと競合サイトの順位変動を追えます。グラフ上にメモを残せるので、施策前後の変化もグラフ上で確認可能です。そのほか、Googleの仕様変更に対するアップデートも早く、グラフやCSV出力など必要な機能が揃っています。
SEOツールラボでは、アクセスアップを支援するSEO/SEMツールを無料配布しています。検索エンジン順位チェックツールGRCはプロにも利用されているお勧めツールです。
■SEARCH WRITE
「SEARCH WRITE」は、簡単にSEOの課題分析・施策立案・効果測定を行える競合分析ツールです。
UIがシンプルで、必要な機能(キーワードごとに競合サイトの順位を自動取得、SERPsの自動取得など)に絞っているため、これから競合分析やSEOコンテンツマーケティングを始めたいという方にも使いやすく、効率的に競合サイトの調査・分析を行えます。

SEARCH WRITE(サーチライト)は、SEO成果の可視化・分析・施策立案からタスク管理までを総合的にできるSEO対策支援ツールです。自社キーワードの分析からページ調査・競合分析までを1つのツールで。
■Ahrefs
「Ahrefs」は、キーワード検証からの競合分析、コンテンツ、被リンクチェックなどが行える多機能競合分析ツールです。
キーワード検証からの分析で競合サイトのコンテンツをわかりやすく図示したり、関連キーワードやAhrefsが収集したバックリンクデータから被リンクの品質の評価などができます。月額費用はLiteプランの99ドルから用意されています。1週間7ドルで体験できるプランも用意されています。

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競合分析ツールを利用するメリット
ツールの利用によって効率的なデータ収集を行えるため、大切なデータを見落としてしまうといったリスク軽減につながります。そのほかに継続的に競合サイトと自社サイトをモニタリングできるようになるため、自社サイト改善につながるデータを発見しやすいといったメリットがあります。
まとめ
競合分析にあたっては、まず自社で重視したいキーワードを決め、そこから競合サイトを絞り込みます。その後、アクセス数などの指標を用いて調査・分析を進めます。
その際には、今回紹介したツールの利用が効率的かつツールによってはわかりやすく表示されたり、具体的に自社サイトに取り入れるべき内容を教えてくれるものもあるので便利です。
ツールごとの得手不得手やデータの精度もあり、複数のツールを組み合わると、より確実な分析が期待できます。また、ツールから得られた情報を利用するのではなく、独自の要素を付け加えることが、競合サイトに打ち勝つ要因となります。
マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。
編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。