アウディに乗る人はお買い物好き?外車ユーザーのペルソナを解説

アウディに乗る人はお買い物好き?外車ユーザーのペルソナを解説

今や「自動運転」という言葉にも驚かなくなった自動車産業のテクノロジーの進化。AIやIoTとの連携も、今の自動車産業界では当たり前となりつつあります。スマートフォンのアプリもその一つでしょう。多くの国内外産車がアプリを提供し、その機能競争は激化しているとも言われています。今回は多くのアプリの中から、順調に利用者を伸ばしているAudiの「myAudi」にフォーカス。一体Audiオーナーはどのような人物なのか、そのライフスタイルは…?「myAudi」利用者のペルソナをヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit」を用いて分析しました。


「myAudi」の機能とは?利用ユーザー数の推移にも注目

「myAudi」とは?

Audi connect セーフティ&サービス搭載車両に登録することで利用が可能となるカーアプリの「myAudi」。主にどのような機能が利用できるのでしょうか。

「myAudi」の公式サイトを参照すると、様々な機能の提供があるようです。
それら一部を抜粋すると、

・スマートフォンからのリモートロック・アンロック
・駐車した車両の位置がわかるカーファインダー
・車両ステータスレポート
(スマートフォンから車両の走行距離、ドアの施錠、窓の開閉状況、ガソリン残量などを確認できる)

などが挙げられます。
車から離れた場所で、ドアの施錠や窓の開閉などセキュリティチェックができるのは便利ですね。

ユーザー数は順調に推移

続いては「myAudi」アプリのインストール済みユーザー数を見てみましょう。

2020年7月には44,500人だったユーザーが、2022年6月には約1.9倍の85,400人まで上昇と、順調に推移しています。

図:「myAudi」インストールユーザー数推移

図:「myAudi」インストールユーザー数推移

期間:2020年7月〜2022年6月
デバイス: PC・スマートフォン

ユーザー属性からオーナー人物像を徹底分析

男性、40~50代がメイン

性別で見ると男性が86%と多くを占めています。
年代は、40〜50代に集中しています。
決して安価な車体価格ではないことや、若年層の自動車保有離れが叫ばれている世情を鑑みても、想像しやすい結果ではないでしょうか。

図:「myAudi」インストールユーザー 性年代別

図:「myAudi」起動ユーザー 性年代別

期間:2020年7月〜2022年6月
デバイス: PC・スマートフォン

既婚者が大半、子供の有無はほぼ差なし

続いては、未既婚と家族構成(子供有無)を追ってみます。
未婚者よりも既婚者が約2.7倍と多くありますが、子供有無については大きな差は確認されませんでした。
未既婚の比率を見ていえば、単身者が趣味で楽しむというよりは、ファミリーでお出かけを楽しんだり、交通手段として利用しているというような位置付けとなりそうです。

図:「myAudi」インストールユーザー 未既婚と子供有無

図:「myAudi」起動ユーザー 未既婚と子供有無

期間:2020年7月〜2022年6月
デバイス: PC・スマートフォン

世帯年収帯は800万円~1,000万円がボリュームゾーン

単身者層よりも既婚層での利用が多いとの結果のAudi。その世帯年収も気になるところです。
Audiオーナーの最も多い世帯年収帯は800万円から1,000万円となっており、外車オーナーのイメージ通り、高水準にある世帯が多いと言えるでしょう。

図:「myAudi」インストールユーザー 世帯年収

図:「myAudi」起動ユーザー 世帯年収

期間:2020年7月〜2022年6月
デバイス: PC・スマートフォン

「myAudi」利用実態で利用スタイルを徹底分析

アプリ起動タイミングに見る利用シーン

「myAudi」はどのようなタイミングで起動されているのでしょうか。

曜日ごとに見ると、お出かけやメンテナンスのために時間が取りやすい週末の起動が多く見られますが、平日の起動も確認できます。
平日で見ると月曜と金曜が山になっていて、水曜が最も少なくなっています。
これは、
・週の初めに車のコンディションを見ている
・週末のお出かけに向けて、あるいは次の週を良いコンディションで始められるように、車のコンディションを見ている
などが考えられるのではないでしょうか。

また時間帯別に細かく見ると、9〜10時の通勤通学時間帯、12時のランチタイム、16〜17、及び20時の帰宅または送迎の時間帯に盛り上がりが見られます。
20時の動きに関しては、翌日に乗車するために車の状態を確認しているなどが考えられそうです。

図:「myAudi」インストールユーザー アプリ起動曜日と時間帯

図:「myAudi」起動ユーザー アプリ起動曜日と時間帯

期間:2020年7月〜2022年6月
デバイス: PC・スマートフォン

「myAudi」利用者の関心アプリから生活スタイルを分析

属性やアプリ起動でおおよそのペルソナと生活スタイルは掴めてきました。
そこで、Audiオーナーがどのような事に関心を持っているか、さらに深掘りしてみます。

下記データは、2022年6月にAudiオーナーが起動したアプリのランキング(※リーチ差優先での順位)です。
こちらを見ると、d払いやpaypayといったスマートフォン決済から、日頃の生活におけるITリテラシーの高さが見受けられます。またSNSではInstagramの利用が特徴的と言えるでしょう。
そして楽天、Amazonのネットショッピングアプリの起動も上位に見られる事から、購買意欲の高さ、ネットでの手軽なお買い物に関心が高いことも推測できます。

図:「myAudi」インストールユーザー 関心アプリ

図:「myAudi」起動ユーザー 関心アプリ

期間:2022年6月
デバイス: PC・スマートフォン

「Mercedes me」と「My BMW」ユーザーとの関心の違いは?

ここで参考までにAudiと同様に、その他の有名な外国車メーカーがリリースしているアプリ、「Mercedes me」と「My BMW」のユーザーの特徴も比較してみます。両者はどんなアプリに関心を持っているのでしょうか。
関心事の相違で、オーナー像の相違も想像できるかもしれません。

図:「Mercedes me」・「My BMW」インストールユーザー 関心アプリ

図:「Mercedes me」「My BMW」起動ユーザー 関心アプリ

期間:2022年6月
デバイス: PC・スマートフォン

まず「Mercedes me」利用者は、トップにSNSが上がっている事が特徴的だと言えそうです。またAudiと違う点はInstagramではなくFacebookという点です。
そして「myAudi」の上位にはなかった食べログといったフードサービスが上位にあり、ショッピングについては、3位に「三井ショッピングパーク」のアプリが挙がっています。これにより、「Mercedes me」ユーザーは「myAudi」ユーザーと比べ、ネットショッピングよりも大手商業施設など実際の店舗でショッピングを楽しむ人が多いのではないかということが推測できそうです。

続いて「My BMW」のユーザーですが、「Mercedes me」と同様にSNS(こちらもFacebook)が上位に上がっていますが、AmazonMusicといった音楽アプリや、日本経済新聞社の経済ニュースアプリのランクインがとても特徴的です。
趣味の音楽を楽しみ、一方でビジネスへの関心が高いといった人物像が浮かんできます。

ともにFacebookや食べログアプリの利用が特徴的であり、「myAudi」ユーザーとは異なる共通点を持っていると言えそうです。

まとめ

Audiの提供する「myAudi」のアプリユーザーについて深掘りし、Audiオーナーのペルソナを追ってみると、40代〜50代の男性が多く、最多年収層は800万円から1,000万円の世帯、既婚者が多いということが見えてきました。

そして行動ログを分析してみると、デジタル決済を日常的に使いこなし、ITリテラシーが高く、ネットショッピングを楽しむライフスタイルも垣間見えました。
同時に比較した外国車メーカーの「Mercedes me」・「My BMW」のユーザーは、食べログやFacebookが上位に挙がっていたことなどからも、Audiオーナーの関心事との相違なども見受けられ、同時に各社のオーナーの素顔を垣間見る事ができたと思います。

今後も自動車産業におけるテクノロジーの進化と私たちの生活への浸透度は、ますます高くなっていくことが予想されます。
これからも様々な切り口で、新しいテクノロジーや車社会がどのように消費者の行動と繋がっていくのかを追っていきたいと思います。

調査概要

・全国のモニター会員の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報にもとづき分析
・行動ログ分析対象期間:2020年7月〜2022年6月
※ボリュームはヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測
※対象デバイス:PC・スマートフォンの両デバイス


▼今回の分析にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザでキーワード分析やトレンド調査を行えます。無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。

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この記事のライター

マナミナ 編集部 編集兼ライター。
金融・通信・メディア業界を経てマーケティング・リサーチ業界へ。
趣味は食と旅行。

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