滞在時間や回遊率が良いと検索順位は上がる?|「2022年9月 コンテンツマーケティング最新動向レポート」

滞在時間や回遊率が良いと検索順位は上がる?|「2022年9月 コンテンツマーケティング最新動向レポート」

ヴァリューズのマーケターが、コンテンツマーケティングの今を届ける本連載。今回は、検索順位とエンゲージメント指標の関係についてお届けします。Googleの公式発表では、アルゴリズムに含まれていないとされる滞在時間や直帰率などのエンゲージメント指標。でも、実際のところどうなのか、調査結果を解説します!


【解説者紹介】

検索順位とエンゲージメント指標の関連性を調査





岡村:今回のレポートでは、2022年5月のコアアルゴリズムアップデート後に、検索順位とエンゲージメント指標について関連性があるかを調査しています。エンゲージメント指標というと、マーケティングでは様々な定義が使用されていますが、本調査ではWebサイト上でのエンゲージメント指標として、「滞在時間」「直帰率」「 1セッションあたりのPV数」「1ユーザーあたりのセッション数」を定義しました。

対象としたキーワードは全部で100個。弊社データをもとに、リスティング広告の出稿量ランキングを作成し、上位から指名キーワード(ブランドや商品、サービス名)を除いたものを使いました。競合性の高いワードに絞っているということですね。

エンゲージメント指標は、弊社が独自に保有するWeb行動ログデータを使用して、各URLごとに抽出しています。








岩間:エンゲージメント指標と検索順位の関連性を見た調査結果って、あまり見たことがない気がします。










岡村:そうですよね。そもそもGoogleの社員は、エンゲージメント指標と検索順位に関連性はないと発言しているんです。でも実際はどうなのか、業界内で議論になっているところでもあります。そこで、エンゲージメント指標は検索順位に影響を与えないというGoogleの発表を前提としつつ、関連性の有無を調べてみたのが、今回の調査です。URL単位のページ滞在時間や直帰率を追えるのは弊社データならではの部分なので、完全にヴァリューズ独自の調査になります。




滞在時間と検索順位には一定の傾向あり





岩間:まず滞在時間について、どんなことがわかったか教えてください。










岡村:抽出した100個のキーワードのうち、滞在時間が10秒以上のURL数を1-10位、11位-20位、21位-30位別で集計したところ、滞在時間が10秒以上のURL数は、モバイルでもデスクトップでも、上位ページ群のほうが多い傾向にあることがわかりました。滞在時間の長さ自体には傾向が見られませんでしたが、10秒以上のURL数だとこのように一定の傾向が現れています。










岩間:となると、一定の滞在時間に達していないページの改善は考えてもよさそうですね。




回遊に関する指標が良いほど、検索順位も高い傾向





岩間:続いて直帰率や1セッションあたりのPV数など、回遊に関する指標についてはどうでしょう?










岡村:まず直帰率に関してですが、デスクトップでは1-10位ページで低い傾向があります。モバイルも同様で、上位ページ群のほうが直帰率が低い傾向がありますね。








岡村1セッションあたりのPV数も、検索順位が高い方がPV数が多い傾向が見られます。








岡村:ただ、直帰率も1セッションあたりのPV数も、先ほどお話した通り、Googleの発表ではアルゴリズムに組み込まれていません。また、今回の調査結果から、直帰率や回遊率が順位と因果関係があると結論付けることはできません。あくまでGoogleが重要視しているのは、ユーザーにとっての利便性です。「Googleが掲げる10の事実」によると、"ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる"とされています。




Googleが求めているのは、ユーザーファーストであること





岩間:そもそもの話なのですが、例えば直帰率というのは一般的に数値が低い方が良いと言われていますよね。でも、本当にそうなのかなと疑問に思うんです。知りたい情報をそのページで入手できたからと別のサイトに移動する人もいますよね。そのページに満足してからの離脱なら、それはそれで良いユーザーの行動なのではないかと……。










岡村:直帰率が低いから良いとは必ずしもいえないと思います。キーワードによっても異なりますし。そのうえで、直帰率や回遊率がサイトの利便性と関連性が高い場合があります。

極端に直帰率が高いページを見てみると、ユーザーにとって利便性を損ねる要因を数多く抱えていた、というケースは私自身もたくさん経験してきました。利便性を上げるような直帰率や回遊率の改善は、間接的にSEOにも良い影響を与えるかもしれません。ユーザーが知りたいことだけを提供するだけでなく、ユーザー自身がまだ気づいていない“自分が知りたいこと”に対して、サイトの中で適切にレコメンドし気づきを与えることができれば、サイト内のほかのページも見てもらえると思うんですよね。

先ほどもお伝えしましたが、Googleが追求しているのは、ユーザーにとって役に立つ検索エンジンであること、つまりユーザーファーストであることです。直帰率を低くしていくことは、結果的にサイトのユーティリティを高めることになりうるので、決して本質からそれる話ではないと思います。




ニーズを把握し、適切なレコメンドで回遊を促す





岩間:直帰率などの回遊に関する指標を改善すべきということはわかったのですが、実際どうしたら改善していけるのでしょうか?










岡村:そうですね。できることや、やるべきことは色々ありますね。また、直帰率が高い原因によっても改善すべきことは異なります。そのうえで代表的な改善ヒントを2点紹介します。

まず1点目は「現状のページでユーザーのニーズに応える」ということです。これは当たり前の話ですよね。ユーザーは何かしらのニーズがあってページに流入しますが、そのページ内で自分のニーズが叶えられないことがわかると、離脱してしまう可能性が高いです。まずはユーザーのニーズに応えるということを徹底しましょう。

2点目は「関連してユーザーが興味を持ちそうなページにリンクを張る」ということです。キーワードにもよりますが、ユーザーのニーズや知りたいことが一つだけでないケースは多くあります。また、先ほども言いましたが、ユーザー自身が知りたいことに気づいてないということもありますよね。そのような場合を想定し、サイト内にある「関連してユーザーが興味を持ちそうなコンテンツ」へリンクを張りましょう。適切にリンクを張ることができれば、ユーザーが別のコンテンツも見てくれることになるので直帰率の改善につながります。

また、これらの改善をする際に重要なのは、ユーザーの背景やニーズについての仮説を立てること。このキーワードで検索するユーザーは、「どのような背景を持っているのか」「何を知っているのか」「何を知らないのか」「何を知りたいのか」ということです。仮説がないと、ユーザーのニーズに応えられるコンテンツを作ることはできませんし、適切なリンクを張ることもできません。

仮説立てはツールなどを使わずに行うことも可能ですが、弊社ではDockpitstory bankというツールを活用しています。これらのツールでは、検索ユーザーのログデータを見ることができるので、精度の高い仮説を立てることが可能です。

また、仮説を立てた後は、ヒートマップで実際のユーザーの動きを確認することをおすすめします。そうすることで、仮説が合っていそうかを確かめることができるからです。








岡村:このように適切に仮説を立て、サイトに反映していくことで、ユーザーのニーズに応える本質的なページ改善を行うことができ、結果的に直帰率や回遊の改善につながるのではないでしょうか。










岩間:今回挙げた滞在時間や回遊に関する指標は、「SEO対策は一通りやり切ったけれど、もう少しできることはないか」と思っているコンテンツマーケターが着目すべき点といえそうですね。ぜひ参考にしたいです。






(本調査はあくまでも傾向に注目し、今後の施策における仮説立てや優先順位の検討に有効活用するためのものであり、因果関係を示すものではない旨、ご留意ください)

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この記事のライター

IT企業でコンテンツマーケティングに従事した後、独立。現在はフリーランスのライターとして、ビジネスパーソンに向けた情報を発信しています。読んでよかったと思っていただける記事を届けたいです。

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