日用品はオンラインで検討する?検索・検討のされ方を探る【ヘアケア編】

日用品はオンラインで検討する?検索・検討のされ方を探る【ヘアケア編】

3年ぶりに行動制限のなかったこの夏。海や山など、野外でさまざまなレジャーを楽しまれた方も多いのではないでしょうか。夏が終わった今、気になるのは夏の強烈な日差しを浴びた髪のコンディション。個性的なヘアスタイルやヘアカラーを楽しむ人も多い中、世の中では「ヘアケア」に対してどのような関心があるのでしょうか。「ヘアケア」のワード検索から、そのユーザー像や関心事を、ヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit」を用いて調査分析しました。


「ヘアケア」で気になるのは「オイル」や「メンズ」、そして「プレゼント」

「ヘアケア」ワード検索者は20代女性が圧倒的多数

早速「ヘアケア」とキーワード検索をしているユーザーの属性から見てみましょう。下記は2021年9月から2022年8月のデータです。
「ヘアケア」と検索しているユーザー層は性別では87%が女性、年代別では20代が一番多い結果となりました。

図:「ヘアケア」検索者の性年代別グラフ

図:「ヘアケア」検索者の性年代別グラフ
期間:2021年9月〜2022年8月
デバイス:PCおよびスマートフォン

続いて、「ヘアケア」はどのようなワードと同時に検索されているのか、検索者の具体的な関心事やニーズを読み取るため、ワードネットワーク図で検索内容の全体像を俯瞰しました。

その結果、「シャンプー」や「リンス」といった多数の人が使っているであろう製品よりも、「オイル」の検索数が多いことがわかりました。ヘアケア商品と一口に言っても様々な製品が販売されていますが、敢えて「オイル」が選ばれている理由が気になります。

また、「メンズ」や「プレゼント」というワードも検索数が多数ありました。背景としては、男性の美容意識が高まっていることや、男性に向けてヘアケア商品をプレゼントとして買い求める可能性も考えられます。そのほかでは、「ランキング」や「おすすめ」といったワードが目立ちました。「ヘアケア」について、口コミを参考にしつつ、選択肢を広げて検討したいという心理がうかがえます。

図:「ヘアケア」検索のワードネットワーク

図:「ヘアケア」検索のワードネットワーク
期間:2021年9月〜2022年8月
デバイス:PCおよびスマートフォン

さらに、「ヘアケア」検索後に実際にユーザーがどのようなページを見ているのか、流入ページランキングを見てみましょう。

1位は「ヘアケアおすすめランキング」と題された2021年6月版の女性誌のサイトでした。ページ内は、「美容のプロが絶賛!ヘアコスメ&ヘアケアランキング」のほか、有名ヘア&メイクアーティストや美容家、エディターが選んだ、おすすめのヘアケア商品が列挙されています。紹介されている商品は身近なスーパーやドラッグストアで買い求めることができるものが多く、このようなオンラインでの口コミやおすすめ情報が、店舗での購入検討の土台となるケースもあると言えそうです。

そして、流入ページランキングのトップ10に上がった記事の半数以上は、「ランキング」記事でした。このことから、自分のヘアケアの方法に何らかの不満や悩み、「これで良いのか」という不安があり、より信頼のおける「美容家」や「有名ヘアスタイリスト」がすすめる方法を求めている可能性が考えられます。

また3位〜5位の記事には「プレゼント」の企画記事が選ばれています。こちらでも「読者、美容のプロが選んだおすすめ」「人気ブランド」など、「おすすめ」や「よく買われているもの」といった情報が多く、それを参考にしているようです。印象的なのは、ランキング1位で掲載されていた商品ラインナップとは違い、3位〜5位のページには有名ブランドの比較的高価な商品が多く紹介されていたこと。「プレゼント」だからこそ、失敗できない、良いものを買いたい、慎重に選びたい、という動機があると推測できます。

図:「ヘアケア」検索者の流入ページ

図:「ヘアケア」検索者の流入ページ
期間:2021年9月〜2022年8月
デバイス:PCおよびスマートフォン

「ヘアケア」and「プレゼント」「オイル」「メンズ」を検索してユーザー像を深掘り

続いて、ワードネットワーク図で「プレゼント」「オイル」「メンズ」の割合が高かったことをヒントに、「ヘアケア」とこれら3つのワードを掛け合わせて検索していた人のユーザー属性を見てみます。

性別のグラフは上から「ヘアケア プレゼント」「ヘアケア オイル」「ヘアケア メンズ」の順で男女の割合を表しています。年代別のグラフは、青線が「ヘアケア プレゼント」、ピンク線が「ヘアケア オイル」、緑線が「ヘアケア メンズ」です。
特筆すべきは、「ヘアケア プレゼント」と「ヘアケア オイル」を検索する人は女性のほうが多く、しかも同数値であるという点です。「プレゼント」として「オイル」を選んでいるケースもあるのかもしれません。
一方、「ヘアケア メンズ」について検索した人は男性が63%と、男性の美容意識の高まりがうかがえる結果となりました。そして年代別のグラフを見ると、「プレゼント」「メンズ」は共に20代が、「オイル」に関しては30代がピークとなっています。「メンズ」に関しては60代以上にも一定のニーズがあることがわかります。これにより、特に男性には年齢と共に増える髪の悩みがあると捉えられそうです。

図:「ヘアケア」+「プレゼント」「オイル」「メンズ」の性年代別グラフ

図:「ヘアケア」+「プレゼント」「オイル」「メンズ」の性年代別グラフ
期間:2021年9月〜2022年8月
デバイス:PCおよびスマートフォン

「“ちょうど良い”プレゼント」ニーズが高い「ヘアケア」検索

ここで、「ヘアケア プレゼント」検索をしたユーザー層に絞って、どのようなニーズがあるのか深掘りします。流入ページと類似ワードのランキングをそれぞれ見てみましょう。

ランキングされた記事の内容を見ると、「おしゃれ女子には」「大人女子ウケ」などというワードが記事上に散見されることから、プレゼントの対象は女性向けと考えられそうです。ある記事には『誰もが髪のお手入れをすることから、もらって困らない実用的なプレゼント(引用:Giftpedia byギフトモール&アニー)』といった一文もあり、類似ワードランキングにも「ちょっとしたプレゼント」という言葉が見受けられることからも、「ヘアケア」商品全般が「プレゼントにちょうど良いもの」と認知されていることが推測できます。

図:「ヘアケア プレゼント」に関する2つのランキング

図:「ヘアケア プレゼント」に関する2つのランキング
期間:2021年9月〜2022年8月
デバイス:PCおよびスマートフォン

あなたは「トリートメント」派?「コンディショナー」派?その違いは?

「トリートメント」派が圧倒的多数も、高年層は「コンディショナー」派に

ここで、ヘアケア商品の中で類似性の高い商品の比較として「トリートメント」と「コンディショナー」の違いを見てみましょう。両者を明確に区別して使用している人はどれくらいいるでしょうか。
それぞれのワード検索者数を見てみると、青線の「トリートメント」の検索者の方が「コンディショナー」よりも多く、より検索されやすいワードであることがわかります。また「トリートメント」と「コンディショナー」の両方を検索しているユーザーは、全体の7.2%でした。大多数がそれぞれの製品に分かれる結果となりました。

図:「トリートメント」と「コンディショナー」のUU数推移と併用状況グラフ

図:「トリートメント」と「コンディショナー」のUU数推移と併用状況グラフ
期間:2021年9月〜2022年8月
デバイス:PCおよびスマートフォン

続いて検索者にどのような違いがあるのかを調べるために、検索者の性年代別データも見てみましょう。
まず性別では、「トリートメント」「コンディショナー」ともに、男性よりも女性の方が検索していることがわかります。男性のみに着目すると、「トリートメント」検索者が19.3%であるのに対し、「コンディショナー」検索者は35.8%です。グラフから見ると、男性は「トリートメント」よりも「コンディショナー」を多用していると考えることができます。しかし別途「メンズ トリートメント」と「メンズ コンディショナー」の検索者数をそれぞれ比較してみたところ、男性による「メンズ トリートメント」検索の方が僅かに上回っている結果が表れました。男性が「トリートメント」と「コンディショナー」のどちらをより求めているかは、これらのデータだけでは明確な判断は難しそうです。
年代別では、「トリートメント」検索者は20〜40代がボリュームゾーン、最も差があるのは40代となっています。そして、60代・70代で僅かに「コンディショナー」が「トリートメント」を上回る結果となりました。

図:「トリートメント」vs「コンディショナー」の性年代別グラフ

図:「トリートメント」vs「コンディショナー」の性年代別グラフ
期間:2021年9月〜2022年8月
デバイス:PCおよびスマートフォン

続いてそれぞれのワード検索者の関心事の違いはどのようなものか見てみましょう。「トリートメント」検索者と「コンディショナー」検索者の検索ワードランキングを比較検証しました。
「トリートメント」派の「白髪染め」「パーマ」では、ダメージが懸念される施術に対するスペシャルケアとして、「白髪」「くせ毛」は顕在化した体質の悩み改善のために「トリートメント」と検索する傾向があると思われます。一方「コンディショナー」派では「トリートメント」「リンス」との「違い」「使い方」といったワードが目立ちました。このことから、「トリートメント」検索者は使用する目的が予め決まっていて検索していること、「コンディショナー」検索者は、「トリートメント・リンスとコンディショナー」のそもそもの違いや、使い方を知りたいと思っていることがうかがえます。

図:キーワード検索ランキング比較

図:キーワード検索ランキング比較
期間:2021年9月〜2022年8月
デバイス:PCおよびスマートフォン

流入ページ閲覧1位は「トリートメント」派「コンディショナー」派、共に「mybest」

次に、それぞれの検索者の流入ページを見てみましょう。
「トリートメント」派「コンディショナー」派共に、流入ページは「mybest」という比較サイトの「おすすめ」ページが1位にランクインしていました。
「mybest」は単純な価格比較だけでなく、実際に商品を利用した上での商品レビューやランキング、専門家によるおすすめなどの記事を配信するサイトです。「トリートメント」や「コンディショナー」についても多数の記事があることから、ユーザーにとって信頼できるサイトと認識されているのでしょう。

そして、このような比較サイトやランキングサイトがランキングの多数を占める中で目を引くのは、「コンディショナー」ランキングで2位に挙がった、日用品大手メーカーkaoのQ&Aページです。このQ&Aは自社製品の紹介説明だけではなく、消費者が抱える一般的な疑問に答える記事を多数掲載しています。上位にランクインした理由の1つとして、大手メーカーのページだからこその安心感や信頼感もあると言えそうです。

図:流入ページランキング比較

図:流入ページランキング比較
期間:2021年9月〜2022年8月
デバイス:PCおよびスマートフォン

悩めるユーザーの駆け込む先は「優良情報」と「専門家」?

消費者の疑問に的確に答える、大手日用品メーカーの優れたコンテンツ

実際に「コンディショナー 違い」とGoogle検索してみたところ、多くのランキングサイトや美容系メディアを抜き、kao(花王)のQ&Aページが2位でヒットしました(2022年9月27日時点)。このページは前述にもありますが、「コンディショナー」検索者の流入ページの2位にもランクインしています。
日用品メーカー大手の花王。利用者目線に立って検索者の関心・要望を的確に把握し、それらに応えて優れた商品を生み出してきた企業です。信頼できる作り手側による明確な解説は、迷いや疑問を感じている検索者が安心して商品を選択する一助になるのではないでしょうか。

図:kao(花王)のQ&Aサイト

まとめ

「ヘアケア」という広義な切り口で調査した今回のレポート。商品に関するデータばかりでなく、「プレゼント」の需要があったり、「トリートメント」と「コンディショナー」で検索しているユーザー属性が違ったりするなど、さまざまな結果が表れました。
検索するワードやそのユーザー属性が違っても、「お悩み事」には専門家の意見やランキングを求めたいという気持ちは同じであるようです。この消費者心理に則り、「お悩み事」を解決する情報を発信している企業のコンテンツは、専門家の意見やランキングをしっかり絡めています。今後も情報発信を続ける各種メディアや企業に注目です。

【調査概要】

・全国のモニター会員の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報にもとづき分析
・行動ログ分析対象期間:2021年9月〜2022年8月
※ボリュームはヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測
※対象デバイス:PC・スマートフォンの両デバイス

▼今回の分析にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。
『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザでキーワード分析やトレンド調査を行えます。Dockpitには無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。

dockpit 無料版の登録はこちら

この記事のライター

マナミナ 編集部 編集兼ライター。
金融・通信・メディア業界を経てマーケティング・リサーチ業界へ。
趣味は食と旅行。

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