エリアによって人気の飲食店ジャンルが異なる?食べログの閲覧状況から分析してみた【新宿エリア】

エリアによって人気の飲食店ジャンルが異なる?食べログの閲覧状況から分析してみた【新宿エリア】

特定のエリアについて情報を集める際に、一般的には国勢調査等が活用されます。しかし、性年代にとどまらず、もう少しその地域を詳しく知りたいことはありませんか?そんな時に、行動ログデータを活用することで、そのエリアに関連した人々のWeb上での動きを分析することができます。本分析では、飲食店を題材に、消費者の行動ログデータを分析し、新宿エリアの閲覧ユーザーや人気飲食店ジャンルの特徴を推察します。


エリアごとに違った雰囲気を醸し出す「新宿」

新宿といえば、行政機関や高級ホテルが立ち並ぶ西新宿エリアや、伊勢丹が印象的な新宿三丁目エリアなど、少し移動するだけで、街の雰囲気が大きく変化する印象があるのではないでしょうか。

また飲食店といえば、居酒屋・ラーメン・喫茶、カフェなど、各ジャンルで様々な業態の店舗がひしめく印象があります。最近では、新宿東口に外観のインパクトが大きい飲食店街もオープンしています。

そんな様々な顔を持つ新宿の各エリアについて、飲食店のWeb上の閲覧データから、下記3観点に沿って分析を行い、新宿エリアの飲食勢力図を紐解きます。

観点 分析内容 明らかになること
ユーザー軸

デモグラフィック構成比

どんなユーザーに閲覧されているか
店舗ジャンル軸店舗ジャンルランキング どんな店舗ジャンルが閲覧されているか
ユーザー×店舗ジャンル軸

デモグラフィック・ジャンルごとの人気店舗ランキング

特定のユーザー・ジャンルにおいて、どの店舗が閲覧されているか

新宿の飲食店を食べログ閲覧データから分析

本分析の集計定義は下記表のとおりです。

対象期間 2021年12月~2022年11月
対象デバイス PC
対象データ 「食べログ」新宿エリアの店舗トップページに接触した、消費者の行動ログデータ

【ユーザー軸】東新宿は女性、新宿御苑前は40代以上比率が高い

新宿はオフィスが多いエリアや、商業施設が多いエリアといったように、各エリアの利用ユーザー属性が異なっていることが想像されます。では、飲食店についても同じように、エリアによって店舗ページを閲覧しているユーザーの属性は異なっているのでしょうか。

まずは、新宿の各エリアにおける、閲覧ユーザーの性別構成比を算出してみました。

東新宿の女性比率が約50%である点が特徴的です。東新宿エリアは新大久保エリアも隣接していることが一因かもしれません。

続いては、新宿の各エリアについて、閲覧ユーザーの年代構成比を算出しています。

新宿御苑前で40代以上の比率が60%を超えている点が特徴的です。比較的上の年代の方に親しまれている地域なのでしょうか。

また、消費者のWeb行動ログデータをさらに活用すると下記のように、世帯年収や未既婚といった、より詳細なデモグラフィック情報の構成比についても算出が可能です。今回はエリア間の違いがあまりでていませんが、新宿御苑前の世帯年収400万円未満の割合が、比較的高くなっています。

【店舗ジャンル軸】西新宿・南新宿はラーメン、三丁目・御苑前はカフェ

では、飲食のジャンルについてはどうでしょうか。店舗ページのPV数をジャンルごとに集計し、エリア別にトップ5を算出しました。

この結果を見ると、居酒屋や焼肉といったジャンルは、どのエリアでもランクインしていますが、その他ジャンルには地域差が見られそうです。例えば、西新宿や南新宿ではラーメン、新宿御苑前や新宿三丁目ではカフェが特徴的です。

【ユーザー×店舗ジャンル軸】人気店舗に男女差がある地域も

ユーザー軸と店舗ジャンル軸を組み合わせて、人気店のランキングも深掘りしてみましょう。
今回はユーザーの性別ごとに、新宿三丁目・新宿御苑前エリアのカフェジャンルと、西新宿・南新宿エリアのラーメンジャンルについて、人気店を可視化します。

まず、カフェジャンルについて見てみましょう。

新宿三丁目に関しては男女で顔ぶれが同様となっていますが、新宿御苑前エリアにおいては、3位以降の人気店舗に男女差が見られます。チェーン店以外に着目すると、男性の3位と5位に該当する両店舗は、どちらも新宿御苑の庭園内に店舗を構える和テイストのカフェです。また、女性の4位にランクインしているCelebは人気タピオカ店となっています。

つづいてラーメンジャンルです。西新宿において、2位と4位以降の人気店舗で男女差が見られます。

2位に関しては、「らぁ麺 鳳仙花」が金目鯛出汁、「駄目な隣人」が醤油ラーメンが人気メニューとなっており、どちらもさっぱり系ラーメンの店舗のようです。

対して4位以降では、女性でランクインしているのが醤油ラーメン・激辛麺の人気店、男性では豚骨ラーメン・二郎系ラーメンとなっており、わかりやすく好まれるジャンルの違いが現れています。ラーメン店が多く存在するエリアにおいても、人気店の傾向に男女差があるようです。

一方で、南新宿では3店舗のみがランクインしており、男女の傾向に大きな違いはありません。

まとめ:エリアによってユーザーや人気ジャンルに特徴が見られる結果に

本記事では、ユーザー軸と店舗ジャンル軸を中心に、新宿エリアの飲食店について分析を行いました。その結果、新宿の各エリアにおける、店舗ページの閲覧ユーザー・人気店舗ジャンルの傾向がみえてきました。

エリア ユーザー軸 店舗ジャンル軸(人気店舗の傾向)
西新宿 全体の傾向に近しい ラーメンが特徴的
(女性:醤油・激辛/男性:豚骨・二郎系)
東新宿 女性比率が比較的高い 韓国料理が特徴的
南新宿 全体の傾向に近しい ラーメンが特徴的
(人気店舗は男女共通)
新宿御苑前 ・40代以上比率が比較的高い
・世帯年収400万円未満の比率が比較的高い
カフェが特徴的
(女性:タピオカ/男性:新宿御苑内の店舗)
新宿三丁目 全体の傾向に近しい カフェが特徴的
(人気店舗は男女共通)

新宿エリアの地域別の特徴としては、東新宿や新宿御苑前において、男女比や性年代比率、世帯年収の傾向に差がみられました。また、店舗ジャンルの観点では、多くのエリアに共通する居酒屋や焼肉などのジャンルの他に、ラーメンが人気のエリア、カフェが人気のエリアといった特徴もみられました。

このように、より詳細な地域特徴の分析に、web行動ログデータを活用することができそうです。

参考:出店計画の参考となる活用方法の模索

南新宿のラーメン店では、3店舗のみがランクインするなど、地域ごとの店舗数にも考察の余地が残る結果となりました。参考に、各地域の1店舗あたり閲覧者数を算出したところ、南新宿エリアは、エリア全体の閲覧者数に対して、閲覧されている店舗数が少なくなっています。具体的には、1店舗あたりのユーザー数が1948uuとなっており、最大で他エリアの3倍となっています。

この結果をみると、南新宿はエリア全体としてのユーザー規模は他エリアより小さいが、競合となりうる店舗数も少ないため、出店した際に閲覧者数が伸びる見込みは大きいとも解釈できます。
このように、分析方法によっては、店舗の出店計画等にも活用できる結果が望めるかもしれません。

他テーマでの行動ログデータ分析など、ご要望・ご相談はこちらから。

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この記事のライター

株式会社ヴァリューズ データアナリスト 本間 花(ほんま はな)
東京都出身、津田塾大学総合政策学部卒業。1998年生まれ。
2021年にヴァリューズへ新卒入社。
ヴァリューズのWEBログデータの分析を手掛ける。

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