店舗数・売上はスシロー、店舗数の伸びははま寿司がトップ
日本ソフト販売株式会社の「【2024年版】寿司チェーンの店舗数ランキング」によると、
2024年7月時点で各社の国内店舗数は以下のようになっていました。
スシロー:644店舗
はま寿司:609店舗
くら寿司:551店舗
2023年7月時点と比較した増減率は以下となっています。
スシロー:+0.6%
はま寿司:+4.8%
くら寿司:+1.7%
なお、同社が調査した2024年8月時点の海外出店動向調査では、各社の海外店舗数は次のようになっていました。
スシロー:163店舗
はま寿司:69店舗
くら寿司:124店舗
参考:
https://www.nipponsoft.co.jp/blog/analysis/chain-sushi2024/
このことから、国内・海外ともに店舗数ではスシローが最も多くなっており、店舗数の伸びという観点では、はま寿司が最も好調であることがわかります。
続いて各社の売上高です。
スシロー:2,381億円(2024年9月時点)
はま寿司:1,800億円(2024年3月時点)
くら寿司:2,349億円(2024年10月時点)
調査タイミングが異なるので一概には言えませんが、最も多くの店舗を国内外で構えるスシローが、売上においても一歩リードしているようです。
参考:
https://www.akindo-sushiro.co.jp/company/profile.php
https://www.kurasushi.co.jp/company/ir/finance/hightlight.html
https://job.mynavi.jp/25/pc/search/corp83536/outline.html
はま寿司は低価格で勝負
次に、公式サイトに掲載されている各社の主なメニューを調査しました(※)。
店内メニューの最低価格と最高価格で比較すると、はま寿司がより低価格で提供していることがわかります。前述の売上高ではま寿司が低めに出ていたのも、商品単価が他社より低く設定されていることが影響しているのかもしれません。
※店舗や天候によって提供メニューは異なります
項目 | 例 | 価格(税込) |
---|---|---|
握り | まぐろ、サーモン、えび等 | 150~290円、520円(セット) |
軍艦・巻物 | 軍艦ねぎまぐろ、鉄火巻等 | 150~390円 |
サイドメニュー | コク旨まぐろ醤油ラーメン、えび天うどん、かつお香る あさりの味噌汁、茶碗蒸し、フライドチキン等 | 180~420円 |
ドリンク | 生ビール、アイスカフェラテ、オレンジジュース等 | 160~640円 |
デザート | ストロベリーバニラパフェ、大学いも等 | 160~330円 |
項目 | 例 | 価格(税込) |
---|---|---|
にぎり | まぐろ、サーモン、えび等 | 115~280円 |
にぎり一貫 | ふり塩熟成中とろ、ねぎ塩牛タン等 | 115~350円 |
ぐんかん・細巻 | 牛すき焼き風、ねぎまぐろ鉄火等 | 115~280円 |
サイドメニュー | ビッくらポン! にぎりセット、旬の海鮮丼、旭川醤油らーめん、天然だしうどん、あさり入り味噌汁、特製茶碗蒸し、くらポテト、あんこう天ぷら、ハイボール等 | 150~720円 |
デザート | 濃厚ショコラベリーサンド、京わらびもち、プレミアアイスラテ等 | 130~680円 |
項目 | 例 | 価格(税込) |
---|---|---|
にぎり | まぐろ、サーモン、えび等 | 110~132円 |
肉握り | 生ハム、豚塩カルビ等 | 110~176円 |
軍艦・細巻き・その他 | まぐろたたき軍艦、鉄火巻等 | 110~176円 |
贅沢握り・三種盛り | まぐろレアステーキ、サーモン三種盛り等 | 176円 |
至福の一貫 | 大切り中とろ食べ比べ | 319円 |
サイドメニュー | 特製しょう油ラーメン、あさりみそ汁、えびの天ぷらそば、カリカリポテト、旨だしたこ焼き等 | 110~506円 |
デザート・ドリンク | ミルクレープ、大学いも、はまアイス、抹茶ラテ等 | 110~286円 |
アルコール | 生ビール、レモンサワー等 | 319~572円 |
はまっこセット | はまっこポテトセット、はまっこまぐろたたき丼セット | 319~506円 |
くら寿司は消費者を巻き込んだコラボ施策で話題作りに成功
ここからは、消費者の行動データをもとに、各社の集客状況について深堀りしていきます。
なお分析には、毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えるヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「「Dockpit(ドックピット)」」を用います。
まず、「スシロー」「くら寿司」「はま寿司」それぞれと掛け合わせて検索されたワードから、消費者の興味関心を見ていきましょう。

「スシロー」「くら寿司」「はま寿司」との掛け合わせワードランキング(検索者数順)
期間:2024年1月~12月
デバイス:PC&スマートフォン
「メニュー」「予約」が首位を占めているのは3社で一致しています。その他、「持ち帰り」「クーポン」「店舗」「テイクアウト」といったワードが共通しています。
チェーンごとに見ると、スシローは「原神」コラボの他、「株価」「株主優待」が上位ランクインしています。前述のようにスシローは海外展開も積極的に行っているため、投資先として注目されやすいのかもしれません。
くら寿司では「ちいかわ」「Ado」「コナン」など、コラボキャンペーンが複数ランクインしており、積極的にプロモーションを仕掛けている様子がうかがえます。くら寿司の代名詞とも言える「ビッくらポン!」は6位に。上記のキャンペーンはビッくらポン!でコラボアイテムが当たるということもあり、「くら寿司といえば」というエンタメ要素とキャンペーンをうまく掛け合わせ、話題作りに成功しているようです。
くら寿司が一般公募した歌詞・楽曲をAdoが歌ったオリジナルソング「きっとコースター」は、Adoの公式YouTubeチャンネルで2024年6月18日に公開されており、2025年2月10日時点で211万回再生されています。
はま寿司では「福袋」「恵方巻」が上位にランクインしていました。なお、2024年の年間の検索者数は、はま寿司が557万人でトップとなっており、くら寿司、スシローの順で続いています。

「スシロー」「くら寿司」「はま寿司」の年間検索者数
期間:2024年1月~12月
デバイス:PC&スマートフォン
各チェーンでファン層に違いは?
続いて、各社のスマホアプリの起動データから、より関心の高いファン層の分析をしていきます。
年間のアプリ起動者数はほぼ横並びで、くら寿司がトップの1,270万人、スシロー、はま寿司がそれに続いていました。

「スシロー」「くら寿司」「はま寿司」の年間アプリ利用者数
期間:2024年1月~12月
デバイス:スマートフォン
アプリ起動者の性別を見ると、いずれも女性がやや多くなっていますが、各社で大きな違いはありません。

「スシロー」「くら寿司」「はま寿司」のアプリ利用者:性別
期間:2024年1月~12月
デバイス:スマートフォン
続いて年代です。はま寿司がやや高齢寄りになっていますが、こちらも大きな違いは見られませんでした。

「スシロー」「くら寿司」「はま寿司」のアプリ利用者:年代
期間:2024年1月~12月
デバイス:スマートフォン
アプリ起動者の世帯年収・子供の有無を見ると、世帯年収はいずれもネット利用者全体とほぼ同じで400万円未満の層が最も多く、65%前後が子供有りという点で共通していました。手頃な価格で寿司を楽しめるというポジショニングで、ファミリー層からの支持も厚く、ユーザー層は各社で似通っていることがわかります。

「スシロー」「くら寿司」「はま寿司」のアプリ利用者:世帯年収
期間:2024年1月~12月
デバイス:スマートフォン

「スシロー」「くら寿司」「はま寿司」のアプリ利用者:子供の有無
期間:2024年1月~12月
デバイス:スマートフォン
若干ではあるものの、違いが出たのがアプリユーザーの居住地域です。東京に本社があるはま寿司は関東地方が、大阪に本社および本部があるスシロー・くら寿司は近畿地方が高めに出ていました。

「スシロー」「くら寿司」「はま寿司」のアプリ利用者:居住地域
期間:2024年1月~12月
デバイス:スマートフォン
アプリの併用状況を見ると、いずれのアプリも半数近いユーザーが別のアプリを併用しており、ユーザー層の被りが大きいことがわかります。

「スシロー」「くら寿司」「はま寿司」のアプリ利用者:併用状況
期間:2024年1月~12月
デバイス:スマートフォン
まとめ
ここまで調査してきた各社の特徴をまとめます。
スシロー:国内外で店舗数が最も多く、それが影響してか売上高も最も高い。株系の検索者が多く、積極的な海外展開に注目されている可能性あり。
くら寿司:積極的なプロモーション施策で話題作りに成功している。アプリ起動者数が最も多く、ビッくらポン!を中心としてファン化が進んでいる様子。
はま寿司:店舗数の伸びが最も大きく、低価格で差別化を図っている様子。店名の検索者数が最も多く、世間の関心が高い。
アプリユーザー層に大きな違いはなかったものの、各社で戦略が異なっていることがわかりました。今後各社がどのように差別化を行い、集客を加速させていくのか、引き続き注目です。
▼今回の分析にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザでキーワード分析やトレンド調査を行えます。無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。
1997年生まれ、大阪大学卒。データアナリストを経て、Webマーケティング・リサーチを軸に、コンテンツディレクション、SNS運用、デジタル広告運用などを担当。現在はフリーで活動しています。