車のサブスク最新動向 | KINTO(トヨタ)、Hondaマンスリーオーナー(ホンダ)、ClickMobi(日産)

車のサブスク最新動向 | KINTO(トヨタ)、Hondaマンスリーオーナー(ホンダ)、ClickMobi(日産)

新型コロナウイルスや世界情勢の変化を受けた半導体不足や、Mobility as a Service (MaaS) の普及で車の利用方法が変化し、注目を集め始めた車のサブスクリプションサービス。自動車メーカー各社も独自のサブスクリプションを提供し始めるなど注目を集めています。 今回は大手自動車メーカーのサブスクリプションサービス「KINTO(キント | トヨタ)」「Hondaマンスリーオーナー(ホンダ)」「ClickMobi(クリックモビ | 日産)」について、それぞれの特徴を分析していきます。


各サブスクリプションサービス内容まとめ

車のサブスクリプションはひと昔でいう「リース契約」のようなものになります。ただし単に「車本体」のみを契約するリースとは違い、保険料、車検、点検、消耗品の交換などがセットになっている場合が多く、より手軽に車を所有できるようになっています。

それぞれサービス内容が微妙に異なるため確認していきましょう。

サービス名

KINTO

Honda
マンスリーオーナー

ClickMobi

車の種類

新車

※中古車

新車

契約期間

・初期費用フリープラン:3年、5年、7年

・解約金フリープラン:3年

1〜11ヶ月

3、5、7年

再契約

・初期費用フリープラン:不可

・解約金フリープラン:可能


12ヶ月以降は不可

可能

買取

不可

可能

可能

※すでに同サービスを利用している人が乗車している場合がある

KINTOとClickMobiはグレードやオプションを選んだ新車で納車されますが、Hondaマンスリーオーナーはすでに使用された車、いわゆる中古車が納車され、中には10年落ちなど年式が古い車種も存在します。その代わり自分で乗りたい1台を選んで契約するため、意図しない車が納車されることはありません。

KINTOとClickMobiの契約期間は3、5、7年となっており、Hondaマンスリーオーナーは名前の通り、「月単位」での契約になります。逆に1年を超える再契約はできず、もう一度契約を結び直す必要があります。また、HondaマンスリーオーナーとClickMobiはサブスクリプションで契約した車が気に入った場合はそのまま買い取ることも可能ですが、KINTOは買取できません。

なお、KINTOは東京・愛知限定で、中古車をサブスクできる「KINTO ONE」を展開しています。

「KINTO」「Hondaマンスリーオーナー」「ClickMobi」の訪問ユーザー数

「KINTO」「Hondaマンスリーオーナー」「ClickMobi」の訪問ユーザー数
調査期間:2022年12月〜2023年2月
デバイス:PC、スマートフォン

では、各サービスサイトの集客状況を分析していきます。なお分析には、毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えるヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit」を使用します。

まずサイト訪問者数をみていくと、KINTOが113万人と、2位のClickMobiの9.4万人と比較しても10倍以上の数となっています。

KINTOのサービス開始が2019年1月となっており、2020年1月開始のHondaマンスリーオーナー、同年3月開始のClickMobiと比べると約1年早いことを加味しても、KINTOが依然多くのシェアを獲得していると言えそうです。

各社サービスの関心層は?

サイト訪問者数ではKINTOのシェアが目立つ結果となりましたが、どのような人が各サービスを検討しているのでしょうか?

Hondaマンスリーオーナーは女性からの関心も

「KINTO」「Hondaマンスリーオーナー」「ClickMobi」の訪問ユーザーの性別

「KINTO」「Hondaマンスリーオーナー」「ClickMobi」の訪問ユーザーの性別
調査期間:2022年12月〜2023年2月
デバイス:PC、スマートフォン

車は男性の関心が高いイメージがありますが、どのサービスもやはり男性の割合が高くなっています。その中でもHondaマンスリーオーナーについては、女性の割合が33.7%と他2つサービスよりも10%以上高い結果となりました。

一方で各メーカー本体の公式サイト訪問ユーザーを見てみると、ホンダは3社中最も女性割合が低くなっています。ホンダはサブスクサービスによって、従来のポジショニングとの差別化を図っているのかもしれません。

トヨタ、ホンダ、日産公式HPの訪問ユーザーの性別
調査期間:2022年12月〜2023年2月
デバイス:PC、スマートフォン

Hondaマンスリーオーナーが20代・60代の関心を得ている

「KINTO」「Hondaマンスリーオーナー」「ClickMobi」の訪問ユーザーの年代

「KINTO」「Hondaマンスリーオーナー」「ClickMobi」の訪問ユーザーの年代
調査期間:2022年12月〜2023年2月
デバイス:PC、スマートフォン

次に、各サブスクサービスがどのような年代に関心を得ているのかみていきましょう。

どのサービスにも共通しているのは40代、50代に山の高い部分があること。一方で傾向が異なるのがHondaマンスリーオーナーで、20代にも高い山があります。価格と契約期間が関係しているのかもしれません。

Hondaマンスリーオーナーは、最安値が29,800円と他のサービスよりもお得になっています。他サービスにも同額程度の車は存在しますが、契約年数などの条件を追加していくと、追加料金により価格が高くなってしまうことがあります。対して、Hondaマンスリーオーナーは初めの表示から価格が上がることはありません。

1ヶ月単位で契約を更新できる手軽さも含めて、Hondaマンスリーオーナーは移り変わるトレンドに敏感、かつ可処分所得が上の年代より少なく、ライフステージの変化により金銭的な不安の多い20代の趣向にマッチしているのかもしれません。

もう一つHondaマンスリーオーナーで特徴的なのが、他の2サービスで割合が低くなっている60代においても、関心を維持していること。

Hondaマンスリーオーナーの車両の検索条件

Hondaマンスリーオーナーは契約期間が短いため、年齢を重ねて車が乗れなくなってもすぐに解約できたり、ホンダの安全運転支援機能の「Honda SENSING」搭載車種や、車椅子が乗れる福祉車両を選ぶことができるなど、さまざまなライフスタイルの変化に柔軟に対応できることが好まれているのかもしれません。

ClickMobiは特に「子供あり」の割合が高い

「KINTO」「Hondaマンスリーオーナー」「ClickMobi」の訪問ユーザーの未既婚

「KINTO」「Hondaマンスリーオーナー」「ClickMobi」の訪問ユーザーの未既婚
調査期間:2022年12月〜2023年2月
デバイス:PC、スマートフォン

サイト接触者の未既婚属性をみると、どのサービスも既婚者の割合が高くなっています。結婚をして車を所有したい、もしくはセカンドカーを所有したいというニーズを満たしているのかもしれません。

「KINTO」「Hondaマンスリーオーナー」「ClickMobi」の訪問ユーザーの子供の有無

「KINTO」「Hondaマンスリーオーナー」「ClickMobi」の訪問ユーザーの子供の有無
調査期間:2022年12月〜2023年2月
デバイス:PC、スマートフォン

子供有無をみると、特にClickMobiは70%近くが子供ありと、子供をもつ家庭の割合が高くなっています。

車のサブスクリプションサービスでは車を契約満了の際に現状回復をして返却する必要があり、極端に汚れていたり、傷がある場合は現状回復費用を支払わなくてはいけません。

ClickMobiは、返却時の原状回復費用を30万円(税込)までカバーしてくれる特典があります。万が一、子どもが車を傷をつけてしまったり、車内を汚してしまった際も補填してくれる安心感が、子供あり世帯の関心を得ている可能性があります。

高収入世帯でもニーズを維持しているKINTO

「KINTO」「Hondaマンスリーオーナー」「ClickMobi」の訪問ユーザーの世帯年収

「KINTO」「Hondaマンスリーオーナー」「ClickMobi」の訪問ユーザーの世帯年収
調査期間:2022年12月〜2023年2月
デバイス:PC、スマートフォン

世帯年収はHondaマンスリーオーナーが400万円未満の世帯から高い関心を得ています。理由として、前述のように若い世代から高い関心があることと、低価格の車にも対応していることが考えられます。

また世帯年収でもう一つ特徴的なのが、KINTOが800〜1000万円代の層からも関心を得ていること。需要をキープできている理由として考えられるのが「クラウン」「ハリヤー」といったステータスが高めの車も選ぶことができるからなのかもしれません。

また、2023年3月はWeb上で取り扱いがなくLINEアカウントで取り扱いを問い合わせる必要がありますが、大型SUVとして人気の「ランドクルーザープラド」や、車の走りを意識したマニュアル車の「GRヤリス RZ"High performance"(マニュアル車)」といった、趣味性の高い車も選択できるようです。

車を「移動手段」だけではなく、ステータスや趣味として利用したい層の関心も惹きつけている可能性があります。

まとめ

今回は主要自動車メーカーのサブスクリプションサービスについて分析しました。

先行サービスでもあるKINTOがサービス開始から順調に認知を拡大しており、サイト訪問者数では突出しているものの、訪問者層をみるとそれぞれ特色が出ていて、それぞれのサービス特徴に合わせた関心を得ていることがわかりました。

車のサブスクリプションサービスは、自動車メーカー以外にガソリンスタンドのENEOS、COSMOといった他業種も参入しており競争は熾烈を極めています。

自動車メーカーが運営している利点を活かして、既存のユーザー層を囲い込みつつも更なる層を獲得できるかが、今後の成功の鍵になるのかもしれません。

▼今回の調査にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えます。Dockpitには無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。

dockpit 無料版の登録はこちら

この記事のライター

アメリカ留学中にWebの仕事に出会い、帰国後に起業。自社で物販を行う側、ライターとして活動。アウトドアが趣味

関連する投稿


【ユーザー徹底検証】サプリメント利用調査(2025年1月最新版)

【ユーザー徹底検証】サプリメント利用調査(2025年1月最新版)

ドラッグストア、コンビニ、ECと手軽に手にすることのできるサプリメント。実際にはどれくらいのユーザーが利用しているのでしょう。そして、その目的や購入の決め手となることは?本レポートでは、サプリメントの摂取層を対象に調査を行い、どのような商品が選ばれ、どのように利用されているのか、その購買行動や利用実態を具体的に把握、検証しました。※本レポートは無料でダウンロードできます。


東京ディズニーリゾート公式アプリのユーザー像と、直近2年の施策の影響をデータで考察する

東京ディズニーリゾート公式アプリのユーザー像と、直近2年の施策の影響をデータで考察する

東京ディズニーリゾートを楽しむためには、今や必要不可欠になりつつある公式アプリ「Tokyo Disney Resort App」。20代〜30代の未婚女性を中心とするアプリユーザーの人となりを考察し、ファンタジースプリングスに代表される直近2年間の施策が公式サイト・アプリに与えた影響を、データとともに振り返ります。


拡大するフリーランス市場。スキルシェア・クラウドソーシング業界の動向を調査

拡大するフリーランス市場。スキルシェア・クラウドソーシング業界の動向を調査

仕事を依頼したい人と、請け負いたい人のマッチングを行うスキルシェア、及びクラウドソーシングサービス。人材不足の解消も期待されていますが、こうしたサービスのニーズは実際に高まっているのでしょうか?今回は、ココナラ、ワークス、ランサーズの3サービスを取り上げ、市場の動向を調査していきます。


mixi2のユーザー数"143万人"は今後増えるのか。他SNSと比較して考察

mixi2のユーザー数"143万人"は今後増えるのか。他SNSと比較して考察

2024年12月16日に突如としてリリースされた「mixi2」。mixi2を使ってるという声も聞こえ始めるなか、他のSNSと比べると、どの程度のユーザー数なのでしょうか。この記事では、mixi2のユーザー数を、X、Facebookなどの主要SNSと比較。現在の立ち位置を紹介するとともに、招待制の他のSNSであるClubhouse、Blueskyと比較し、初動のユーザー数の伸びを分析しました。また、今後ユーザー数がどう推移していくのかも考察しています。


キリン晴れ風、好調の背景にエコ志向の取り組みが Web行動データから人気の理由を考察!

キリン晴れ風、好調の背景にエコ志向の取り組みが Web行動データから人気の理由を考察!

これからの時代のスタンダードビールとして、「キリンラガー」や「キリン一番搾り生ビール」に続く、新たな定番となりつつある「キリンビール 晴れ風」。2023年4月に販売開始されて以来、ヒット商品として多数のメディアで取り上げられています。日々、続々と各ビールメーカーから新商品が登場するなかで、「晴れ風」はどのように人気を集めたのでしょうか。「晴れ風」の成功要因をデータから考察します。


最新の投稿


現役大学生のうち約4割がマスメディアよりSNSを信用!情報は正確性よりも"早さ"で選ぶのが主流【RECCOO調査】

現役大学生のうち約4割がマスメディアよりSNSを信用!情報は正確性よりも"早さ"で選ぶのが主流【RECCOO調査】

株式会社RECCOOは、同社が運営するZ世代に特化したクイックリサーチサービス『サークルアップ』にて、最新のZ世代調査として「情報リテラシー」をテーマにした調査を実施し、結果を公開しました。


コスモヘルス、シニア世代の保険加入に関する実態調査結果を公開

コスモヘルス、シニア世代の保険加入に関する実態調査結果を公開

コスモヘルス株式会社は、同社が運営するシニア専門の調査プラットホーム「コスモラボ」にて、保険に関する市場調査・アンケートリサーチを実施し、結果を公開しました。


カスタマージャーニーマップ(体験設計のアウトプット)|現場のユーザーリサーチ全集

カスタマージャーニーマップ(体験設計のアウトプット)|現場のユーザーリサーチ全集

リサーチャーの菅原大介さんが、ユーザーリサーチの運営で成果を上げるアウトプットについて解説する「現場のユーザーリサーチ全集」。今回はカスタマージャーニーマップ(体験設計のアウトプット)について寄稿いただきました。※本記事は菅原さんの書籍『ユーザーリサーチのすべて』(マイナビ出版)と連動した内容を掲載しています。


コンタクトレンズを使用したい子どもは6割以上!対して9割超の親が子どものコンタクトデビューに不安あり【メニコン調査】

コンタクトレンズを使用したい子どもは6割以上!対して9割超の親が子どものコンタクトデビューに不安あり【メニコン調査】

株式会社メニコンは、小学4年生以上中学3年生以下の子どもを持つ親を対象に「子どものコンタクトレンズ選びに関する調査」を実施し、結果を公開しました。


Z世代が最も利用しているSNSは「YouTube」で利用率8割超!前年から利用率が最も伸びたのは「BeReal.」に【サーバーエージェント調査】

Z世代が最も利用しているSNSは「YouTube」で利用率8割超!前年から利用率が最も伸びたのは「BeReal.」に【サーバーエージェント調査】

株式会社サイバーエージェントは、インターネット広告事業の「サイバーエージェント次世代生活研究所」において、「2024年 Z世代SNS利用率調査」を実施し、Z世代が利用しているSNSおよび各世代のSNS利用率・認知率を発表しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ