FX各社サイトのアクセス数はどれくらい?トップ3のSEOを分析

FX各社サイトのアクセス数はどれくらい?トップ3のSEOを分析

Webログをもとに、FXの口座数上位3社のWebサイトの集客構造、キャンペーンやSEO施策を調査しました。検索流入に強いのは、外為どっとコム。SEO施策は、一般ワードからの流入と初心者向けコンテンツの充実化がポイントになりそうです。


FX事業者が重視する指標に、口座数と証拠金残高があります。証拠金とは、FXの取引口座に預け入れる資金のことであり、この証拠金を使ってFX取引を行います。そのため、証拠金残高が多ければ、利用者数や取引数が多い可能性があると推測できます。

今回とりあげているGMOクリック証券、外為どっとコム、ヒロセ通商の口座数と証拠金残高をみてみます。GMOクリック証券は口座数が約77万、証拠金残高は2,320億円です。外為どっとコムはそれぞれ約58万、1,200億円。ヒロセ通商はそれぞれ約57万、710億円です。3社とも、口座数と証拠金残高のどちらもで上位にランクインしています(※)。
※FX業者の取引高ランキング!口座数・証拠金残高・通貨ペアのシェア1位は?

では、3社のWebサイトのアクセス数はどのくらいで、どのようなSEO施策を行っているのでしょうか。ヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を用いて、調査・分析しました。

外為どっとコムはWebプロモーションに注力

GMOクリック証券、外為どっとコム、ヒロセ通商の3社のWebサイトについて、アクセス数をみてみます。ユーザー数は、外為どっとコムが最も多く、新規ユーザー率も高いことから、新規ユーザーの獲得もひとつの目的として、Webプロモーションに力を入れていると推測できます。

各Webサイトの基本指標

図:各Webサイトの基本指標
期間:2022年5月~2023年4月
分析ツール:Dockpit
デバイス:PC、スマートフォン

3社間でユーザー属性に大きな差はない

3社のWebサイトのユーザー属性を性別、世代、世帯年収の観点から比較してみます。

まずは性別です。3社とも男性が約7割、女性が約3割と大きな差はありません。男性のほうがFXに関心を持っていることがわかります。

図:各Webサイトのユーザーの性別

図:各Webサイトのユーザーの性別
期間:2022年5月~2023年4月
分析ツール:Dockpit
デバイス:PC、スマートフォン

続いて年代です。20代から40代にかけて増加し、40代をピークとする構造は3社とも同じです。40代以降は、3社間に大きな差はありませんが、30代は、ヒロセ通商の構成比が高くなっています。これには、ヒロセ通商の特徴のひとつである食品キャンペーンが影響している可能性があります。FX各社はさまざまなキャンペーンを実施していますが、ヒロセ通商の食品プレゼントキャンペーンは、他社ではあまり見かけないサービスです。FXに興味を持ち始めた若い世代が、この食品キャンペーンを通してヒロセ通商に関心を集めていると考えられます。

図:各Webサイトのユーザーの年代

図:各Webサイトのユーザーの年代
期間:2022年5月~2023年4月
分析ツール:Dockpit
デバイス:PC、スマートフォン

図:ヒロセ通商の食品キャンペーン例

世帯年収も3社間に大きな差はありません。構造の特徴としては、ネット利用者全体よりも世帯年収が低い層(400万円未満)と高い層(600万円以上)の2つのセグメントに分かれていることが挙げられます。とくに高い層に関しては、世帯年収800万円〜1,500万円のゾーンで一般的なネット利用者との差が大きいことがわかります。

図:各Webサイトのユーザーの世帯年収

図:各Webサイトのユーザーの世帯年収
期間:2022年5月~2023年4月
分析ツール:Dockpit
デバイス:PC、スマートフォン

検索流入に強いのは外為どっとコム

集客構造について比較してみると、自然検索、外部サイト、ノーリファラーで差が出ています。3社のうち、検索流入に強いのは外為どっとコムだとわかります。

図:各Webサイトの集客構造

図:各Webサイトの集客構造
期間:2022年5月~2023年4月
分析ツール:Dockpit
デバイス:PC、スマートフォン

外為どっとコムはSEOに強い

検索流入に強い外為どっとコムの流入キーワードについてみてみます。以下の図が、外為どっとコムの自然検索の流入キーワードトップ10です。「為替」「米ドル」「ドル円 予想」など、一般ワードでの流入が多いことがわかります。このことから、外為どっとコムのSEOの強さがうかがえます。

図:外為どっとコムへの流入キーワード

図:外為どっとコムへの流入キーワード
期間:2022年5月~2023年4月
分析ツール:Dockpit
デバイス:PC、スマートフォン

外為どっとコムはFX初心者に向けたコンテンツを掲載しています。以下の図はコンテンツのランキングですが、用語説明や投資の基本などに関する記事が上位に上がっています。

図:外為どっとコムのFX初心者向けコンテンツランキング

図:外為どっとコムのFX初心者向けコンテンツランキング
期間:2022年5月~2023年4月
分析ツール:Dockpit
デバイス:PC、スマートフォン

※ランキングは、https://www.gaitame.com/beginner/ 配下

たとえば、トップ記事は「FXの確定申告はどうやるの?必要書類や実際のやり方を動画で詳しく解説」というものです。確定申告は税金や損益に直結するため、とくに初心者は気にする内容でしょう。実際の書類のキャプチャやYouTubeの解説動画も掲載されており、確定申告初心者でもわかりやすい内容になっています。

図:「FXの確定申告はどうやるの?必要書類や実際のやり方を動画で詳しく解説」ページ

2記事目は「円高・円安とは?メリットやデメリット、覚え方をわかりやすく解説」です。投資の基本である「円高・円安」の基本知識について、2,300字程度のコンテンツにまとめています。関連記事のリンクもあり、興味を持った読者が次々と情報を調べられるよう構成されています。

3記事目は「FXの取引時間は?為替市場が活発に動きやすい時間帯について紹介」です。FXの取引時間や値動きが活発になりやすい時間帯、反対に注意すべき時間帯などを解説しています。こちらも初心者が関心を寄せやすい内容です。

このように、外為どっとコムの充実した初心者向けのコンテンツがSEOに寄与していると推測できます。

まとめ

FX業者で口座数が上位の3社、GMOクリック証券、外為どっとコム、ヒロセ通商のSEO施策について調査しました。

3社の間で大きく差が出る観点はありませんでしたが、検索流入が強いサイトは外為どっとコムでした。外為どっとコムは、一般ワードでの流入が多いことがひとつの特徴です。また、初心者向けのコンテンツも充実しています。FXを取り上げた内容だけでなく、円高・円安、資産形成などを取り上げたコンテンツもあり、初心者が興味関心を持ちそうな内容を簡潔にわかりやすくまとめています。これらを考えると、外為どっとコムはSEOに強いといえるでしょう。

FX各社は、外為どっとコムのSEO施策を参考にしてみてはいかがでしょうか。

▼本メディア「マナミナ」を運営する株式会社ヴァリューズでは、金融内容に特化した記事制作サービスもご提供しています。詳しくは下記リンクをご確認いただき、お気軽にお問い合わせください。

▼今回の分析にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザでキーワード分析やトレンド調査を行えます。無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。
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この記事のライター

Webライター。転職、キャリア、美容、不動産、金融ジャンルの記事を執筆中。新卒からシステムエンジニアとして働いていました。ライティングにおいては、わかりやすい文章を書くことはもちろん、どこかくすっと笑えるような、読み手が温かい気持ちになれる記事を書くことを心がけています。

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