7sGoodとは
7sGoodは香港のデジタルテック企業、HHO Limitedによって運営されています。HHOは、中国のアリババグループでのキャリアを経た経営陣が中心となり、2021年7月に設立された企業です。
まずはじめに、7sGoodのサービスについて紹介します。
公式サイトによると、7sGoodの3つの特徴として、次のものが挙げられています。
1. おもしろ新商品
下の画像のように、日常の潜在的な負を解決するような便利な生活雑貨をはじめとして、個性的な商品が集まっており、ひとつひとつの商品の魅力がショート動画に濃縮されて紹介されています。7sGoodの“7秒で生活を世界とつなぐ”という理念を体現した作りになっていることがうかがえます。
2. 見える品質
動画で商品のリアルな使い心地を紹介しているほか、動画下のメニューから「実物検証」という機能を使うこともできます。例えば下の水切りラックなら、「シンクや壁に設置可能」「取り付けが簡単」「生ゴミの取り出しが容易」という商品の強みについて動画で実際に検証し、全て問題なく機能していることが証明されていました。
また、公式サイトでは「業界初、配送のプロセスを動画で“見える化”してお届け」とあり、発送前の実際の梱包風景を動画で確認することができるようです。
7sGoodの検品担当が、商品力・デザイン性・革新性・価格の手軽さ・口コミ・売れ行き・販売力の7つの評価基準から厳しく検証した商品のみ販売されることからも、品質へのこだわりがうかがえます。
3. 価格に自信
7sGoodは工場直送で商品を仕入れているため、中間業者による手数料をカットでき、低価格を実現しています。
ここからは、7sGoodの利用者について、アプリ利用データから調査していきましょう。なお分析には、毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えるヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit」を使用します。
アプリユーザー数は4ヶ月で約5.7倍
アプリ利用者数の推移を見ると、2023年に入ってから順調にユーザー数を伸ばしており、2023年4月には同年1月の約5.7倍のユーザー数となっています。
「7sGood」アプリ:ユーザー数推移
調査期間:2022年5月~2023年4月
デバイス:スマートフォン
では、どんな人がいち早く7sGoodを利用しているのか、ユーザー像を調査していきましょう。
50~60代のシニア層がメインユーザー
アプリ利用者の男女比はおよそ35%:65%で、女性の割合が目立ちます。
「7sGood」アプリ:ユーザーの男女比
調査期間:2022年5月~2023年4月
デバイス:スマートフォン
7sGoodのサイトで売れ筋商品を見てみると、生活雑貨をメインに、子供が喜びそうなおもちゃも売れ筋ということから、取り扱う商品と女性との親和性が高いのかもしれません。
「7sGood」の総合売れ筋ランキング(2023年5月23日時点)
アプリ利用者の年代を見ると、50代と60代がそれぞれ約30%を占めています。また、既婚者・子供ありの割合が高く、世帯年収は400万円未満の層が50%以上という結果に。ここまでのデータを総合して考えると、7sGoodの利用者は主婦層に多いのかもしれません。
「7sGood」アプリ:ユーザーの年代・世帯年収・未既婚・子供有無
調査期間:2022年5月~2023年4月
デバイス:スマートフォン
ショート動画というと、タイパの文脈からZ世代を中心とする若年層からの支持が厚いイメージがあります。しかし、7sGoodは取り扱う商品カテゴリや安さに加え、実物検証によってもたらされる安心感から、年代高めの主婦層の心を掴んでいるのかもしれません。
7sGoodユーザーが普段よく使うアプリは?
続いて、7sGoodアプリ利用者の関心が高い他のアプリについても見てみましょう。
「7sGood」アプリ:ユーザーの関心アプリ リーチ差(※)降順
調査期間:2022年5月~2023年4月
デバイス:スマートフォン
※全国のネットユーザーよりも、分析対象者の関心が高いと考えられるアプリ。
リーチ率:指定した対象アプリを利用していたユーザーのうち、当該アプリを利用していたユーザーの割合
一般リーチ率:全国のインターネット利用者のうち、当該アプリを利用していたユーザーの割合
として、以下の式で表すことができる。
リーチ差 = リーチ率 ー 一般リーチ率
リーチ差でランキング化すると、以下のような特徴が見られます。
■オンラインショッピングでは、SHEINもよく使う
3位にランクインしたのは、中国発のファストファッションブランド「SHEIN」です。2022年にトレンドになったSHEINですが、7sGoodとの共通点としては「安さ」「海外発のEC」などが挙げられます。15位の「Qoo10」に関しても同様のことが言えます。
7sGoodのユーザーは、お得な情報に目がなく、シニア層の中でも海外のECに抵抗感のない人物と言えるのではないでしょうか。
革新的ビジネスモデルでファストファッションの黒船に?「SHEIN」ユーザー急増の理由を探る
https://manamina.valuesccg.com/articles/1812ショッピングセンターや百貨店などの度重なる休業要請はまだ記憶に新しいことでしょう。新型コロナウイルスはファッション業界にも大きな影響を及ぼしています。そのような背景がある中でも、いま急成長をしている企業があります。2012年に中国で設立された.アパレルブランド「SHEIN(シーイン)」です。注目が集まる理由を紐解くべく、ヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit」を使って調査しました。
■SNSはTikTok、Facebook、Instagramの順
TikTokは若年層、Facebookはミドル層がユーザーのボリュームゾーンですが、7sGoodアプリ利用者については、Facebook(5位)よりTikTok(4位)のリーチ差の方がわずかに高いという結果に。また、Instagramも8位にランクインしています。ショート動画やビジュアル性という、7sGoodとの親和性がうかがえますね。
「TikTok」「Facebook」アプリ:ユーザーの年代
調査期間:2022年5月~2023年4月
デバイス:スマートフォン
■PayPayが幅広い年代層に広がりを見せる
キャッシュレス決済という観点で見ると、PayPayが7位と上位ランクイン。
ネットリテラシーが高いシニア層というイメージが湧きますが、実はPayPayアプリの利用者は、20代が16.4%、30代が18.4%、50代が19.3%、60代が18.3%というように、20~30代と50~60代でほぼ同じ割合になっています。
ただ上述のように、7sGoodの利用者はECアプリやSNSを使いこなしている様子がうかがえることから、一般的なシニア層よりはデジタルへの抵抗感がないユーザーが多いと言えるかもしれません。
「PayPay」アプリ:ユーザー年代
調査期間:2022年5月~2023年4月
デバイス:スマートフォン
■フリマアプリやTVerの利用も
その他、メルカリ(12位)やPayPayフリマ(16位)など、フリマアプリも複数ランクインしています。エンタメ系ではTVerが19位となり、テレビ番組を日頃から視聴しているユーザーが多そうです。テレビショッピング感覚で、7sGoodも利用されているのかもしれません。
「お得に買い物をしたい」ニーズが高い
ここからは、7sGoodのアプリ利用者についてさらに深掘り調査をするため、Web行動データとアンケートデータを用いて、ターゲットユーザーにおける特定の Web 行動の前後の動きと属性を集計できる、ヴァリューズの分析ツール「story bank」を使っていきます。
まず対象者の職業を見てみると、ネット利用者全体と比較して、薄いグレーの「パート・アルバイト」と濃い水色の「専業主婦(主夫)」の割合が高いことがわかります。上述していた考察と一致していますね。
「7sGood」アプリ:ユーザーの職業
調査期間:2023年2月~2023年4月
また、普段の買い物場所について調べてみると、ネット利用者全体と比べて7sGood利用者は100円ショップやホームセンターをよく利用していることがわかります。また、ディスカウントストアやオークション・フリマサービスの利用率も高めです。これらのことから、可処分所得が低めで、安くて良いものを見つけたい、上手く家計をやりくりしたい、といったニーズがうかがえます。
「7sGood」アプリ:ユーザーの購入チャネル
調査期間:2023年2月~2023年4月
ダイエット・ペット・コスメへの関心が高い
最後に対象者の興味関心について調査すると、特徴的に関心が高いトピックとして、ダイエットや歌手・ミュージシャン、料理、ペット、コスメ・化粧品などが見られます。
7sGoodでもトレーニングチューブやストレッチバンドなどのエクササイズ用品、ペット用品、コスメなどの取り扱いがあるため、そうしたニーズの受け皿になっていることがわかります。
「7sGood」アプリ:ユーザーの興味関心
調査期間:2023年2月~2023年4月
7sGoodのユーザー調査、いかがでしたか?
これまでのオンラインショッピング体験では、消費者がコンテンツを見て商品を認知し、ECサイトに移動して商品を検索、購入するというプロセスが一般的でした。
一方で7sGoodでは、TikTokのようにショート動画を見て、気になった商品を他媒体に遷移することなくその場で購入することができます。ユーザーが興味を持ってから購買に至るまでの動線が短く、比較検討を挟まない衝動的な購買が多くなるので、購入率を高め、合わせ買いを誘導することができるビジネスモデルと言えます。
このようなEC形態は、既に中国で盛んに取り入れられています。以下の記事で解説しておりますので、是非あわせてお読みください。
【SNS最新トレンド】TikTokのコンテンツ運用や「興味EC」に注目|「2022年8月 コンテンツマーケティング最新動向レポート」
https://manamina.valuesccg.com/articles/1950膨大な量の情報が日々アップデートされている、コンテンツマーケティング領域。「最新の情報をまとめてチェックしたい」と思うマーケターも多いのではないでしょうか?そのような声に応え、ヴァリューズのマーケターがコンテンツマーケティングの今をお伝えする連載がスタート。記念すべき第1回目は、最新のSNSトレンドについて解説します。今やSNSはマーケティングに欠かせないツールのひとつ。ぜひ自社の施策の参考にしてみてくださいね。
▼今回の分析にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザでキーワード分析やトレンド調査を行えます。無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。
▼Web行動データとアンケートデータを用いて、ターゲットユーザーにおける特定の Web 行動の前後の動きと属性を集計できる、ヴァリューズの分析ツール『story bank』についてはこちらから
大阪大学でポルトガル語とブラジル社会学を、カナダのビクトリア大学でビジネスを学び、2021年に新卒でヴァリューズに入社。データアナリストを経て、現在はマナミナのコンテンツマーケティングと自社の海外PRを担当しています。