第3回 「己を知れば百戦殆うからず」アンケート×ログデータを用いたブランド浸透度調査のご紹介

第3回 「己を知れば百戦殆うからず」アンケート×ログデータを用いたブランド浸透度調査のご紹介

消費者の購買行動を分析する中で欠かせないのが「ブランド調査」。近年ブランディングに課題を抱える企業や組織が増えてきており、同時に課題解決に頭を抱えるマーケティング担当も多いかもしれません。認知獲得を進めるにはコストや時間が発生するため、費用対効果を高め、効率よく進めていきたいと思う方もいることでしょう。そこで今回はブランド育成の一歩目となる「認知獲得」にフォーカスし、認知拡大の適切な理解や取得すべき指標について深掘りしていきます。


こんにちは。データマーケティングの会社・ヴァリューズでリサーチャー/マネジャーを務めている鳥塚です。
わたしは主に事業会社のマーケティング部門や商品開発部門のご担当者様に対して、事業課題やマーケティング課題をお聞きし、その解決に向けた調査・分析をご提案・実施。課題解決に向けたソリューションの提案に携わっています。

「認知獲得」はブランド育成の最初の一歩であり大きな課題

AIDMA(アイドマ)、AISAS(アイサス)、近年では5Aなど消費者の購買行動プロセスにはいくつかのフレームワークが存在します。これらは消費者が製品やサービスを購入し、その後のシェアに至るまでの過程を分解したものですが、いずれのフレームワークでも最初のプロセスは「認知」から始まっています。

消費者は市場にある無数の製品・サービスの中から自身の嗜好や周囲からの推奨などに基づいて意思決定を進めていきますが、そのためにも企業はまず自社のブランド認知を獲得することが重要な課題となっています。

▼AIDMA(アイドマ)
A : Attention (注意・認識)
I : Interest (興味・関心)
D : Desire (欲求)
M : Memory (記憶)
A : Action (購買)

▼AISAS(アイサス)
A : Attention (注意・認識)
I : Interest (興味・関心)
S : Search (検索)
A : Action (購買)
S : Share (共有)

▼5A
A : Aware (認知)
A : Appeal (訴求)
A : Ask (調査)
A : Action (行動)
A : Advocate (推奨)

「悪評世にはばかる?」目的を持たない「認知獲得」だけでは意味を成さない

ブランドの認知拡大は重要な要素ではありますが、目的を持たない認知獲得や意図しない認知獲得では本末転倒となってしまいます。

目的を持った認知獲得とは、狙いを定めたセグメント(ターゲット)に対して、ブランドコンセプトなどの伝えたいメッセージが正しく伝わっているかを指します。

一方で、意図しない認知獲得とは、企業の意図とは異なる形で認知されてしまうことを指します。例えばSNSなどによって、一部の消費者のネガティブな投稿が一気に拡大し、悪評が浸透してしまうようなケースがしばしば見られますが、一度ネガティブなイメージが浸透してしまうと、それを取り戻すには多くのコストや期間がかかってしまいます。

また、認知獲得のためには広告出稿など多くのコストが発生するため、費用対効果を含めて効率的に認知を獲得できているかどうか、定期的なPDCAを回すことも重要でしょう。

ブランド浸透度調査で取得すべき指標は?

ブランド浸透度調査で取得すべき最重要指標は「認知率」です。認知率とは特定の商品やサービス、ブランドをどのくらいの顧客が認知しているかの割合を指します。単純にブランド認知をアンケート調査で聴取するだけでは不十分です。具体的なブランド名を選択肢化した上で聞く認知率(助成想起)は取得のしやすさという面ではメリットがありますが、自由回答形式で聴取する認知率(純粋想起)も合わせて取得することが望ましいと考えます。

実際にヴァリューズが実施した自主調査でもブランド名を第一に想起し、購入意向を示したユーザーでは実際の購入に至る割合も高いという結果が出ています。

他にも、意図したコンセプトが正しく伝わっているかを検証するためのブランドイメージ設問や、どの媒体が効率よく認知を獲得できているかを検証するために認知経路の設問も必要な項目となるでしょう。

KGIを最大化させるKPI:自動車保険

ブランド浸透ファネルを作成して各フェーズでの課題を明確に

ブランド浸透度調査では認知から興味、購入、推奨までのファネルを可視化して自社ブランドのどの段階に課題があるかを明らかにしていきます。その際は自社ブランドだけではなく、競合ブランドにおいても同様のアウトプットを作り、相対的な位置づけも把握できるようにするとよいでしょう。

ブランド浸透度調査で課題が見えてきたら、それに対する打ち手を講じていくことになります。それにはヴァリューズの分析ツールを活用して、サイト流入量の違いや競合ブランドが獲得している検索ワード、集客後のコンテンツなどを属性ごとに分析する方法があります。

ヴァリューズで提供できるサービスのイメージ

リサーチャーが指南! 調査設計上のポイントとは?

ブランドの認知獲得は重要課題ではありますが、必ずしも広くあまねく認知を獲得する必要はないと考えます。ターゲットにおける認知と競合優位性が取れているかの確認ができるように、まずはSTP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)をしっかりと定め、その中でターゲットセグメントに対して意図した通りのイメージで認知が取れているかの確認が取れるような調査設計が必要でしょう。

ブランド認知や競合優位性は時間の経過や他社の施策によっても変化するものなので、健康診断のように定期的に検証を行いPDCA・OODAサイクルに組み込んでいくことが大切です。まさに、「彼を知り己を知れば百戦殆(あや)うからず」。競合と自社の実力を正しく定期的に理解することで、負けない戦い方ができるのではないでしょうか。

マーケティング改善に必要なサイクル「PDCA」と「OODA」

資料ダウンロード【無料】|「アンケート×ログ」によるブランド浸透度調査

資料のダウンロードURLを、ご入力いただいたメールアドレスに送付させていただきます。
ご登録頂いた方にはVALUESからサービスのお知らせやご案内をさせて頂く場合がございます。

この記事のライター

新卒で総合調査会社に入社し社会調査や自治体の計画策定支援業務を行う。
その後ネットリサーチ会社マクロミルを経て2016年にヴァリューズに入社。
リサーチャーとしてアンケート×ログ調査の設計・分析を担当している。

関連するキーワード


アンケート ブランディング

関連する投稿


【調査リリース】Z世代メンズの美容意識を調査 ミレニアル世代より10%以上高く70%以上が美容に関心

【調査リリース】Z世代メンズの美容意識を調査 ミレニアル世代より10%以上高く70%以上が美容に関心

SNS上のバズやトレンドへの感度が高く、流行を生み出す世代として注目のZ世代。企業のライフタイムバリュー(顧客生涯価値)を高めるためには、顧客ライフサイクルが長いと思われる若い世代の獲得は避けて通れません。そこで今回は、「メンズメイク」「メンズコスメ」への関心が高まっているという背景から、Z世代男性の美容に関する意識や購買行動を、ミレニアル世代と比較しながら調査。美容潜在層を顕在層にするために、どのような環境やきっかけが必要なのか、現役Z世代アナリストが分析しました。


【調査リリース】2024年夏の旅行トレンド全国調査~海外旅行は早めの予約が人気、20代女性の旅行意欲の高まりが目立つ

【調査リリース】2024年夏の旅行トレンド全国調査~海外旅行は早めの予約が人気、20代女性の旅行意欲の高まりが目立つ

インターネット行動ログ分析によるマーケティング調査・コンサルティングサービスを提供する株式会社ヴァリューズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:辻本 秀幸、以下「ヴァリューズ」)は、国内の20歳以上の男女45,818人を対象に、今夏の旅行予定に関する消費者アンケート調査を実施しました。またヴァリューズが保有する約250万人の独自消費者パネルを活用したインターネット行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を使用して、消費者の観光ニーズを分析しました。


【調査リリース】4大SNSのヘビーユーザーを比較調査!X利用者はフォロー/シェア等での割引施策参加に積極的、 TikTok利用者は高価でも衝動買いの傾向

【調査リリース】4大SNSのヘビーユーザーを比較調査!X利用者はフォロー/シェア等での割引施策参加に積極的、 TikTok利用者は高価でも衝動買いの傾向

アプローチしたい顧客セグメントに到達するためには、コミュニケーション媒体として適切なSNSを選定し活用することが重要です。数多くの新興SNSも登場する中、どんなユーザーがどのSNSを選び、どのような購買活動をしているのか。今回は4大SNSとも言える、Facebook、Instagram、TikTok、X(旧Twitter)それぞれのヘビーユーザーの属性、購買動機や興味関心などのサイコグラフィック、メディアの利用状況や消費行動などを調査し、ユーザープロファイルを作成しました。


初心者歓迎!実例で学ぶマーケティング・リサーチ基礎<2024年最新版>|セミナーレポート

初心者歓迎!実例で学ぶマーケティング・リサーチ基礎<2024年最新版>|セミナーレポート

多くの企業でマーケティング活動の基礎になっているマーケティング・リサーチ。インサイト探索から商品の育成まであらゆるテーマが存在し、扱うデータも増えていることから、どこから手をつければいいかという悩みを抱いている方も多いのではないでしょうか。本セミナーでは初めてマーケティング・リサーチに携わる方を対象に、基本的な考え方やリサーチの進め方を分かりやすく解説。また、ヴァリューズで2022年1月に実施した市場分析調査レポートを実例として、仮説の立て方や具体的な調査票設計、分析、レポーティングまでの工程・ノウハウの解説に加え、Web行動ログとアンケート調査の活用方法もご案内しました。※本セミナーのレポートは無料でダウンロードできます。


資生堂「SHIFT 2025 and Beyond」に込めた想いとブランディングを成功に導く視点|株式会社資生堂代表 魚谷氏に訊く【後編】

資生堂「SHIFT 2025 and Beyond」に込めた想いとブランディングを成功に導く視点|株式会社資生堂代表 魚谷氏に訊く【後編】

資生堂 会長 CEOの魚谷雅彦氏は、3年前倒しで売上目標1兆円を達成した後、コロナ禍でも様々な取り組みを実行してきました。新たに中期経営戦略として策定された「SHIFT 2025 and Beyond」には、どのような想いがあったのか。自社ブランディングを成功させるために必要な視点も合わせて、マーケティングのプロフェッショナルである魚谷氏にヴァリューズ 代表取締役社長の辻本が伺いました。


最新の投稿


生成AIの普及はまだこれから?マーケティング業務経験者の約8割が生成AIを業務利用したことがない【NEXER調査】

生成AIの普及はまだこれから?マーケティング業務経験者の約8割が生成AIを業務利用したことがない【NEXER調査】

株式会社NEXERは、Strh株式会社のサポートを受け「マーケティング業務と生成AI」に関するアンケートを実施し、結果を公開しました。


僕と私と、Z世代への街頭アンケート・サンプリング配布を含むプロモーションプランを提供開始

僕と私と、Z世代への街頭アンケート・サンプリング配布を含むプロモーションプランを提供開始

僕と私と株式会社は、一般財団法人日本ファッション協会との協業を通じて、Z世代への街頭アンケート調査、サンプリング配布、コンテンツ作成等のマーケティング・プロモーション支援の提供を開始しました。


Analyzing the rapidly growing interest in Gacha Gacha using data! Introducing cases applied in marketing

Analyzing the rapidly growing interest in Gacha Gacha using data! Introducing cases applied in marketing

Capsule toys, or “Gacha Gacha,” have become popular globally with people all ages for their affordability and collectability, especially in Japan, with the establishment of Gacha Gacha specialty stores. We will analyze the user segment interested in Gacha Gacha and explore how companies can apply it in marketing.


302リダイレクト(302 Found)とは?使用目的や設定、SEOへの影響も解説

302リダイレクト(302 Found)とは?使用目的や設定、SEOへの影響も解説

Webサイトにアクセスしたユーザーを別のURLへと一時的に転送する方法として、「302リダイレクト」があります。サイトのメンテナンスやリニューアルなどを行う際に使用されますが、「301リダイレクト」との違いや、SEOへの影響などが気になっている人も多いのではないでしょうか? 本記事では「302リダイレクト」が使用されるケースや、SEOへの影響、使用する際の注意点などについて解説していきます。


20代~30代の女性の約6割は今"ひろめたい"と思っているものがある!ひろめたいものは「推し」が最多【eBay Japan調査】

20代~30代の女性の約6割は今"ひろめたい"と思っているものがある!ひろめたいものは「推し」が最多【eBay Japan調査】

インターネット総合ショッピングモール「Qoo10」を運営するeBay Japan合同会社は、若年女性の問題に向き合い支援する一般社団法人 若草プロジェクトと共同で、全国の20代から30代の女性を対象に「情報発信・情報収集に関する調査」を実施し、結果を公開しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ