こんにちは、現役Z世代による”Z世代の行動データ”分析ラボ Gen-Z調査隊です!
私たちは、消費者の行動データをもとに、現役Z世代メンバーの視点から、“Z世代のリアル”を分析しています。
第14弾となる今回は、Gen-Z調査隊メンバーに加え、現役大学生のとりとり(01年生まれ・カフェ好き)も分析に参加し、ライティングを担当しています。
“Z世代”とは
“Z世代”は1990年代後半~2010年頃に生まれた世代を指します。物心ついた頃にはインターネットが既に身近にあったため、“デジタルネイティブ”な世代とも呼ばれており、今後の経済を支える中心世代として注目を集めています。
対して、本記事でZ世代と比較していくのは、そのひとつ上の“ミレニアル世代”。1981年頃~1990年代半ばに生まれ、インターネットの発達とともに育った世代です。
※本記事では、2023年12月時点で16~26歳のモニターをZ世代、27~41歳のモニターをミレニアル世代として定義し分析を行っています。
Z世代とミレニアル世代の関心はどこに?
2023年12月における、世代ごとのトレンド検索キーワードランキングがこちらです。検索者数が前月比でどれだけ増加したのか、その増加率順でランキングを作成しています。検索者のボリューム順のランキングではない点にご留意ください。
Z世代とミレニアル世代の検索キーワードトレンドランキング
〈補足〉
キーワードごとの検索者数の前月比降順でランキングを作成
順位が「新規」になっているキーワードは、前月に検索していたモニター数が0であるキーワード
〈集計条件〉
集計期間:2023年12月(前月比は2023年11月と比較)
対象デバイス:スマートフォン
対象者:2023年12月時点で16~26歳(Z世代)・27~42歳(ミレニアル世代)のモニター
まろん:Z世代の検索キーワードトレンドランキングでは、1位に「FNS歌謡祭」、26位に「レコード大賞」がランクインしたね。ちなみに「紅白歌合戦」「紅白」は、同ランキングでも60位でのランクインだったよ。紅白歌合戦は11月にも結構検索されていたから、前月比の上昇率はそこまで高くなかったみたい。
こと:テレビ離れしていると言われている若者からも、長年続くテレビ番組への関心が一定あるのは面白いね。
ロン:近年の年末音楽番組では、「Ado」「YOASOBI」「Mrs. GREEN APPLE」「緑黄色社会」などが出演しており、特に若者人気の高いアーティストが占める割合が高くなっている印象があります。Z世代に人気のアーティストが多く出演することから、必然的に関心も高まっているようです。
とりとり:例年、年末は「FNS歌謡祭」「レコード大賞」「紅白」と音楽番組が目白押しですが、どの番組の人選からも若者の関心を集めたいという意図がうかがえますね。
まなてぃ:年末といえば、「M-1」も恒例のテレビ番組ですよね。ランキングをみると、ミレニアル世代では、「さや香」「令和ロマン」といったM-1出場コンビ名がランクインしているのにも関わらず、Z世代ではランクインしていないのがどうしてか気になります。やはりテレビ離れが影響しているのでしょうか?
まろん:確かに気になるね。Z世代がどれだけM-1を見てるのか、どんなふうに見てるのか、後で詳しく考察してみよう!
ばんちゃん:私は10位にランクインした「ハッピーセット」が印象的です。2023年12月にはハッピーセットのおもちゃに「キティちゃん(ハローキティ)」がついてきて、キッズだけではなく、JKやサンリオ女子たちがおもちゃ目当てにハッピーセットを買い漁って話題になりました。
とりとり:私の周りでも、キティちゃんをはじめとしたサンリオキャラクターに目覚め直す友人が一定数います。これはどうしてでしょうか?
ばんちゃん:推し活女子界隈でサンリオ人気が高まっているからだと思うよ。この写真にあるトレーディングカードケースやアクリルスタンドホルダーなど、サンリオは、「#推しのいる生活特集」と題を打って推し活グッズを販売しているんだ。私の推し活友達でも、サンリオの推し活グッズを使っている人が多いよ。
ロン:なるほど!推しカラーに合わせてキャラを選ぶこともできるわけですね。こうして顧客層を広げていくとは、圧巻のマーケティング方法ですね。
ばんちゃん:Z世代の女子からのサンリオ人気は、推し活女子界隈が中心な気がするな。
まなてぃ:キャラクターでいうと、Z世代では「ちいかわ」や「おぱんちゅうさぎ」も人気ですよね。
まろん:そうだね。推し活女子界隈ではサンリオが人気っていう話だったけど、「ちいかわ」や「おぱんちゅうさぎ」も特定の界隈での人気なのかな?そのあたりも気になるね。
とりとり:ここまでZ世代の2023年12月のトレンドをおさらいしましたが、今回は、「FNS歌謡祭」「レコード大賞」などの長尺音楽番組のZ世代流の楽しみ方や、Z世代でM-1が上位にランクインしなかった理由ついて考察していきましょう!
年末音楽番組の楽しみ方もZ世代流
■TVerやYouTubeと並行して視聴!“タイパ重視”なZ世代
とりとり:Gen-Z調査隊メンバーの年末音楽番組の視聴状況はこちらです。紅白歌合戦はメンバー全員が視聴していましたが、その楽しみ方は人それぞれで、他の動画コンテンツを観ながら並行して観る人が半数と多いのが驚きでした。
Gen-Z調査隊メンバーの年末音楽番組視聴状況
まなてぃ:私は、大晦日には逃走中をメインに観ていました。TVerで逃走中のライブ配信をつけて、テレビで音無し状態で紅白をつける。そして、気になるアーティストが出てきたら紅白の音声をオン、逃走中の音声をオフにしていました。
まろん:僕もまなてぃと同じ感じで、TVerでM-1、テレビで紅白をつけて同時に観ていたよ。TVerでの公開終了期間を確認して、あえて大晦日までM-1を観ずに取っておいたんだ。特にTVerだと再生停止できるから、どちらも観たいものを必ず観られて最高だったよ。
こと:TVerと二刀流で観る紅白、ムダがなくていい大晦日の過ごし方だね。私もふたりと似ていて、自分の好きなアーティストが出ていないときはYouTubeを観ていたよ。
とりとり:私の場合、紅白をBGMとして、家族での晩酌をメインに過ごしました。タイムテーブルを参照して、自分的にじっくり観なくてもいいアーティストが出ている隙にお風呂に入ったのですが、親と自分では観たいアーティストが違うので、都合がよかったです。
ロン:検索キーワードランキングでも「タイムテーブル」がランクインしていることから、自分が観たいアーティストが出ている時間だけピンポイントで見ようとするZ世代の傾向がうかがえますよね。僕も事前にタイムテーブルを確認して、必ず観たい時間帯は押さえていました。
ばんちゃん:私の場合、家族での食事がメインで紅白に釘付けではなかったけれど、好きなアーティストが出たらお喋りを静かにさせて、家族みんなで紅白を観ていたよ。私はタイムテーブルは観ていないけれど、好きだったり、どこかで聞いたことがあったりするアーティストしか観ないのは一緒だよ。
まろん:Z世代が紅白を観るときは、「好き!」「聞いたことがある!」という自分の関心に従って、しっかり観るか、“ながら見”するか選択しているようだね。
とりとり:とりあえず紅白を流すけれど、関心がないアーティストの出演中は、人それぞれ有益な過ごし方をしているのが面白いです。これは、タイパ重視なZ世代ならではの行動かもしれませんね。
■推しの出演を理由に音楽番組を観る人も
ロン:僕は「JO1」が好きで、彼らの出演情報をSNSで確認して、出演番組を必ずチェックしました。12月は、「FNS歌謡祭」「CDTVライブ!ライブ!」「レコード大賞」「紅白歌合戦」など、JO1が出演している音楽番組はすべて観ています。
ばんちゃん:ランクインしていないけど、私は推しが出ているという理由で「Mステ SUPER LIVE 2023」を観たよ。正直なところ、推しが出ない音楽番組は積極的には観ないかな。
まろん:推し活として音楽番組を楽しむ人もいるんだね。「推しの出演自体は推しのSNSで把握して、出演時間はタイムテーブルで把握する」というのが、Z世代的な音楽番組での推し活法なのかもしれないね。
■2023年出演アーティストの特徴
とりとり:Z世代はアーティストへの関心に合わせて年末の音楽番組を楽しんでいるようですが、実際、年末の音楽番組でも若者に人気なアーティストの出演が目立つように感じます。
まなてぃ:特に2023年のレコード大賞では、「imase」「新しい学校のリーダーズ」「FRUITS ZIPPER」など、TikTok音源としてバズったアーティストの出演が多かったですよね。
とりとり:それから、「キタニタツヤ」「King Gnu」「羊文学」など、アニメ「呪術廻戦」の主題歌・オープニングテーマを担当したアーティストの出演も多かったのも印象的です。
ロン:「JO1」「New Jeans」「NiziU」など、グローバルに活躍するダンスボーカルグループも数多く出演していましたね。紅白歌合戦では、坂本冬美さんの「夜桜お七」に、JO1とBE:FIRSTがダンサーとして参加していたのも、記憶に新しいです。
Z世代は「M-1グランプリ」への関心が薄い?
■クリスマスイブの放送が視聴を後押し?ながら見も
とりとり:今年の「M-1グランプリ」はクリスマスイブの放送でしたが、皆さん観ましたか?私はM-1を毎年恒例の楽しみにしているお笑いガチ勢で、敗者復活戦から決勝まで全てのネタを観ました!
こと:私はおうちでクリスマスパーティーをしていたときに、テレビをつけたらたまたまM-1がやっていたので、BGMとして“ながら見”していたよ。
まなてぃ:私もことさんと同じです。ただ、決勝だけはしっかり観ました。
ばんちゃん:私は毎年見るわけじゃないけど、今年はクリスマスイブで友人と家にいたので観ました。ひとりじゃなく誰かと一緒に居る人が多いクリスマスイブだからこそ、テレビを観られる環境に居ればM-1を観たのかもしれないね。
まろん:同じZ世代でも、M-1の見方はコア層・ライト層に分かれるんだね。僕は年末までとっておいて、TVerで観たよ。
ロン:僕以外皆さん観られてるんですね...!
■SNSを駆使してM-1の“ライブ感”を味わうZ世代
とりとり:近年のM-1グランプリでは、X(旧Twitter)で豪華景品を懸けた「三連単順位予想キャンペーン」をしており、放送中のXでは、優勝予想やネタの感想が飛び交っていました。Xを眺めながらM-1を観ると、「誰かとこの時間を共有している」というライブ感があってすごく楽しかったです。
まなてぃ:たしかに。「さや香」の最終決戦ネタがすごく面白かったのに、審査員の誰も投票していなくて、「え!さや香が1番じゃないの!?」と思ってXを見てみたよ。私の他にもさや香に優勝してほしかったと言う人がいて、安心したよ。
こと:私は「芸能人格付けチェック」というテレビ番組を観るとき、よくXで他の人の感想を見るよ。「AよりBの演奏の方が上手かったくない!?」的な。自分自身の感じたことを、同じく視聴者側の誰かと答え合わせする感覚。テレビ番組でのライブ感は、その場にいる人たちの間ではもちろん、Xを通しても感じられるようになってきたようだね。
とりとり:Xの他にも、Instagramの新機能「ノート」で「さや香おもろい!」と書いている友人も居て、Z世代には、「共通のコンテンツへの感想をSNSで共有して、リアルタイムでライブ感をもって楽しみたい」という姿勢があるのではないかと感じました。
画像上方の横並びのアイコンについている吹き出しがInstagramの「ノート」機能
■Z世代の検索ランキングに「M-1」関連ワードが上がらないのはなぜ?
まなてぃ:検索キーワードランキングでは、ミレニアル世代で「さや香」「令和ロマン」などのM-1出場コンビ名が見られるのに対して、Z世代ではM-1関連のワードが見られませんでした。Z世代はM-1に興味がないということなのでしょうか?
まろん:検索ランキングに上がってこないのは、Z世代は気になる芸人さんがいると、検索エンジンではなくYouTubeで検索するからじゃないかな?例えば、僕はM-1で「令和ロマン」を観て、「面白い!他のネタも観てみたい!」とYouTubeでネタを検索し、チャンネル登録したよ。
とりとり:最近では、若手・ベテランを問わずYouTubeを拠点に活動する芸人さんも多いですよね。お笑い好きの人は、まろんさんのように「特定の芸人が好き」という推し活に近い探索行動をとるのかもしれません。
ばんちゃん:それから、Z世代は検索エンジンで出てくる経歴や事務所といった文字情報にはあまり興味がなく、気になった芸人さんの“ネタそのもの”を見たいために、検索エンジンでは調べないんじゃないかな。
まなてぃ:たしかに。友人とM-1の話をしていても、「このネタのこのフレーズが面白かった」という話になって、コンビ名や事務所・経歴の話はあまり出てきませんでした。
とりとり:なるほど。では、ミレニアル世代のランキングにM-1出場コンビ名が複数ランクインしているのはどうしてでしょうか?
ばんちゃん:あくまで推測だけど、コンテンツ優先のZ世代に対して、ミレニアル世代はプロフィール先行でコンテンツを受け入れているんじゃないかな?
まろん:それから、「世間の話題についていくためにまず知識を入れる」という意味でも、検索エンジンを使ってその芸人さんの人となりを調べるんじゃないかな。普段お笑いを見ない人は特にそういった探索行動をしそう。
まとめ
今回は、2023年12月の検索キーワードトレンドランキングをもとに、「年末音楽番組」「M-1」のZ世代的な関わり方・楽しみ方について分析・考察しました。
では、結果とそこから見えてきた仮説をおさらいしましょう!
結果①
2023年12月には、「FNS歌謡祭」や「レコード大賞」といった年末音楽番組がZ世代のキーワードトレンドになりました。
仮説①
タイパを重視するZ世代は、「好き」「見たことがある」といった自分の興味に基づき、年末の音楽番組を断片的に楽しんでいるようです。興味のないアーティストの出演中は、他のテレビ番組やYouTubeを観るなど、各々好きなように過ごしているようです。
仮説①’
特に2023年の年末音楽番組では、TikTok音源・アニメ主題歌・グローバルダンスボーカルグループの曲など、若者を意識した人選が見られました。
結果②
2023年12月には、「M-1」関連のワードがミレニアル世代でランクインしたのに対し、Z世代ではランクインしませんでした。
仮説②
ランキングには反して、家族・友人・恋人などと複数人で、かつテレビのある環境でクリスマスイブを過ごしたZ世代は、クリスマスイブの放送だったからこそ、M-1を観やすかったのかもしれません。
仮説②’
仮説②は、Z世代はXで順位予想や感想を共有しながらライブ感をもってM-1を楽しんでおり、ネタに興味を持った際も、コンテンツ優先でYouTubeで探索するという、検索エンジンを用いないSNS中心の視聴方法をしているためだと考えられます。
関心がないコンテンツを伴う長尺テレビ番組を“ながら見”する傍ら、SNSやVOD(ビデオオンデマンド)を観るZ世代。Z世代の“テレビ離れ”は加速するのか、今後が見どころです。
Z世代のデータアナリストが、自らZ世代の行動データを分析する本連載。今後の連載にも、ぜひご注目ください。
現役Z世代による"Z世代の行動データ"分析ラボ Gen-Z調査隊®
株式会社ヴァリューズで2022年10月に発足。個性豊かなZ世代のメンバーが集まりました。
意識調査データやWeb行動データを活用し、"Z世代のリアル"を分析・発信していきます。
〈メンバー紹介〉
まろん(98年生まれ・エンタメコンテンツ好き)・ばんちゃん(99年生まれ・二次元キャラ好き)・こと(97年生まれ・観葉植物好き)・まなてぃ(01年生まれ・TikTok好き)・ロン(00年生まれ・テレビ好き)・まりん(02年生まれ・音楽好き)