Z世代による新しいミニマリズム「アンダーコンサンプション・コア(過小消費コア)」とは | 海外トレンドに見るビジネスの種(2024年9月)

Z世代による新しいミニマリズム「アンダーコンサンプション・コア(過小消費コア)」とは | 海外トレンドに見るビジネスの種(2024年9月)

海外からやってくるトレンドが多い中、現地メディアの記事に日々目を通すのはなかなか難しいもの。そこでマナミナでは、海外メディアの情報をもとに世界のトレンドをピックアップしてご紹介します。今回は、Z世代を中心に広がっている消費に関する価値観「アンダーコンサンプション・コア(過小消費コア)」について取り上げます。


【無料ダウンロード】デジタル・トレンド白書2024 – Z世代トレンド・SNS動向編|ホワイトペーパー

https://manamina.valuesccg.com/articles/3770

国内外におけるZ世代の消費トレンド、Instagram、TikTok等SNSの利用実態など、2024年に反響の高かった16本のデジタル動向調査をピックアップし、白書として収録しました。(「Z世代トレンド・SNS動向編」ページ数|140P)

今あるものを大切に使う|アンダーコンサンプション・コア(過小消費コア)

今やSNSはインフルエンサーによる購入品紹介や商品プロモーションで溢れています。そのようなコンテンツから実際に購買意欲をそそられたり、さらに商品の購入まで至った経験がある人も多いのではないでしょうか。

「アンダーコンサンプション・コア(過小消費コア)」とは、そんな過剰とも言える消費を促される状況に抗おうとするムーブメントです。例えば、すでに持っているモノを長く大切に使い続けたり、トレンドに流されて無駄な買い物をしないことを動画を通じて伝えています。2024年8月頃からアメリカのZ世代やミレニアル世代を中心に共感を呼びTikTok上でトレンドとなりました。

#underconsumptionのタグをつけて投稿されたTikTok動画には、何年も履き古した靴や、古着屋で買ったもの、化粧品のチューブをハサミで切って中身を全部使い切る様子などが紹介されています。他にも、インフルエンサーがたくさんの化粧品をレビューする動画とは反対に、化粧品の種類につき1つずつしか持っていないことを紹介するような動画も多く見られます。

たくさんの物をコレクションしたりトレンド商品をおすすめする動画をSNS上で日常的に目にしていると、それが普通の消費のあり方だと錯覚してしまいそうになりますが、アンダーコンサンプション・コアは、それが決して普通ではないということを気づかせてくれるものとなっています。

サステナブル志向と節約意識の高まりが共感の鍵に

なぜ若い世代の間でアンダーコンサンプション・コアの価値観が広がり話題となっているのでしょうか。その背景には、環境問題への関心の高まりや、昨今の厳しい経済状況があげられます。

ヴィンテージ古着を販売するオンラインショップ「ThredUp」が2022年に行った調査(※)によると、Z世代の65%が洋服を購入する際によりサステナブルな買い物を心がけたいと回答しています。しかしその一方で、Z世代の3分の1がファストファッションに依存していると感じており、回答者の72%は2021年にファストファッションを購入したという結果が出ています。なるべく環境に配慮したい気持ちと、過剰な消費主義にどうしても抗えないというジレンマが生じていると言えます。そのようなジレンマがある中で、アンダーコンサンプション・コアの投稿は消費主義に流されない生活の良さを確かめ合うような場所にもなっています。

※ thredUP’s Gen Z Fast Fashion Report
https://newsroom.thredup.com/gen-z-fast-fashion-report
2022年の調査。アメリカのZ世代(16〜25歳)1,989人が対象。

また、インフレや学費ローンの返済から生じている経済的な負担も、Z世代やミレニアル世代の消費に対する価値観に影響を及ぼしています。経済的なプレッシャーを感じている層にとって、商品を大量購入して紹介するインフルエンサーの生活はもはや現実的ではないと感じるため、リアルな生活を反映しているアンダーコンサンプション・コアの投稿が共感を呼んでいます。

中には、アンダーコンサンプション・コアの投稿で見るような、元々持っているものを再利用したり最後まで使い切ることは当たり前の習慣で特別新しいことでもないため、代わりに「ノーマル・コンサンプション・コア」と呼ぶべきだという声もあがっています。SNS上には商品の購入を促すようなコンテンツが多いことから、むしろ一般的な消費のあり方が目新しく見えるという現象が起こっています。

従来のミニマリズムやディインフルエンシングとどう違う?

アンダーコンサンプション・コアに似た価値観に「ミニマリズム」があります。ミニマリズムとは、身の回りのものを必要最小限に減らすことでシンプルな暮らしを目指すことを指します。多くのものを持つことが生活の満足度や心地良さに繋がるわけではない、という考えがどちらにも共通しています。アンダーコンサンプション・コアは、消費主義的なインフルエンサー文化を踏まえた上で、今の若い世代に刺さるコンセプトとして生まれ変わった新世代のミニマリズムと言えるでしょう。

また、2023年には「ディインフルエンシング(deinfluencing)」という、買わない方が良い商品を呼びかける投稿がトレンドになりました。買うべき商品をおすすめするインフルエンサーとはまさに逆を行くムーブメントです。

ディインフルエンシングがある特定の物を買わないように呼びかける一方で、アンダーコンサンプションはすでに持っているものを大切に使うという意味合いがプラスされています。このように形を変えながら、過剰消費に対抗するような価値観が共感を呼び、広がり続けています。

【参考】
https://theconversation.com/understanding-underconsumption-core-how-a-new-trend-is-challenging-consumer-culture-235417
https://www.theguardian.com/fashion/article/2024/aug/07/it-is-ok-to-be-content-with-your-simple-life-is-underconsumption-core-the-answer-to-too-much-shopping
https://www.cnbc.com/2024/08/19/what-tiktoks-underconsumption-core-trend-means-for-your-money.html
https://sustainablyinfluenced.com/2024/07/22/what-is-underconsumption-and-why-is-it-trending/

■【Z世代をより理解したい方へ】総ページ数140P以上のZ世代ホワイトペーパーの無料ダウンロード

ヴァリューズは、国内最大規模の消費者Web行動ログパネルを保有し、データマーケティング・メディア「マナミナ」にて消費トレンドの自主調査を発信してきました。今回、国内外におけるZ世代の消費トレンド、Instagram、TikTok等SNSの利用実態など、2024年に反響の高かった16本のデジタル動向調査をピックアップし、白書として収録しました。

ホワイトペーパーの詳細・ダウンロードは
データ分析のヴァリューズ、 「デジタル・トレンド白書2024 – Z世代トレンド・SNS動向編」を公開をチェック

この記事のライター

大学ではポルトガル語と言語学を学び、常に様々な外国文化や言語に興味がありました。
海外情報に関する記事を通じて、何かヒントに繋がる新たな視点や面白い発見をお届けできればと思います。

関連するキーワード


海外トレンド Z世代

関連する投稿


Z世代女性、コスメ・服選びでAIに「自分に合うか」を相談【MERY調査】

Z世代女性、コスメ・服選びでAIに「自分に合うか」を相談【MERY調査】

株式会社MERYは、全国の15歳~30歳の女性を対象に実施した「Z世代の購買に関するMERYアンケート」の結果を発表しました。


「防老」から「享老」の時代へ ~ 中国シニア市場の新動向と日本企業の参入機会

「防老」から「享老」の時代へ ~ 中国シニア市場の新動向と日本企業の参入機会

変わりゆく中国の高齢化の現状やシニア層の価値観・ライフスタイル。その変化を体系的に紹介するとともに、従来の医療・保障を中心とした「防老」(老後の備え)から、自我実現や社会参加を目的とした「享老」(老後の享受)へとシフトする消費心理および市場動向について解説。中国市場参入を計画する日本企業にとって、参考となる中国シニア市場の今をまとめました。


中国の若者に人気なのはドッグフードならぬ「ヒューマンフード」?「人糧」の魅力とは

中国の若者に人気なのはドッグフードならぬ「ヒューマンフード」?「人糧」の魅力とは

中国の社会人の若者の間で、「人糧」と呼ばれる食事が今、人気を集めています。「ドッグフードの人間版」のような自虐的なニュアンスの名前を持ちながら、忙しい彼らにとって生活の助けになっています。本稿では、この人糧の特徴や魅力について紹介します。


中国自動車市場は新時代へ~中古車取引量急増で新車販売数に肩を並べる

中国自動車市場は新時代へ~中古車取引量急増で新車販売数に肩を並べる

2026年、中国の自動車市場は歴史的なターニングポイントを迎えました。2026年7月のデータによると、新車と中古車の取引比率が初めて1:1に達しました。この構造的変化の背景にはどのような要因が隠されているのでしょうか。そして、この変化は業界エコシステムの再構築にどのような可能性をもたらすのでしょうか。さらに、中国の中古車市場が直面する新たな機会、課題、そして取り組むべきテーマとは何なのか、この全く新しい領域についてレポートをします。


中国乳製品市場が健康ニーズと共に拡大中

中国乳製品市場が健康ニーズと共に拡大中

中国では、冷蔵牛乳やチーズ、バターなどはもちろん、日本では馴染みのない、常温保存が可能で半年以上鮮度を保つロングライフの牛乳やヨーグルトも親しまれています。基礎的な栄養補給が目的だった乳製品は、消費者のニーズに伴ってより高い付加価値が求められるようになりました。この記事では、現在の中国乳製品市場のトレンドを紹介します。


最新の投稿


年末商戦の買い物で52%が「AIを利用する可能性あり」【Shopify Japan調査】

年末商戦の買い物で52%が「AIを利用する可能性あり」【Shopify Japan調査】

Shopify Japan株式会社は、2026年のホリデーシーズンにおける消費者の購買行動および事業者の動向に関する調査のうち、日本市場の結果を発表しました。日本では消費者2,000人、事業者の経営者・意思決定者500人が回答。ブラックフライデー・サイバーマンデー(BFCM)、クリスマス、年末年始商戦に向けた買い物への姿勢やAI活用、商品情報の整備状況などを調べています。


博報堂とHakuhodo DY ONE、AIに推奨されやすい商品説明文を自動生成

博報堂とHakuhodo DY ONE、AIに推奨されやすい商品説明文を自動生成

博報堂とHakuhodo DY ONEは、AIエージェントが自律的に商品を理解・選択するための商品データを整備する「Data Enrichment for 商品インサイト」の提供を開始しました。次世代コマース統合ソリューション「Agentic Commerce ONE™」の新たなラインナップとして、商品スペックと体験価値の因果関係を言語化し、AIに推奨されやすい商品説明文を自動生成するといいます。


【2026年10月26日週】注目のマーケティングセミナー・勉強会・イベント情報まとめ

【2026年10月26日週】注目のマーケティングセミナー・勉強会・イベント情報まとめ

編集部がピックアップしたマーケティングセミナー・勉強会・イベントを一覧化してお届けします。


Z世代女性、コスメ・服選びでAIに「自分に合うか」を相談【MERY調査】

Z世代女性、コスメ・服選びでAIに「自分に合うか」を相談【MERY調査】

株式会社MERYは、全国の15歳~30歳の女性を対象に実施した「Z世代の購買に関するMERYアンケート」の結果を発表しました。


アソビュー、全国約300のレジャー施設を活用した広告サービスを開始

アソビュー、全国約300のレジャー施設を活用した広告サービスを開始

アソビュー株式会社は、全国のレジャー施設と連携したオフライン広告ソリューション「アソビュー!レジャープロモーションネットワーク」の取り組みを開始したことを発表しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

ページトップへ