Dockpitで見つける潜在ニーズ。山星屋が実現する市場予測と説得力ある販売戦略

Dockpitで見つける潜在ニーズ。山星屋が実現する市場予測と説得力ある販売戦略

近年、企業はかつてないほど膨大なデータにアクセスできるようになっています。しかし、真に価値あるインサイトを得ることに依然として課題を感じているマーケターも少なくないのではないでしょうか。創業115年を誇る菓子専門商社の株式会社山星屋は、Web行動ログ分析ツール「Dockpit」を活用し、従来の販売データでは捉えきれなかった消費者の潜在ニーズを可視化。さらに、1年後、3年後の市場動向を予測し、商品開発や販売戦略の立案につなげています。今回は同社の鈴木美和氏に活用事例とDockpitだからこそ得られる価値を伺いました。


菓子専門商社のリーディングカンパニー「山星屋」

―― 株式会社山星屋様には、日頃からWeb行動ログ分析ツール「Dockpit」を活用いただいています。本日は改めてお取り組みの詳細をお伺いできればと考えていますが、まず貴社の事業内容についてお聞かせいただけますでしょうか。

山星屋 鈴木 美和氏(以下、鈴木):当社は、丸紅グループの菓子専門商社のリーディングカンパニーとして、創業以来一貫して菓子流通業界に携わっています。全国約1,100社の菓子メーカー様と約500社のお取引先様をつなぎ、お取引先様に適した商品・企画提案などのコンサルティング事業を展開しています。

株式会社山星屋 コーポレートサイトより

鈴木:私が所属しているマーケティング部には、主に4つの業務があります。

1つ目は、山星屋の一般的な取引先企業である小売業様と、商品を仕入れているメーカー様向けに、菓子市場の年次変化や売れ筋商品、トレンドといったマーケティング情報を発信しています。また、全国各拠点の営業から集めた成功事例も共有し、効果的な売り方や売り場作りの情報を案内しています。

2つ目は、リテールサポートと呼ばれる業務です。各小売業様の特性やターゲット市場を分析し、最も効果的な商品提案のタイミングや内容を営業と共に提案しています。

3つ目は、商品開発のサポートです。小売取引先のPBや企業留め型商品の開発と、当社オリジナル品にあたる株式会社モントワールの開発サポートの2軸を行っています。市場分析からヒット商品を生み出す法則を見出し、提案しています。

最後は、展示会の企画です。菓子メーカー様約160社の協力のもと、1年に1度「アリスタフェア」という国内最大級の菓子専門の展示会の他、スーパーマーケットトレードショー、ドラッグストアショーの企画~全体進行も行っております。

株式会社山星屋 マーケティング部 鈴木 美和氏

株式会社山星屋 マーケティング部
マーケティング2課 課長 鈴木 美和氏

潜在的なニーズの発掘も トレンド予測の精度を高められる

―― マーケティングで抱えられていた課題や、Dockpit導入の経緯をお聞かせください。

鈴木:もともと活用していたPOSデータやリサーチ企業から得ていた販売データでは、バックキャスト型(未来から逆算して計画を立てる)アプローチが難しいという課題がありました。既存のデータは過去のものであり、チャンスロスなどの分析には有効ですが、これから来るであろうトレンドの予測には限界がありました。販売後のデータでは、顕在化されたニーズしか把握できず、潜在的なニーズを捉えることが困難だったのです。

1年後や3年後のトレンドを予測できるデータはないかと探していたところ、出合ったのがヴァリューズさんのDockpitです。Dockpitなら私たちのニーズに応えてくれ、すぐに効果を出してくれそうだと導入を決めました。

―― 実際、トレンド予測にどのようにDockpitを利用されていらっしゃるか、ユースケースを教えてください。

鈴木:例えば海外で話題になっていても、日本の一般的な小売店ではまだ広く販売されていない商品があるとしましょう。広く認知されていないにもかかわらず、トレンドワードとして検索数が伸びている商品を調べるとき、Dockpitのデータを見ると、どの年齢層に検索されているか、どのような商品と一緒に検索されているかなどが分かります。このようなデータを取引先様のオリジナル商品開発に活かしたり、類似商品の仕入れ強化や売り場での訴求方法の提案につなげたりすることができます。

データによる裏付けで、説得力のある提案が可能に

鈴木:ユースケースとして多いのは、提案の説得力を高めるための裏付けデータとして活用することです。例えば夏であれば、夏祭りや屋台で喜ばれるお菓子の商品について、最も検索されているものを知るためにDockpitのデータを活用しています。20代、30代、40代の女性をターゲットとする場合、その年齢層において検索数が伸びている商品キーワードを抽出し、得られたデータを商品企画に活用しています。

Dockpitを活用して抽出した「夏祭り」ワード検索数の推移(画像提供:山星屋)

Dockpitを活用して抽出した「夏祭り」ワード検索数の推移(画像提供:山星屋)

Dockpitで実現する業務革新 膨大な時間を短縮

鈴木:また、業務効率化も進めることができています。最初にお話した通り、当社のマーケティング部の業務は多岐にわたっています。加えて、取り扱う商品の数も膨大です。そのため、限られた時間の中で効率的に企画書を作り上げる必要があるのが実情です。Dockpitなら時間をかけなくても、得たいデータを簡単に出せるので助かっています。ヴァリューズさんには定期的に勉強会を開催していただき、効果的な使い方を教えていただいているので、使いこなすことができています。

Dockpitで得られるデータを自前で作成したり、それに代わるデータを作ろうとしたりすると、非常に多くの時間がかかるでしょう。例えばGoogleトレンドでも時系列での閲覧は可能ですが、性別や年代別での分析はできません。また、無料で閲覧できるデータには限りがあります。Googleでの検索件数の増加など、似たようなトレンド情報は作成できるかもしれませんが、特定のターゲットに適しているかどうかの判断は、Dockpitのデータがなければ困難です。

また、Dockpit以外の販売データでも裏付けは可能ですが、どのような人が、どの時期に何と一緒に検索しているかといった情報は、Dockpitのデータでしか得られないと考えられます。これらを自前で行おうとすると、膨大な時間がかかるでしょう。

単なる予測ではなく、確実に起こりうる未来として成立させる

―― 山星屋様は創業115年と、企業として歴史があり、データだけでなく、これまで積み重ねてきた実績や知見なども大切にされているという印象を持っています。マーケティングにおいて特に意識されていることがあれば、お聞かせいただけますでしょうか。

鈴木:卸売業の特性として、取り扱う案件が多いことが挙げられます。メーカー様が自社商品やブランドのカテゴリーを中心に分析するのに対し、私たちは菓子市場全体のマーケティングを行う必要があります。そのため、どの市場を開拓すれば最も効果的か、菓子市場全体に存在する多くのチャンスの中からどれを選ぶかという選択力も試されていると思います。しかし、膨大であるがゆえに一点集中で深く分析することは難しく、限られた時間でヒット商品を生み出すためには、経験に基づく仮説思考での分析が必要です。

つまり、私たちのように広範囲の商品を扱う中では、経験を活かしつつ、効率的にデータを活用して、最も効果的な提案を行うことが求められていると考えます。

引き続きDockpitを活用して、トレンド予測の精度をより高めていきたいです。単なる予測で終わらせるのではなく、確実に起こりうる未来として成立させることが重要だと思います。

取材協力:株式会社山星屋

この記事のライター

IT企業でコンテンツマーケティングに従事した後、独立。現在はフリーランスのライターとして、ビジネスパーソンに向けた情報を発信しています。読んでよかったと思っていただける記事を届けたいです。

関連する投稿


新時代のフランス発SNS「BeReal(ビーリアル)」MAUは過去1年で4倍に。広告にも期待感高まる

新時代のフランス発SNS「BeReal(ビーリアル)」MAUは過去1年で4倍に。広告にも期待感高まる

リリースされてから、Z世代を中心に強い支持を集めている「BeReal(ビーリアル)」。2023年初頭から人気を集め始めていますが、いまだにその人気は衰えていません。2024年7月には、日本で広告事業を本格化しはじめたことが大きな話題になりました。今回は、BeRealの最新動向をデータを用いて分析するとともに、広告ビジネスの可能性を調査していきます。


いすゞの「だれでもトラック」エルフミオは変革を起こすか? Webサイト訪問者データで初動を分析

いすゞの「だれでもトラック」エルフミオは変革を起こすか? Webサイト訪問者データで初動を分析

2024年7月、いすゞ自動車は新型トラック「ELFmio」を発表しました。普通自動車免許で運転でき、「だれでもトラック」と銘打たれるこのトラック。狙いは物流を担うトラックドライバー不足の解決です。そんなエルフミオのインパクトを、Webサイト訪問者データを通じて分析しました。


ECサイトにおけるKPI策定のポイント

ECサイトにおけるKPI策定のポイント

ECサイトの売り上げをあげるためには、KGIの設定だけではなく、KPIの策定が重要なポイントになります。そこで、気になるKPIの策定ポイントや、課題の洗い出し・分析についてご紹介します。効果的なマーケティング施策にお悩みの方や、ECサイトの売り上げが伸び悩んでいる方はぜひ参考になさってください。


“第2次”アサイーブームは続くのか? 検索者属性や検索ニーズからカテゴリ浸透の未来を考察

“第2次”アサイーブームは続くのか? 検索者属性や検索ニーズからカテゴリ浸透の未来を考察

近年再び話題になっている「アサイー」。若い女性を中心に人気を集めているようです。他にはどのような特徴を持つ人がアサイーに関心を持っているのか、アサイー検索者がアサイーのどんなことに興味を持っているのかについて、Web行動ログデータから分析・考察します。そして、アサイーブームのこれからを考えます。


リアルな企業課題に、データ×学生視点で切り込む 同志社大学髙橋広行研究室のDockpit活用

リアルな企業課題に、データ×学生視点で切り込む 同志社大学髙橋広行研究室のDockpit活用

同志社大学商学部の髙橋広行研究室では、企業が実際に抱える課題解決に取り組む際、Web行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を活用した企画提案を行っています。学生ならではの視点と客観的データの融合により独自の価値を生み出しつづける活動は、さまざまな企業から注目を集めており、コラボの話が絶えないそうです。今回は同研究室3回生の佐藤千尋さんと堀彩夏さん、そして指導教授である髙橋広行先生に、取り組みの詳細を伺いました。


最新の投稿


DB型サイトでSEO施策を実行して対策ページが上位化するまでにかかった期間は"6か月"が最多【eclore調査】

DB型サイトでSEO施策を実行して対策ページが上位化するまでにかかった期間は"6か月"が最多【eclore調査】

株式会社ecloreは、同社が運営する「ランクエスト」にて、データベース型サイト運営者を対象に、SEOの実施状況やその効果について調査を実施し、結果を公開しました。


SEOに積極的に取り組んでいるサイトの9割以上が表示速度の重要性を認識!改善に取り組む目的は「顧客体験の向上」と「リピート率の改善」が上位【Repro調査】

SEOに積極的に取り組んでいるサイトの9割以上が表示速度の重要性を認識!改善に取り組む目的は「顧客体験の向上」と「リピート率の改善」が上位【Repro調査】

Repro株式会社は、Webサイト運営・管理者を対象とした、「Webサイトの表示速度改善についての実態調査」を実施し、結果を公開しました。


感性について ~ マーケティングとハプティクス

感性について ~ マーケティングとハプティクス

人には5感が備わっています。さらに突き詰めれば第6感という感覚も。それら人の持つ感性や感覚を補うべくあらゆる技術も日々進歩していますが、人のそれらの代替となるような技術はまだ未完の途上です。それほどに他に取って代われない私たちの感性・感覚。本稿では、広告・マーケティング業界に40年近く従事し、現在は株式会社創造開発研究所所長、一般社団法人マーケティング共創協会理事・研究フェローを務めている渡部数俊氏が、広告やマーケティングを通して人の感性の深さを説き、ハプティクス(Haptics)を用いて人の感覚の重要性を解説します。


イードとガイエ、リアルとデジタルの融合でアニメファンの推し活を支援する広告パッケージを提供開始

イードとガイエ、リアルとデジタルの融合でアニメファンの推し活を支援する広告パッケージを提供開始

株式会社イードと株式会社ガイエは、全国のファミリーマート、ローソン(※一部店舗を除く)に設置されているマルチコピー機で展開するコンテンツサービス「エンタメプリント」を活用した広告パッケージ「Anime Touch Ad」を共同開発し、販売開始することを発表しました。


ネオマーケティング、ボーダーリンクとの協業で在日外国人リサーチサービスを提供開始

ネオマーケティング、ボーダーリンクとの協業で在日外国人リサーチサービスを提供開始

株式会社ネオマーケティングは、株式会社ボーダーリンクと協業し、在日外国人リサーチサービスを提供開始したことを発表しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ