MQLとはマーケティング活動で創出した見込み客のこと
MQL(Marketing Qualified Lead)とは、マーケティング活動によって獲得されたリード(見込み客)のうち、購買意欲が一定水準以上であり、見込み客と判断された顧客のことを指します。
企業のマーケティング部門がメルマガや積極的な情報発信を通じて育成し、「この顧客は営業部門がフォローし、案件化するべきである」と認識された段階がMQLです。
例えば、オウンドメディアから資料請求を行った企業を対象に、興味関心を促すためにメルマガなどの発信を行った上で、受注見込みが高くなった顧客をMQLと位置付けます。
■MQLの定義と役割
MQLの役割は、営業部門が見込み客へ効率的にアプローチし、成約へと導くための橋渡しをすることです。マーケティング部門が集めたリードの中から、適切なスコアリング手法を用いて購買意欲の高い顧客を抽出し、営業部門に引き渡します。
このプロセスを経ることで、営業担当者は無駄なアプローチを減らし、受注率を向上させることが可能です。なお、MQLにはプログラミング言語である「MQL(Meta Quotes Language)」もありますが、今回の記事では説明を割愛します。
■MQLとSQLの違い
MQLと比較されるマーケティング用語に「SQL(Sales Qualified Lead)」があります。MQLは「営業に引き渡す前の見込み客」、SQLは「営業が商談化を進める段階の見込み客」という違いがあります。
具体的な違いを以下の表にまとめました。
項目 | 内容 |
MQL(Marketing Qualified Lead) | ・マーケティング活動で獲得されたリードのうち、購買意欲が一定水準以上のもの ・ナーチャリングにより興味関心が高められた顧客 ・営業部門に渡す準備が整った段階(例:情報をまとめてドキュメントで渡せる状態) |
SQL(Sales Qualified Lead) | ・営業部門が実際にアプローチし、商談化 ・顧客の具体的なニーズが確認されており、見積もりや提案が可能な状態 ・すぐに営業アクションを実施すべき段階 |
両者は全く別のマーケティング用語ではありません。マーケティング部門で抽出したMQLに対して、営業担当者でフォローすべきと判断された顧客がSQLとなります。
具体的には、マーケティング部門が「購買意欲が高い見込み客(MQL)」と判断した情報は、営業部門へと引き継がれます。
その後、営業担当者は電話やメールを通じて顧客とコミュニケーションを取り、具体的なニーズや予算、商品購入やサービス導入のタイミングを確認します。この過程で、契約の見込みが高いと判断された顧客は、「営業が重点的にアプローチすべき対象(SQL)」として分類されます。
MQLを活用するメリット
ここからはMQLを活用するメリットについて解説します。
・営業活動の効率化
・顧客との関係を築きやすい
・新規顧客となりうる層の見逃し防止
MQLは「企業の営業効率とコンバージョン率を高める」という点で営業活動の効率化につながります。
あらかじめ受注確度の高い見込み客に絞って営業を行うことで、コンバージョン率が上がるだけでなく、商談から受注までの期間が短い場合が多いので、営業活動の効率化も見込めます。
営業担当はアポ段階の商品説明を行う必要がなく、より核心に迫った深い営業を行うことができます。これにより、営業全体のコンバージョン率を高め、利益向上にも繋げられるのです。
■顧客との関係を築きやすい
MQLを適切に管理することで、顧客との信頼関係を築きやすくなります。
例えば、メルマガやウェビナーを活用し、定期的に価値ある情報を提供することで、見込み客の興味関心を維持できます。
継続的な情報発信を行うことで、顧客のファン化にもつなげられ、リピーターを増やしたり、新商品に認知・興味を促すことも可能です。
また、パーソナライズされたコンテンツを提供することで、顧客満足度を向上させ、より関係を築きやすくなります。このように、MQLの適切な管理と情報提供は、顧客との良好な関係構築に繋がります。
■新規顧客となりうる層の見逃し防止
MQLを適切に管理することで、新規顧客となる可能性のあるリードを最大限に活用できます。特に、検討段階で購買意欲がまだ顕在化していないものの、心情や状況の変化により何の前触れもなく検討段階の見込み客になることもあります。
MAやCRMといったツールを活用しつつ、検討段階の見込み客に対して継続的にアプローチすることで、新規顧客となりうる層を見逃しません。これにより、新規顧客を漏れなく獲得し、売上拡大につなげることができる可能性があります。
MQLを生かすにはSQLへの移行が鍵
MQLを最大限に活用するためには、SQL(Sales Qualified Lead)へのスムーズな移行が不可欠ですMQLのままでは商談化されないため、適切なプロセスを経て営業部門に引き渡すことが重要です。
SQLへの移行をスムーズにするためには、MQLのスコアリング基準を明確にする必要があります。たとえば、特定の行動(資料請求、ウェビナー参加、デモ申込など)に応じてスコアを設定し、合計スコアが一定を超えた時点で営業部門に引き渡す仕組みを作ることが有効です。
また、マーケティング部門と営業部門の連携が欠かせません。定期的な情報共有を行い、MQLの状況をリアルタイムで把握できる環境を整えることで、適切なタイミングでSQLへの移行を促進できます。
このように、MQLの管理だけでなく、SQLへの適切な移行プロセスを確立することで、コンバージョンを向上させ、売上拡大が見込めます。
特にMQLからSQL移行は、ナーチャリングやデータの抽出が鍵になるので、見込み客データのクレンジングやセグメントを行い、データ自体の精度を高める必要があります。以下の記事では、質の高いリードを獲得し、データの精度を上げる方法について紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
顧客をMQLからSQLまで成長させるための手順
ここからは、MQLからSQLまで成長させるための手順について紹介します。
・マーケティングによる見込み客の獲得(リードジェネレーション)
・見込み客の育成(リードナーチャリング)
・見込み客の選定(リードクオリフケーション)
■マーケティングによる見込み客の獲得(リードジェネレーション)
顧客をMQLへと成長させる第一歩は、見込み客を獲得することです。リードジェネレーション(見込み客の創出)とは、ターゲットとなる顧客に自社のサービスや製品を認知してもらい、興味を持ってもらう施策を指します。
具体的には、以下のような施策で顧客の認知を促します。
・オンライン広告
・オウンドメディア
・SNS
・ウェビナー、イベント
・チラシ
まずはこれらの施策を通じて、見込み顧客の情報の獲得を目指します。
■見込み客の育成(リードナーチャリング)
リードナーチャリングとは、獲得した見込み客の購買意欲を高めるプロセスです。
単に見込み客を集めるだけではなく、適切な情報提供やコミュニケーションを通じて、商談の可能性を高めることが重要です。
リードナーチャリングは、基本的に以下の施策を行います。
・メルマガの活用
・イベント・セミナーの開催
・インサイドセールス・テレアポ
メルマガを通じて定期的に有益な情報を提供し、見込み客との関係を維持します。購買意欲の高まりに応じて、パーソナライズしたメールを送ることで、より深い関係性を築くことができます。
直接対話ができるイベントやセミナーを通じて、見込み客に自社の価値を伝え、興味を持ってもらうことも大切です。
インサイドセールスやテレアポを活用し、見込み客と直接コミュニケーションを取ることで、購買意欲のある顧客をより明確に見極めることができます。これらを通じて、見込み客の育成を行っていきます。
■見込み客の選定(リードクオリフケーション)
リードクオリフィケーションとは、育成した見込み客の中から、属性や行動データを基に受注確度の高い顧客を選定するプロセスです。
顧客の業種、企業規模、役職、購買履歴、サイト訪問回数などのデータを活用し、受注確度の高い顧客を特定します。
購買意欲が特に高い見込み客をスコアリングし、SQLへと移行する適切なタイミングを判断します。これらのプロセスを通じて、MQLからSQLへと移行していきます。
MQL施策を進める上で解決すべき3つの課題
MQL施策を進める上で解決すべき3つの課題は以下の通りです。
・商談化までに時間がかかる
・営業とマーケティングの部門間の連携が不十分だと成果に繋がりにくい
・MQLの成果が見えにくい
■商談化までに時間がかかる
MQLは、マーケティング活動を通じて育成され、SQLへと移行されてから商談化に進むので、MQLから商談に至るまでには時間がかかる傾向があります。
マーケティング部門はこの点を理解し、リードナーチャリング(見込み顧客の育成)を適切に行う必要があります。例えば、定期的なコンテンツ配信やウェビナーの実施、メルマガの配信によって、見込み顧客の購買意欲を高めていくことが重要です。
時間を要するものの、正しく施策を進めることで、成約率の向上につながります。焦らず、段階的に見込み顧客を育成することが、MQL施策を成功させる鍵です。
■営業とマーケティングの部門間の連携が不十分だと成果に繋がりにくい
MQLの成果を最大化するためには、マーケティングと営業部門の円滑な連携が不可欠です。
マーケティング部門が獲得したMQLを、営業部門が適切なタイミングでフォローしなければ、購買意欲が最も高まった瞬間を逃してしまう可能性があるからです。
効果的な連携のためには、以下のような施策が有効です。
・CRMやMAツールの活用:MQLのデータをリアルタイムで共有する
・定期的な情報共有ミーティングの実施:MQLの質や営業部門のフィードバックを分析・改善し合う
・営業部門へのMQL情報の提供:購買意欲のスコアリングを営業部門でも行えるようにする
これらの施策を実施することで、MQLの質を向上させ、営業部門がスムーズに案件化へと導ける体制を整えることができます。
■MQLの成果が見えにくい
MQLの施策は長期的なアプローチが必要なため、短期間での成果が見えにくいという課題があります。
マーケティング活動が売上にどの程度貢献しているのかを可視化しなければ、改善のための施策を打ちづらくなります。
この課題を解決するためには、以下の取り組みが有効です。
・KPIの明確化:MQLからSQLへの転換率や商談化率を設定し、施策の効果を数値で評価
・ツールを活用した成果の可視化:CRMやBIツールを用いて、MQLが成約につながった割合をリアルタイムで把握する。
・マーケティングROIの算出:MQL獲得にかかったコストと売上を比較し、ROI(投資対効果)を分析する。
こうしたデータを活用することで、MQLの施策がどの程度の効果を生んでいるのかを定量的に把握でき、改善点の特定が可能になります。
MQLに関するよくある質問
ここからはMQLに関するよくある質問を紹介します。
・MQLとはマーケティングで何を指す?
・MQL率とは何を指す?
それでは詳しく解説します。
■MQLとはマーケティングで何を指す?
MQL(Marketing Qualified Lead)とは、マーケティング活動によって獲得された見込み顧客のうち、一定の購買意欲があると判断されたリードを指します。
具体的には、ホワイトペーパーのダウンロードやウェビナー参加などのアクションを起こしたリードがMQLとされることが一般的です。
■MQL率とは何を指す?
MQL率とは、獲得したリードのうち、MQLへと転換された割合を示す指標です。計算式は以下の通りです。
MQL率(%) =(MQL数 ÷ 獲得リード数)× 100
MQL率を向上させるためには、リードナーチャリングの強化やスコアリング基準の見直しが必要です。例えば、より質の高いリードを獲得するためにターゲットを明確にし、適切なコンテンツを提供することが重要です。
まとめ
この記事では、MQLの定義やSQLとの違いや、うまく活用する方法について解説しました。
MQL施策を成功させるためには、商談化までの時間を考慮し、適切なリードナーチャリングを行うことが不可欠です。
また、営業部門との円滑な連携を図ることで、MQLの価値を最大限に活かすことができます。MQLの成果を可視化し、定量的な評価を行うことで、施策の改善にも繋げられるでしょう。
MQLの概念を正しく理解し、効果的な運用を行うことで、成約率の向上や売上の最大化に寄与することができるはずです。
Webライター。BtoB系の案件メイン担当。主に上位表示を目指したSEO記事の作成を担当。これまでに、コーポレーションサイトやオウンドメディア、求人広告など2,000記事以上を執筆。