タイのPride Month(プライドマンス)におけるマーケティング事例

タイのPride Month(プライドマンス)におけるマーケティング事例

近年タイでは、毎年6月のPride Month(プライドマンス)に力を入れています。特にバンコクを中心に、LGBTQ+の権利と平等を支持する活動やイベントが盛り上がりを見せており、企業やメディアもイベントに合わせた施策を行っています。本記事では、Pride Month期間中に展開されるタイのマーケティングについて、デザイン、キャンペーン、グッズの観点から紹介します。


タイにおけるLGBTQ+とPride Month

毎年6月は世界的にPride Month(プライドマンス)といわれており、LGBTQ+の権利や多様性を尊重 し、啓発する月となっています。Pride Monthの関連イベントとしてバンコクでは “BANGKOK PRIDE FESTIVAL 2024” が5月31日から6月4日にかけて開催されました。

イベントポスター

また、タイでは、2024年6月に東南アジア初の同性婚を認める法律が可決されました。 9月には国王からの承認が得られ、いよいよ2025年の1月から施行されることが決定しました。

参考資料

thaipbs: ราชกิจจาฯ ประกาศแล้ว "พ.ร.บ.สมรสเท่าเทียม" มีผล 22 ม.ค.68 | Thai PBS News ข่าวไทยพีบีเอส
https://www.thaipbs.or.th/news/content/344580
thaipbs: "กม.สมรสเท่าเทียม" ผ่านแล้ว สร้างประวัติศาสตร์ชาติแรกอาเซียน | Thai PBS News ข่าวไทยพีบีเอส
https://www.thaipbs.or.th/news/content/341145
NHK: タイで同性婚が法制化 来年1月施行へ 東南アジアで初めて | NHK | タイ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240925/k10014591811000.html

比較的LGBTQ+が受け入れられていると言われているタイにおいて、LGBTQ+に関する世論はマーケティングにどのような影響をあたえているのでしょうか? この記事では、タイにおけるPride Month関連のマーケティング事例をご紹介します。

タイのPride Monthにおけるマーケティングの特徴

タイでは6月ごろになると、様々な企業がPride Monthへの支持を示すとともに商品の購入やサービスの利用を促すプロモーションを行います。例えば、商品のパッケージをPride Month仕様にする、Pride Monthに関するキャンペーンを行う、などが施策として実行されています。

また、このようなPride Monthにおけるマーケティングでは、主にSNSプラットフォームが活用されています。

ここからは、Pride Monthにおけるマーケティングにはどのような特徴があるのか、デザイン・キャンペーン・グッズの3つの観点で具体例を挙げながら紹介していきます。

タイのPride Monthにおけるマーケティング:デザイン

Pride Monthを象徴するデザインは虹です。虹は多様性のシンボルであり、一目でPride Month関連のキャンペーンであることがわかります。虹を使ったデザインの例をいくつかご紹介します。

タイ全国で展開しているスーパーマーケット「Tops」の広告事例

スーパーマーケット「Tops」のPride Monthにあわせた広告では、「様々な色の野菜・果物」という見出しで、虹のカラーに合わせて野菜や果物の栄養素・効果を紹介しています。虹をそのまま載せるのではなく、伝えたいメッセージとともに多様性を認めるようなデザインとなっています。

Topsのポスター

タイの巨大スーパーマーケット「Lotus's」の広告事例

こちらもスーパーマーケットの事例になりますが、「Lotus's」では虹のカラーに合わせて、カラフルな商品をキャンペーン広告のデザインに使用しています。Pride Monthに直接的には関係のない商品も、カラフルであれば広告素材として使われているようです。元々パッケージがカラフルな商品を前面に押し出して、虹を表現しています。

Lotus'sのキャンペーン広告

タイ随一の通信事業者「True」の広告事例

通信会社Trueのキャンペーンデザインでは、虹そのものではなくレインボーカラーの旗や “True Pride” というキャッチコピーの形でPride Monthを取り入れています。またメッセージとして「愛の自由を祝おう」というサブコピーを入れて、Trueが多様性を支持しているということをアピールする内容になっています。

Trueのポスター

タイのPride Monthにおけるマーケティング:キャンペーン

次にキャンペーンの事例をご紹介しましょう。Pride Month中は、様々なキャンペーンが行われます。

タイ全国で展開しているスーパーマーケット「Tops」のキャンペーン事例

Topsでは「多様な味を見つけて、Pride Monthを迎えよう」という内容で、PrideMonthにちなんだ割引キャンペーンを実施していました。

Topsの広告

タイの巨大スーパーマーケット Lotus'sのキャンペーン事例

Pride Monthの期間中にフードコート用のカードを購入すると20バーツ分がもらえるという内容のキャンペーンを行いました。特に多様性やLGBTQ+といったテーマと直接的な関係があるわけではなく、Pride Monthのお祝いキャンペーンということのようです。

Lotus'sのキャンペーン広告

配車・デリバリーサービス「Grab」のキャンペーン事例

配車サービス「Grab」が運営するフードデリバリーのキャンペーン事例です。こちらも「Happy Pride Month」ということで、Pride Month期間中のみ限定で、特定のメニューの割引を行っていました。

Grabのキャンペーン広告

このように、Pride Monthは、多様性の重要さを伝える以外にも、季節のイベントとして捉えられているかもしれません。

タイのPride Monthにおけるマーケティング:グッズ

最後に、具体的なグッズもみていきましょう。この時期、Pride Month限定のグッズも様々な企業から販売・配布されます。

「スターバックスコーヒー タイランド」のグッズ事例

「スターバックスコーヒー タイランド」では、Pride Month限定のタンブラーを販売していました。多様性をコンセプトにして活動しているアーティスト「Tim Singleton」とコラボした、鮮やかでカラフルなデザインとなっています。

Starbucks Coffeeの商品広告

タイの有名コーヒーチェーン店「The coffee club」のグッズ事例

コーヒーチェーンの「The coffee club」では、Pride Monthを意識した6月6日限定のリユーザブルカップを販売していました。

The coffee clubの商品広告

タイでのマーケティングならPride Monthを理解しよう 

Pride Monthにおけるタイのマーケティングは多種多様で、かなり盛大に行われていました。また、ここで挙げた例だけでも、Facebookを始めとしたSNSプラットフォームを利用したプロモーションが目立ちました。

日本にはPride Monthという文化がまだまだ根付いておらず、聞いたことのない人も少なくないでしょう。しかし、タイの企業にとっては見逃すことのできない、大事なトレンドになっていることは間違いなさそうです。

タイでのマーケティングを考える際には、引き続きPride Monthにも注目する必要がありそうですね。

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この記事のライター

タイ語を専攻する大学生。タイの映画やドラマをきっかけに、タイの文化や言語に興味を持つようになる。2024年には半年間、タイのタマサート大学に留学し、現地でタイ語と文化を学んだ。

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