スピーカー紹介
株式会社日比谷花壇
リテール第一事業部 オンラインセールスグループ
リーダー
横山 哲大氏
株式会社ヴァリューズ
ソリューション局
DX推進支援グループ
若林 広樹
過去のデータ活用における2つの課題
株式会社日比谷花壇 横山 哲大氏(以下、横山):弊社はウエディングの装花や、オンラインショップでのフラワーギフトの販売などを手がけているのですが、大きく2つの課題がありました。
1つ目はデータ分析の属人化です。データ分析ができる担当者が限られており、営業部門が見たいデータを得るのに通常5日ほどかかっていました。これにより、スピーディーな状況把握や施策の実行ができず、後手後手に回ってしまう状況でした。
2つ目は業務の継続性におけるリスクです。仕事が人に依存しているため、担当者の異動や退職により、長年培ってきた分析ノウハウが失われてしまい、また1から始めなければならないということが実際にありました。
日比谷花壇様におけるデータ活用の課題だった点
株式会社ヴァリューズ 若林 広樹(以下、若林):これら2つの課題に対し、ビジネス部門が主体となって運用できる、分析基盤を構築するという解決策をご検討されたとうかがっています。弊社をパートナーとして選んでいただいた背景についてお聞かせください。
横山:ヴァリューズさんは、ビジネス視点とデータ視点の両方に優れていると感じました。特に「最終的にこういう施策をしたい」というゴールから逆算して、必要なデータを提案してもらえる点が強みだと思ったのです。あとは、ビジネス部門と、システム部門の間のコミュニケーションの円滑化にも注力してもらえる点に期待し、お願いすることにしました。
ヴァリューズを選定した理由
分析基盤の構築プロセスとデータ活用の定着まで
若林:実際に日比谷花壇様の課題解決支援を開始するにあたり、「販売部門が、施策の示唆出しにリアルタイムでデータを活用できるようになる」というゴールを設定しました。その手段として、社内に散在していたデータを集約し、日比谷花壇様専用の分析基盤を構築しました。
具体的には、Googleのクラウド環境(GCP)にPOSデータや受注データ、Webサイトのアクセスログなど全てのデータを自動で投入し、BIツール「Tableau」で可視化・分析できる仕組みです。
分析基盤構築のプロセス
若林:基盤を構築してから、ほぼ毎日データがリアルタイムで更新され、モニタリングや個別の分析も全てTableauの中で完結できるようになりました。環境が変わり、大きな違いがあったというようなポイントがあれば、お話しいただけますでしょうか。
横山:基盤ができたことで、営業部門の担当者が自分で行った施策の結果を、自分で直接見にいけるようになりました。以前は各担当者がデータを扱える人に個別に依頼し、ローデータを自分で集計するようなこともしていましたが、今はその必要がありません。非常に施策を進めやすい環境になったと思っています。
若林:業務のスピード感も大きく変わられたとのことですが、基盤ができただけではデータ活用は定着しません。日比谷花壇様では、どのように定着を進められたのでしょうか。
横山:元々、営業部隊の人間は、数字を見たいという意識は持っていました。ただ過去の環境では、データを取りにいくのが一苦労だったのです。しかし今回、データを見やすい環境が整ったことで、データ活用のハードルが劇的に下がりました。
加えて、ヴァリューズさんには、Tableauの使い方のワークショップを実施していただいたほか、見たいデータに関する相談にも乗っていただきました。弊社内だけでは解決できない問題に対して、手厚いサポートがあったことも大きな要因です。
そのような支援もあり、今ではTableauのCreator権限(データ編集が可能な権限)を持つ各担当者が積極的にシートを作成し、日々数字を確認しながら、施策を振り返る文化が根付いています。
若林:弊社としては、日々基盤自体をブラッシュアップし、最新の業務に即したデータや施策を提供できているかを意識しながら、支援させていただいています。
VALUESとの最近の取組事例、そして今後への期待
若林:弊社は基盤を構築しただけで終わりではなく、 最新のテーマに基づく様々なデータ活用に関する議論と実践に関して、サポートさせていただいております。
最近でも顧客調査のアンケートをご一緒させていただきました。こちらに関して、どのようなところに課題があったのかなど、お話しいただけますでしょうか。
最近のヴァリューズとの取組み〜生成AIを使った顧客調査
横山:弊社は母の日を中心としたギフトがメインで、顧客単位で見ると、年1〜2回の購入がほとんどです。購入回数をいかに増やしていくかが課題でした。
アンケート調査の結果、2回目の購入を促進するには「1回目の購入でいかに良い体験をしていただけるか」が非常に重要だと再認識しました。
1回目の購入時にプレゼントを贈った相手から、お礼の言葉や写真が届いた時に、「良いものを送ったな」「感謝されるって嬉しいな」と感じることが、次の購入につながるということがデータで明確になりました。
若林:またもう1つ、母の日の在庫予測も毎年ご支援させていただいていますね。
最近のヴァリューズとの取組み〜リアルタイムでの在庫予測
横山:花の在庫予測は非常に難しく、毎年苦慮しています。
ヴァリューズさんには、過去のデータと今年の進捗から販売を予測してもらっていますが、精度は年々上がっています。今年の母の日を乗り越える上でも非常に役立ちました。
若林:花木などは保管が大変という面もありますし、より在庫予測の精度を上げていくことが重要だと思います。弊社としても引き続き支援させていただければと思っております。
改めて今後、弊社にはどのようなことを期待されているのでしょうか。
横山:今以上に顧客のインサイトをより深く理解するために、ヴァリューズさんにご支援いただきたいです。
というのも、母の日以外のギフト需要をもっと伸ばしていきたいという命題があるからです。そのためには、顧客が花に何を求めているのか、今後、花を用いたどのようなギフトシーンを作れるのかを模索していく必要があります。
若林:日比谷花壇様は2025年、サイトをリニューアルされ、精力的に新たな取り組みにも着手されています。今後も伴走しながら課題解決につながるよう、全力でサポートさせていただきたく思っています。
本日はありがとうございました。





マナミナ 編集部 編集兼ライター。
金融・通信・メディア業界を経て現職。
趣味は食と旅行。