テレワーク実施企業の注目事例は?在宅勤務制度のノウハウを学ぼう

テレワーク実施企業の注目事例は?在宅勤務制度のノウハウを学ぼう

新型コロナ対策で在宅勤務でテレワークを実施している企業が増えています。テレワークの形態にも色々ありますが、いざ全面導入すると制度やツールなどさまざまな場面で課題を感じている方も多いようです。テレワーク導入に積極的だったGMOやクックパッド、サイボウズは制度面からツールまで多くのノウハウを公開していて、先行事例として参考になります。


新型コロナ対策で各企業が続々テレワークに移行

新型コロナウィルス対策で、多くの企業がテレワークを導入し始めています。国や都の声かけで、オリンピックの交通混雑対策として準備していた企業もあるもの、日本がこれだけ大規模にテレワークを実施するのは初めてではないでしょうか。

オリンピックや新型コロナ対策の側面のほかに、テレワークそのもののメリットとしては、満員電車に乗らずに済んだり、介護や育児による離職防止、働き方改革あるいは従業員満足度の向上などあげられます。

一方で、テレワークは準備しながら段階的に導入する事例が多く、今回のように突然大規模に実施すると、企業の制度やツールなどで対応しきれない課題が出ているようです。いち早くテレワークを実施し、課題解決のノウハウを公開してくれている企業を参考にすると、取り入れられる施策があるかもしれません。

テレワーク実施企業の注目事例

それではテレワーク・在宅勤務を検討する際に参考となる、ネット企業の導入事例を3つ紹介します。

GMOインターネットグループ|いち早くテレワークに移行し情報発信量もダントツ

GMOインターネットグループでは新型コロナウィルスの対策として、2020年1月27日から4000人の従業員を対象にした在宅勤務体制をスタートさせました。今ほどウィルスの影響が出ていなかった1月下旬の段階で、テレワークに移行した先行事例です。

GMOインターネットグループでは、在宅勤務に移行して1週間後に従業員アンケートを行っています。また、1ヵ月後にも再度アンケートを実施。現場の声を吸い上げ、生の意見を生かした制度の再構築が試みられています。

アンケート結果では、約9割の従業員が在宅勤務体制を支持しており、さらに約7割が「業務上の支障はあまり感じない」と回答しています。これを見るだけでも、テレワークを導入する意義が大きいことがわかります。

一方で、従業員が感じる「在宅勤務の課題」についても言及されています。そのなかで多く挙げられているのが「作業環境」についてです。テレワークでは、少なからず通信環境を個人に依存しなければなりません。「自宅の通信環境が弱い」「システム上の問題で社内のイントラネットにアクセスできない」「対応するデバイスを持っていない」などの課題が挙げられています。

アンケートのサマリーはGMOインターネットグループの新型コロナウイルス対策の特設サイトで公開されています。膨大な情報量で、テレワークの事例としてまた企業の情報発信の事例として参考になります。

GMOインターネットグループ:在宅勤務に関するアンケートを実施 | GMOインターネット株式会社

https://www.gmo.jp/news/article/6699/

GMOインターネットグループが在宅勤務に関するアンケートを実施し、結果を分析。

GMOインターネットグループ:在宅勤務体制開始から1ヵ月経過長期化する在宅勤務の課題についてアンケート第2弾を実施 | GMOインターネット株式会社

https://www.gmo.jp/news/article/6713/

GMOインターネットグループ:在宅勤務体制開始から1ヵ月経過長期化する在宅勤務の課題についてアンケート第2弾を実施

クックパッド|快適な在宅勤務環境づくりに注力

レシピサイトを運営するクックパッドも、2020年2月18日より10日間の在宅勤務を実施、その後3月一杯まで期間を延長しています。全従業員に対して在宅勤務を指示し、やむを得ず出社する場合は上長の許可が必要です。さらに、社内外の会議はもちろん、採用面接も全てビデオ会議で実施するという徹底ぶりです。

クックパッドでは、日常的にクラウドサービスを利用しています。具体的には、コミュニケーションツールとしてSlack(チャットサービス)やZOOM(Web会議サービス)、バックオフィス業務ではWorkday(人事・総務系クラウドサービス)などを利用しています。これらのツールはもともと、場所や時間、雇用形態など関係なく、ほぼ全ての従業員が利用可能です。作業環境を日ごろから整えていたからこそ、テレワーク導入がスムーズに行なえたということがうかがえます。

さらに、今回の在宅勤務指示に際し、自宅にインターネット環境を持たない従業員に対しては、モバイルルーターやテザリング可能な携帯電話の貸出も行い、社外でも支障なく仕事ができるような配慮もしています。

クックパッドのtechブログでは、在宅勤務をより快適にするための工夫も公開されています。たとえば、「リモート昼ご飯」。自宅で料理をし、それをSNSやSlackの「#リモート昼ご飯」というチャンネルで投稿する試みです。レシピサイトを主幹事業とするクックパッドらしい取り組みです。

クックパッドの在宅勤務環境 - クックパッド開発者ブログ

https://techlife.cookpad.com/entry/2020/02/21/130002

コーポレートエンジニアリング担当 VP の @kani_b です。 昨今急速に拡大している新型コロナウイルス感染症の感染拡大リスクを鑑みて、従業員や関係者の皆さまの安全確保を目的に、クックパッドでは 2/18 (火) からまずは2週間ほど、国内拠点の全従業員(正社員、契約社員、パート・アルバイト、派遣社員、通常在席の業務委託)を対象に在宅勤務の原則化を実施することになりました。 クックパッド、新型コロナウイルスの拡大防止対策で、全従業員を対象に在宅勤務(Work from Home)を実施 | クックパッド株式会社 ‌ この記事では、現在クックパッドでどのような環境づくりのもと、在宅勤務が行わ…

サイボウズ|テレワーク先進企業が導入ノウハウ公開

サイボウズは10年以上前となる2010年8月から在宅勤務を導入してきたテレワークの先進企業といえるでしょう。その後も、検討を重ねながら制度のブラッシュアップを進めています。サイボウズのサイトでは、同社がテレワーク制度を推進してきたこれまでの軌跡が公開され、企業の組織的・制度的な導入ステップの参考になります。

在宅勤務の課題としてよく挙げられる、人事評価やセキュリティー、作業環境などの問題にどう対応すればいいのかも説明がなされています。テレワークについての講演資料なども掲載されており、リモートワーク・在宅勤務をこれから導入する企業には参考になるはずです。

サイボウズの「テレワーク」に関する情報を公開します

https://cybozu-remotework.qloba.com/

新型コロナウイルス感染症による被害が日本で拡がっているのを受け、サイボウズが実践してきた「テレワーク」に関する情報をまとめました。

テレワーク導入で大切なことは

テレワークを上手に運用するためのカギはどこにあるのでしょうか。今回ご紹介した3つの事例に共通していることは大きく2つあります。

1つは、まずはテレワークを導入してみて、そこからトライ&エラーを絶えず繰り返している点です。もちろん事前の準備は大切ですが、議論が机上の空論で終わってしまうことも少なくありません。「案ずるよりも産むが易し」、まずは実践してみて、そこから社員の意見を吸い上げ、制度の改善につなげていくサイクルを回していくことが大切です。

2つ目は経営層自身がテレワークに対する理解を持っているという点です。いずれの企業も、トップが問題意識を持っているからこそ、スピード感を持ってテレワークへの移行を断行することができたということです。

さて、実は「マナミナ」を運営している株式会社ヴァリューズも在宅勤務・リモートワークの積極的な実施を行っています。社内コミュニケーションはSlackを利用し、オンラインセミナーはZoomで実施。社内の打合せにはGoogleハングアウトを使っています。

恒例の全体定例会もオンラインで行っています。全社員がオンライン上に集まるのでコメント欄はかなり賑やかに。誰かが目標達成して表彰されたりすると、コメント欄は拍手やお祝いメッセージが並び、ちょっと和やかな雰囲気になります。システム的な作業環境も整備を進めていたので、テレワークでも支障なく仕事を進めることができています。

新しい取り組みには必ずリスクを伴いますが、それで得られるメリットも少なくないはずです。今回ご紹介した先行事例を参考に、テレワークの検討をしてみてはいかがでしょうか。

関連記事

みんな、何使ってる?テレワークを支えるツール12選

https://manamina.valuesccg.com/articles/806

働き方改革やコロナ対策で実施が進むテレワーク。在宅で業務するには、リモート環境から必要な文書にアクセスしたり、同僚と情報共有したり、オンラインで会議できる環境やツールが必要です。ここではコミュニケーション、Web会議、オンラインストレージ、リモートアクセスなど各分野でよく使われている有力なツールを紹介します。

コロナが変えた消費者行動を検索から深掘る Googleが提唱したバタフライ・サーキットを活用【NewsPicksウェビナー】

https://manamina.valuesccg.com/articles/826

DX時代に求められるマーケティング戦略について、NewsPicks主催のイベントが4月14日、YouTube Liveで開催されました。登壇者は株式会社Kaizen PlatformのCEO・須藤憲司さん、ヴァリューズの副社長・後藤賢治と執行役員・子安亜紀子の3人。新型コロナの影響によって変化した消費者の行動を、データからディスカッションした内容をお伝えします。

この記事のライター

マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。

編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。

関連するキーワード


テレワーク コロナ影響

関連する投稿


動画配信サービス最新動向!コロナ初期~現在までの利用実態を調査

動画配信サービス最新動向!コロナ初期~現在までの利用実態を調査

東京オリンピックの延期など、世界的に大きな影響を及ぼしたコロナは、3年の時を経てようやく収束の気配を見せ始めました。 そんな、コロナ禍の生活に適応を見せたのが「動画配信サービス」です。果たしてコロナ収束は動画配信サービスのユーザー数に影響を与えたのでしょうか。本稿では、Amazon Prime Video、Netflix、U-NEXT、Hulu、Disney+の5サービスについて、消費者のアプリ利用動向を調査します。


2023年の海外旅行はどうなる?消費者の最新動向を分析

2023年の海外旅行はどうなる?消費者の最新動向を分析

新型コロナウイルス禍で3回目となる年末年始は行動制限がなく、人の流れもコロナ禍前の水準に戻りつつありました。徐々に日常を取り戻していく中で、2023年は旅行に対する期待もさらに高まりつつあるのではないでしょうか。今回は、海外旅行のトレンドを分析します。


ブライダル市場はどこまで回復した? ~最新の結婚式トレンドと消費者の関心を調査~

ブライダル市場はどこまで回復した? ~最新の結婚式トレンドと消費者の関心を調査~

『WITHコロナ』の時代になりつつある2022年。イベントごとの代表格としてコロナ禍では延長・中止されていた結婚式も、徐々に開催されるようになりました。今回は『WITHコロナでの結婚式』をテーマに、WITHコロナの時代だからこそ登場したトレンドやユーザーの関心が寄せられるポイントを、詳細に調査してみました。


「全国旅行支援」、世間の期待度は「GoToトラベル」「県民割」より高い?どんな旅行アプリが最近のトレンド?

「全国旅行支援」、世間の期待度は「GoToトラベル」「県民割」より高い?どんな旅行アプリが最近のトレンド?

2022年10月から、旅行需要を呼び起こすための「全国旅行支援」が始まりました。12月下旬までの期間限定ではありますが、旅行会社では既に売り切れのプランもあるなど、注目度が高い施策と言えそうです。「全国旅行支援」が行われたことによって、旅行業界にはどのようなインパクトがあったのでしょうか。GoToトラベルや県民割など、これまでの支援事業への世間の反応も含めて、分析を行いました。


コロナ禍でメンズ人気も高まる骨格診断。マーケティングに戦略的に活用するには?

コロナ禍でメンズ人気も高まる骨格診断。マーケティングに戦略的に活用するには?

女性ファッション業界ではお馴染みの骨格診断。自分の魅せ方を知るため、体験するにはとても楽しいコンテンツです。骨格診断は女性人気が高いイメージですが、メンズ自身のニーズの高まりは見られるのでしょうか。また、骨格診断を活用したビジネスは今後どうなっていくのか。海外で長年ラグジュアリーブランドに従事してきたビューティーアナリスト、東風上尚江が、業界のプロの目線から考察します。


最新の投稿


職場のデジタル化に遅れを感じる人は約6割 進まない原因に「経営上位層の認識遅れ」や「古いシステムの継続利用」などの声も【TOA調査】

職場のデジタル化に遅れを感じる人は約6割 進まない原因に「経営上位層の認識遅れ」や「古いシステムの継続利用」などの声も【TOA調査】

TOA株式会社は、全国の20~50代の働く男女を対象に「職場環境・デジタル化の実態に関する調査」を実施し、結果を公開しました。


YouTube, Shorts & TikTok: Comparing Gen X, Y, & Z! Usage rates, how they’re used, & effectiveness of ads <Part 2>

YouTube, Shorts & TikTok: Comparing Gen X, Y, & Z! Usage rates, how they’re used, & effectiveness of ads <Part 2>

Gen Z has been enjoying videos since their school days and known as one of the first to adopt short-form videos. We’ll analyze how they use video-format social media and compare with Gen X and Y. This analysis will cover medium usage, popular content, daily integration, purchasing behavior, and awareness.


BtoBデジマに取り組む約8割が成果を実感 年間予算は5,000万円未満の割合が約7割 【リーディング・ソリューション調査】

BtoBデジマに取り組む約8割が成果を実感 年間予算は5,000万円未満の割合が約7割 【リーディング・ソリューション調査】

株式会社リーディング・ソリューションは、BtoB企業に勤務する経営者・役員、会社員の中でも、デジタルマーケティングに関与している方を対象に、「BtoBデジタルマーケティング実態調査」を実施し、結果を公開しました。


“質”重視の消費観がもたらす。2024年中国経済の新傾向

“質”重視の消費観がもたらす。2024年中国経済の新傾向

緩やかな回復を続けている中国経済では、人口の半数近くを占める「80後(1980~89年生まれ)」、「90後(1990~99年生まれ)」、「00後(2000年以降生まれ)」が消費の主力となっています。これらの年代の消費者は生活の質や精神的満足をより重視する傾向にあり、中国経済に新しいトレンドを生み出しています。


Z世代はYouTube、TikTokなど動画主体のSNSの利用時間が長くなる傾向【CCCMKホールディングス調査】

Z世代はYouTube、TikTokなど動画主体のSNSの利用時間が長くなる傾向【CCCMKホールディングス調査】

CCCMKホールディングス株式会社は、全国16~24歳の男女を対象に『Z世代のSNS利用実態や生活満足度との関係性』について調査を実施し、結果を公開しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ