新型コロナの影響は食生活にも?「Uber Eats」などフードデリバリーアプリの利用が急増中

新型コロナの影響は食生活にも?「Uber Eats」などフードデリバリーアプリの利用が急増中

2019年10月からの消費増税で盛り上がりを見せたフードデリバリー市場。現在は新型コロナウイルスの影響で自宅で食事を取る機会が急増していることもあり、フードデリバリー市場にさらなる勢いが見られます。今回は既に定着しつつあるフードデリバリーアプリの利用状況を「eMark+」を用いて比較・調査しました。


フードデリバリー市場の現状は?

2015年頃から急増しているフードデリバリー市場。外食・中食市場について調査分析を行っているエヌピーディー・ジャパン株式会社によると、日本のレストラン業態(小売店、自販機、社員食堂、学生食堂を除く、宅配ピザを含む)におけるフードデリバリー市場は、2018年(1~12月計)で対前年比5.9%増の4,084億円。2015年の3,564億円から3年間で14%以上成長していると発表されています。

主な理由としては、共働き世代の増加や働き方改革、高齢化などがあげられており、決済方法の多様化やアプリケーションの充実などで、今後も市場の急成長が見込まれると言われています。

図:出前市場の規模推移

新型コロナウイルスの影響でフードデリバリーアプリの利用者が急増?

それでは、2020年3月のスマートフォンによる、フード関連アプリのユーザー数ランキング上位20位までを見てみましょう。

大手外食チェーンのアプリが多く占める中、フードデリバリーアプリとしては「Uber Eats」と「出前館」がランクイン。特に「Uber Eats」に関しては、利用者数の前年同月比が191.7%の大幅増となっています。
また、外出自粛要請に伴い、自宅で自炊する人も増加しているためか、「クックパッド」「クラシル」「DELISH KITCHEN」といったレシピアプリも人気のようです。

図:フード関連アプリランキング

図:フード関連アプリランキング

期間:2020年3月
デバイス:スマートフォン 
※Google Playのカテゴリ「フード&ドリンク」

フードデリバリーアプリの主要4サービスを比較・調査

ユーザー数首位の「Uber Eats」は、1年間で約2.6倍に成長

主要4サービスの直近1年間(2019年4月〜2020年3月)のユーザー数推移を見てみましょう。
「Uber Eats」「出前館」の他、ランキング外ではありましたが、「楽天デリバリー」「dデリバリー」を調査しました。

調査対象のフードデリバリーアプリ

図:調査対象のフードデリバリーアプリ

4サービス共に右肩上がりではありますが、中でも首位の「Uber Eats」は1年間で約2.6倍の伸びを見せています。

図:デリバリーアプリUU数推移

図:デリバリーアプリUU数推移

期間:2019年2019年4月〜2020年3月
デバイス:スマートフォン

性別では、男性の利用が比較的多め

続いて属性別に2019年10月から2020年3月の直近6ヶ月の推移を調査しました。まずは性別のグラフです。

「Uber Eats」「楽天デリバリー」はほぼ同数と言っていいでしょう。「dデリバリー」は男性に多く利用されているようです。

図:ユーザー属性(性別)

図:ユーザー属性(性別)

期間:2019年2019年10月〜2020年3月
デバイス:スマートフォン

未既婚別では、独身者の「Uber Eats」人気が顕著に

全体的にはほぼ同数の利用状況と見えますが、個別にみると「Uber Eats」は独身率が半数以上との結果に。
他3サービスに関してはファミリー層が多く、特に「dデリバリー」については既婚率が約58%となっています。

図:ユーザー属性(未既婚別)

図:ユーザー属性(未既婚別)

期間:2019年2019年10月〜2020年3月
デバイス:スマートフォン

年代別では20代〜40代が牽引役に。20代の「Uber Eats」人気に注目

続いて年代別の推移です。
利用者の年代別構成比率としては、全体的に20代〜40代の利用率が高いようです。
例えば、注目のフードデリバリーアプリ首位にある「Uber Eats」の利用者は約43%が20代との結果に。30代〜40代はいずれかのサービスに偏る事なく利用しているようです。

図:ユーザー属性(年代別)

図:ユーザー属性(年代別)

期間:2019年2019年10月〜2020年3月
デバイス:スマートフォン

年代別ユーザー数推移を4サービス毎に調査。各年代の動向を追ってみると?

続いて、同じ直近6ヶ月における各月の年代別ユーザー数推移がどう動いていたのか、それぞれのサービス毎に見てみましょう。

まず「Uber Eats」のユーザー数推移です。
20代の利用者数の多さと急増が目立ちます。3月の前月比は約120%の増加となりました。
また全体に占める割合は高くはないものの、50代も3月の前月比約130%と急増しています。
「Uber Eats」の、幅広い世代への急速な浸透を感じます。

図:「Uber Eats」ユーザー属性推移(年代別)

図:「Uber Eats」ユーザー属性推移(年代別)

期間:2019年2019年10月〜2020年3月
デバイス:スマートフォン

「出前館」についても3月の前月比を見ると、20代の約116%、30代、40代の約110%と急伸が見られます。そして、6ヶ月前との比較となりますが、60代の約172%増にも注目です。

また、2020年3月には「出前館」がLINEから300億の出資を受けるという発表も。「LINEデリマ」との完全統合を予定している事もあり、今後の動向に関心が寄せられています。

図:「出前館」ユーザー属性推移(年代別)

図:「出前館」ユーザー属性推移(年代別)

期間:2019年2019年10月〜2020年3月
デバイス:スマートフォン

「楽天デリバリー」では、各年代が連動して増減している動きが見受けられました。
参考までに過去の関連記事などを調べたところ、楽天ポイント倍増キャンペーンなどが頻繁に催されており、このようなキャンペーン効果が利用者数の変動に繋がっているのではないかと推測されますが、いずれの年代も2020年3月は大幅に伸びています。

図:「楽天デリバリー」ユーザー属性推移(年代別)

図:「楽天デリバリー」ユーザー属性推移(年代別)

期間:2019年2019年10月〜2020年3月
デバイス:スマートフォン

「dデリバリー」も6ヶ月前との比較では全体で約255%の急増となっており、特に30代の約250%増、40代の約316%増が目立ちます。20代の減少が気になるところではありますが、総じて全体の利用者が大幅に増加した背景にはどのような要因があったのでしょうか。今後の動きに注目です。

図:「dデリバリー」ユーザー属性推移(年代別)

図:「dデリバリー」ユーザー属性推移(年代別)

期間:2019年2019年10月〜2020年3月
デバイス:スマートフォン

まとめ

働き方や生活スタイルの変化などから、利用が増加傾向にあるフードデリバリーサービス。
さらにこの1ヶ月程の利用増加率を見ると、新型コロナウイルスの影響も大きいと考えられます。
外出自粛要請により、外食を減らさざる得ない中での食の楽しみを得る一つの手段として、また食生活の一端を担う重要なインフラとして、以前にも増して需要が見込まれるのではないでしょうか。

分析概要

全国のモニター会員(20代以上)の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「eMark+」を使用し、2019年4月~2020年3月におけるユーザーの行動を分析しました。
※アプリのユーザー数はスマートフォンからのアクセスを集計し、ヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。

本記事ではeMark+を用いて調査を行いましたが、eMark+の機能がパワーアップした新ツール「Dockpit(ドックピット)」が2020年10月にリリースされました。まずは無料版に登録して、実際にDockpitを体験してみてくださいね。

関連記事

コロナで変化した食生活と食に関する意識を調査 ~ 自粛で増えた手作り料理、約8割が継続意向。オンライン飲み会、性年代別で人気おつまみに違いも

https://manamina.valuesccg.com/articles/1113

インターネット行動ログ分析によるマーケティング調査・コンサルティングサービスを提供する株式会社ヴァリューズは、国内の20歳以上の男女10,007人を対象に、新型コロナウイルス感染拡大前後での食生活の変化や食に対する意識変化をアンケートにて調査しました。

データで見るコロナ禍における食品市場の動向と消費者行動とは?

https://manamina.valuesccg.com/articles/1019

withコロナ時代の消費者変化を、Web行動ログから考察したオンラインセミナーが開催されました。今回はコロナ禍でお取り寄せや作り置き料理など様々な需要が伸びたとされる「食品業界」に注目。いま、消費者の関心を集めている具体的なレシピや食材とその背景を、検索キーワードなどのWebログデータから読み解きます。 <br><b><font color="#c2a503">※</font>セミナー資料は無料でダウンロードできます。記事下部にあるフォームからお申込みください</b>

ステイホームを「お取り寄せグルメ」で乗り切る人が急増!話題のお取り寄せサイト分析

https://manamina.valuesccg.com/articles/855

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、全国的にステイホームが奨励されています。飲食店も臨時休業している店舗があり、外食もままならない状況。「巣ごもり消費」という新たなトレンドも生まれる中、じわじわ盛り上がってきたのがお取り寄せグルメ市場。今回はステイホーム期間中のお取り寄せグルメ市場の動向についてまとめます。

​​

メールマガジン登録

最新調査やマーケティングに役立つ
トレンド情報をお届けします

この記事のライター

マナミナ 編集部 編集兼ライター。
金融・通信・メディア業界を経て現職。
趣味は食と旅行。

関連する投稿


Analyzing the rapidly growing interest in Gacha Gacha using data! Introducing cases applied in marketing

Analyzing the rapidly growing interest in Gacha Gacha using data! Introducing cases applied in marketing

Capsule toys, or “Gacha Gacha,” have become popular globally with people all ages for their affordability and collectability, especially in Japan, with the establishment of Gacha Gacha specialty stores. We will analyze the user segment interested in Gacha Gacha and explore how companies can apply it in marketing.


人気急拡大「ガチャガチャ」の関心層をデータで分析! マーケティングに活かした事例も紹介

人気急拡大「ガチャガチャ」の関心層をデータで分析! マーケティングに活かした事例も紹介

「カプセルトイ」、通称「ガチャガチャ」は、子どもから大人まで幅広い層に愛され続けてきました。小さなカプセルに入っている多様なアイテムは、価格の手ごろさとコレクション性から、今や世界中で人気を博しています。特に、ここ数年で日本では、「ガチャガチャの専門店」ができるなどさらに人気が急拡大しています。本記事では、ガチャガチャに興味を持つユーザー層を分析するとともに、企業においてどのようにマーケティング戦略に活かせるかを考察します!


【調査リリース】Z世代メンズの美容意識を調査 ミレニアル世代より10%以上高く70%以上が美容に関心

【調査リリース】Z世代メンズの美容意識を調査 ミレニアル世代より10%以上高く70%以上が美容に関心

SNS上のバズやトレンドへの感度が高く、流行を生み出す世代として注目のZ世代。企業のライフタイムバリュー(顧客生涯価値)を高めるためには、顧客ライフサイクルが長いと思われる若い世代の獲得は避けて通れません。そこで今回は、「メンズメイク」「メンズコスメ」への関心が高まっているという背景から、Z世代男性の美容に関する意識や購買行動を、ミレニアル世代と比較しながら調査。美容潜在層を顕在層にするために、どのような環境やきっかけが必要なのか、現役Z世代アナリストが分析しました。


The latest trends provoke “empathy for real-life negative situations”? Analyzing popular characters and events

The latest trends provoke “empathy for real-life negative situations”? Analyzing popular characters and events

To generate buzz in a systematic manner, rather than by chance, it is important to look for commonalities in why certain things become a trend. We will analyze recent trends such as "cat memes," popular characters, and events to determine "what people are supporting these days, and why."


人気デリバリーアプリ「Uber Eats」「出前館」「menu」「Wolt」のポジション分析 | コロナ初期からの変化は?【2024年最新版】

人気デリバリーアプリ「Uber Eats」「出前館」「menu」「Wolt」のポジション分析 | コロナ初期からの変化は?【2024年最新版】

ここ数年で需要が高まったデリバリーアプリ。コロナ禍に利用し始めた人も多いのではないでしょうか。デリバリーサービスが注目され始めて数年が経った今、需要はどう変化したのか、また各社アプリを今利用しているのはどのような人たちなのか、人気デリバリーアプリの「Uber Eats」「出前館」「menu」「Wolt」を比較しながら分析します。


最新の投稿


生成AIの普及はまだこれから?マーケティング業務経験者の約8割が生成AIを業務利用したことがない【NEXER調査】

生成AIの普及はまだこれから?マーケティング業務経験者の約8割が生成AIを業務利用したことがない【NEXER調査】

株式会社NEXERは、Strh株式会社のサポートを受け「マーケティング業務と生成AI」に関するアンケートを実施し、結果を公開しました。


僕と私と、Z世代への街頭アンケート・サンプリング配布を含むプロモーションプランを提供開始

僕と私と、Z世代への街頭アンケート・サンプリング配布を含むプロモーションプランを提供開始

僕と私と株式会社は、一般財団法人日本ファッション協会との協業を通じて、Z世代への街頭アンケート調査、サンプリング配布、コンテンツ作成等のマーケティング・プロモーション支援の提供を開始しました。


Analyzing the rapidly growing interest in Gacha Gacha using data! Introducing cases applied in marketing

Analyzing the rapidly growing interest in Gacha Gacha using data! Introducing cases applied in marketing

Capsule toys, or “Gacha Gacha,” have become popular globally with people all ages for their affordability and collectability, especially in Japan, with the establishment of Gacha Gacha specialty stores. We will analyze the user segment interested in Gacha Gacha and explore how companies can apply it in marketing.


302リダイレクト(302 Found)とは?使用目的や設定、SEOへの影響も解説

302リダイレクト(302 Found)とは?使用目的や設定、SEOへの影響も解説

Webサイトにアクセスしたユーザーを別のURLへと一時的に転送する方法として、「302リダイレクト」があります。サイトのメンテナンスやリニューアルなどを行う際に使用されますが、「301リダイレクト」との違いや、SEOへの影響などが気になっている人も多いのではないでしょうか? 本記事では「302リダイレクト」が使用されるケースや、SEOへの影響、使用する際の注意点などについて解説していきます。


20代~30代の女性の約6割は今"ひろめたい"と思っているものがある!ひろめたいものは「推し」が最多【eBay Japan調査】

20代~30代の女性の約6割は今"ひろめたい"と思っているものがある!ひろめたいものは「推し」が最多【eBay Japan調査】

インターネット総合ショッピングモール「Qoo10」を運営するeBay Japan合同会社は、若年女性の問題に向き合い支援する一般社団法人 若草プロジェクトと共同で、全国の20代から30代の女性を対象に「情報発信・情報収集に関する調査」を実施し、結果を公開しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ