手軽に投資が始められる?ウェルスナビ・THEOからロボアドバイザーの利用者層を徹底調査!

手軽に投資が始められる?ウェルスナビ・THEOからロボアドバイザーの利用者層を徹底調査!

新型コロナウイルスの感染拡大により株価は大きく下落しましたが、先行き不透明な将来に備え、資産を堅実に運用したいと考える人も増えているかもしれません。近年ではNISAやiDeCoなど積立投資を後押しする制度も拡充し、人々の投資への関心は徐々に高まりつつあります。しかしながら、何をどうはじめたらよいのかわからないという人も少なくないはずです。そんな投資初心者や、時間をかけずに資金を運用したい人々の関心を集めているのが、コンピューターのアルゴリズムに基づいて資産運用のアドバイスを行うロボアドバイザー、通称「ロボアド」です。今回はそんな「ロボアド」に着目し、eMark+のSite Analyzer機能を用いて分析してみました。


関心度合いは右肩上がり。年代によって大きな差

まず、2019年5月~2020年4月の1年間に、「ロボアド」というキーワードで検索を行ったユーザー数の推移を調べてみました【図1】。

【図1】ユーザー数推移(2019年5月~2020年4月、検索キーワード「ロボアド」)
※デバイス:PC

2019年6月~9月にかけて下落上昇の変動が見られますが、その後2020年3月までは右肩上がりにユーザー数が増えていました。大きくユーザー数の伸びが見られた2020年3月に比べると、4月はやや減少し2月と同水準となっていますが、この1年間を通して「ロボアド」への人々の関心が高まっている

次に「ロボアド」を検索したユーザーの属性情報について詳しく調べてみました。
まず、性別をみてみると男性が7割を超える割合を占めており、男女で関心度合いに大きな差があることがわかりました【図2】。

【図2】属性情報(性別)
※デバイス:PC

年代をみてみると、20代が28.7%と最も大きな割合を占め、30代、40代、50代、60才以上と年齢が上がるごとに割合が減っていることがわかりました。最も割合の高い20代は、60才以上の約3倍に迫る数値となっており、若年層と高齢層の間に大きな関心の差があることがわかりました【図3】。

【図3】属性情報(年代)
※デバイス:PC

最後に未既婚をみてみると、未婚者がやや多い割合となりますが大きな差はなく、婚姻の有無はあまり影響がないことがわかりました【図4】。

【図4】属性情報(未既婚)
※デバイス:PC

以上のことから「ロボアド」は比較的若い世代の男性からの関心が高いことがわかりましたが、キーワード検索後にはどのようなサイトにアクセスしているのでしょうか。Keyword Finderの中の流入LP機能を用いて調べてみました【図5】。

【図5】流入LPランキング(2019年5月~2020年4月)
※デバイス:PC

上位10サイト中、5つがロボアド各社の比較サイトという結果となりました。

ロボアドは資産運用の診断・助言のみを行うアドバイス型と、資産の運用・売買まで行う投資一任型の2つに分けることができます。投資一任型についてはさらに最低投資額や運用手数料、投資対象も多岐にわたるため、これからロボアドを活用しようと考えるユーザーにとって、比較サイトは重要な役割を担っています。これらのサイトへの流入が多いことからも、ロボアドへ新たに関心を寄せるユーザーが増えてきている様子がうかがえます。また、7位には大手ロボアドサービスのウェルスナビ、8位には楽天証券が運営する楽ラップのサイトがランクインするなど、注目度の高いロボアドサービスも浮き彫りになりました。

最後に、実際にロボアドアプリを利用しているユーザー層について詳しく分析するため、ランキング1位の比較サイトでも名前の挙がった大手2社(ウェルスナビ、THEO)のアプリを比較・分析してみました。

アプリユーザー数に大きな差。利用者の中心は30代~40代

『ウェルスナビ』
ウェルスナビ株式会社が運営する投資一任型のロボアドバイザーサービス。入金・出金から資産の確認まで、資産運用をスマホ1台で完結できる手軽さが売り。

『THEO』
株式会社お金のデザインが運営する投資一任型のロボアドバイザーサービス。NTTドコモとの協業サービスである「THEO+docomo」では、資産運用をしながらdポイントをためられるなど初心者向けのサービスも充実。

まず、2019年4月~2020年3月の1年間におけるアプリ所有ユーザー数の推移を調べてみました【図6】。

【図6】アプリ所有ユーザー数推移(2019年4月~2020年3月)
※デバイス:スマートフォン

新型コロナウイルスの感染拡大により景気の悪化が懸念されるようになった1月以降も、両者ともに着実にユーザー数を伸ばし続けていることがわかりました。しかしながら2020年3月時点ではウェルスナビのユーザー数はTHEOの約2.5倍となるなど、ユーザー数に大きな差があることもわかりました。

次にアプリ利用者の属性情報について詳しくみてみます。
性別は「ロボアド」検索ユーザーと同様、男性が高い割合を占める結果となりました。両者の間には大きな差はみられず、どちらも8割以上を男性ユーザーが占めていました【図7】。

【図7】属性情報(性別)
※デバイス:スマートフォン

次に年代をみてみると、どちらも30代・40代の割合が高いことがわかりました。逆に50代・60才以上が占める割合は約3割となっており、高齢層の利用者は限定的となっているようです【図8】。

【図8】属性情報(年代)
※デバイス:スマートフォン

最後に未既婚をみてみると、両者ともに既婚者の方がやや高い割合を占めていることがわかりました。ロボアドをキーワード検索したユーザーの分析の際には未婚者の方がやや多い割合となっていましたが、実際にアプリを利用しロボアドを活用しているユーザーは既婚者の方が多いようです【図9】。

【図9】属性情報(未既婚)
※デバイス:スマートフォン

若い世代を中心に、ロボアドという新しいツールを用いた資産運用に注目が集まっていることがわかりました。現状ではウェルスナビが大きくユーザー数を伸ばしていますが、今後は現在取り込めていない女性や比較的年齢の高い世代のユーザー層をいかに取り込むかが焦点となりそうです。

新型コロナウイルスの影響で景気の落ち込みが長引く可能性が懸念される中、ロボアドが従来の投資と差をつけどのように存在感を示していくのか目が離せません。

分析概要

全国のモニター会員(20代以上)の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「eMark+」を使用し、2019年4月~2020年4月におけるユーザーの行動を分析しました。
※ユーザー数はPCまたはスマートフォンからのアクセスを集計し、ヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。

本調査は、ネット行動ログ分析ツール「eMark+」を用いて調査・分析しました。eMark+はマナミナを運営している株式会社ヴァリューズが開発・提供している、SaaS型のサイト・アプリ分析ツールです。指定したサイトのユーザー数がわかる「ユーザー数推移」やサイト訪問者の性別、年代、職業などがわかる「ユーザー属性」は、PCデータであれば無料で利用することができます。

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