Shopifyとは
データを分析する前に、簡単に「Shopify」の特徴をまとめます。
「Shopify」は2004年にカナダで創業され、現在では175か国で利用されているグローバルシェアNo.1のECプラットフォームです。開設されたショップ数は100万以上、日本国内においてもグローバル展開を目的として、TORAYAや山本山、「靴下屋」Tabioなど、国内ECショップとは別に、海外向けサイトをShopifyで展開する事例が見られます。
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Shopifyで作られた「山本山」の海外向けサイト
■「Shopify」の特徴
・世界175か国で利用されている世界シェアNo.1ECプラットフォーム
・開設ショップ数は全世界で100万サイト以上
・ショップ開設は簡単。月額29ドルから可能
・グローバル仕様で越境ECが可能
・SNSとの連携など集客のしくみあり
「Shopify」でのショップ開設は数分で完了。利用できる決済方法も多いため、中小企業からの支持を集めています。同様のサービス「BASE」「STORES」は無料でショップ開設できるため個人または「Shopify」ユーザーよりスモールビジネスに人気のようです。これらのサイトとの比較は後半で分析します。
では、「Shopify」のユーザー動向を、「eMark+(イーマークプラス)」を使用して見てみましょう。
ユーザー数増加のきっかけは「日本語対応」
まず、ユーザー数の推移を確認します。
「Shopify」のサイト訪問ユーザー数は順調に推移しており、機能が日本語に対応するタイミングでユーザー数が増えていることがわかります。また、新型コロナウイルスで企業やリアル店舗がEC強化にアクセルを踏んだ影響か、2020年4月以降、ユーザー数が急上昇しています。
「Shopify」ユーザ数推移
期間:2018年6月〜2020年5月
デバイス:PCおよびスマホ
流入元としては自然検索が多いことがわかります。2020年3月に全体の流入数が下がりましたが、4月、5月とユーザー数が急増し、その大部分は自然検索によるものでした。また、リスティング広告の効果もあったようです。
「Shopify」流入元推移
期間:2019年12月〜2020年5月
デバイス:PC
検索キーワードは以下のとおりでした。認知度も上がり、サービス名が自然想起されているようです。
「Shopify」検索流入キーワード
期間:2019年12月〜2020年5月
デバイス:PC
30代、40代男性ユーザーが「Shopify」に着目
次に、サイトを訪れたユーザー属性を分析します。性別と年代を時系列にみてみましょう。
男女比は2年間でみると6割が男性です。時系列で詳しくみると、2020年4月、5月の外出自粛期間中に、男性ユーザー数が急増していることがわかります。その間女性ユーザー数は変化はありませんでした。
「Shopify」ユーザー属性<性別>
期間:2018年6月〜2020年5月
デバイス:PCおよびスマホ
「Shopify」ユーザー属性<性別推移>
期間:2018年6月〜2020年5月
デバイス:PCおよびスマホ
年代は、2年間でみると20代が25%、30代が24%と若年層が多いことがわかります。
時系列で詳しくみると、20代はユーザー数の増減の波が大きく、30代と40代が好調に推移しているようです。2020年4月、5月で急激にユーザー数が増えましたが、内訳は30代、40代の男性ということがわかります。
「Shopify」ユーザー属性<年代>
期間:2018年6月〜2020年5月
デバイス:PCおよびスマホ
「Shopify」ユーザー属性<年代推移>
期間:2018年6月〜2020年5月
デバイス:PCおよびスマホ
続いてサイト訪問ユーザーの職業についてみてみましょう。
2年間では会社員が最も多く34.3%、次に会社経営が14.3%、自営業が11.1%でした。2020年に入ってから一般会社員と会社経営者が急増しています。
「Shopify」ユーザー属性<職業>
期間:2018年6月〜2020年5月
デバイス:PCおよびスマホ
「Shopify」ユーザー属性<職業推移>
期間:2018年6月〜2020年5月
デバイス:PCおよびスマホ
「BASE」「STORES」との比較
日本においてECプラットフォームといえば、「BASE」「STORES」も有名です。3つのサービスを比較します。一番の違いは「Shopify」が有料サービスであることですが、有料とはいえ月額29ドルから利用可能で、機能面も充実しています。
ネットショップ開設サービス比較
※2020年6月時点
BASE(ベイス)| ネットショップを無料でかんたんに。
STORES | 自分でつくれる、本格的なネットショップ
続いて、それぞれのサイト訪問者についても比較してみましょう。
「Shopify」「BASE」「STORES」ユーザー数推移
期間:2019年6月〜2020年5月
デバイス:PCおよびスマホ
これまで「Shopify」のユーザー動向をみてきましたが、国内のユーザー数おいては「BASE」が2020年に入り躍進しています。大々的なTVCMの効果もあり、特に2020年3月以降急速にユーザー数を増やしています。
ただし、「BASE」ではカートページや注文機能が、「STORES」はサイト自体が、それぞれプラットフォームのドメインになるため、利用ユーザー側の数値も含まれていることに注意が必要です。
そのため、ユーザー属性にも相違点が出ています。
「Shopify」は男性比率が6割以上なのに対し、「BASE」「STORES」は女性比率が過半数でした。また、「Shopify」は、20~30代の若年層、会社経営者、自営業者を取り込んでいることがわかります。
「Shopify」「BASE」「STORES」ユーザー属性比較
期間:2019年6月〜2020年5月
デバイス:PCおよびスマホ
まとめ
「Shopify」は2017年に日本に参入したECプラットフォームですが、2020年に入ってから急速にサイト訪問ユーザー数を増やしています。流入経路もサービス名での自然検索が多いことから、認知度も上がっているようです。
世界的には高いシェアを誇る「Shopify」ですが、日本では「BASE」「STORES」といった無料のサービスが人気であり、「BASE」は今、特に勢いのあるサービスといえます。
それぞれのユーザー属性を比較したところ、「Shopify」は男性比率、若者比率、そして経営者・自営業者比率が高いことがわかりました。「Shopify」が企業のECプラットフォーム、「BASE」「STORES」が個人または比較的小規模なECプラットフォームとして住み分けされていることがうかがえます。
2020年以降のサイト訪問ユーザー数も急増しており、加えて機能面、サポート体制などインフラとしてもグローバル規模で成長中の「Shopify」。コロナ影響で企業のEC進出が進む中、ECプラットフォーム提供側のユーザー獲得動向にも注目が集まります。
分析概要
全国のモニター会員の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「eMark+(イーマークプラス)」を使用し「Shopify」「BASE」「STORES」について、ユーザー(サイト訪問者)推移、属性などを調査分析しました。
※対象期間:2018年6月〜2020年5月
※ユーザー数やセッション数はヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。
本記事の調査は、ヴァリューズのインターネット行動ログ分析ツール「eMark+」を用いて調査を行いましたが、2020年10月に新ツール「Dockpit(ドックピット)」がリリースされました。この記事でご紹介した「ユーザー数推移」「ユーザー属性」は、PCデータであれば無料で利用することができます。ぜひ、Dockpitの無料版にご登録ください。
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フリーライター。大手キャリア系企業で編集の仕事に出会い、その後、3つのメディアの立ち上げなど行い、2014年にフリーランスに。医療系、就活系、教育系、結婚系のサイトで執筆中。