飲料メーカー通販サイトのユーザー数を比較
分析対象サイト
飲料メーカーの直販サイトを比較するにあたり、飲料や食品の通販を行う以下の5サイトをピックアップしました。
ネスレ通販オンラインショップ
カゴメ健康直送便 通信販売
コーヒー通販 ブルックス コーヒーマーケット
DRINX|KIRIN(キリン)公式オンラインショップ
ヤクルトの宅配なら送料無料のヤクルト届けてネット
※ヴァリューズのダッシュボード型マーケティングツール『Dockpit』の「業界分析」において、「食品 通販」と「飲料 通販」カテゴリから、メーカー直販の飲料通販サイト上位5社を選定。
ネスレ通販オンラインショップ
カゴメ健康直送便 通信販売
コーヒー通販 ブルックス コーヒーマーケット
DRINX|KIRIN(キリン)公式オンラインショップ
ヤクルトの宅配なら送料無料のヤクルト届けてネット
■年間ユーザー総数はネスレが約1200万人超でトップ
まずは直近1年間(2019年10月〜2020年9月)のユーザー数や新規ユーザー率などをまとめて比較します。
飲料メーカー5サイト比較/基本指標比較
期間:2019年10月〜2020年9月
デバイス:PCおよびスマホ
表のように、年間ユーザー数では「ネスレ通販オンラインショップ」がトップで1,240万UU、次いで「カゴメ健康直送便」が1,010万UUでした。
また、新規ユーザー率では「ヤクルト届けてネット」がトップの81.4%でした。訪問販売のイメージが強かった同社がネット通販を開始したのは2017年。2019年10月に新発売された「Yakult1000(ヤクルト1000)」は予想を上回る発注があり、サイトでの新規注文の受付を一時中止するなど需要が拡大しており、業績も好調です。
「カゴメ健康直送便」はユーザー数は多いものの、サイト滞在時間と直帰率では、他サイトと差がついています。
■ネスレのユーザー数は減少傾向、カゴメが好調に推移
次に、ユーザー数の推移を時系列で見ていきます。
トップを独走していた「ネスレ」は2020年3月以降ユーザー数が減少し、2020年9月時点でユーザー数は3分の1に。これに対して「カゴメ健康直送便」が好調で、急激な増加はないもののユーザー数を減らすことなく少しずつ上昇、5月に「ネスレ」を抜いてトップとなりました。
飲料メーカー5サイト比較/ユーザー数推移
期間:2019年10月〜2020年9月
デバイス:PCおよびスマホ
サイト流入経路から集客構造を比較
続いて、流入経路の分析によって集客構造を比較します。
■カゴメはポイントサイトとの連携でユーザーを獲得
5サイトの流入経路を比較すると以下のグラフのとおりでした。
「カゴメ健康直送便」は外部サイトからの流入が80%以上と非常に多いことがわかります。
一方で、「ネスレ」および「DRINX(キリン)」はアフェリエイト広告経由が多く、40%以上を占めました。
「ヤクルト届けてネット」は自然検索やメール経由が目立ちます。TVCMの影響もありそうですが実直に少しずつ力をつけている様子が見受けられます。
飲料メーカー5サイト比較/集客構造
期間:2019年10月〜2020年9月
デバイス:PCおよびスマホ
※ノーリファラーを除く
「カゴメ健康直送便」への流入経路となる外部サイトは以下のグラフのようにポイントサイトが76%を占めました。具体的にはポイント交換のPeXからの流入が目立ちました。
カゴメ健康直送便への流入経路(外部サイト)カテゴリーシェア
期間:2019年10月〜2020年9月
デバイス:PCおよびスマホ
カゴメ健康直送便への流入経路(外部サイト)上位5サイト
期間:2019年10月〜2020年9月
デバイス:PCおよびスマホ
飲料メーカー通販サイトのユーザー属性比較
続いて、5サイトのユーザー属性を比較します。
■ブルックスとヤクルトが女性、カゴメとキリンが男性に支持されている
以下のグラフのとおり、性別は「ブルックス」と「ヤクルト届けてネット」が女性の割合が高く、「カゴメ健康直送便」と「DRINX(キリン)」は男性の割合が高いという結果でした。「DRINX(キリン)」は酒類の取り扱いが多いことが理由だと思われます。
年代を比較すると、「ヤクルト届けてネット」が若年層が比較的多く40代が最多でした。「ネスレ」も40代が最多ではあるものの、60代、70代からも支持を集めています。
他の3サイトについては50代がボリュームゾーンでした。中でも高年層ユーザーが多いのは「カゴメ健康直送便」と「ブルックス」でした。
主力商品がコーヒーで競合する「ネスレ」と「ブルックス」ですが、若年層にはネスレ、高年層にはブルックスが支持されていることがわかります。
飲料メーカー通販サイトユーザー属性比較/性別
期間:2019年10月〜2020年9月
デバイス:PCおよびスマホ
飲料メーカー通販サイトユーザー属性比較/年代
期間:2019年10月〜2020年9月
デバイス:PCおよびスマホ
■カゴメのユーザー増加、支えたのはアクティブシニア?!
最後に、ユーザーを増やし好調に推移する「カゴメ健康直送便」について、原因を推測していきます。
下のグラフのように、「カゴメ健康直送便」は2020年4月以降、40代以上のユーザー(特に40代~60代)が増えていることがわかります。旬の野菜を使用した野菜ジュースなど商品ラインナップがすべて健康に役立つ商品であること、公式通販でしか手に入らない特別なものであることが、子育て世代やいわゆるアクティブシニアに支持されたと考えられます。
カゴメ健康直送便/年代ごとユーザー数推移
期間:2019年10月〜2020年9月
デバイス:PCおよびスマホ
まとめ
飲料メーカーの5サイトのネット通販に注目し、ユーザー数の推移やユーザー属性などについて考察しました。
ユーザー数は、直近1年間(2019年10月〜2020年9月)の時系列で見ると、ネスレが2020年3月以降減少傾向にあることがわかりました。一方で、カゴメ健康直送便が好調です。
さらに、それぞれのサイトの集客構造を比較しました。
カゴメ健康直送便は外部サイトからの流入が80%以上と非常に多いことがわかりました。一方で、ネスレおよびDRINX(キリン)はアフェリエイト広告経由が多く、40%以上という結果でした。ヤクルトは自然検索やメール経由が多く、TVCMの影響もありそうですが実直に少しずつ力をつけている様子も見受けられました。
続いて、それぞれのサイトのユーザー属性を比較しました。
ブルックスとヤクルトが女性ユーザーに、カゴメとキリンが男性ユーザーに支持されていることがわかりました。年代で見ると、ヤクルトは若年層が比較的多く40代が最多、ネスレも40代が多く見られました。高年層ユーザーが多いのはカゴメ健康直送便とブルックスでした。
主力商品がコーヒーで競合するネスレとブルックスを比較すると、若年層にはネスレ、高年層にはブルックスが支持されていることがうかがえました。
最後に、カゴメが増加傾向にあることについて、ユーザー属性の変化から考察を行いました。カゴメ健康直送便は40代以上のユーザー(特に40代)が増えており、健康に役立つ商品や公式通販でしか手に入らない特別な商品が、子育て世代やアクティブシニアに支持されたと考えられます。集客構造も外部サイト、主にポイントサイトが多く占めていることからも、彼らへのアプローチ手段も奏功したと言えるでしょう。
分析概要
全国のモニター会員の協力により、インターネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析ツール『Dockpit』を使用し、2019年10月~2020年9月におけるユーザーの行動を分析しました。
フリーライター。大手キャリア系企業で編集の仕事に出会い、その後、3つのメディアの立ち上げなど行い、2014年にフリーランスに。医療系、就活系、教育系、結婚系のサイトで執筆中。