競争加熱中のフードデリバリーアプリを最新データで調査。コロナ禍での利用実態とは

競争加熱中のフードデリバリーアプリを最新データで調査。コロナ禍での利用実態とは

コロナ禍の度重なる外出自粛を追い風に、ここ最近で生活に溶け込んだ「フードデリバリー」文化。日本でもUber Eatsや出前館を中心に、主に都市部で浸透しています。今回はそんなフードデリバリー業界の勢力図をアプリ利用データとWebサイト利用データを中心に分析してみました。


Uber Eatsを中心に、ひとつの文化として浸透してきているデリバリーアプリ。本メディア・マナミナではフードデリバリー市場に注目し、2020年の7月に以下の調査を行いました。

Uber Eatsなどデリバリーアプリが浸透するウィズコロナの今、グルメアプリとの利用シーンの違いとは

https://manamina.valuesccg.com/articles/934

外出自粛に伴い外食機会は減り、食のデリバリーサービスの利用者が増加しています。実際利用者はどれくらい増えており、どんな人が使っているのでしょうか。本稿では、これら食をめぐるサービスの利用実態を調査。グルメ系サービスとデリバリーサービスのコロナ渦中の状況を最新データから読み解きます。

この調査から約1年経ったいま、フードデリバリー業界の勢力図はどう変わったのでしょうか。本記事では最新のデータを引用し、フードデリバリーアプリを分析します。上記の記事も併せて読んだ上で、勢力図を予想しながら今回の記事を読んでいただくと、より理解が深まるかと思います。

グルメ関連アプリとフードデリバリーアプリのユーザー数を比較

まずはフードデリバリーサービスのユーザー数を、グルメ関連アプリのユーザー数と比較しながら見ていきます。次の表に、2021年4月での利用ユーザー数ランキング(上位15アプリ+デリバリーアプリ)をまとめました。なお、赤線が引いてある項目がフードデリバリーアプリです。

フード&ドリンク関連アプリのランキング 「eMark+」より
(分析期間:2021年4月、対象デバイス:スマートフォン)

フード&ドリンク関連アプリでは、マクドナルド、ケンタッキーが1、2位を占め、4位にすかいらーく、6位にスシローと飲食店チェーンのアプリが上位に入っています。

デリバリーサービスに着目すると、Uber Eatsが全体9位にランクイン。これはスターバックスや食べログと同程度の利用ユーザー数です。そして出前館が11位とその後を追っています。その下は3倍以上の差が開いてmenu、foodpanda、楽天デリバリーと続いています。

前回6月の調査と比較したデリバリーアプリの変動としては、menu、foodpandaが楽天デリバリーをランキングで追い抜いています。

一方で、デリバリーサービスのWeb利用ユーザーは下のランキングのようになっていました。データはWeb行動ログ分析ツール「Dockpit」を使用して算出。Dockpitは、国内主要Webサイトのユーザー数や属性、流入元等のサイトデータを分析できるツールです。そのひとつの機能である「業界分析」を使い、「グルメ デリバリー」の各サイトを分析しました。

利用ツール:Dockpit、期間:2021年4月 デバイス:PC&スマートフォン

セッション数で見ると出前館が2位と2倍以上の差をつけて1位となっています。2位のドミノ・ピザに続いて、楽天デリバリー、dデリバリー、Uber Eatsがランクインしています。

上記5サービスのシェア率をグラフにすると下図のようになります。

利用ツール:Dockpit、期間:2021年4月、デバイス:PC&スマートフォン

アプリでは首位をとっていたUber Eatsですが、Webではシェアを大きく落としています。一方の出前館はWebではシェアの1/3以上を獲得しています。

ここまでアプリ、Webそれぞれのユーザー数を調査してみましたが、上位サービスのユーザー数をまとめるとこのようになります。dデリバリーは2021年4月をもって注文受付の終了、 2021年6月30日にはすべてのサービス終了が発表されているため除いています。

期間:2021年4月、デバイス:PC&スマートフォン

では続いて、これらのサービスのユーザー数推移に注目してみます。

上位フードデリバリーのユーザー数推移と集客施策

まず、アプリの利用者数に注目してみます。

アプリ利用ユーザー数

アプリ利用ユーザー数

アプリ所持ユーザー数

アプリ所持ユーザー数
利用ツール:eMark+、分析期間:2020年4月~2021年4月、対象デバイス:スマートフォン

昨年4月から、Uber Eatsが最もユーザー数が多く、出前館が後に続くという状況は変化していません。基本的にどのサービスもユーザー数を伸ばしていますが、楽天デリバリーのみユーザー数が減少しています。その影響で、2020年11月にはmenuに、2021年4月にはfoodpandaに追い越されています。

また、特に出前館とUber Eatsについてはアプリ所持ユーザー数の伸びに比べて、利用ユーザー数の伸びが小さくなっています。このことから、クーポン等によってアプリをダウンロードするも、その後利用しないユーザーが一定数いると示唆されます。

次に、Webの利用者に注目してみましょう。

利用ツール:Dockpit、分析期間:2020年4月〜2021年4月、対象デバイス:PC&スマートフォン

時折変動はありながらも、やはり首位は出前館となっており、楽天デリバリーとUber Eatsがその後を追っています。アプリユーザー数と比較すると、出前館・楽天デリバリーはWebの方が強いと言えそうです。

また、出前館は2020年9月にUber Eatsや楽天デリバリーを下回っていますが、2020年10月からが大きくユーザー数を伸ばしています。アプリ利用者に注目しても、2020年10月から2021年3月に大きく増加しています。

この要因を探るために出前館の決算説明会資料に着目すると、該当期間(2021年8月期の1Q,2Q:9月-2月)で広告費が大きく増加しています。

株式会社出前館 2021年8月期第2四半期決算説明会資料より
https://corporate.demae-can.com/ir_information/library/index.html

2020年8月期の4Qと比較すると、広告費は1Qで約2倍、2Qが約3倍になっています。また、営業利益が黒字になっていない現在(2021年8月期2Q)でも、全体の売上と比較して半分以上の金額が広告宣伝費に投資されています。

このことから、各デリバリーサービスによる顧客獲得競争がまだまだ白熱している様子がうかがえます。

一方、ユーザー数の観点でやや伸び悩んでいる楽天デリバリーの集客構造に注目してみます。

利用ツール:Dockpit、分析期間:2020年4月〜2021年4月、対象デバイス:PC&スマートフォン

上記の紫色の棒グラフで表される楽天デリバリーでは、セッション数の8割以上が外部サイト、特に楽天関連サービスからの流入になっています。

「楽天デリバリー」の外部サイトランキング(利用ツール:Dockpit、分析期間:2020年4月〜2021年4月、対象デバイス:PC&スマートフォン)

楽天デリバリーを使えば楽天ポイントがたまることを考えると、楽天経済圏を重点的に使っているユーザーは楽天デリバリーをメインに利用していると推測できます。
無理に広告費をかけて新規顧客を獲得し大きく成長を目指す戦略というよりは、楽天経済圏の1つのサービスとして運営していく戦略なのかもしれません。

ユーザー属性からみるサービスごとの特徴

ここまでユーザー数に着目していましたが、今度はユーザー属性に着目してサービスごとの特徴を分析していきましょう。

▼アプリユーザーの年代比

利用ツール:eMark+、分析期間:2020年4月~2021年4月、対象デバイス:スマートフォン

▼Webユーザーの年代比

利用ツール:Dockpit、分析期間:2020年4月~2021年4月、対象デバイス:PCおよびスマホ

Uber Eats、menu、foodpandaのアプリユーザーはほぼ同じ年代構成なのに対して、楽天デリバリーは30,40代が多く、出前館も30代以上の割合が多くなっています。

また、全体的にWebユーザーは30,40代の構成比がピークになっており、アプリよりも利用者の年齢層がやや高いことも分かります。

次に、未既婚・子供有無のユーザー属性に着目して、アプリごとの違いを調べてみましょう。

▼アプリユーザーの未既婚・子供有無構成比

利用ツール:eMark+、分析期間:2020年4月~2021年4月、対象デバイス:スマートフォン

出前館・楽天デリバリーは他サービスと比較して、既婚者や子供がいる世帯の利用がやや多いことが分かります。このことから、家族でデリバリーを楽しむようなシーンには、出前館と楽天デリバリーが強いことが推測できるでしょう。この2つのサービスはポイントが溜まりやすいというメリットもあるため、家族世帯や主婦には受けがいいのかもしれません。

ユーザーの居住地構成でアプリごとの違いはあるのでしょうか。こちらもグラフを見てみます。

▼アプリユーザーの居住地構成比

利用ツール:eMark+、分析期間:2020年4月~2021年4月、対象デバイス:スマートフォン

居住地域の構成比は各サービス間でほとんど同じなか、foodpandaのみ北海道、中部地方、九州地方といった地方ユーザーが多いです。関東地方・近畿地方はすでに競合が多く新規顧客獲得が難しいと予測されるため、それ以外の地域から顧客を獲得しようという戦略なのかもしれません。

最後にアプリの併用状況に注目してみます。

▼アプリの併用状況(※グラフでは「サイト」と表記されていますが、これは各アプリのことを表しています。)

利用ツール:eMark+、分析期間:2021年4月、対象デバイス:スマートフォン

前回の調査時と比較すると、併用利用者が5ポイントほど増加していました。

利用ツール:eMark+、分析期間:2019年4月~2020年6月、対象デバイス:スマートフォン

詳細に注目すると、楽天デリバリーユーザーは出前館との併用が最も多く、menu・foodpandaユーザーはUber Eatsとの併用が最も多いことがわかりました。

利用ツール:eMark+、分析期間:2021年4月、対象デバイス:スマートフォン

年代構成比の観点を考慮しても、中年層ユーザーの多い出前館・楽天デリバリーと、若年層ユーザーの多いUber Eats・menu・foodpandaという特徴が見えてきます。

まとめ

本稿ではアプリ利用データ・検索データを用いてフードデリバリーサービス市場について詳しく分析してきました。現状ではやはりUber Eatsと出前館の2強になっており、楽天デリバリー、menu、foodpandaがその後を追う構図になっています。

また、上記の結果から、出前館と楽天デリバリーは中年層ユーザーが多くWebで強く、Uber Eats、menu、foodpandaは若年層ユーザーが多くアプリで強いという特徴が見えてきました。しかし、まだまだ顧客獲得競争は激しく、menuやfoodpandaだけでなく、DiDi Foodやwoltといったサービスの成長も見込めます。

フードデリバリー業界の動向には今後も注目していく必要がありそうです。

dockpit 無料版の登録はこちら

この記事のライター

2022年の春から、新卒としてヴァリューズに入社。

関連する投稿


エリアによって人気の飲食店ジャンルが異なる?食べログの閲覧状況から分析してみた【新宿エリア】

エリアによって人気の飲食店ジャンルが異なる?食べログの閲覧状況から分析してみた【新宿エリア】

特定のエリアについて情報を集める際に、一般的には国勢調査等が活用されます。しかし、性年代にとどまらず、もう少しその地域を詳しく知りたいことはありませんか?そんな時に、行動ログデータを活用することで、そのエリアに関連した人々のWeb上での動きを分析することができます。本分析では、飲食店を題材に、消費者の行動ログデータを分析し、新宿エリアの閲覧ユーザーや人気飲食店ジャンルの特徴を推察します。


Most Popular Websites & Apps [2022 Ranking]! Instagram Surpasses Twitter, Ranking 3rd! Increase in Senior Users

Most Popular Websites & Apps [2022 Ranking]! Instagram Surpasses Twitter, Ranking 3rd! Increase in Senior Users

The number of accesses to websites and smartphone apps from January to October 2022 were researched and ranked. The ranking is based on a comparison with the previous year and usage trends by age group. 2022 is characterized by the growth of Instagram, with Instagram becoming the leading social media among seniors.


物価高騰で“ポイ活”系アプリに関心?全世界が熱狂した「2022FIFAワールドカップカタール大会」の影響で「ABEMA」も急増(2022年11月)

物価高騰で“ポイ活”系アプリに関心?全世界が熱狂した「2022FIFAワールドカップカタール大会」の影響で「ABEMA」も急増(2022年11月)

毎月更新のスマートフォンアプリインストール数ランキングTop5をまとめました。今月のランキングでは、自動的にポイントの貯まるアプリ「タウンWiFi 」や「Tポイント×シュフー」といった物価高騰に少しでも役立つ“ポイ活系”アプリがランクイン。そして、様々な番狂せと華麗なプレーの連続で大いに盛り上がった「2022FIFAワールドカップカタール大会」。その全64試合を生中継したことでユーザーを増やした「ABEMA」にも大きな注目が寄せられました。


【2022年ヒット記事集】マーケターが注目した記事は?トレンド・消費者インサイト・業界動向まとめ

【2022年ヒット記事集】マーケターが注目した記事は?トレンド・消費者インサイト・業界動向まとめ

withコロナも3年目となり、外出の自由度が少しずつ戻ってきた2022年。 回復の兆しが見えてきた業界、コロナ禍を逆手に取って勢いを増している業界、と様々見られる中で、世間が注目したマーケティング・トレンドの調査記事はどのようなものだったのか、2022年の人気記事を振り返ります。


ブライダル市場はどこまで回復した? ~最新の結婚式トレンドと消費者の関心を調査~

ブライダル市場はどこまで回復した? ~最新の結婚式トレンドと消費者の関心を調査~

『WITHコロナ』の時代になりつつある2022年。イベントごとの代表格としてコロナ禍では延長・中止されていた結婚式も、徐々に開催されるようになりました。今回は『WITHコロナでの結婚式』をテーマに、WITHコロナの時代だからこそ登場したトレンドやユーザーの関心が寄せられるポイントを、詳細に調査してみました。


最新の投稿


【TVドラマランキング】Twitterで世界トレンドに!若年層の心をつかんだ「silent」が人気

【TVドラマランキング】Twitterで世界トレンドに!若年層の心をつかんだ「silent」が人気

近年動画配信サービスが普及し、時間や場所にとらわれず様々なジャンルの動画を手軽に視聴できるようになりました。テレビ離れが幅広い年代で囁かれている時代、話題になるテレビドラマとは、どのようなものなのでしょうか。今回は、2022年10月~12月に放送されたドラマについて、認知度や視聴方法、満足度、満足理由などをランキング化。その実態を探りました。


Does Gen Z Prefer Apps Over Websites When Online Shopping?

Does Gen Z Prefer Apps Over Websites When Online Shopping?

The Gen Z data analysts at VALUES, Inc. analyzed behavioral data regarding the online shopping consumption among Generation Z. It is said that Gen Z prefers “e-commerce apps” over “e-commerce websites,” but what is true? We will dig deeper, incorporating the honest voices of the Gen Zers.


検索順位をチェックし競合分析できる無料ツール「SEOチェキ!」と「SEOTOOLS」とは

検索順位をチェックし競合分析できる無料ツール「SEOチェキ!」と「SEOTOOLS」とは

競合サイト分析に使える無料ツール「SEOチェキ!」「SEOTOOLS」について。知名度がありキーワードの検索順位などもチェックできますが、ツールとしての世代が古い感は否めません。SEOチェキ!とSEOTOOLSの特徴や使いどころ、検索順位が競合分析にどう役立つかを解説します。


Instagramにおける「クリエイターマーケティング」 ~ 注目高まるクリエイターエコノミーと企業活用事例

Instagramにおける「クリエイターマーケティング」 ~ 注目高まるクリエイターエコノミーと企業活用事例

2023年、マーケターが押さえておきたいトピックのひとつに、Instagramを活用した「クリエイターマーケティング」が挙げられます。今回は、クリエイターマーケティングをテーマに、Facebook Japanの相原氏と、ヴァリューズの岩間と蒋が対談。期待される効果や施策を行う際のポイント、企業活用事例などをお届けします。


地産地消 ~ 道の駅と食育から

地産地消 ~ 道の駅と食育から

近年注目されつつある「地産地消」。この裏には、人気のお出かけスポットとしての「道の駅」が一役買っています。単なる観光客向けの食品・工芸品の販売だけではなく、地元の生活者の糧としても活用され、そして何より子供たちの「食育」にも繋がることで、「地産地消」の循環の輪は広がっているようです。そのような「地産地消」のメリット・デメリットを含めた実情を、広告・マーケティング業界に40年近く従事し、現在は株式会社創造開発研究所所長を務めている渡部数俊氏が解説します。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら