仕事管理ツール「Notion」がデザイナーやエンジニアの間で人気な2つの理由とは?関心層をログデータで調査

仕事管理ツール「Notion」がデザイナーやエンジニアの間で人気な2つの理由とは?関心層をログデータで調査

「Notionは、僕らにとってのオフィス」。愛するユーザーがそう語るのが、仕事管理ツール「Notion」です。2019年には100万人ほどだったNotionのユーザー数は、2021年現在では全世界で1,000万人を超えており、すでに日本法人も始動しています。そんな話題沸騰中のNotionですが、そもそもいったいなぜ人気なのでしょうか? また、どんな人が関心をもっているのでしょうか。Web行動ログ分析ツール「Dockpit」を用い、Notionの人気の理由やユーザー像を調査します。


直近1年でMAUが4倍増!話題沸騰中の「Notion」とは?

情報管理ツール「Notion」は、仕事をするにはこれ一つあればOKという「オールインワンの万能ツール」と言われています。

公式サイトでも「All-in-one workspace」と表現されている通り、単なるタスク管理の域を超え、ドキュメント管理からプロジェクト管理、社内Wikiまで幅広い機能をカバーしています。団体向けと個人向けのプランがあり、個人向けのプランは無料で利用できます。

法人向けプランはNikeやPixar等の企業にも導入されており、デザイン、セールス、マーケティングといった各チームの目的に合わせて機能・UIを設計することができます。日本での導入事例としては、スマートニュース株式会社が全社導入(社員数は約400名)しているようです。

そんなNotionですが、日本での人気も右肩上がりに増加しています。Notionの公式ホームページに訪問したユーザー数推移を、Web行動ログ分析ツール「Dockpit」を用いて見てみましょう。

Notionの訪問ユーザー数推移
期間:2019年6月~2021年5月
分析ツール:Dockpit

サイトユーザー数が直近1年間で4倍に増加していることからも、Notion人気の高まりが見受けられます。

Notionが人気な2つの理由とは?

続いて、Notionが他の仕事管理ツールとどう違うのか見ていきましょう。次の2点が人気の理由ではないかと考えられます。

メモやTodo、カレンダーがこれひとつ!「オールインワン」の万能ツール

Team wiki機能(左上)、プロジェクト・タスク管理機能(右上)、メモ&ドキュメント管理機能(左下)、チャット機能・紹介、シェア機能・他ツールとの連携機能の例(右下)
出典:https://www.notion.so/

多くの人は、スケジュール管理はGoogle Calendar、メモはスマホの純正メモアプリやEvernote、タスク管理はTrelloなど、用途に応じて複数のツールを使い分けているのではないでしょうか。法人では、それらに加えてSlackやMicrosoft Teamsなどのコラボレーションツールも活用されていることでしょう。

Notionは単体でこれらの機能を幅広くカバーしているため、各種ツールを行ったり来たりせずとも情報を管理、整理することができます。

快適な環境を自分好みに設計できる「UI」

用途に合わせて設計するUIの例(メモ、タスク管理、ジャーナル、求人)
出典:https://www.notion.so/

Notionの最も大きな特徴は自由にUIを設計できる「遊び心」「柔軟性」です。豊富な機能の中で自分が利用したいものだけを選び、自分の好きなようにUIを設計できます。

設計の自由度が高い分、自分の望む形に設計するのは難しいですが、他のユーザーが作ったテンプレートをダウンロードすることもできます。

Notionはどんな人に人気?「情報感度の高い関東の20代」が中心か

「Notion」の公式サイトへの訪問ユーザー属性の性年代別、居住地域別の割合を見てみましょう。

Notion訪問ユーザーの性別比較
期間:2019年6月~2021年5月
分析ツール:Dockpit

Notion訪問ユーザーの年代別比較
期間:2019年6月~2021年5月
分析ツール:Dockpit

Notion訪問ユーザーの居住地域別比較
期間:2019年6月~2021年5月
分析ツール:Dockpit

性別は男性がおよそ6割を占めています。年代は20代が39%、30代が26%と、若年層のユーザーが多いことが分かります。また、ユーザーの居住地域にも特徴があり、関東地方のユーザーが54.7%と過半数を占めています。

このことから、情報感度の高い関東の若年層を中心に人気を集めていると言えるのではないでしょうか。

さらに具体的なユーザー像を探るべく、「Notion」検索ユーザーが具体的に何に関心を持っているのか、関心ワードから分析します。

Notion訪問ユーザーの関心ワード
期間:2019年6月~2021年5月
分析ツール:Dockpit

関心ワードの1位は「MARKDOWN」。NotionでUIをカスタマイズする際のMarkdown記法が多くの関心を集めていそうです。

続いて、2位~7位まではエンジニア関連のキーワードが見受けられます。Google が提供するアプリ開発のモバイル プラットフォーム「firebase」や、主にフロントエンド開発で用いられる「Vue」「DEV」「NPM」「REACT」などが見受けられました。また、10位にはPFUの高級キーボード「Happy Hacking Keyboard(HHKB)」があり、フロントサイドのエンジニアやWEBデザイナーといったユーザーの特徴がありそうです。

8位、9位には「タスク管理」「TODOLIST」といったNotionが持つ機能についての関心も見受けられました。こちらは他のキーワードに比べると女性比率が比較的高いようです。

まとめ|複数の仕事をパソコンひとつでこなすワークスタイルに合致

今回は、仕事管理ツール「Notion」について分析しました。自分好みの管理画面を簡単にカスタマイズして作ることのできるNotion。利用しているユーザーには20代が多く、関東地方に住んでいる人が54.7%と過半数を占めていました。

ちなみに、Twitterで「Notion」を含む投稿をしているユーザーを見てみると、フロントサイドのエンジニアWEBデザイナーなどが多いようです。その他、ライターやイラストレーター、スタートアップで働く人々、フリーランス、就活生やデイトレーダーといったユーザーも多く見受けられました。

こうした人々の投稿を見ると、多くのユーザーはタスク管理とドキュメント管理機能をよく活用しているようです。また、デザイナーやイラストレーターのユーザーのなかには、気に入ったデザインをNotion上にストックして、いつでも見返せるよう工夫している方もいました。タスク管理を行いながら、仕事に必要なメモやアイデアを保存し、スケジュールも管理し……と、Notionだけでほとんどの仕事管理を行っているのではないでしょうか。

今回の調査で浮かんできたNotionのユーザー像の特徴は「情報感度の高い関東の若年層」「エンジニアやデザイナー関連の職業」です。自分が所属している会社の仕事だけでなく、自らのスキルを伸ばすためだったり、単純に面白そうといった理由で様々なプロジェクトに参加し、仕事を行うワーカーも増えてきました。コロナ禍を機にテレワークも進み、パソコンひとつで仕事を行える環境も整ってきています。

日本語版のリリースも予想される「Notion」はますます普及が進んでいくのではないでしょうか。今後の動きに注目です。

【分析概要】
・全国のモニター会員の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報にもとづき分析
・行動ログ分析対象期間:2020年6月〜2021年5月
※ボリュームはヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測
※対象デバイス:PC・スマートフォンの両デバイス

▼今回の分析にはWeb行動ログ分析ツール「Dockpit」を使用しています。Dockpitは国内の主要Webサイトのユーザー数や滞在時間などの基本指標に加え、集客構造や流入ワード分析から競合サイトを分析したり、消費者のトレンド調査を行ったりできる万能ツール。無料機能もありますので、興味のある方は下記よりご登録ください。

dockpit 無料版の登録はこちら

この記事のライター

2022年4月に新卒としてヴァリューズに入社しました。それまでは大学院でダイヤモンド半導体について研究しつつ、ヴァリューズの内定者アルバイトとして働いていました。

関連する投稿


Marketing strategy of three Chinese & Taiwanese home appliance manufacturers: HUAWEI, Xiaomi, & ASUS

Marketing strategy of three Chinese & Taiwanese home appliance manufacturers: HUAWEI, Xiaomi, & ASUS

Chinese and Taiwanese manufacturers have been growing their market share and number of users, and they are expected to compete with Japanese companies. We will analyze the current sales trends of HUAWEI, Xiaomi, and ASUS in Japan and predict their future while comparing with Japanese brands.


海外家電メーカーのマーケティング戦略は?中華圏メーカーHUAWEI、Xiaomi、ASUSの3社を調査

海外家電メーカーのマーケティング戦略は?中華圏メーカーHUAWEI、Xiaomi、ASUSの3社を調査

近年、世界で着実にシェアを伸ばしつつある中華圏メーカー。日本においてもその製品の利用者は増加しており、日本企業と競合していくことが予想されます。そこで今回は日本にも進出している代表的な3つの中華圏メーカー、HUAWEI、Xiaomi、ASUSについて、日本における現時点での販売動向を分析し、国産ブランドとも比較しながら3社の今後を占っていきます。


推し活実態2024!「沼落ち」プロセスとは?推し活のインサイトとマーケティング活用

推し活実態2024!「沼落ち」プロセスとは?推し活のインサイトとマーケティング活用

日本の消費を活気づける「推し活」。実は10代の8~9割以上が「推し対象あり」と回答しているという結果も。本ホワイトペーパーでは、推し活市場の現状や、推し活にかける時間・金額などの行動実態、コラボ企画といったマーケティングとの接続について調査し、推し活への理解を深めていきます。


サービス終了から約1年…Zenly利用者はどこへ?位置情報共有アプリの現在

サービス終了から約1年…Zenly利用者はどこへ?位置情報共有アプリの現在

位置情報共有アプリ、Zenly。かつて一般的ではなかった「位置情報を共有する便利さ」をユーザーに伝え、位置情報共有アプリという新ジャンルを開拓しました。友人や家族との待ち合わせに使ったり、スマホの紛失に備えたり、災害時の安否確認として使ったり…とユーザーに様々な需要を生み出したZenlyですが、2023年2月3日にサービスを終了しました。ではその後、Zenlyユーザーはどのアプリを利用しているのでしょうか?この記事では、Zenlyに代わる位置情報共有アプリの現在を、サービス終了直後の分析結果と比較しながら考察します。


今「note」がアツい!読み物好きな若者を魅了?noteの集客動向を調査<前編>

今「note」がアツい!読み物好きな若者を魅了?noteの集客動向を調査<前編>

2023年夏頃から集客数を急激に伸ばしているメディアプラットフォーム「note」。人気を後押ししているのはどのような人々なのでしょうか?前編では、noteが集客しているユーザーの特徴を深掘り調査し、後編では、noteが規模を拡大している要因を探っていきます。


最新の投稿


Z世代就活生の約7割が出社中心の働き方を希望!ある程度拘束されても手取り足取り教えてほしい【電通調査】

Z世代就活生の約7割が出社中心の働き方を希望!ある程度拘束されても手取り足取り教えてほしい【電通調査】

株式会社電通は、2024年卒または2025年卒業予定の全国の大学生・大学院生を対象に、就職活動に関する意識調査「Z世代就活生 まるわかり調査2024」を実施し、調査結果を公開しました。


データ分析のヴァリューズが「競合分析ガイドブック」を公開 ~ 商品企画からプロモーションまで、知っておきたい 6つのフレームワーク・8つの事例・19の分析ツールを徹底解説 ~

データ分析のヴァリューズが「競合分析ガイドブック」を公開 ~ 商品企画からプロモーションまで、知っておきたい 6つのフレームワーク・8つの事例・19の分析ツールを徹底解説 ~

インターネット行動ログ分析によるマーケティング調査・コンサルティングサービスを提供する株式会社ヴァリューズは、運営するデータマーケティング・メディア「マナミナ」にて公開した記事から厳選し、知っておきたい6つのマーケティング・フレームワーク、8つの事例、19の分析ツールを収録した「競合分析ガイドブック」を公開しました。


交渉学を深める ~ 英知ある交渉とは

交渉学を深める ~ 英知ある交渉とは

さまざまなビジネスシーンで見られる「交渉」。よりスマートにお互いの利益を引き出す交渉を行うにはどのような知識とスキルが必要となるのでしょうか。また、現在持ち合わせているあなたの「交渉能力」をアップデートするためには、どのような「交渉術」を備えるべきなのでしょうか。本稿では広告・マーケティング業界に40年近く従事し、現在は株式会社創造開発研究所所長を務めている渡部数俊氏が「交渉」概念の基礎から、さらに深い「交渉学」の世界まで解説します。


悩みを抱えた人の語りからこころと社会を学ぶ「夜の航海物語」のススメ〜現代社会とメンタルヘルス〜

悩みを抱えた人の語りからこころと社会を学ぶ「夜の航海物語」のススメ〜現代社会とメンタルヘルス〜

「カウンセリング」と聞いて、どんな印象を持ちますか?専門家とともに自分のこころを見つめる経験は、その後の人生の糧にもなります。臨床心理士の東畑開人氏の著書「なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない」(新潮社)は、気付かないうちにあなたも染まっているかもしれない、孤独に陥りがちな現代社会の価値観に気づかせてくれます。「読むセラピー」と称された、カウンセラーとクライアント(依頼者)の夜の航海物語を、精神保健福祉士の森本康平氏が解説します。


Twilio、「顧客エンゲージメント最新動向」を発表 データ使用状況の開示と高い透明性の重要性を明らかに

Twilio、「顧客エンゲージメント最新動向」を発表 データ使用状況の開示と高い透明性の重要性を明らかに

Twilio Japan合同会社は、「顧客エンゲージメント最新動向」の日本語版を発表しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

ページトップへ