ハロー効果とは?見た目やイメージで人々の心を動かす心理効果

ハロー効果とは?見た目やイメージで人々の心を動かす心理効果

同じ内容でも見た目やイメージが良い方を選びがちな傾向は、「ハロー効果」と呼ばれる心理効果です。ビジネスシーンやマーケティングにおける他社との差別化施策として、利用期待度の高いハロー効果。ハロー効果の理屈や事例、どのように活かすべきかなどを解説します。


ハロー効果とは

ハロー効果とは、人やモノなどを評価する際、わかりやすく、目立つ特徴に引かれてそのほかの要素も同様に考えてしまい、公平ではない評価になってしまう現象です。

「ハロー」とは英語の「Halo」で、後光や光輪といった意味合いを持ちます。したがってハロー効果は「後光効果」とも呼ばれています。

CMでの有名人起用率が高い理由は、好感度の高い人物のイメージを商品と結びつけたハロー効果を利用したものと言えます。

時に非合理に見える人々の意思決定を、心理学を交えて解き明かす行動経済学では、今回の「ハロー効果」や「現状維持バイアス」など、マーケティングの現場でも使える理論があり注目されています。

マーケティングで活用がすすむ「行動経済学」とは?

https://manamina.valuesccg.com/articles/1147

経済学や経済行動に心理学を交えて分析する「行動経済学」。サンクコストや現状維持バイアスなど有名な理論も含まれ、2017年にリチャード・セイラー教授がノーベル経済学賞を受賞し、さらに注目を集めるようになりました。今回は、行動経済学と経済学の違いから行動経済学をビジネスやマーケティングにどのように落とし込んで実践するかを解説します。

ハロー効果の種類

ハロー効果には前述した「目立つ特徴」がよいものである場合と悪い場合の2種類があります。

ポジティブハロー

目立つ特徴がよいものを「ポジティブハロー」とします。ポジティブハローの例として以下のものが挙げられます。

・有名大学卒といった高学歴であること
・身だしなみが整っている
・ハキハキとした受け答えをする
・人当たりがよい

ビジネスマンにポジティブハロー効果を当てはめた場合、こうした「よい」要素を持っていると実際の仕事ぶりに関わらず、彼はすぐれたビジネスマンであると評価する傾向が強くなります。

好感度の高い人物を起用し、良いイメージづくりをするCMは、ポジティブハロー効果を狙ったものと言えます。

ネガティブハロー

ポジティブハローとは反対の要素となるのが「ネガティブハロー」です。身だしなみがだらしなかったり、ぶっきらぼうだと、本来の資質とは関係なく悪い評価をされがちです。基本的にネガティブハローがビジネスの場で好影響を及ぼすケースは、あまりありません。

ポジティブハロー効果を生むものの一例

マーケティングやビジネスにおいては、「ポジティブハロー」を生み出したいものです。この場合、どうすればよいのでしょうか?ポジティブハローを生む4つの要素を紹介します。

ハロー効果を与える3つの「B」

広告やCMで商品やサービスをアピールする場合、芸能人や有名キャラクターで良いイメージを持ってもらいたい所ですが、予算がない場合も多いと思います。もう少し費用を抑え、芸能人に近い効果を狙えるのが、以下の3つです。

・Beauty(美しい人)
・Baby(赤ちゃん)
・Beast(動物)


「美しい人」は、一般的な美人である必要はありません。笑顔などの表情が美しいという観点からの美しさがある、と判断すれば大丈夫です。「赤ちゃん」や「動物」はほとんどの人にとって、かわいい、愛らしい、癒やされるという対象です。

これらの点から、いずれも多くの人に対してポジティブハロー効果を期待できます。ソフトバンクのCM(犬のお父さんなど)は、3Bを最大限に取り入れた好例と言えます。

「権威」によるハロー効果

アピールしたい商品やサービスの専門家、権威ある人物、例えば大学教授などを宣伝、CMに起用したり、その分野での受賞歴をアピールする。これらは、いわゆる「権威」を人々に与え、ポジティブハロー効果を期待できます。

この人物が推薦している、あの賞を受賞している、それならば品質に問題はないだろうとして人々の購買意欲へとつながります。

「数値的根拠」によるハロー効果

「従来品と比べ、○倍の○○成分を配合」といった、具体的な数字にもとづいたデータの提示は、商品イメージの向上させるポジティブハロー効果につながります。

さらに具体的な数値のほかにも、含有成分についての学術的な解説や研究の結果といった科学的な根拠を盛り込めば、上で説明した「権威」とも結びつき、さらに説得力を強化します。

「口コミ」によるハロー効果

インターネットの普及に伴い、口コミの重要性は広く知られるところですが、これもポジティブハロー効果と言えます。

高評価の口コミが目立つ所にあると、多くの人が「良い」と判断しているのであろう、と判断し、それに対して好印象を持つ傾向があります。

対面で使えるハロー効果

ビジネスマン、とくに人と接する機会の多いセールスマンに関しては、ネガティブハロー効果を取引先、見込み客などに持たれないのが肝心です。

ライバル他社と同等の商品やサービスを扱っていても、取引先と接点を持つ人の印象が良くないと自社が選ばれるチャンスの喪失につながってしまいます。できるだけ身ぎれいにし、印象の良いコミュニケーションを心がけてポジティブハロー効果を先方に持ってもらうようにします。

これは既存の取引だけではなく、転職活動や恋愛にまで昇華させられる効果と言えます。

ハロー効果を利用する際の注意点

マーケティングでは、ポジティブハロー効果を前面に押し出していきたいところですが、以下のような点に注意を払いましょう。

まず、行き過ぎた表現にならないよう気をつけます。例えば、前述の「権威」や「数値的根拠」は正しく、合理的なものである必要があります。事実とはかけ離れた表現は、消費者庁の指導対象や、裁判沙汰になる恐れも出てしまいます。

そして、ハロー効果自体の効力は意外と短い、という点にも注意が必要です。どんなに人々の目を惹くハロー効果を十二分に備えたキャンペーンを行ったとしても、商品やサービスがそれに伴っていなければ、人気は一過性のものになってしまいます。

そのほか、芸能人をマーケティング活動に起用する場合は、本人の過去の経歴、スキャンダルなどもしっかりと精査しなければなりません。マーケティング活動開始後に不祥事を起こしてしまった場合、商品やサービスのイメージダウンにもつながってしまうため、このようなリスクも考慮する必要があります。

まとめ

ハロー効果、とくにポジティブハロー効果の正しい活用は、ビジネス・マーケティングにおいてライバルとの差別化にあたっては特に重要と言えます。

不特定多数に向けての情報発信はもとより、取引先などへの営業活動など、限定的な場面においてもポジティブハロー効果を生み出すように努める、また、ネガティブハロー効果を持たれないように注意を払うのが肝心です。

この記事のライター

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