意識&行動の両面から明らかにする真のカスタマージャーニーとは?|日経クロストレンドFORUMセミナーレポート

意識&行動の両面から明らかにする真のカスタマージャーニーとは?|日経クロストレンドFORUMセミナーレポート

コロナ禍で大幅に変化した消費者の意識と行動。そのどちらも捉えるために必要なのが、時系列ごとに顧客との接点や心理、行動を図式化した「カスタマージャーニー」です。消費者トレンドの変化をデータで解説するとともに、Web行動ログとアンケート調査を掛け合わせたカスタマージャーニー分析手法を、7月13日、日経クロストレンドFORUM2021でヴァリューズ執行役員の子安 亜紀子がご紹介しました。
※詳細なセミナー資料は無料でダウンロードできます。記事末尾のフォームよりお申し込みください。


セミナー概要

話者紹介

図:話者紹介

図:話者紹介

Agenda

⚫︎Withコロナで大きく変化した消費者トレンド

⚫︎デジタルシフトが加速するコロナ時代の消費者像を理解する

⚫︎カスタマージャーニーの必要性と把握方法

withコロナで大きく変化した消費者トレンド

株式会社ヴァリューズ 子安 亜紀子(以下、子安):「コロナ禍で消費活動が大きく変化したという話題は皆様もよくご存知かと思います。こちらは購買意欲に関する日経新聞からの抜粋記事ですが、「家庭における預金は平時より25兆円多い状態」とされ、今年、この過剰貯蓄が消費に回ることが一部の投資家に期待されているとあります。これは一部投資家だけでなく、広く業界を横断して様々な企業様にも言えることだと思います。」

図:コロナ以降の消費への意欲

図:コロナ以降の消費への意欲

子安:「コロナ以降の消費への意欲について、アンケートデータをご用意しました。
まず、『2020年に消費を見送った』というデータを見てみると、見送った商材で多かったのは、49.1%を占めた「旅行」となりました。加えて、『2021年に消費を検討したい』というデータでも、「旅行」は43.7%と首位に挙がっています。」

図:コロナ以降の消費への意欲アンケート(2020)

図:コロナ以降の消費への意欲アンケート(2020)

子安:「先のアンケートで購入意欲の上位に挙がった「旅行」に関して、消費者の関心がどのように動いているのかを見るため、ヴァリューズのログ解析データの一部をご紹介します。

上方のグラフが「旅行」に関する検索数推移となっており、下方では、実際にどのような「ワード」でWeb検索を行われたのかを可視化しています。

これらを見ると、緊急事態宣言によって検索の急激な減少が見られるも、GoToトラベルキャンペーンの期間で検索数が盛り返していたことや、国内旅行に関しては「半額補助」、海外旅行に関しては「いつから」と言った検索ワードが検索されていたということがわかり、消費者がどのような意識を持っているかを垣間見ることができます。」

図:ログ分析で可視化する、コロナ以降の関心の移り変わり

図:ログ分析で可視化する、コロナ以降の関心の移り変わり

デジタルシフトが加速するコロナ時代の消費者像を理解する

2つのトレンド

子安:「デジタル時代、消費に行動に大きく2つのトレンドが関わっていると考えます。
「Filter bubbleによるタコツボ化」と、「Pulse消費、消費行動の刹那化」です。

図:2つのトレンド

図:2つのトレンド

タコツボ化とは?

子安:「まず、「Filter bubbleによるタコツボ化」について解説します。

スマートフォンの普及からおよそ10年が経とうとしている中、個人のデバイスという性質から、各個人の見たい情報に最適化された情報が送られてくるという環境(Filter bubble)が整ってきました。
そのため、消費者は色々な情報を見ているつもりでも、実は各個人の興味の範囲、周辺情報しか見えていないことで、マスメディアと違って非常にタコツボ化が進みやすい環境になっているのがこの10年、と言えるのではないでしょうか。

タコツボ化され、各個人にパーソナライズされた情報の中だけで過ごしていくと、段々と情報は狭まっていくと考えられますが、そのような中で突如、bubbleを飛び出して気になった事を検索してみるというような行動も見られます。

このような例からも、情報の探索行動が、マスメディアの時代から大きく変わって来ていると言えるでしょう。」

図:タコツボ化とは?

図:タコツボ化とは?

図:データでみるタコツボ化

図:データでみるタコツボ化

消費行動の刹那化とは?

子安:「もう1点のトレンドが「pulse消費、消費行動の刹那化」です。

通常、消費行動にはAIDMAといったように順番に検討しながら購入まで至るという説がマーケティング手法的によく聞かれると思います。しかしこのデジタル時代では、AIDMAはあるけれど、そのタイムスパンが刹那的になって来ているのではないかと言われています。

本来であれば、Awareness、Interest、Consider…と、順番に検討、消費行動に繋がってほしいところですが、実際の行動はそうでもなく、いいなと思いついてすぐに行動に繋がるケース、幾度も検討を繰り返すも行動を中断するケースなど、右左に激しくぶれながら何かの瞬間に消費行動に至るという動きが多く、なかなか本来のAIDMAのセオリー通りの時系列や、予測できるスピード感で購買行動に繋がらないという行動が多く起きています。
この、突如購買行動が起きる様子を、パルスが跳ねる様子に擬えて「pulse消費」と呼んでいます。」

図:消費行動の刹那化とは?

図:消費行動の刹那化とは?

バタフライサーキット型検討

子安:「「pulse消費」に付随しますが、先の右左にぶれる検討行動の動きは「バタフライサーキット型検討」と言われてます。まさにバタフライ(蝶々)が、サーキットを描くように飛ぶさまを、検討行動の様子に例えられているのですが、気になったものを検索しながら一歩一歩丁寧に詰めていくというより、前述の例にもあったように、検討と選択の裏付けを固める作業を、ぐるぐると蝶々が舞うように回って行くこの動きのことを指します。

ここまでの、「タコツボ化」と、「バタフライサーキット型検討」を踏まえた上での「pulse消費」。
こういった2つの流れが、このネット時代の消費者行動にはとても増えてきてるのではないかと考えられます。
さらに、コロナ以降の消費者の大きなマインドの変化が加わることで、より消費者意識は複雑化しているとも考えています。」

図:バタフライサーキット型検討

図:バタフライサーキット型検討

図:デジタル時代のコンシューマー特徴

図:デジタル時代のコンシューマー特徴

カスタマージャーニーの必要性と把握方法

子安:「デジタル時代のコンシューマーの2つのトレンドに掛け合わせて、コロナ禍による消費マインドの変動という、マーケティングにおいてとても難しい現状にあるいま、改めてカスタマージャーニーをしっかりと把握する重要性が問われています。

本当の消費者の姿が理解できないといった多くの悩みを解決するため、現在、「消費者のアクチュアルなデータからカスタマージャーニーを把握する」という取り組みが、マーケティング先進企業から広がっています。」

図:いま、マーケティング業界で増している課題感

図:いま、マーケティング業界で増している課題感

子安:「カスタマージャーニーを作成するメリットとして、2点整理します。

⚫︎企業目線ではなく顧客目線のマーケティングができる

カスタマージャーニーを作成する過程で、顧客との接点やその際の心理の分析をしていくと、顧客になりきって客観的に自社の商品・サービスを考えられる。


⚫︎社内関係者で共通認識をもてる

複数のメンバーや部署が関わる組織においても現状と課題を把握でき、意思決定がスムーズになる。社内の各部署が共通認識を持つことで、より最適化されたマーケティングが可能になる。

このようなことから、顧客目線で心理・行動や顧客との接点を理解し、社内の意識統一を図るために、カスタマージャーニーを活用する企業が増えています。」

消費者理解のためのリサーチ手法

子安:「アクチュアルなデータからカスタマージャーニーを作ることが大切とお話しましが、そのための有効なリサーチ手法について考えていきたいと思います。

私達は、消費者理解をするためのリサーチの手法、お客様の情報の集め方を、Asking型とListening型と呼び、ご説明しています。

Asking型は質問するタイプのリサーチ手法です。アンケートやインタビューが該当します。強みとして、聞きたいことをピンポイントに聞けるといったことや、意識のデータ取得ができることが挙げられますが、弱みとしては、忘却や無意識といったことも挙げられ、見えることに限界があるとも言えるところです。

そこでビッグデータを活用し、様々なデータが取れるようになってきているいま、Listening型と呼ばれる調査手法も流行ってきています。

Listening型はエスノグラフィや、ヴァリューズが取り扱っているWeb行動ログなどが当たります。これは消費者に「聞く」のではなく、消費者の行動(の履歴)などを「見て」考える手法です。
無意識の行動や、記憶に残らない行動を把握することが可能なことが強みとなりますが、一方では、Asking型で拾える、消費者の能動的な意識は見えづらいという点もあります。」

図:消費者理解のためのリサーチ手法

図:消費者理解のためのリサーチ手法

ヴァリューズの持つモニター・ログデータによる解決策

子安:「両者の強みは、いずれも不可欠な要素です。そこで、Asking型とListening型の両者の掛け合わせが、消費者への深い理解に繋がるのではないかと考えています。

実際に最近私達が実施している手法も、「アンケート×(かける)行動ログデータによる購入購買プロセス調査」が多く、この手法を活用することで、より消費者の実像に近づきたいというクライアント様の問題解決に役立てています。」

図:ヴァリューズの持つモニター・ログデータによる解決策

図:ヴァリューズの持つモニター・ログデータによる解決策

まとめ

子安:「デジタルシフトされてからおよそ10年経ちます。消費者の得る情報は、マスメディアから広く拾う過去のスタイルから、現在はfilter bubbleなどによって各個人に最適化された「タコツボ化に遷移」し始めたと考えられます。そして、安易かつ即座に情報検索ができるようになったという背景から、「今まで把握していた消費者行動のセオリーとは外れたpulseが生まれる」ようになって来ているのが現在の消費者行動のトレンドと言えるでしょう。

このような背景の下で多様化してしまった消費者心理。この理解が難しい今こそ、カスタマージャーニーをきちんと整備し有用することで、理解を深めることが出来るのではないかと考えます。

また、カスタマージャーニー分析をよりアクチュアルなデータを用い、精度の高いものにするためには、リサーチ手法の見直しも必要です。そこで、「アンケート×行動ログデータ」を活用することで、より消費者意識の深層に近づくことができると考え、私達自身も日々実施しています。実際のデータにご興味あれば、ぜひお声がけください。」

図:まとめ

図:まとめ

セミナー資料ダウンロード【無料】

意識&行動の両面から明らかにする真のカスタマージャーニーとは?|日経クロストレンドFORUMセミナーレポート

セミナー資料のダウンロードURLを、ご入力いただいたメールアドレスに送付させていただきます。
ご登録頂いた方にはヴァリューズからサービスのお知らせやご案内をさせて頂く場合がございます。

この記事のライター

マナミナ 編集部 編集兼ライター。
金融・通信・メディア業界を経て現職。
趣味は食と旅行。

関連する投稿


【2024年12月2日週】注目のマーケティングセミナー・勉強会・イベント情報まとめ

【2024年12月2日週】注目のマーケティングセミナー・勉強会・イベント情報まとめ

編集部がピックアップしたマーケティングセミナー・勉強会・イベントを一覧化してお届けします。


【2024年11月25日週】注目のマーケティングセミナー・勉強会・イベント情報まとめ

【2024年11月25日週】注目のマーケティングセミナー・勉強会・イベント情報まとめ

編集部がピックアップしたマーケティングセミナー・勉強会・イベントを一覧化してお届けします。


【2024年11月18日週】注目のマーケティングセミナー・勉強会・イベント情報まとめ

【2024年11月18日週】注目のマーケティングセミナー・勉強会・イベント情報まとめ

編集部がピックアップしたマーケティングセミナー・勉強会・イベントを一覧化してお届けします。


【11/15(金)開催】組織をリードする事業開発・新規事業担当者のケイパビリティ|マナミナ講座

【11/15(金)開催】組織をリードする事業開発・新規事業担当者のケイパビリティ|マナミナ講座

10月に『ユーザーリサーチのすべて』を出版されたリサーチャー 菅原 大介さんと、ゲストの著書『事業構想を「書く」』を出版された堀雅彦さんによる特別セミナーを11月15日(月) 17:00〜18:15に配信します!リサーチの活用方法(定量・定性とも)、フレームワークの適用方法(環境分析・顧客分析)、自社組織や顧客組織の意思決定プロセスへの関与方法(支援会社の場合、事業会社の場合)など、実践的な知識を最新著書のノウハウを交えて論じていただきます。


【2024年11月11日週】注目のマーケティングセミナー・勉強会・イベント情報まとめ

【2024年11月11日週】注目のマーケティングセミナー・勉強会・イベント情報まとめ

編集部がピックアップしたマーケティングセミナー・勉強会・イベントを一覧化してお届けします。


最新の投稿


DB型サイトでSEO施策を実行して対策ページが上位化するまでにかかった期間は"6か月"が最多【eclore調査】

DB型サイトでSEO施策を実行して対策ページが上位化するまでにかかった期間は"6か月"が最多【eclore調査】

株式会社ecloreは、同社が運営する「ランクエスト」にて、データベース型サイト運営者を対象に、SEOの実施状況やその効果について調査を実施し、結果を公開しました。


SEOに積極的に取り組んでいるサイトの9割以上が表示速度の重要性を認識!改善に取り組む目的は「顧客体験の向上」と「リピート率の改善」が上位【Repro調査】

SEOに積極的に取り組んでいるサイトの9割以上が表示速度の重要性を認識!改善に取り組む目的は「顧客体験の向上」と「リピート率の改善」が上位【Repro調査】

Repro株式会社は、Webサイト運営・管理者を対象とした、「Webサイトの表示速度改善についての実態調査」を実施し、結果を公開しました。


感性について ~ マーケティングとハプティクス

感性について ~ マーケティングとハプティクス

人には5感が備わっています。さらに突き詰めれば第6感という感覚も。それら人の持つ感性や感覚を補うべくあらゆる技術も日々進歩していますが、人のそれらの代替となるような技術はまだ未完の途上です。それほどに他に取って代われない私たちの感性・感覚。本稿では、広告・マーケティング業界に40年近く従事し、現在は株式会社創造開発研究所所長、一般社団法人マーケティング共創協会理事・研究フェローを務めている渡部数俊氏が、広告やマーケティングを通して人の感性の深さを説き、ハプティクス(Haptics)を用いて人の感覚の重要性を解説します。


イードとガイエ、リアルとデジタルの融合でアニメファンの推し活を支援する広告パッケージを提供開始

イードとガイエ、リアルとデジタルの融合でアニメファンの推し活を支援する広告パッケージを提供開始

株式会社イードと株式会社ガイエは、全国のファミリーマート、ローソン(※一部店舗を除く)に設置されているマルチコピー機で展開するコンテンツサービス「エンタメプリント」を活用した広告パッケージ「Anime Touch Ad」を共同開発し、販売開始することを発表しました。


ネオマーケティング、ボーダーリンクとの協業で在日外国人リサーチサービスを提供開始

ネオマーケティング、ボーダーリンクとの協業で在日外国人リサーチサービスを提供開始

株式会社ネオマーケティングは、株式会社ボーダーリンクと協業し、在日外国人リサーチサービスを提供開始したことを発表しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ