博報堂DYホールディングス、メタバース生活者定点調査2024を実施

博報堂DYホールディングス、メタバース生活者定点調査2024を実施

株式会社博報堂DYホールディングスは、全国15~69歳の生活者を対象に、メタバースに関する現状の生活者意識や動向を把握することを目的とした「メタバース生活者定点調査2024」を実施し、結果を公開しました。


「メタバース関連サービスの認知」38.4%(前年比-2.1pt)、「利用経験」は8.7%(前年比+0.3pt)

国内においてメタバース関連のサービスを認知している人は38.4%、推計約3,294万人という結果となりました。

同社が実施した2023年の調査においては40.5%の認知率だったのに対して2.1ptの減少が見られ、メタバースの認知率がわずかに下がっており、特に利用なし認知層が29.7%で-2.4ptの減少が確認できます。

要因としては、昨年度よりもメタバース関連サービスにおける認知を中心としたマーケティング施策が少なかったことによる生活者の認知率の減少の可能性が考えられます。

また、メタバース関連のサービスを利用したことがある人は全体の8.7%、推計約687万人が「利用経験がある(2-3ヶ月以上での利用)」ことが確認でき、わずかに利用層が増えていることが分かりました。利用層はゆっくりと、しかし着実にその裾野を広げていることがうかがえます。

メタバースは「親しみの持てる」10.8%(前年比+3.4pt)、「手軽・簡単」:9.7%(前年比+2.4pt)

メタバースに関するサービス利用前のイメージを確認すると、「親しみの持てる」:10.8%(前年比+3.4pt)、「手軽な・簡単な」:9.7%(前年比+2.4pt)と、メタバースへの親和的イメージが増加していることが分かりました。

一方で、「オタクが多い」:7.4%(前年比-4.0pt)、「先進的な・最先端」:12.4%(前年比-3.7pt)といった項目は減少するなど、メタバースが身近な技術としてイメージされ出していることも確認できます。

メタバースがバズワードとなってから2年以上が経過し、日常で見聞きする機会も積み重なることでメタバースへの先入観や偏見が薄れ、親しみが持たれ始めていることがうかがえます。

こうした親和的イメージの醸成は今後、多様な生活者がサービスを利用していく心理的土台にもなっていくであろうと考察されます。

メタバースは「無いと寂しい」が「人間関係の面倒さは捨てられない」

利用層の「自分にとってのメタバースの存在」を経年で比較したところ、「しばらく接続していないと寂しさを覚える場:52.9%(前年比+2.1pt)」は僅かに上昇する一方で、「面倒くさい人間関係やしがらみを捨てられる場:66.5%(前年比-4.7pt)」「リアル・現実世界の知人・友人とは関係ない人たちと交流する場所:69%(前年比-4.1pt)」は減少していることが確認できます。

バーチャル空間内の人間関係はユーザーにとって重要度を増しつつ、リアル・現実世界の知人・友人とはメタバースで会う機会も増えており、そこに人間関係やしがらみさえ生じていることがうかがえます。

アバターは「自分がなりたい理想像」だけでなく「周囲の人間関係を考慮した」選択意識へ

利用層のアバター選択行動を経年で比較すると、「他人となるべく被らないアバターを選択/作成する:19.7%(前年比+3.3pt)」、「好きなキャラクターに似せたり再現したアバターを選択/作成する:26.5%(前年比+2.5pt)」といった項目が前年に比べわずかに上昇する一方で、「自分がなりたいと思う/憧れている”異性”のアバターを選択/作成する:16.8%(前年比-6.7pt)」「普段の自分とは正反対の見た目のアバターを選択/作成する:18.4%(前年比-3.2pt)」といった項目が減少していることが分かりました。

一般的にメタバース内のアバター選択においては、現実世界の性別・身体的特徴に縛られる必要がないため、自分自身がなりたい理想像の姿を形成する傾向が見られてきましたが、メタバース空間でも推し活など趣味を含めたコミュニティが醸成される中で、個性を表現するために周囲のユーザーと被らない姿や、逆に周囲と趣味(推しなど)の共通点を見つけるための姿が選択指針として増加している可能性がうかがえます。

別プラットフォーム内イベント参加動機は「普段の自分と友達から離れる」ため

利用層が普段利用するプラットフォームとは異なる別のプラットフォームで行われるイベントに参加する動機を経年で比較すると、「普段遊んでいるサービス内で禁止されていることをやりたいから:20.6%(前年比+5.8pt)」、「自分とは異なる人・動物・モノになってみたいから:23.1%(前年比+4.3pt)」が増加している一方で、「普段仲の良いメタバースのフレンド・コミュニティメンバーが参加するから:20.8%(前年比-5.5pt)」は減少していることが確認できます。

普段遊んでいるメタバースプラットフォームでは人間関係や自分が使用するアバターも固定化されているため、普段の自分とは異なる自分になったり、新しい人と出会うことを目的に、イベント等の機会に別プラットフォームに参加する利用層が一定数存在する可能性がうかがえます。

メタバースに関する参考情報源として「X」が増加

利用層のメタバース関連サービスの参考情報源としては、「X(旧Twitter):32.8%(前年比+7pt)」が大きく増加しました。

2024年は特にYouTubeなどでの人気配信者がメタバースに進出し、配信に関連する投稿や視聴者との相互コミュニケーション等を配信動画プラットフォーム内ではなくXを中心に展開していたことから、Xを通じてメタバースの情報に触れる人が増えている可能性が考えられます。

メタバース内広告が認知-興味に好影響。SNSアカウントのフォローも増加

メタバースサービス内で企業の広告に接触した利用層の態度変容においては、「その企業の名前を知った:33.4%(前年比+1.6pt)」、「その企業に興味を持った:28.3%(前年比+3.1pt)」のように認知-興味といったファネルに肯定的な影響が確認できます。

また前年からの差分を確認すると、「その企業のSNSをフォローした:10.7%(前年比+5.0pt)」が最も伸長していることが分かりました。これはXがメタバースの参考情報源として活用されていることとも関連して、メタバースからXなどのSNSアカウントに辿り着き、フォローが増加していると考えられます。

メタバース利用層/興味あり未利用層の双方に人気なのは「男性アイドル・タレント・俳優」

メタバースにおけるマーケティング施策を考える上では、コミュニケーションターゲットに応じた施策やキャスティング検討も重要になります。そこで、「メタバース利用層」と「興味あり未利用層」それぞれが好きなコンテンツや有名人について本調査で分析しました。

利用層では「お笑いバラエティ」「YouTuber/VTuber」「日常系アニメ」と、メタバースとも関連性のあるコンテンツが並ぶ一方、興味あり未利用層では「お笑いバラエティ」「アクション映画」「ポップミュージック」などが上位に入るなど、メタバース利用層と興味あり未利用層の嗜好性の違いが確認できました。

好きな有名人カテゴリを見てみると、利用層では「YouTuber」「男性アイドル・タレント・俳優」「VTuber」が上位3項目に上がります。一方、興味あり未利用層では「男性アイドル・タレント・俳優」「YouTuber」は共通して人気であるものの、「VTuber」は低いスコアであることも確認できました。

調査概要

調査方法:インターネット調査
調査時期:2024年11月
調査地区/対象者:全国の15~69歳の男女
調査機関:株式会社マクロミル
有効回収サンプル数:事前スクリーニング調査(79,982サンプル) 本調査(3,600サンプル)
分析/集計期間:エム・アール・エス広告調査
※集計結果は事前スクリーニング調査結果出現率により算出

出典元:博報堂DYホールディングス

引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000132.000036543.html

※詳細については出典元の企業にお問い合わせください。

この記事のライター

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