人気急上昇中のスフォリアテッラって何?
スフォリアテッラとは……ご存じない方のために解説すると、ナポリ発祥のスイーツです。重ねたパイ生地の中にリコッタチーズやシナモン・オレンジなどが入っています。重なったパイ生地がパリパリとした食感であるのが特徴で、名称「スフォリアテッラ」はイタリア語で「ひだを何枚も重ねた」という意味から来ているのだそう。
ナポリ発祥のスイーツ「スフォリアテッラ」
そんな「スフォリアテッラ」の検索数が、2021年下半期から緩やかに増えてきています。下記の検索数推移を見てみてください。(なお分析には、毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えるヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を使用しました。)
「スフォリアテッラ」検索ユーザー数推移
(集計期間:2021年1月〜2021年12月、デバイス:PC&スマートフォン)
グラフは右肩上がりで上昇し、2021年12月には月間1.2万人ほどの検索者数となっています。もう少し「どのような方が検索しているのか」を掘り下げて見ていきましょう。「スフォリアテッラ」検索ユーザーの属性を性別と年齢で見てみると、30代~50代の女性が多く検索をしていることがわかります。
「スフォリアテッラ」検索ユーザーの属性<性別>
(集計期間:2021年1月〜2021年11月、デバイス:PC&スマートフォン)
「スフォリアテッラ」検索ユーザーの属性<年齢>
(集計期間:2021年1月〜2021年11月、デバイス:PC&スマートフォン)
女性ユーザーの比率は8割を超えています。また年代では、30代のユーザー割合が約23%でもっとも多いことがうかがえます。
マリトッツォと比較してみる
スフォリアテッラが今後2022年の大ブームを巻き起こす存在になるのかはまだ分かりません。そこで、昨年ブームを巻き起こした先輩格・マリトッツォの検索データと比較してみましょう。
改めておさらいすると、マリトッツォは2021年にブームとなったイタリア発祥のスイーツです。パンにクリームを挟んだシンプルなものがベースですが、その見た目のインパクトや、間にフルーツやチョコレート、ジャムも加えるなどアレンジのしやすさから、スイーツ店やコンビニ各社がこぞって商品化し、話題となりました。
2021年に大ブームとなった「マリトッツォ」
では、マリトッツォのブーム初期の検索者数推移の様子を見てみましょう。下のグラフは2021年1月〜3月にかけての、マリトッツォ検索者数を表しています。
「マリトッツォ」検索ユーザー数推移
(集計期間:2021年1月〜2021年3月、デバイス:PC&スマートフォン)
「マリトッツォ」検索ユーザー数は2021年の1月〜3月に右肩上がりで急上昇しています。ユーザー数の面で見ても約3ヶ月の間に8万人/月まで増えており、2021年9月~12月に緩やかに上昇している「スフォリアテッラ」よりもかなり勢いがあったことがわかります。
さらに、「マリトッツォ」検索ユーザーの属性を性別と年齢で見てみると、男女比率は「スフォリアテッラ」と変わらず80%以上が女性ですが、年代比率は40代以上が多く検索していることがわかります。
「マリトッツォ」検索ユーザーの属性<性別>
(集計期間:2021年1月〜2021年3月、デバイス:PC&スマートフォン)
「マリトッツォ」検索ユーザーの属性<年齢>
(集計期間:2021年1月〜2021年3月、デバイス:PC&スマートフォン)
興味を持っている年代が異なる場合、情報の流通の仕方に違いがある可能性があります。そこで「流入ページランキング」を見てみましょう。(流入ページを見ることで、消費者が何に興味を持っているのかを端的に知ることができるのです)
「マリトッツォ」流入ページランキング
(集計期間:2021年1月〜2021年3月、デバイス:PC&スマートフォン)
検索が急上昇していた2021年1月〜2021年3月の時期の流入ページのデータですが、世の中的にはまだそこまで「マリトッツォ」ブームが起きていたわけではなかったにもかかわらず、記事のタイトルに「今年トレンド間違いなし」とつけられているなど、既に注目されていた(ブームにしようとしていた?)ことがうかがえます。
マリトッツォが急激に注目された理由はいくつか考えられますが、まずはInstagramなどSNSに載せたくなる「インパクトのある見た目」、そして口に出して言いたくなる「マリトッツォ」という発音のしづらい(?)名前。さらに大手スイーツメーカーやコンビニ各社がこぞって商品を短期間に登場させ「なんだか流行っているらしいぞ」と手に取る人が多くいたことが要因ではないでしょうか。
スフォリアテッラのブームは来るか?
では、一方のスフォリアテッラは今後マリトッツォのようなブームへの流れを巻き起こせるのでしょうか? 同じく流入ページのデータを見てみましょう。
「スフォリアテッラ」流入ページ
(集計期間:2021年9月〜2021年12月、デバイス:PC&スマートフォン)
流入1位は福岡県にあるスフォリアテッラ専門店「オスピターレ」のページです。2015年7月『マツコの知らない世界』で「絶対にブームになるスイーツ」としてスフォリアテッラが紹介された際、その中で「日本で唯一生地から手づくりしている専門店」として紹介されたことから注目されています。
しかしなぜ2015年にテレビで放送され話題となったスイーツが6年ほど経ってまた話題になっているのかは不明……。そこで「スフォリアテッラ」と一緒に検索されているキーワードを見てみました。
「スフォリアテッラ」検索キーワード
(集計期間:2021年9月〜2021年12月、デバイス:PC&スマートフォン)
無難なワードが並ぶ中、気になったのは「マルエツ」というワード。調べてみると、なんと2021年9月下旬にマルエツにてスフォリアテッラが「マリトッツォの次に来る」という触れ込みで販売され、ネット上で大きな話題になっていたことがわかりました。
2021年9月からの注目度が高まった理由はマルエツでの販売であったことが予想されます。
そのほかの検索後の流入ページを見てみると、2位は食特化型WEBメディア「macaroni(マカロニ)」。スフォリアテッラが購入できるお店を紹介している記事です。最終更新日は2017年1月23日であるにも関わらず、5年経った今でも多く読まれているようです。しかし、3位以降は目立った記事がなく、マリトッツォよりは注目度が現時点ではそこまで高くないことがうかがえます……。
商品自体の特性を考えてみると、マリトッツォは「ただのクリームパン」、スフォリアテッラは「ただのクリーム入りクロワッサン」と言えなくもありません。しかし、マリトッツォは見た目と名前のインパクトとが強く、話題性がありました。対して、スフォリアテッラは見た目よりも「サクサク」とした食感のインパクトが魅力の商品です。口にすればその魅力や食感の楽しさに気づくことができるかもしれないけれど、なかなかInstagramやWEBの記事では伝わりづらい部分がマリトッツォに負けている部分かもしれません。
今後、マリトッツォに見た目のインパクトで負けているスフォリアテッラが、ブームを巻き起こすためのチャンスがあるとしたら、食感やASMRを訴求するような「食べている動画」をTikTokやYouTubeなどでどんどん拡散させていくことかもしれません。スフォリアテッラの今後に要注目です。
▼今回の分析にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えます。例えば、今回の調査で行った以下のような分析が可能です。
Dockpitには無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。
Dockpitでできること