フリマアプリ市場を調査。メルカリは月間ユーザー2,000万人超、PayPayフリマは中高年に人気

フリマアプリ市場を調査。メルカリは月間ユーザー2,000万人超、PayPayフリマは中高年に人気

フリマアプリのユーザー数やユーザー属性を調査します。対象とするのは「メルカリ」「PayPayフリマ」「ラクマ」の3アプリ。特にメルカリは2021年6月期の決算で上場以来初の黒字となりました。新型コロナウイルス拡大の影響を受けて拡大中のフリマアプリ市場の実態を調査しました。


メルカリ、PayPayフリマ、ラクマの3アプリを調査

不要になった身の回りのものを手軽に売ったり、欲しかった商品を定価より安く買ったりすることができるフリマアプリ。SDGsなどの観点で数年前から注目を集めていましたが、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、その市場規模はさらに拡大しています。

非接触で手軽に買い物ができるだけでなく、家にいる時間が増え不要になったものを出品する機会が増加したことも、フリマアプリの利用が増えている原因と考えられます。そんな主要フリマアプリのシェアはどのようになっているのでしょうか。この記事では、主要フリマアプリについてユーザー数や属性を比較して、それぞれの違いを明らかにしていきます。

今回は、フリマアプリの中でも特にユーザー数の多かった「メルカリ」「PayPayフリマ」「ラクマ」の3つのアプリを調査対象として選定します。下記、それぞれのアプリの特徴を簡単に説明します。

メルカリ

「メルカリ」は、“新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る”をミッションとして掲げる株式会社メルカリが運営するフリマアプリです。この市場の先駆け的存在でもあり、今やほとんどの人が知るアプリです。同アプリ内でスマホ決済サービス「メルペイ」も展開しており、メルカリ内での売買だけでなく普段の買い物でも利用することができます。

PayPayフリマ

「PayPayフリマ」は、ヤフー株式会社が運営するフリマアプリです。PayPayと連携していたり、出品や値下げ交渉が簡単にできたりすることが特徴として挙げられます。

ラクマ

「ラクマ」は、楽天グループ株式会社が運営するフリマアプリです。アプリ上の商品の売り上げは、楽天Payに変換することで普段のお買い物に使うこともできます。

メルカリユーザーは月間2,000万人超!推移を比較

はじめに、「メルカリ」「PayPayフリマ」「ラクマ」のユーザー数の推移について、過去2年分でみていきます。下のグラフをご覧ください。

「メルカリ」「PayPayフリマ」「ラクマ」のアプリユーザー数推移

「メルカリ」「PayPayフリマ」「ラクマ」のアプリユーザー数推移
(集計期間:2020年1月~2021年12月、対象デバイス:スマートフォン)

「メルカリ」は他の2つのアプリと比較しても群を抜いてユーザー数が多く、直近では月間2,000万人を超えるユーザーがいることが分かります。また「PayPayフリマ」は2019年秋にできた新しいアプリですが、今年に入ったあたりから右肩上がりにユーザー数が増加し、2021年9月には「ラクマ」のユーザー数を抜いていたことがわかりました。

PayPayフリマは中高年に人気

次に、それぞれのアプリのユーザー属性を比較し、特徴的な部分についてみていきます。

1.性別

どのアプリもユーザーの男女比に大きな差は見られませんでしたが、「メルカリ」や「ラクマ」は女性ユーザーの方が多いのに対して、「PayPayフリマ」のみ男性ユーザーの方が多いことがわかりました。

「メルカリ」「PayPayフリマ」「ラクマ」性別ユーザー割合

「メルカリ」「PayPayフリマ」「ラクマ」性別ユーザー割合
(集計期間:2021年1月~2021年12月、対象デバイス:スマートフォン)

これは、連携サービスであるPayPayの影響が考えられます。PayPayユーザーの性別割合も見てみましょう。

「PayPay」性別ユーザー割合

「PayPay」性別ユーザー割合
(集計期間:2021年1月~2021年12月、対象デバイス:スマートフォン)

男女比はほぼ半々ですが、わずかに男性の方が多い状況となっていました。PayPayのユーザー調査については、下記のスマホ決済アプリ調査記事にまとめていますので、併せてお読みください。

【2022年】スマホ決済アプリの最新ユーザー数を調査!PayPay手数料の有料化の影響は?

https://manamina.valuesccg.com/articles/1615

過去数年で大きく普及したキャッシュレスアプリ。2019年10月の政府主導によるキャッシュレス・ポイント還元事業から2年が経過し、各社の動向はどのように変化したのでしょうか。株式会社ヴァリューズのデータを用いて、キャッシュレス決済アプリの利用ユーザー数の推移や、拡大しているセグメントを調査していきます。

2.年代別

もっともボリュームの大きいユーザー年代割合をみてみると、「メルカリ」は40代、「PayPayフリマ」は40代、「ラクマ」は20代と40代となっており、フリマアプリが40代によく利用されていることがわかりました。

年代別の比較で特に違いがみられたのは、若年層のユーザー数です。「メルカリ」と「ラクマ」は、20代・30代のユーザーが多く若年層に支持されているのに対し、「PayPayフリマ」では若年層より50代・60才以上のユーザーが多く、中年層からの支持が厚いことがうかがえます。

「メルカリ」「PayPayフリマ」「ラクマ」年代別ユーザー割合

「メルカリ」「PayPayフリマ」「ラクマ」年代別ユーザー割合
(集計期間:2021年1月~2021年12月、対象デバイス:スマートフォン)

3.年収別

世帯年収のボリューム層はアプリごとに違いはなく、「400~500万円未満」が最も多く、次に「300~400万円未満」、「500~600万円未満」と続くことがわかりました。とはいえ、どのアプリでも「1000~1500万円未満」のユーザーがある程度のボリュームを占めていることから、年収が直接的にフリマアプリの利用に関係しているのではないと推測できます。

「メルカリ」「PayPayフリマ」「ラクマ」世帯年収別ユーザー割合

「メルカリ」「PayPayフリマ」「ラクマ」世帯年収別ユーザー割合
(集計期間:2021年1月~2021年12月、対象デバイス:スマートフォン)

なお、どのアプリも未婚者より既婚者のユーザーの方が多いことから、今回は世帯年収で比較を行いました。

「メルカリ」「PayPayフリマ」「ラクマ」未既婚ユーザー割合
(集計期間:2021年1月~2021年12月、対象デバイス:スマートフォン)

▼フリマアプリの浸透度と利用ユーザー層の特徴についてもホワイトペーパーにまとめています。下記のリンク先から無料ダウンロードしてご覧ください。

メルカリ、ヤフオク!など、フリマアプリの浸透度と利用ユーザー層の特徴を調査(ホワイトペーパーあり)

https://manamina.valuesccg.com/articles/581

ここ数年間で、新たな市場として注目を集めているフリマアプリ。不要になった洋服や化粧品、日用品、家電などが手軽に売れたり、欲しかった商品を安価で手に入れられるということもあり、フリマアプリでの売買が活発化しつつあります。今回はフリマアプリの浸透度とメルカリ、ヤフオク!、ラクマ、ジモティーなど各アプリの利用ユーザー層の特徴について調査しました。詳細な調査レポートは無料でダウンロードできます。(ページ数|29p)

分析のまとめ

今回は、「メルカリ」「PayPayフリマ」「ラクマ」の3つのフリマアプリについて、様々な角度から比較を行いました。ユーザー数は「メルカリ」が一番多く、「PayPayフリマ」「ラクマ」のユーザー数の2倍以上と圧倒的な規模であることがわかりました。

また、ユーザー属性をみてみると「メルカリ」「ラクマ」はどちらかといえば女性や若年層に人気であるのに対して、「PayPayフリマ」は男性や中年層に人気となっており、どのアプリも300~600万円ほどの年収のユーザーが多い結果となりました。まだまだ新規参入も多いフリマアプリ市場。今後の動向にも注目していきたいと思います。

▼ヴァリューズではWeb行動ログデータを活用した市場動向/競合分析を得意としています。興味をお持ちの方は下記ボタンよりお気軽にご相談ください。

調査データのお問い合わせはこちら

この記事のライター

大学では広報PR・広告を専攻。2022年の春からは新卒としてヴァリューズに入社。

関連するキーワード


EC 市場調査 アプリ分析

関連する投稿


ファッション通販サイトのポジショニングを分析! 20代に人気「GRL」を4P分析で紐解く

ファッション通販サイトのポジショニングを分析! 20代に人気「GRL」を4P分析で紐解く

新型コロナウイルスの蔓延を経て、ファッション業界でもオンラインショッピングの利用が急拡大しました。実店舗よりも選択肢が増える状況下で、多くの支持を集めるブランド「GRL(グレイル)」「ユニクロ」「GU」「SHEIN(シーイン)」に注目し、好調の理由を分析します!


ECのLTVの計算方法とは?LTV向上の事例も解説!

ECのLTVの計算方法とは?LTV向上の事例も解説!

EC事業において重要な指標の一つであるLTV(ライフタイムバリュー)。LTVは顧客が生涯にわたってもたらす総収益を示す指標で、既存顧客のLTVを高めることで売上の維持、拡大につながります。 本記事では、LTVの基本的な概念と計算方法、LTVを高めるため方法について解説し、実際にLTVの向上に成功した事例についても紹介します。LTVの改善施策を考える際に役立てていただければ幸いです。


Why are certain AI English conversation apps “chosen” over others? Exploring how each app is used

Why are certain AI English conversation apps “chosen” over others? Exploring how each app is used

Spring is the season for trying something new, and many want to commit to learning English. Many apps have emerged that offer easy, self-paced English-learning. We will focus on Speak, ELSA Speak, SpeakBUDDY, and Duolingo and analyze the data to investigate the latest trends in AI English conversation apps.


”選ばれる”AI英会話アプリの差別化要因とは? データで各サービスの使われ方を探る

”選ばれる”AI英会話アプリの差別化要因とは? データで各サービスの使われ方を探る

なにかと新しいことに挑戦したくなる春。「今年こそは英語学習に力を入れたい!」と考える人も多いかもしれません。近年、自分のペースで手軽に英語の勉強ができるアプリが数多くリリースされています。今回はそのなかから「Speak」、「ELSA Speak」、「SpeakBuddy」、「Duolingo」に注目し、データを分析。AI英会話アプリの最新の動向を調査します。


サービス終了から約1年…Zenly利用者はどこへ?位置情報共有アプリの現在

サービス終了から約1年…Zenly利用者はどこへ?位置情報共有アプリの現在

位置情報共有アプリ、Zenly。かつて一般的ではなかった「位置情報を共有する便利さ」をユーザーに伝え、位置情報共有アプリという新ジャンルを開拓しました。友人や家族との待ち合わせに使ったり、スマホの紛失に備えたり、災害時の安否確認として使ったり…とユーザーに様々な需要を生み出したZenlyですが、2023年2月3日にサービスを終了しました。ではその後、Zenlyユーザーはどのアプリを利用しているのでしょうか?この記事では、Zenlyに代わる位置情報共有アプリの現在を、サービス終了直後の分析結果と比較しながら考察します。


最新の投稿


アパレル系の店舗アプリを知ったきっかけは「店員からの案内」が約6割【Repro調査】

アパレル系の店舗アプリを知ったきっかけは「店員からの案内」が約6割【Repro調査】

Repro株式会社は、アパレル系店舗アプリのインストール前後の利用状況に関するユーザー調査を実施し、結果を公開しました。


認知度の向上にはコンテンツマーケティングが必須と回答した人は9割以上!実施の結果、7割以上が成果を実感している【未知調査】

認知度の向上にはコンテンツマーケティングが必須と回答した人は9割以上!実施の結果、7割以上が成果を実感している【未知調査】

未知株式会社は、全国の企業に在籍する20〜60代の方を対象に「コンテンツマーケティングの実施・成果」に関する調査を実施し、結果を公開しました。


「美容成分オタク」のオンライン行動を分析!スキンケアの情報収集実態に見る、コミュニケーションのヒント|セミナーレポート

「美容成分オタク」のオンライン行動を分析!スキンケアの情報収集実態に見る、コミュニケーションのヒント|セミナーレポート

近年、美容インフルエンサーの発信により特定のスキンケア成分がフォーカスされ、「成分関心層」が増加しています。今回は、@cosmeを運営するアイスタイル社が保有する、日本最大級の美容に関する生活者データと、ヴァリューズが保有するオンライン行動データを活用。成分に関する情報感度の高いアーリーアダプター層に注目し、その裏にあるユーザーインサイトから、成分関心層と取るべきコミュニケーションを探ります。※本セミナーのレポートは無料でダウンロードできます。


官民連携の智略 ~ PPP/PFI

官民連携の智略 ~ PPP/PFI

高い効率性が求められるのは今や個人の仕事や学業の範疇にとどまらず、国の施策運営である公共事業などにもその思考傾向は浸透しつつあります。その結果、国は民間企業の協力を得て「官民連携」で公共事業を進めることでそれらを効率化し、さまざまな事業を支えている例が多く存在します。本稿では、このような「官民連携」で効率化を目指す手法のPPPやPFIなどについて、広告・マーケティング業界に40年近く従事し、現在は株式会社創造開発研究所所長を務めている渡部数俊氏が解説します。


観るだけでポイントが貯まる「TikTok Lite」はSNSビジネスを革新するか。TikTokユーザーデータと比較調査

観るだけでポイントが貯まる「TikTok Lite」はSNSビジネスを革新するか。TikTokユーザーデータと比較調査

動画視聴を通じてポイ活を行うアプリ「TikTok Lite」が注目を集めています。「TikTok」に少し変化を加えただけに思えるこのアプリですが、実は「TikTok」と同じぐらい勢いがうかがえます。そこで、本記事では「TikTok Lite」と「TikTok」のアプリユーザーのデータを分析し、双方の違いから「TikTok Lite」の人気の要因を探っていきます。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

ページトップへ