ヘルステック事例調査「Google Fit」の利用者はどんな人?

ヘルステック事例調査「Google Fit」の利用者はどんな人?

Google社が無料で公開している健康管理アプリ「Google Fit」が好調です。長引くコロナ禍で、ランニングやウォーキング、食事や睡眠といった、身近なヘルスケアに関心が高まり、それをスマホやアプリで管理する人が増えました。スマホさえあれば自分の健康が見える化できる「Google Fit」に興味を持つ人はどんな人か、ヘルステック最先端を調査します。


「Google Fit」で何ができる?

「Google Fit」は、Googleが開発した健康管理アプリです。運動時間や歩数、消費カロリー、睡眠時間、さらに体重の増減なども記録することができます。今流行りのスマートウォッチと連携すれば、運動しながらデータをモニタリングすることができます。

「Google Fit」を始めるために必要なGoogleアカウントを持っていない人は少ないでしょう。すなわち、「Google Fit」はなんとなく馴染みがあり、しかも無料なので気軽に始めることができます。また、Googleが搭載されているスマートウォッチにはあらかじめ「Google Fit」がインストールされています。

「Google Fit」は、スマホなどのデバイスを持ち歩くだけで、運動量や歩数、地図と連動した移動履歴などを管理してくれます。大体の人が、買い物などのちょっとした移動でもスマホを持ち歩くため、特に意識しなくてもデータがモニタリングされているという点において、老若男女問わず誰にでも受け入れられています。

Google Fit

「Google Fit」に興味がある人はどんな人?

では、「Google Fit」の人気の実態や、「Google Fit」に興味がある人はどんな人か、分析してみましょう。分析には、マーケティング分析ツール『Dockpit』を使用します。

「Google Fit」検索ユーザー数は増加傾向

「Google Fit」を検索するユーザーは直近の2年で増加傾向にあります。下グラフのように、検索ユーザー数も、アプリ利用ユーザー数も増加していることがわかります。

「Google Fit」検索ユーザー数推移

「Google Fit」検索ユーザー数推移

期間:2020年2月〜2022年1月
デバイス:PCおよびスマホ

「Google Fit」アプリ利用ユーザー数推移

「Google Fit」アプリ利用ユーザー数推移

期間:2020年2月〜2022年1月

「Google Fit」検索ユーザー属性

続いて、「Google Fit」検索ユーザーの属性を見ていきましょう。

男女比は男性が72.5%と多く、年代は40代が最多、50代、30代が続きました。
また、40代以上のユーザーが多い割には、ネット利用者全体と比較して未婚者の割合が高いこともわかります。

「Google Fit」検索ユーザー属性/男女比

「Google Fit」検索ユーザー属性/男女比

期間:2020年2月〜2022年1月
デバイス:PCおよびスマホ

「Google Fit」検索ユーザー属性/年代

「Google Fit」検索ユーザー属性/年代

期間:2020年2月〜2022年1月
デバイス:PCおよびスマホ

「Google Fit」検索ユーザー属性/未既婚

「Google Fit」検索ユーザー属性/未既婚

期間:2020年2月〜2022年1月
デバイス:PCおよびスマホ

「Google Fit」との掛け合わせキーワード

次に、「Google Fit」と掛け合わせて検索されたキーワードを調査します。
「Google Fit」はいろいろな外部デバイスやアプリと連携できるのが特徴です。掛け合わせキーワードでも「連携」がトップです。

次いで「スマートウォッチ」との掛け合わせが多く、Google Fit対応スマートウォッチを検索していることがうかがえます。

掛け合わせで検索されたデバイス、アプリは以下のとおりです。
<デバイス>
HUAWEI
Xiaomi
<アプリ>
Mi(MiスマートバンドもしくはMi Fit)
Fitbit

特に「HUAWEI」「Xiaomi」との掛け合わせ検索ユーザーは急増しているようです。

「Google Fit」を活用して健康管理したい項目としては、「歩数」「体重」が上がりました。

「Google Fit」との掛け合わせキーワードランキング

「Google Fit」との掛け合わせキーワードランキング

期間:2020年2月〜2022年1月
デバイス:PCおよびスマホ

2021年1月までの2年間での掛け合わせキーワードの変化を見てみましょう。

【第1期:2020年2月〜7月】
「使い方」「心拍数」「体重」「睡眠」など、基本的な機能について検索しているユーザーが多い。連携するスマートウオッチでは「Garmin」に注目が集まっている。「ドラクエウォーク」が興味のきっかけになっている。

【第2期:2020年8月〜2021年1月】
「アプリ」「睡眠」「血圧」など、連携したい項目を検索しているユーザーが多い。

【第3期:2021年2月〜7月】
掛け合わせキーワードも増加、Google Fitに新しく導入された「ハートポイント」について検索するユーザーも多い。「同期しない」「カウントされない」など、エラー解消目的の検索も増えた。

【第4期:2021年8月〜2022年1月】
掛け合わせキーワード増加。「HUAWEI」「Xiaomi」「パソコン」「iPhone」などのデバイスとの掛け合わせが急増。

「Google Fit」との掛け合わせキーワード/季節比較

「Google Fit」との掛け合わせキーワード/季節比較

期間:2020年2月〜2022年1月
デバイス:PCおよびスマホ

「Google Fit」に興味がある人の興味・関心

「Google Fit」に興味がある人の興味・関心ごとについて、ターゲットユーザー分析ツール「story bank」を用いて分析します。

下のマップは縦軸が「リーチ率」、横軸が「特徴値」となっており、以下の定義に基づいて算出されています。

リーチ率
対象者のうちアンケートで当該項目に回答した人数の比率
特徴値

対象者が一般的なネット利用者と比べて特徴的に興味関心のあるジャンルを可視化するための指標

(対象者のリーチ率)ー(ネット人口全体のリーチ率)で計算

縦軸「リーチ率」は、数値が高いほど興味・関心を持っているユーザー数が多いジャンルです。また、横軸「特徴値」は、一般的なネットユーザーと比べて顕著に差があるジャンルほど高くなる数値です。

両数値を合わせて考えると、グラフ右上に位置するジャンルほど、特有の興味・関心を持つジャンルとなります。
興味がある分野については、「スマートフォン」「テレビ番組」「マネー・投資」「国内旅行」「健康・医療・病気」について高い興味を示していることがわかります。

「Google Fit」に興味があるユーザーの興味関心マップ

「Google Fit」に興味があるユーザーの興味関心マップ

「story bank」を用いて分析
・集計期間:2021年1月〜2021年12月
・n=2,000人
・Google Fitアプリを起動した前後180分の行動ログを抽出

また、同様に身体の悩みについてもマップ化したところ、「睡眠不足」「目の疲れ」「肩こり」「肥満・メタボ」などが目立ちます。

スマホの使いすぎによる目の疲れ、肩こりなど、現代人の抱える悩みがそのまま表れています。

「Google Fit」に興味があるユーザーの身体の悩み

「Google Fit」に興味があるユーザーの身体の悩み

「story bank」を用いて分析
・集計期間:2021年1月〜2021年12月
・n=2,000人
・Google Fitアプリを起動した前後180分の行動ログを抽出

まとめ

Google社が無料で公開している健康管理アプリ「Google Fit」について分析しました。

「Google Fit」は、スマホなどのデバイスを持ち歩くだけで、運動量や歩数、地図と連動した移動履歴などを管理してくれます。「Google Fit」を検索するユーザー数もアプリ利用ユーザー数も、共に増加傾向にあり、ヘルステックを牽引するツールの1つと言っていいでしょう。

「Google Fit」検索ユーザーの属性や掛け合わせキーワードから、どんな人が興味を持っているのかを分析しました。ユーザー属性は男性が72.5%と多く、年代は40代が最多でした。

いろいろな外部デバイスやアプリと連携できるのが特徴の「Google Fit」ですが、掛け合わせキーワードでもデバイス名やアプリ名が多く見られました。
頻出キーワードは以下のとおりです。
<デバイス>
・HUAWEI
・Xiaomi
<アプリ>
・Mi(MiスマートバンドもしくはMi Fit)
・Fitbit

特に「HUAWEI」「Xiaomi」との掛け合わせ検索ユーザーは急増しているようです。その他、健康管理したい項目として「歩数」「体重」が目立ちました。

掛け合わせキーワードは時系列で変化が見られました。2年前は「使い方」「心拍数」「体重」「睡眠」など、基本的な機能について検索しているユーザーが多かったのに対し、最近では「HUAWEI」「Xiaomi」「パソコン」「iPhone」などのデバイスとの掛け合わせが多く見られました。

「story bank」を用いて「Google Fit」に興味がある人の興味・関心ごとを調査した結果、スマホの使いすぎによる目の疲れ、肩こりなど、現代人の抱える悩みがよく表れました。

▼今回の分析にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えます。Dockpitには無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。

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この記事のライター

フリーライター。大手キャリア系企業で編集の仕事に出会い、その後、3つのメディアの立ち上げなど行い、2014年にフリーランスに。医療系、就活系、教育系、結婚系のサイトで執筆中。

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