2022年春節 ペット経済、親孝行消費など 〜 若年層の新たな消費スタイル|中国トレンド調査

2022年春節 ペット経済、親孝行消費など 〜 若年層の新たな消費スタイル|中国トレンド調査

中国の旧暦のお正月である春節の消費トレンドを始め、冬季オリンピックに関連した氷雪経済や中国ブランドブーム、ペット消費など、現代の若年層の新しい消費スタイルをご紹介します。年越し用品の買い出し、正月料理の準備、友人や親戚への訪問などは、今でも新年の最優先事項ではあります。一方で、Y世代やZ世代が一家の主役になり始めると、年越しの遊び方も大きく変化してきました。彼らの年越し買い物リストの見どころや新しいトレンドは何でしょうか。コロナ感染症の流行によって旅行ではなく、地元などで年越しをすることになった若年層は、どのように正月祭りを上手く過ごしているのでしょうか。


春節で売れ行きが良かったもの

若者による氷雪消費ブーム

近年、中国でもスキーブームが訪れました。智研コンサルティングのデータによると、2020年の中国のスキー人口は約1,724万人、中国人スキーヤーは約1,051万人になるそうです。そして、ただでさえ熱い氷雪スポーツと氷雪観光は、特に北京冬季オリンピックの開幕で春節の間に急速に流行っているようです。

中国の大晦日から正月4日までにTmallのスキー用品の売上は前年比180%を超え、アイスホッケー関連の売上も300%以上伸びました。Z世代が氷雪消費ブームの新たな勢力となり、氷雪観光の人気は上昇を続け、スキーや温泉は若者の氷雪観光の新たな消費スタイルとなっています。

「Fliggy(フリギー、中国語:飞猪)」のデータによると、春節に氷雪観光を予約した若年層は前年に比べ、80%以上増加し、他の年齢層を大きく上回っています。 春節に向けた「氷雪+温泉」の組み合わせ商品の受注が前年比40%以上増加しました。

今、多くの若者が求める氷雪スポーツ・観光体験は、スキー、アイススケート、氷像鑑賞、雪見、雪遊びといった基本的なスポーツ・観光項目のレベルだけでなく、アイスクライミング、カーリング、エクストリーム・スノー・スポーツといった新しいサブセグメントでも若者から注目されているのです。

2022年春節のもう一つのトレンドは、「冬季オリンピックブーム」です。世界経済の低迷を背景に、北京冬季オリンピックの開催が中国経済に活力を与えていることは間違いないでしょう。

氷雪消費ブームの解説

ペット消費

近年では、ペット用お正月商品という概念の誕生により、ペット消費における新たな消費トレンドが生まれました。ペット経済の急速な発展の背景として、若者の消費スタイルの変化が挙げられますが、こうした変化も更なるペット経済のブームに影響を与えていると専門家も指摘しています。

今、若年層はすでにペットを家族の一員と考え、「ペットの正月料理」「新しい正月服」「手入れと美容」にまで力を入れています。

Taobaoライブは「2022年年越し祭:新年生活消費動向報告」を発表し、年越し祭期間中、ライブ配信でペットアパレル消費量が65%増加したことを明らかにしました。

さらに注目すべきなのは、2022年春節のペット消費の新たな動向も生まれたということです。例えば、ペットの宿泊がグレードアップし、「ペットホテル」「ペットロッジ」「ペット保育園」「ペットリゾート」といった新しい用語や概念が登場していることです。上海では春節の時期、ペットの預け入れは1日200元前後が平均ですが、中には1日600元、700元もする「豪華な部屋」もあるそうです。

中国ブランドと老舗ブランド消費

今年のタオバオ年越し祭では、中華老舗ブランド商会の老舗ブランド認定を受けた400以上の老舗ブランドが参加しました。その中で、「陶陶居」の旗艦店は生放送中に18,431%、西凤の公式旗艦店は生放送中に2,611%、「秋林里道斯」の旗艦店は生放送中に1,513%も売上高が増加しました。

また、「レディース服」部門は、ライブコマースやネットでの売上が全体的に良く、「チャイナドレス」「漢服」がハイライトとなり、これらの伝統衣装や「中国風」の中国ブランドの服が、若者の「正月衣」「正月戦服」となることが多くなりました。

ライブコマースデータ

新たな消費スタイル

年貨節とEコマース消費

日本でも年末年始にセールを行う習慣がありますが、中国でも春節前に購入する年越し関連グッズを「年貸」と呼んでおり、EC業界では「年貨節」というセールイベントが作られています。

2016年以降、年貨節は徐々にダブル11、ダブル12に次ぐ重要なショッピングフェスティバルとなった一方で、Tmall、Taobao、Jingdong、拼多多、Douyin、快手などのEコマースプラットフォームや、ショートビデオのプラットフォームでも重要視されており、そのIP価値も高まっています。

2022年の旧正月も、コロナウィルス感染症につれ、北京、上海など多くの場所で「年越しを地元やその場で過ごす」ことが提唱されています。若年層の消費者にとって、ネットショッピングは日常的な習慣になりつつある中で、感染症の予防と対策という背景から、春節商品を購入するためにネットというチャネルを選ぶ若者がさらに増えていくでしょう。

CBNDataの調査データによると、幅広い商品、高いコストパフォーマンス、即時配達などのメリットから消費者の86%がオンラインEコマース、53%が「餓了么」などのライフサービスプラットフォームや出前サービスでお正月グッズを購入していることを明らかにしています。

若年層インサイト

若年層による親孝行消費

社会人を対象に調査したデータによると、春節の年長者への親孝行の支出は30%を占めると明らかになりました。

先日、京東スーパーは「2022年正月京東スーパーギフト箱消費報告」を発表し、その中で「親孝行消費」が特に注目を集めていました。年長者向けの正月用健康ボックスの売上は153%増加し、低糖質菓子も530%増加し、新たな消費トレンドとなりました。

また、「乳糖ゼロ」の牛乳は前年比42%増、アルコールフリー・低アルコールワインの12月の売上は前年比11倍となり、年長者へのプレゼントとして「健康を贈る」ことが第一の選択肢となったようです。 北京の老舗菓子ブランド「稻香村」も、牛タン菓子、モジ菓子、妻餅など11種類の味の定番菓子が入った、高齢者に適した糖アルコール菓子のギフトボックスを発売しました。この商品は、サトウキビ糖を使用せず、糖原料にキシリトールを使用しており、特に糖尿病患者に適していると明らかになりました。

再会とシェアは春節の重要なテーマであり、若い人たちはたとえ場所が違っても家族への思いを伝えたいと考えているでしょう。約8割の消費者が、家族への旧正月用の商品を出前サービスやEコマースプラットフォームから遠隔で注文することを検討すると回答し、果物や生鮮食品、健康食品などが人気のギフト商品として挙げられています。

旧正月には、肉や魚、油や砂糖を大量に摂取することは避けられないと考えられます。しかし消費者は両親や年長者の健康のために、好みに合わせて健康的な食事に気を配るようになっています。こうした若い人たちの新しい発想、認識、態度は、従来のシニアフード市場に新鮮なエネルギーを注入するに違いないでしょう。

若年層インサイト

「稻香村」のギフトボックス

まとめ

伝統的なオフラインのスーパーマーケットから、ワンクリックネットショッピングへ、「高価なものしか贈らない」から「年長者の健康を考えたよりきめ細かい選択」へと変化しているなど、消費者の旧正月商品に対する選択の変化は、ライフスタイルや生活水準の変化後の新しい消費需要の変化も反映しているといえます。

春節の消費ブームの背景には、現在の中国国内の消費構造の変化と、Z世代の若者が消費の主役となる流れがあるとされています。そこから派生する新しい産業や経済が、2022年の消費者市場にどのような変化をもたらすでしょうか。

参考URL

「“宠物年俗”火爆春节市场,谁在为新消费宠物经济买单?」
https://m.gmw.cn/2022-02/07/content_1302793184.htm?source=sohu
「京东超市发布《2022年货节京东超市礼盒消费报告》,揭示2022年春节年货礼盒消费的趋势」
https://www.biolink.cn/article/4407_13.html
「90后接棒“年货采办权”? 最新2022年轻人过年趋势洞察 | CBNData报告」
http://ex.chinadaily.com.cn/exchange/partners/82/rss/channel/cn/columns/sz8srm/stories/WS61ef65bfa3107be497a03c0b.html
「2022年的春节假期,消费者们都在如何“花钱”」
https://www.163.com/dy/article/GVPS556C0531KBFR.html
「年轻人过年,钱都花哪儿去了?」
https://www.163.com/dy/article/GVK08P0I0539DANK.html
「淘宝直播报告:2022年货节直播间成交额同比增长20.5%」
https://www.dsb.cn/174804.html
「经济日报携手京东发布数据 冬奥会带旺冰雪消费」
http://www.ce.cn/xwzx/gnsz/gdxw/202202/09/t20220209_37314351.shtml

この記事のライター

慶應義塾大学在学中。

関連するキーワード


中国トレンド調査 中国市場

関連する投稿


中国で大ブーム!食べて健康になる薬食同源(やくしょくどうげん)と最新トレンド

中国で大ブーム!食べて健康になる薬食同源(やくしょくどうげん)と最新トレンド

中国で今、伝統的な健康思想「薬食同源」が大ブームを巻き起こしています。急速な高齢化を背景に健康寿命を延ばしたいシニア世代だけでなく、日々の疲れやストレスを抱える若者たちの間でも、タイパ抜群の手軽な養生スタイルとして急速に浸透中。2024年には主要ECだけで1兆円を超える巨大市場へと成長しました。本記事では、老舗の若返りやヒット商品の動向など、進化を続ける中国の最新健康トレンドを解説します。


自然の中を走るトレイルランニングが中国で人気

自然の中を走るトレイルランニングが中国で人気

トレイルランニングというスポーツが中国で人気を集めています。「トレイル」とは「未舗装路」を意味し、山道など自然の中を走るスポーツです。特に30代から40代の人々の間で人気を集めるこのスポーツについて、ブームとなっている背景を紹介します。


中国「ダイエット・エコノミー2.0」 〜「体重管理年」を経て爆発する最新トレンドと消費の行方

中国「ダイエット・エコノミー2.0」 〜「体重管理年」を経て爆発する最新トレンドと消費の行方

2026年の中国では、ダイエット・エコノミーが劇的な二次進化を遂げています。2024年に始動した政府主導の「体重管理年」プロジェクトを経て、国民の意識はダイエットから全天候型のライフスタイルへと進化しています。本記事では、春節後の爆発的な需要を背景に、タイパを重視した「機能性食品のスナック化」や、小紅書(RED)等のコンテンツECが牽引する最新の消費トレンドを詳説。変容する中国若年層の心理を読み解き、日本企業が中国の巨大な健康市場を攻略するためのヒントを提示します。


中国で大ブームのアイロンビーズ。大人もハマる、その魅力は?

中国で大ブームのアイロンビーズ。大人もハマる、その魅力は?

中国でアイロンビーズのブームが巻き起こっています。一見すると子供向けの遊びに思えますが、今や若者や大人が楽しむ趣味になっており、2025年の “不思議な趣味”ランキングのTop10に入るほどです。この記事では、アイロンビーズにはどのような魅力があり、人々にどのように楽しまれているのかを紹介します。


中国の若者が「自愛」に目覚める、そのトレンドは?

中国の若者が「自愛」に目覚める、そのトレンドは?

2025年11月、SNS上で発信された投稿に載せられた「愛你老己 (アイ・ニー・ラオ・ジー)」というフレーズが中国の若者たちの間に広がり始めました。自分自身へ大切にしているよと呼びかける、短いながらも現代の若者の価値観を反映したこの言葉は、彼らの生活や消費行動にどのような影響を与えているのでしょうか。この記事では 、「愛你老己」という言葉が生まれた背景やそれに伴い生まれた消費トレンドを紹介します。


最新の投稿


スクショやAI要約を前提に作れ!BtoB商材の社内共有で「使われる」資料の条件とは【IDEATECH調査】

スクショやAI要約を前提に作れ!BtoB商材の社内共有で「使われる」資料の条件とは【IDEATECH調査】

株式会社IDEATECHは、株式会社Bizibl Technologiesと共同で、過去1年以内にBtoB商材の検討・選定に関与し、社内決裁会議への参加経験を持つ課長相当以上のビジネスパーソンを対象に、見込み客社内で使われる資料の条件調査を実施し、結果を公開しました。


BtoB商材は「検索と紹介」で決まる?導入候補に選ばれる企業・落とされる企業の決定的な差【トゥモローマーケティング調べ】

BtoB商材は「検索と紹介」で決まる?導入候補に選ばれる企業・落とされる企業の決定的な差【トゥモローマーケティング調べ】

トゥモローマーケティング株式会社は、全国の25〜62歳のビジネスパーソンを対象に、「BtoBサービス・製品の購買行動に関する調査」を実施し、結果を公開しました。


気づけば使いすぎ?58.4%が陥るキャッシュレスの“見えない支出”。使いすぎ実感の最多はクレカ【ステップ・アラウンド調査】

気づけば使いすぎ?58.4%が陥るキャッシュレスの“見えない支出”。使いすぎ実感の最多はクレカ【ステップ・アラウンド調査】

ステップ・アラウンド株式会社は、同社が運営する「OREND(オレンド)」にて、キャッシュレス決済の支払い時の感じ方について、全国の20代から60代の男女を対象にアンケート調査を実施し、結果を公開しました。


良かれと思った広告が逆効果?約6割が「決済中のポップアップ」で購入を諦める深刻な実態【シナブル調査】

良かれと思った広告が逆効果?約6割が「決済中のポップアップ」で購入を諦める深刻な実態【シナブル調査】

株式会社シナブルは、主にスマートフォンを使用してネットショッピングする20~50代の男女を対象に、「スマートフォンでのネットショッピングにおけるポップアップのストレス」に関する調査を実施し、結果を公開しました。


アポ率向上・リード獲得に直結。成果を出すBtoB企業が実践する動画マーケティングの実態【アルファノート調査】

アポ率向上・リード獲得に直結。成果を出すBtoB企業が実践する動画マーケティングの実態【アルファノート調査】

アルファノート株式会社は、動画マーケティングを実施しているBtoB企業の担当者を対象に、動画マーケティングに関する実態調査を実施し、結果を公開しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

ページトップへ