【パワポ/PDF】3C分析の無料テンプレート集
3C分析の概要と、無料のテンプレートを提供します。
■3C分析とは
3C(サンシー)分析とは、顧客(Customer)、自社(Corporation)、競合(Competitor)の頭文字をとったフレームワークです。主に企業のマーケティング、戦略策定に用いられます。3つのCから多角的に事業や商品・サービスを分析することで、競合と差別化を図り、顧客のニーズを満たす商品・サービス作り、広告、ブランディングに役立ちます。
Customer:市場・顧客の分析
Corporation:自社の分析
Competitor:競合の分析
元々は、マッキンゼーの大前研一氏が1980年代に戦略的三角関係(Strategic Triangle)提唱したものですが、さまざまな立場の人々が創意工夫を凝らした結果、いくつも独自の3C分析が展開されています。ただし、この中で「これが正解」という手法はないため、自社に適している方法で進めるといいでしょう。
■3C分析の無料テンプレート
無料で使えるテンプレートをダウンロード可能です。
テンプレートを用いた3C分析事例|スターバックス
テンプレートを用いて、スターバックスを分析します。
結果は、次の通りとなりました。次項から細かく解説します。
(※あくまで筆者の見解であり、おおまかな分析です)
■市場・顧客の分析
まず、市場について見ていきましょう。喫茶店業界の市場規模は、20年間ほど1兆〜1.2兆円で推移していました。しかし、2020年にはコロナの影響で減少に転じています。
主な顧客は、「流行に敏感な20~30代キラキラ女子」と「自分磨きも趣味も満喫、デキるビジネスマン」です。抽象的な顧客像と思われるかもしれませんが、実はWebアンケートと最新マーケティングツールに基づく分析の結果です。
スターバックスアプリ利用者の可処分所得や興味関心から浮かび上がった顧客像は、次のようなものでした。
流行に敏感な20~30代キラキラ女子:ファッションやお化粧が好きで、イベントごとにも関心が高く、SNSも使いこなす情報感度の高い人
自分磨きも趣味も満喫、デキるビジネスマン:世帯年収や可処分所得が高い傾向にあり、仕事に邁進していることが伺える一方、趣味として旅行やスポーツ、読書などにもお金をかけている人
このように既存顧客をデータ分析することで、立体的な顧客像が見えてきます。
■競合の分析
次にライバル会社を分析します。スターバックスの競合は、喫茶店業界の二大巨塔である「ドトールコーヒー」と「コメダ珈琲」です。
※価格は2022年7月時点
ドトールコーヒーは、国内約1,300店舗(2022年5月末時点)を展開し、売上高は2位。価格帯はコーヒー一杯220円からと、競合と比べて安価です。モダンなインテリアで、老若男女問わず気軽に入りやすい店舗となっています。
コメダ珈琲は、国内約950店舗(2022年5月末時点)を展開する、売上高3位の企業です。価格帯は、コーヒー一杯460〜700円で、やや高めの価格帯に当たります。ウッド調の落ち着くインテリアで、トーストやサンドウィッチなどのフードメニューも充実しており、ファミリーや高齢層に人気です。
■自社の分析
自社の分析は、SWOT分析の4項目(強み・弱み・機会・脅威)で詳細におこないます。
【強み】
スターバックスの売上高は1位。価格は、コーヒー一杯350円からと安価です。
最大の特長はドリンクをカスタマイズできる点。豆乳やカフェインレスなど、自分の好みに合わせてドリンクを注文可能です。また、ハロウィンやクリスマスなど、季節性のイベントに応じた新商品を展開。新商品の発表時には、店舗に行列ができることすらあり、ファンを飽きさせない工夫をしています。
【弱み】
若年層の利用者が多く、年配層の顧客は少ない傾向にあります。フードメニューは、サンドウィッチやケーキなどの軽食のみです。内装もオシャレですが、人によっては「オシャレな人しか入れない、敷居の高さ」を感じることもあるようです。
【機会】
店舗数は、2022年3月末時点で約1,700店舗。2020年の約1,600店舗から、ハイペースに出店を進めています。
【脅威】
スーパーで販売している缶コーヒーや、コンビニのコーヒーメーカーも競合となり得ます。1杯100円ほどの安価ですが、商品の種類が限られていたり、また、オシャレな空間で友人・家族とくつろげる店舗の付加価値は高いと考えられます。
■3C分析から考える戦略例
例えば、次の成功戦略を考えられるでしょう。
・高齢者層を取り込む、和スイーツの提供
スターバックスではドーナッツやサンドウィッチが主力のフードメニューですが、あえて和スイーツを提供して、高齢者の集客を狙います。
・デキるビジネスマン向けに書籍コーナーの展開
データ分析で浮かび上がった趣味の「読書」を踏まえ、店舗内に書籍コーナーを設置することで潜在ニーズを満たします。
実際にカルチュア・コンビニエンス・クラブ会社の書店「TSUTAYA」と併設している店舗もあります。自社内ですべてのサービスを提供しなくとも、他社と協業することで、付加価値を高められる好例です。
テンプレートで進める3C分析のやり方
テンプレートを用いた3C分析の具体的なやり方を解説します。
■市場・顧客の分析
市場と顧客を分析する上で、有効な問いかけは2つです。
・市場はあるのか?
自社の提供している商品・サービスに本当に市場があるのかを確かめてください。
具体的には、「市場規模」や「成長性」を見ていきます。市場規模が小さすぎれば、シェアを高めても目標の売上を確保できないかもしれません。市場規模は、経済白書などの統計データを参考にできます。また、その市場は今後伸びていくのか、縮んでいくのか、成長性を見極めましょう。
・主な顧客は?
顧客の属性についても分析します。「30歳男性・東京都在住・年収500万円・独身・映画鑑賞が趣味」のように、属性をできるだけ細かく分析してください。イメージではなく、実在する顧客を分析すると、精度は高まります。
また、顧客のニーズも探りましょう。ジムなら「モテるために食生活でたるんだお腹をシェイプアップしたい」など具体的に挙げます。顧客向けのアンケートでニーズを調べると、より確実です。
■競合の分析
同じく、2つの問いかけをしましょう。
・競合はどこ?
競合は、自社と似た商品・サービスを提供している会社だけではありません。業界が違っても、代替となる商品・サービスは存在します。例えば、ジムの代替品を「退社後の会社員が時間を使うところ」と定義するなら、居酒屋や動画配信サービスも競合となり得ます。
・競合に勝てる?
競合の「売上」や、商品・サービスの「強み」「弱み」を分析しましょう。強み・弱みを把握すれば、それに対して自社がどうオリジナリティを出すかも検討できます。
また、どのような戦略をとっているのか、今後の動向を探ることも重要です。
■自社の分析
自社の売上・利益の変化や、顧客層の内訳、ブランドイメージを分析します。
ここでは、SWOT分析を用いると、より精度が高まります。
SWOT分析で精度が高まる
SWOT分析とは、自社の「強み」「弱み」と、外部の「機会」「脅威」に分けて、分析するフレームワークです。ここまでの「市場・顧客の分析」や「競合の分析」と内容が一部重複するかもしれませんが、漏れなく洗い出すためにも活用するといいでしょう。
3C分析を進める注意点
3C分析を進める注意点は2つあります。
■広すぎる事業対象
複数の事業を抱える企業では、事業をまとめて3C分析にかけるかもしれません。しかし、それではピントがズレてしまいかねません。
例えば、Amazonは「EC事業」「パブリッククラウドサービス事業」「広告事業」と多岐にわたる事業を展開しています。これらを一緒くたにして3C分析にかけると、顧客に個人と法人が混在し、競合はクラウド業界から広告業界まで広がってしまうでしょう。
事業対象を広げすぎず、一事業に絞ることが重要です。
「EC事業」に絞れば、個人を主な顧客とし、競合に「楽天」や「Yahoo!」が挙げられます。あるいは、「EC事業」の「衣類」に商品を絞れば、「ZOZOTOWN」や「UNIQLO」が競合になるでしょう。事業範囲を小さくするほど、より具体的な分析が可能です。
■自社に都合の良い分析
3C分析で用いる情報に偏りがあると、誤った分析をしてしまうかもしれません。例えば、自社に都合の悪いデータからは目を背け、都合の良いデータばかりを集めてしまう場合です。
「そんなに都合よく解釈しない」と思うかもしれませんが、分析の提出先が上役だと「できるだけ良い情報だけを集めよう」との心理が働く可能性もゼロではありません。
あるいは、市場や競合の分析をおそろかに進めてしまうと、リサーチが不十分で「新商品に似たものを、すでに競合が出していた」と後から気づく可能性もあります。
自社に都合の悪いデータにこそ目を向け、対策を講じることが大切です。
Webサイトの3C分析は「Dockpit」で簡単に!
とくにWebサイトの3C分析を実行する際には、スターバックスの顧客分析で触れたように、マーケティングデータに基づいた分析を意識することが重要です。しかし、自社内で集めたアンケートやアクセス解析を、わかりやすいマーケティングデータに変換することは難しいかもしれません。
また、複数のツールを用いた分析では、機能やデータがバラバラになっていて、横断的に判断する必要があります。
このような3C分析における問題を解消できるツールが「Dockpit」です。
Dockpitは3C分析を一つのツールで行えるマーケティングダッシュボードサービス。競合の分析だけでなく、潜在的な顧客ニーズまで把握できます。250万人規模のインターネット行動ログデータ(検索ワード・閲覧ページ・滞在時間など)を実装し、3C分析に活用することが可能です。
例えば、競合分析では、「競合ECサイトのCV分析」を行えます。競合ECサイトにおけるユーザーのカート遷移率、購入割合まで確認可能です。市場・顧客分析では、検索ワードの検索数を調べ、ユーザーがどのWebサイトに流入したかのシェアを把握できます。
その他にもさまざまな機能を有しているため、詳しく知りたい方は下記からお問い合わせください。
まとめ
今回は、3C分析のテンプレートを用いたやり方を、スターバックスの事例を交えつつ解説しました。無料テンプレートをダウンロードして、実践にご活用ください。また、正確な情報を集め、SWOT分析を交えることで、より精度の高い3C分析を行えます。
業務の忙しい合間をぬって、正確かつ効率よく3C分析を進めるためには、「Dockpit」のような最新マーケティングデータ分析ツールを利用してはいかがでしょうか。
販促ライター。ITベンチャーを経て2015年からライターとして独立し、2023年に株式会社SHIKIを創業。ライター兼編集者として大手企業が発信するコンテンツの企画や制作管理を担う。多岐にわたる業界の制作経験から、見込み客のステージに応じた文脈の使い分けを得意とする。会社員や主婦など92名のライターを育成。ライター採用やレギュレーション制作の実績もあり。ご依頼はokada@shikcorp.comまで。