3C分析の無料テンプレートでのやり方と事例(スターバックス)

3C分析の無料テンプレートでのやり方と事例(スターバックス)

3C(サンシー)分析とは、顧客(Customer)、自社(Corporation)、競合(Competitor)の頭文字をとったフレームワークです。テンプレートで3C分析を簡単に進めたい、事例から3C分析を学んでみたい、という方もいるでしょう。本記事では、3C分析のテンプレートを用いたやり方や事例、注意点を解説します。テンプレートは無料でダウンロードできるため、3C分析を実践したい方は最後までお読みください。


【パワポ/PDF】3C分析の無料テンプレート集

3C分析の概要と、無料のテンプレートを提供します。

3C分析とは

3C(サンシー)分析とは、顧客(Customer)、自社(Corporation)、競合(Competitor)の頭文字をとったフレームワークです。主に企業のマーケティング、戦略策定に用いられます。3つのCから多角的に事業や商品・サービスを分析することで、競合と差別化を図り、顧客のニーズを満たす商品・サービス作り、広告、ブランディングに役立ちます。

Customer:市場・顧客の分析
Corporation:自社の分析
Competitor:競合の分析

元々は、マッキンゼーの大前研一氏が1980年代に戦略的三角関係(Strategic Triangle)提唱したものですが、さまざまな立場の人々が創意工夫を凝らした結果、いくつも独自の3C分析が展開されています。ただし、この中で「これが正解」という手法はないため、自社に適している方法で進めるといいでしょう。

3C分析の無料テンプレート

無料で使えるテンプレートをダウンロード可能です。

【パワポ】3C分析の無料テンプレート

【PDF】3C分析の無料テンプレート

テンプレートを用いた3C分析事例|スターバックス

テンプレートを用いて、スターバックスを分析します。

結果は、次の通りとなりました。次項から細かく解説します。
(※あくまで筆者の見解であり、おおまかな分析です)

スターバックス_3C分析

市場・顧客の分析

まず、市場について見ていきましょう。喫茶店業界の市場規模は、20年間ほど1兆〜1.2兆円で推移していました。しかし、2020年にはコロナの影響で減少に転じています。

主な顧客は、「流行に敏感な20~30代キラキラ女子」と「自分磨きも趣味も満喫、デキるビジネスマン」です。抽象的な顧客像と思われるかもしれませんが、実はWebアンケートと最新マーケティングツールに基づく分析の結果です。

スターバックスアプリ利用者の可処分所得や興味関心から浮かび上がった顧客像は、次のようなものでした。

流行に敏感な20~30代キラキラ女子:ファッションやお化粧が好きで、イベントごとにも関心が高く、SNSも使いこなす情報感度の高い人
自分磨きも趣味も満喫、デキるビジネスマン:世帯年収や可処分所得が高い傾向にあり、仕事に邁進していることが伺える一方、趣味として旅行やスポーツ、読書などにもお金をかけている人

このように既存顧客をデータ分析することで、立体的な顧客像が見えてきます。

競合の分析

次にライバル会社を分析します。スターバックスの競合は、喫茶店業界の二大巨塔である「ドトールコーヒー」と「コメダ珈琲」です。
※価格は2022年7月時点

ドトールコーヒーは、国内約1,300店舗(2022年5月末時点)を展開し、売上高は2位。価格帯はコーヒー一杯220円からと、競合と比べて安価です。モダンなインテリアで、老若男女問わず気軽に入りやすい店舗となっています。

コメダ珈琲は、国内約950店舗(2022年5月末時点)を展開する、売上高3位の企業です。価格帯は、コーヒー一杯460〜700円で、やや高めの価格帯に当たります。ウッド調の落ち着くインテリアで、トーストやサンドウィッチなどのフードメニューも充実しており、ファミリーや高齢層に人気です。

自社の分析

自社の分析は、SWOT分析の4項目(強み・弱み・機会・脅威)で詳細におこないます。

【強み】
スターバックスの売上高は1位。価格は、コーヒー一杯350円からと安価です。
最大の特長はドリンクをカスタマイズできる点。豆乳やカフェインレスなど、自分の好みに合わせてドリンクを注文可能です。また、ハロウィンやクリスマスなど、季節性のイベントに応じた新商品を展開。新商品の発表時には、店舗に行列ができることすらあり、ファンを飽きさせない工夫をしています。

【弱み】
若年層の利用者が多く、年配層の顧客は少ない傾向にあります。フードメニューは、サンドウィッチやケーキなどの軽食のみです。内装もオシャレですが、人によっては「オシャレな人しか入れない、敷居の高さ」を感じることもあるようです。

【機会】
店舗数は、2022年3月末時点で約1,700店舗。2020年の約1,600店舗から、ハイペースに出店を進めています。

【脅威】
スーパーで販売している缶コーヒーや、コンビニのコーヒーメーカーも競合となり得ます。1杯100円ほどの安価ですが、商品の種類が限られていたり、また、オシャレな空間で友人・家族とくつろげる店舗の付加価値は高いと考えられます。

3C分析から考える戦略例

例えば、次の成功戦略を考えられるでしょう。

・高齢者層を取り込む、和スイーツの提供
スターバックスではドーナッツやサンドウィッチが主力のフードメニューですが、あえて和スイーツを提供して、高齢者の集客を狙います。

・デキるビジネスマン向けに書籍コーナーの展開
データ分析で浮かび上がった趣味の「読書」を踏まえ、店舗内に書籍コーナーを設置することで潜在ニーズを満たします。

実際にカルチュア・コンビニエンス・クラブ会社の書店「TSUTAYA」と併設している店舗もあります。自社内ですべてのサービスを提供しなくとも、他社と協業することで、付加価値を高められる好例です。

テンプレートで進める3C分析のやり方

テンプレートを用いた3C分析の具体的なやり方を解説します。

市場・顧客の分析

市場と顧客を分析する上で、有効な問いかけは2つです。

・市場はあるのか?
自社の提供している商品・サービスに本当に市場があるのかを確かめてください。
具体的には、「市場規模」や「成長性」を見ていきます。市場規模が小さすぎれば、シェアを高めても目標の売上を確保できないかもしれません。市場規模は、経済白書などの統計データを参考にできます。また、その市場は今後伸びていくのか、縮んでいくのか、成長性を見極めましょう。

・主な顧客は?
顧客の属性についても分析します。「30歳男性・東京都在住・年収500万円・独身・映画鑑賞が趣味」のように、属性をできるだけ細かく分析してください。イメージではなく、実在する顧客を分析すると、精度は高まります。

また、顧客のニーズも探りましょう。ジムなら「モテるために食生活でたるんだお腹をシェイプアップしたい」など具体的に挙げます。顧客向けのアンケートでニーズを調べると、より確実です。

競合の分析

同じく、2つの問いかけをしましょう。

・競合はどこ?
競合は、自社と似た商品・サービスを提供している会社だけではありません。業界が違っても、代替となる商品・サービスは存在します。例えば、ジムの代替品を「退社後の会社員が時間を使うところ」と定義するなら、居酒屋や動画配信サービスも競合となり得ます。

・競合に勝てる?
競合の「売上」や、商品・サービスの「強み」「弱み」を分析しましょう。強み・弱みを把握すれば、それに対して自社がどうオリジナリティを出すかも検討できます。
また、どのような戦略をとっているのか、今後の動向を探ることも重要です。

自社の分析

自社の売上・利益の変化や、顧客層の内訳、ブランドイメージを分析します。
ここでは、SWOT分析を用いると、より精度が高まります。

SWOT分析で精度が高まる

SWOT分析とは、自社の「強み」「弱み」と、外部の「機会」「脅威」に分けて、分析するフレームワークです。ここまでの「市場・顧客の分析」や「競合の分析」と内容が一部重複するかもしれませんが、漏れなく洗い出すためにも活用するといいでしょう。

3C分析を進める注意点

3C分析を進める注意点は2つあります。

広すぎる事業対象

複数の事業を抱える企業では、事業をまとめて3C分析にかけるかもしれません。しかし、それではピントがズレてしまいかねません。

例えば、Amazonは「EC事業」「パブリッククラウドサービス事業」「広告事業」と多岐にわたる事業を展開しています。これらを一緒くたにして3C分析にかけると、顧客に個人と法人が混在し、競合はクラウド業界から広告業界まで広がってしまうでしょう。

事業対象を広げすぎず、一事業に絞ることが重要です。
「EC事業」に絞れば、個人を主な顧客とし、競合に「楽天」や「Yahoo!」が挙げられます。あるいは、「EC事業」の「衣類」に商品を絞れば、「ZOZOTOWN」や「UNIQLO」が競合になるでしょう。事業範囲を小さくするほど、より具体的な分析が可能です。

自社に都合の良い分析

3C分析で用いる情報に偏りがあると、誤った分析をしてしまうかもしれません。例えば、自社に都合の悪いデータからは目を背け、都合の良いデータばかりを集めてしまう場合です。
「そんなに都合よく解釈しない」と思うかもしれませんが、分析の提出先が上役だと「できるだけ良い情報だけを集めよう」との心理が働く可能性もゼロではありません。

あるいは、市場や競合の分析をおそろかに進めてしまうと、リサーチが不十分で「新商品に似たものを、すでに競合が出していた」と後から気づく可能性もあります。

自社に都合の悪いデータにこそ目を向け、対策を講じることが大切です。

Webサイトの3C分析は「Dockpit」で簡単に!

とくにWebサイトの3C分析を実行する際には、スターバックスの顧客分析で触れたように、マーケティングデータに基づいた分析を意識することが重要です。しかし、自社内で集めたアンケートやアクセス解析を、わかりやすいマーケティングデータに変換することは難しいかもしれません。
また、複数のツールを用いた分析では、機能やデータがバラバラになっていて、横断的に判断する必要があります。

このような3C分析における問題を解消できるツールが「Dockpit」です。
Dockpit3C分析を一つのツールで行えるマーケティングダッシュボードサービス。競合の分析だけでなく、潜在的な顧客ニーズまで把握できます。250万人規模のインターネット行動ログデータ(検索ワード・閲覧ページ・滞在時間など)を実装し、3C分析に活用することが可能です。

例えば、競合分析では、「競合ECサイトのCV分析」を行えます。競合ECサイトにおけるユーザーのカート遷移率、購入割合まで確認可能です。市場・顧客分析では、検索ワードの検索数を調べ、ユーザーがどのWebサイトに流入したかのシェアを把握できます。

その他にもさまざまな機能を有しているため、詳しく知りたい方は下記からお問い合わせください。

dockpit 資料請求はこちら

まとめ

今回は、3C分析のテンプレートを用いたやり方を、スターバックスの事例を交えつつ解説しました。無料テンプレートをダウンロードして、実践にご活用ください。また、正確な情報を集め、SWOT分析を交えることで、より精度の高い3C分析を行えます。

業務の忙しい合間をぬって、正確かつ効率よく3C分析を進めるためには、「Dockpit」のような最新マーケティングデータ分析ツールを利用してはいかがでしょうか。

この記事のライター

大学では経営学部 事業創造学科を専攻。ITベンチャー等を経て、ライターとして活動を開始した。B2Bライティングに特化し、SEO上位表示を量産。89名のライター育成に携わった他、制作ディレクションやライター採用にも取り組む。得意領域はマーケティング、IT、経営。

関連する投稿


データ分析のヴァリューズが「競合分析ガイドブック」を公開 ~ 商品企画からプロモーションまで、知っておきたい 6つのフレームワーク・8つの事例・19の分析ツールを徹底解説 ~

データ分析のヴァリューズが「競合分析ガイドブック」を公開 ~ 商品企画からプロモーションまで、知っておきたい 6つのフレームワーク・8つの事例・19の分析ツールを徹底解説 ~

インターネット行動ログ分析によるマーケティング調査・コンサルティングサービスを提供する株式会社ヴァリューズは、運営するデータマーケティング・メディア「マナミナ」にて公開した記事から厳選し、知っておきたい6つのマーケティング・フレームワーク、8つの事例、19の分析ツールを収録した「競合分析ガイドブック」を公開しました。


カスタマージャーニーマップは古い?チャットGPTを活用した作成方法や事例・注意点を紹介【テンプレートあり】

カスタマージャーニーマップは古い?チャットGPTを活用した作成方法や事例・注意点を紹介【テンプレートあり】

カスタマージャーニーマップは、自社の商品やサービスを販売する際、顧客の行動を可視化・分析を行える有効なツールです。 しかし「作成方法や活用方法がわからない」とお悩みの方も多いでしょう。 カスタマージャーニーマップを作成できるようになれば、顧客の行動を理解しやすく、またチームで顧客の状況・状態に応じた最適なアプローチができるようになります。’ 本記事では、カスタマージャーニーマップの基本や作成方法、活用事例について解説します。 また、マーケティングの思考面の補助・効率化につながるAI「ChatGPT」を活用したカスタマージャーニーマップの作成方法について解説します。 「マーケティングが頭打ちになっている」「想定していた顧客の


海外企業の先進DX事例を解説!店舗系企業のデータ活用事例

海外企業の先進DX事例を解説!店舗系企業のデータ活用事例

「日本のDXは遅れている」と言われがちですが、お手本にできる海外の事例としてはどのようなものがあるのでしょうか。今回は、スーパーマーケットや飲食店、アパレル、ホテル、百貨店など、海外の店舗系企業に注目。彼らがデータを活用し、どのような課題を解決してきたのか、ヴァリューズのDXコンサルタントが解説します。


ブランディングの成功事例11選!事例から読み解く成功の秘訣を解説

ブランディングの成功事例11選!事例から読み解く成功の秘訣を解説

企業におけるブランディング戦略は今後の事業運用に欠かせません。しかし、ブランディングといっても、「どのように始めればいいのか」「ブランディングを強化するためにはどうすればいいのか」とお悩みの方もおられるでしょう。 そこで本記事では、企業のブランディングデザイン、リブランディング・採用ブランディングといった種類別の成功事例について解説します。 本記事をお読みいただくことで、他社の事例を自社のブランディングに取り入れたり、戦略を進める上で重点的に対応すべきポイント、成果を上げるためのコツがわかるはずです。


SWOT分析例や企業事例 3選!分析の精度を高める 3つのコツ

SWOT分析例や企業事例 3選!分析の精度を高める 3つのコツ

自社のマーケティングを検討する際、自社だけでなく、ビジネスを取り巻く環境の分析が欠かせません。ビジネスでの成果を高めるための分析に使えるのがSWOT(スウォット)分析です。 しかし、SWOT分析を行ったとしても分析の質が高くなければ効果はでません。そこで本記事では、SWOT分析の基礎に加え、企業のSWOT分析事例や分析の精度を高めるコツについて解説します。


最新の投稿


日本テレビ、AR撮影装置を活用した「没入体験型CM」の実証実験を開始 GW期間内に大型ショッピングモール内にて

日本テレビ、AR撮影装置を活用した「没入体験型CM」の実証実験を開始 GW期間内に大型ショッピングモール内にて

日本テレビ放送網株式会社は、日本テレビが事業展開する XR分野のコンテンツ制作および開発支援サービス『日テレXR』において、新たな広告没入体験ができるサービスの実証実験を開始しました。


ギブリー、生成AIがマーケティング業務を支援するサービス「マーケGAI」の提供を開始

ギブリー、生成AIがマーケティング業務を支援するサービス「マーケGAI」の提供を開始

株式会社ギブリーは、生成AI技術を活用してマーケティング業務を自動化・効率化するAIマーケティング支援ツール「マーケGAI」の提供を開始したことを発表しました。


「○○とは」検索に見るトレンドや生活者の気になりごとは?「インボイス」「NISA」「猫ミーム」など

「○○とは」検索に見るトレンドや生活者の気になりごとは?「インボイス」「NISA」「猫ミーム」など

検索エンジンで調べ物をするときによく使われる「〇〇とは」検索。今回は、直近1年間で検索数が多かった注目ワードや、時期によって急上昇したトレンドワードをご紹介します。「とは」検索から見えてくる最新の流行りやみんなの関心事を読み解いていきます。


GWに10連休を取得する人は約2割!連休の予定はインバウンドの影響か「国内旅行」が下降し「家事」が上昇【mitoriz調査】

GWに10連休を取得する人は約2割!連休の予定はインバウンドの影響か「国内旅行」が下降し「家事」が上昇【mitoriz調査】

株式会社mitorizは、消費者購買行動データサービス「Point of Buy®」の会員に対し「大型連休に関する調査」を実施し、結果を公開しました。


Supportive fans are willing to spend money? “Oshikatsu” insights & applying it to marketing strategy

Supportive fans are willing to spend money? “Oshikatsu” insights & applying it to marketing strategy

“Oshikatsu” stimulates consumption in Japan. In fact, more than 80-90% of teens answered that they have an “Oshi.” We will deepen our understanding by investigating the current state of the “Oshikatsu” market, behaviors like time and money spent on “Oshikatsu,” and its connection with collaborations, etc. in marketing.


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

ページトップへ