ペルソナマーケティングとは?必要性とやり方、テンプレートと事例

ペルソナマーケティングとは?必要性とやり方、テンプレートと事例

ペルソナマーケティングとは、メインの顧客像を細かな属性情報、ライフスタイルなどの要素まで設定するものです。ペルソナの情報をマーケティングに反映させることで、顧客から喜ばれる商品・サービスの機能や、販売促進や流通を実現できます。本記事では、ペルソナマーケティングの概要や具体的なやり方、事例、注意点について解説します。


ペルソナマーケティングとは?

ペルソナマーケティングとは、「ペルソナ」と呼ばれる顧客像の設定によりマーケティングを考える手法です。ペルソナは商品・サービスを購入するメインの顧客像として位置づけられます。ペルソナの属性を踏まえて、商品・サービスを変更したり、プロモーションの方法を変えたりといった戦略に活かすことが可能です。

ペルソナでは、年齢・性別・職業・家族構成・収入・価値観・趣味趣向・ライフスタイルといった要素まで設定します。細かな設定をするほど、顧客像を明瞭にイメージすることが可能です。顧客のニーズに細部まで応えたマーケティング戦略を進められます。

ターゲットとの違い

ペルソナに似たマーケティング用語として挙げられる「ターゲット」とは、「どれだけピントを合わせるか」で異なります。ターゲットは平均的な顧客像として幅をもたせた属性を設定しますが、ペルソナでは実在する人物かのように具体的な顧客像を描きます。ターゲットのほうが抽象度は高くなるため、顧客全体のマーケティング戦略を考える際に有効です。

旅行プランサービスでの具体例は、以下の通りです。

<ターゲット例>
・30〜40代
・男性
・独身
・旅行好き

<ペルソナ例>
・鈴木太郎
・36歳
・男性
・独身
・東京都在住
・年収600万円
・趣味は一人旅、サウナ、映画鑑賞
・国内旅行は年に3~4回
・一人暮らしで可処分所得は多い
・TwitterやFacebookでの情報収集が多い

このようにピントの違いが両者にはあります。ターゲットとペルソナはどちらが優れているかではありません。おおまかなマーケティングで平均的な顧客像が必要ならターゲットを、購買に直結させるマーケティングを目指す場合はペルソナを、という形で用途に応じて使い分けることがポイントです。

ペルソナマーケティングの必要性・メリット

ペルソナマーケティングの必要性・メリットについて解説します。

ピントの合った顧客像でマーケティング戦略を立てられる

マーケティング戦略を立てる上で、顧客像に関する情報は必須です。ペルソナの属性を細かく設定することで、顧客のニーズを反映させられます。

たとえば、先ほどの旅行プランのサービスでは、「趣味:サウナ」という属性を反映させ、温泉とサウナ付きのプランを積極的に打ち出す、といったアプローチが可能です。また、一人暮らしで可処分所得は多いため、高価格帯の高級旅館を打ち出してもいいかもしれません。

このようなアイデアも出せるのも、ピントの合った顧客像があってこそです。ペルソナを設定しておけば、マーケティング戦略を立案、検討しやすくなるでしょう。

担当者間で顧客像をそろえられる

複数のマーケティング担当者が関わるプロジェクトの場合、担当者によってイメージする顧客像は異なるかもしれません。「20〜30代女性」と聞いて「21歳の大学生」をイメージするか、「38歳の主婦」をイメージするかによって、その後のマーケティング戦略は大きく乖離してしまいます。

その点、ペルソナで顧客像を固めておけば、全員の足並みをそろえてアイデアを出し合えます。

マーケティング部の生産性を上げる

前項のように、ペルソナが決まっているだけでコミュニケーションの齟齬を防ぎ、効率よくマーケティング戦略を進めることができます。意思決定に必要なコスト・時間を削減できるため、プロジェクト全体の生産性を上げることも可能です。

環境変化の早い昨今では、マーケティング戦略の立案から実行までをスピーディに行わなければなりません。時季を捉えた戦略を進めるために、ペルソナ設定は欠かせません。

ペルソナマーケティングのやり方|無料テンプレート

以下では、ペルソナマーケティングの具体的なやり方を解説します。ポイントとして、ペルソナの設定時には既存顧客の情報を参考にします。「こうであってほしい」という希望観測的な顧客像ではなく、実際に購買している典型的なユーザーを具体化することが大切です。注意点は、BtoBとBtoCでアプローチが異なる点です。設定するペルソナの項目自体が異なります。

以下では、ペルソナマーケティングで使用できるテンプレートを用意しました。今回ご紹介するやり方を反映しているため、ご活用ください。

自社分析(SWOT分析)を実施

まずは、自社の状況を客観的に分析します。具体的にはSWOT分析を用いることがおすすめです。SWOT分析は以下4つのセグメントで自社を分析する方法です。

・Strength(強み):市場や競合と比べて優れている点
・Weakness(弱み):市場や競合と比べて劣っている点
・Opportunity(機会):売上アップにつながるチャンス
・Threat(脅威):売上ダウンにつながるリスク


旅行プランサービスの例では、以下となります。

・Strength(強み):流行りのサウナ施設のある旅館・ホテルのプランが多い
・Weakness(弱み):価格帯がやや高めで、ファミリー向きではない
・Opportunity(機会):国や都道府県による旅行割引キャンペーンの実施
・Threat(脅威):コロナウイルス感染者の増加による予約キャンセル

このように自社の状況を把握しましょう。より詳細に自社分析をしたい場合は、下記記事の「3C分析」も参考としてください。

ペルソナの企業情報を決定

このステップはBtoBの場合に必要です。BtoCの場合は、次のステップまで飛ばして構いません。
BtoBにおけるペルソナ設定では、ペルソナが所属する企業像も定めておく必要があります。

<企業情報>
・業界業種
・売上規模
・従業員数
・経営課題
・組織課題
・ニーズ

印刷会社を例にあげました。

<企業情報例>
・業界業種:印刷(自費出版など個人向け)
・売上規模:100億円
・従業員数:50名
・経営課題:オンライン経由の新規顧客獲得が伸び悩んでいる
・組織課題:SNS(TwitterやInstagram)でファンを獲得できていない
・ニーズ:Webマーケティングの展開に困っている

ペルソナの属性情報を決定

次にペルソナの属性情報を決めます。BtoCとBtoBで項目が異なります。

<BtoC>
・氏名
・年齢
・性別
・家族構成
・住まい
・収入
・趣味趣向
・消費行動
・情報収集

BtoCではプライベートな内容まで細かく設定します。

<BtoB>
・役職
・悩み
・情報収集

BtoBの取引では、1人の担当者で購買が決定することはほとんどありません。担当者から上司や経営層にあげて、最終的な決裁を判断します。つまり、複数名が関わることが基本となるため、設定するペルソナもいくつか用意しておくことが大切です。

ペルソナの顔写真を決定

最後にペルソナの顔写真を添えます。顧客を撮影する必要はなく、Web上の素材サイトなどから、イメージに近い人物写真を利用してもいいでしょう。ただ、BtoCでは顔写真まで用意しますが、BtoBでは複数名が関わることもあり、顔写真まで用意する必要はありません。

ペルソナマーケティングの事例|スターバックス

以下では、スターバックスのペルソナマーケティング事例(BtoC)を解説します。

マナミナを運営する株式会社ヴァリューズは、保有しているモニターのアクセスログデータから「スターバックスのアプリを使っている」「2020年10月に5回以上アプリを起動した」いわゆるヘービーユーザー(典型的な顧客)を対象に分析しました。

その結果は、下図の通りです。性年代別では20〜30代女性が、世帯年収別では700〜1500万円がボリューム層となっています。このほかにも「可処分所得」や「興味関心」といった切り口でユーザーを分析しました(※詳細は関連記事をご確認ください)。

分析の結果、男女別のペルソナは以下のようにまとまりました。

女性ペルソナ:20~30代の実家暮らし/一般的な可処分所得/LINEやTwitterを主に使用/ファッションや化粧品、旅行に出費/美容や娯楽への興味関心が強い

男性ペルソナ:世帯年収700〜1500万円/可処分所得3万円〜10万円以上/SNSは使わない/旅行やスポーツ、書籍、旅行に出費/ビジネスやスポーツへの興味関心が強い

女性ペルソナは、いわゆる「キラキラ女子」でオシャレなライフスタイルへの興味関心が強いことがうかがえます。一方の男性ペルソナはいわゆる「できる社会人」で年収は平均より高く、書籍・スポーツなどの自己投資にも積極的な様子がわかります。

このように根拠に基づくペルソナが設定できれば、効果的なマーケティング戦略を練ることができます。例えば、キラキラ女子に対しては、SNS映えするような商品、撮影スポットを用意しておくと、ニーズを満たすことが可能です。

ペルソナマーケティングの注意点

ペルソナマーケティングの注意点は以下2点です。

正しい情報収集を行う

スターバックスのペルソナ事例で解説した通り、顧客をデータ分析することで、根拠に基づくペルソナ設定が可能となります。注意点としては、正しい情報集を行うことです。もし誤った顧客の情報からペルソナを設定すれば、マーケティング戦略自体も誤ったものとなりかねません。

コロナ禍で顧客の流入経路は、オンラインにシフトしました。とくにその傾向はBtoBで顕著となっています。昨今では、ペルソナを設定するための情報収集は、オンライン上で集めることが効果的です。

ただし、手動での情報収集は困難なため、ユーザー行動分析ツール「story bank」の活用をおすすめします。story bankでは、ユーザーのWeb行動データやアンケートデータから、「検索キーワード」「閲覧サイト」「属性」「興味関心」といったデータを把握できます。

下図のように、ペルソナの設定に必要な属性だけでなく、買い物傾向や興味関心といったマーケティングにつながる特徴まで分析可能です。

さらには、AIを用いて高度にペルソナを理解することもできます。「クラスタ分析」を用いると、下図のようにクラスタ(集団)ごとの特徴的なWeb行動をわかりやすく表示してくれます。

下記の記事では、story bankを用いたペルソナ設計の一例を紹介しています。根拠に基づく精度の高いペルソナ設計を目指すためには、story bankを活用してはいかがでしょうか。

購買に関係ない情報を書かない

ペルソナマーケティングでは、属性情報を細かく設定することが大切だと解説しました。しかしながら、あまりに細かすぎる属性情報はかえって、マーケティング戦略を混乱させかねません。

たとえば、旅行プランサービスのペルソナに関して、「在学中に励んでいたスポーツ」「現在の結婚願望」といった情報まで追加すると、購買プロセスとかけ離れて役に立たないでしょう。購買につながる情報に絞ってペルソナを設定することが大切です。

まとめ

ペルソナマーケティングとは、典型的な顧客像を細かく描くものです。BtoBとBtoCによってやり方を変えつつも、商品・サービスを訴求するために欠かせません。注意点は、正しい情報を用いることです。ペルソナの設定時には「こういう顧客がいてほしい」という希望的観測より、実在する顧客を参考にします。正しい情報収集をベースとしなければ、本来のペルソナズレてしまうかもしれません。ペルソナ分析については、関連記事でも詳細に解説しています。さらに具体的なやり方や事例を知りたい方は参考にしてください。

この記事のライター

大学では経営学部 事業創造学科を専攻。ITベンチャー等を経て、ライターとして活動を開始した。B2Bライティングに特化し、SEO上位表示を量産。89名のライター育成に携わった他、制作ディレクションやライター採用にも取り組む。得意領域はマーケティング、IT、経営。

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