スタバファンはいったいどんな人なのか?アプリ利用者の行動特徴からペルソナを分析

スタバファンはいったいどんな人なのか?アプリ利用者の行動特徴からペルソナを分析

気になるブランドや商品のペルソナについてヴァリューズのマーケティングコンサルタントが調査する企画。今回の調査は確固たるブランドを確立している『スターバックス』についてです。スターバックスファンにはいったいどんな特徴があるのか。Web行動ログデータとアンケートデータを用いて人物像を分析していきます。


はじめに

こんにちは。データマーケティングの会社・ヴァリューズでコンサルタントを務めている伊東と申します。

株式会社ヴァリューズ マーケティングコンサルタント 伊東茉冬(いとう・まゆ)
新卒では出版社に就職。営業・社長秘書を務めたのち、ヴァリューズに入社。現在は事業会社に対してマーケティング支援を行っている。

気になるブランドや商品のペルソナについてヴァリューズのマーケティングコンサルタントが調査する企画。今回の調査は根強いファンを持ち、ブランドを確立している「スターバックス」について調査していきます。

スターバックスについて

スターバックスのブランド戦略については多くの書籍やメディアで語られていますが、特に有名なのは、「第3の場所(サードプレイス)」を提供価値としているところ、広告ではなく店舗体験でブランドを作り上げたということです。

1996年に東京・銀座に日本1号店をオープンして以降、2020年9月末時点では 1,601店舗もの店舗を展開し、日本では知らない人がいないほどのコーヒーショップとなりました。コーヒー以外の甘いドリンクを提供しているのも特徴で、期間限定の商品は高単価にもかかわらず売り切れてしまうほど人気のものもあり、そのほかのコーヒーショップとは異なる路線でサービスを展開しています。

今回はそんなスターバックスの、アプリのヘビーユーザーをスターバックスファンと定義し、データからファン像を明らかにしていきます。

また、スターバックスファン全体としても捉えつつ、男性ファン、女性ファンの違いについても分析していきます。

スターバックスファンはどんな人?WEBログ×アンケートで調査

調査方法

ヴァリューズが保有している30万人の一般モニターのインターネットアクセスログデータから、スターバックスのスマートフォンアプリ利用者を抽出。2020年10月に5回以上アプリを起動しているユーザーを対象にログデータおよびアンケートデータを用いた分析を行いました。

分析結果

まずはスタバアプリの利用者属性を比較してみましょう。

今回の分析では、スターバックスアプリヘビーユーザー全体(以降スターバックス全体)のデータと、女性のみ、男性のみに分けた場合のデータを分析していきます。また、比較対象として「全体」の指標を入れていますが、これはスターバックスアプリ非利用者も含むパネル全体の平均の値になります。

<デモグラフィック>
▼スターバックスアプリ抽出対象者の属性データ

まず、グラフ左上の「性年代」の特徴に注目してみましょう。パネル全体とスターバックス全体との属性を比較すると、スターバックス全体では20代・30代の女性比率が高いことが分かります。

また、中段右の世帯年収を同様に比較すると、スターバックス全体は700万円~1500万円の比率がパネル全体と比較して高くなっています。理由としては、スターバックス男性ファンの世帯年収が700万円以降の比率が高いことから、このような傾向が生まれていることが分かります。

▼スターバックスアプリ抽出対象者の可処分所得とお金の使い道

続いて、スターバックスファンの可処分所得を見てみましょう。

パネル全体とスターバックス全体の平均を比較すると可処分所得も比較的高いことがわかります。こちらも、スターバックス男性ファンの可処分所得の平均額が高いことが理由として考えられます。
一方、スターバックス女性ファンに関してはパネル全体とそこまで大きな差はないようです。

さらに、スターバックスファンがどのようなところにお金を使っているのか、1ヶ月の平均支出を分析してみると、男女で差があることが分かります。

まず、パネル全体と比較してスターバックス全体が1ヶ月の平均支出額が大きいもの、かつスターバックス女性ファンの1ヶ月の平均支出が大きいものとしては「服・靴・かばん」「化粧品」「旅行」「ライブ・コンサートの鑑賞」などがあります(「スターバックス_女性」の列の濃い赤色で示された項目)。
ファッションやお化粧が好きでよく旅行に行き、イベントごとも好むという人物像が浮かび上がってきますね。

一方、スターバックス男性ファンも同様に見てみると、1ヶ月の平均支出が大きいものとしては「外食」「旅行」「服・靴・かばん」「書籍の購入」「スポーツ観戦」「スポーツ用品」などがあります。
身だしなみに気を使い、自己研鑽として読書する習慣があり、外食や旅行を楽しみながら趣味としてスポーツもたしなむ、というTHE・デキるビジネスマンといった人物像が見て取れます。

<利用アプリや新情報の入手先>
▼スターバックスアプリ抽出対象者の利用アプリ

スターバックス全体とパネル全体を比較すると、スターバックス全体ではLINE、Twitter、Instagramの利用時間が特に長いことが分かります。どのアプリもスターバックス女性ファンの利用時間が特に長く、スターバックス全体にも影響していることがわかります。

一方、スターバックス男性ファンについてはどのアプリもそこまでパネル全体と大きな差はないものの、ゲームアプリの利用時間が短いという特徴が見られました。

<興味関心>
▼スターバックスアプリ抽出対象者の興味関心(女性)

こちらはスターバックス女性ファンの興味関心についてマップで表したデータです。
横軸は特徴値(ネットユーザー全体と比較して特徴的な回答)を表しており、右に行くほどスターバックス女性ファンの特徴が強く出ています。また、縦軸は回答率を表しており、上に行くほど回答人数が多い、つまり興味があると答えたユーザーのボリュームも多いということです。

マップ右上に注目すれば、スターバックス女性ファンは「美容・ファッション」や「娯楽」に特に興味関心が高いことが分かります。

一般的に何となくイメージされているスターバックス女性ファンと人物像がマッチしていそうですね。こうして実際のデータにしてみると、より人となりがわかりやすくなります。

▼スターバックスアプリ抽出対象者の興味関心(男性)

続いてスターバックス男性ファンについても同様に興味関心のデータを見てみましょう。
「マネー、投資」や「経済」といったビジネス関連や、「スポーツ観戦」「スポーツ選手」といったスポーツに関心が高いことが分かります。

スターバックスファンの人物像

ここまでの分析結果から、スターバックスのファン像をまとめていくと、女性、男性それぞれで違った人物像が浮かび上がってきました。

スターバックス女性ファン

スターバックス女性ファンの特徴をまとめ、『流行に敏感 キラキラ女子』と命名しました。
ファッションやお化粧が好きで、イベントごとにも関心が高く、SNSも使いこなす情報感度の高い人がスターバックスの女性ファンには多くいそうです。

スターバックス男性ファン

スターバックス男性ファンは『自分磨きも趣味も満喫 デキるビジネスマン』と命名しました。
世帯年収や可処分所得が高い傾向にあり、仕事に邁進していることが伺える一方、趣味として旅行やスポーツ、読書などにもお金をかけていることがわかりました。
公私ともに高みを目指すタイプが多いと言えそうです。

まとめ

今回、スターバックスのファンはどのような人か?という調査を行いました。

データから人物像を見てみると、皆さんがイメージする人、もしくは実際にスターバックスで見かける方々と近しい結果になっているのではないでしょうか。イメージとしてはあるものの、実際はどうなのか、というところを今回はデータで明らかにすることができました。

また、女性ファンと男性ファンではファン層が違いそうだということもわかります。

この結果から、
・スターバックスのファンは男女で人物像に違いがある
・店舗体験(ゆったりとしていておしゃれな空間)、独自のドリンクメニュー⇒女性ファンにマッチしたのではないか
・同じく店舗体験や第3の場所(サードプレイス)の提供⇒男性ファンにマッチしたのではないか


ということが考察できます。

また、Web行動データやアンケートを基に、ブランドファンの人物像を明らかにすることができるということもわかりました。

ブランディングやマーケティングの事例としても取り上げられることが多いスターバックス。今後もどのような戦略を取っていくのか、注目したいですね。

【関連記事】

3C分析の無料テンプレートでのやり方と事例(スターバックス)

https://manamina.valuesccg.com/articles/1911

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この記事のライター

株式会社ヴァリューズ マーケティングコンサルタント 伊東茉冬(いとう・まゆ)
新卒では出版社に就職。営業・社長秘書を務めたのち、2019年にヴァリューズに入社。現在は化粧品、日用品、住宅業界などの事業会社に対してマーケティング支援を行っている。

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