■スピーカー紹介
図:スピーカー紹介
Google新たに着目した継続購入のカギ「肯定度」
■「買い物疲れ」が誘う「継続購入」
株式会社ヴァリューズ 岩村大輝(以下、岩村):現代の情報社会に生きる消費者の多くは、何かを購入する際に、あらかじめ情報探索を通して商品やサービスの情報を把握をしています。
その背景には、情報探索を通じて、自身の選択に自信をもちたいという心理が強く働いています。
図:生活者は自分の選択に自信を持ちたい
岩村:しかしながら、昨今の消費者は情報過多の中でそうした探索を行うため、実は毎回の選択に疲れている人が多いのではないでしょうか。その結果、検討を回避して同じものを購入し続ける、継続購入が起きやすいと考えられます。継続購入は意図的な行動であるというよりも、情報量の増大に対する結果起こる“反応”としての適応行動であると言えます。
そして、継続購入するユーザーは、初回購入時よりも自分の選択への自信が高いのが特徴です。それは一体なぜなのでしょうか。
図:継続購入の深層心理:初回購入と再購入における自信の持ち方の違い
■初回購入前の「肯定度」が「継続購入」に貢献
岩村:「肯定度」とは「選択に対する自信の強度」です。「肯定度」が高いと、「満足度」も高まります。購入後の「満足度」に関する調査によると、購入前の「肯定度」が高かったグループは、購入後の商品・サービスの利用体験で、より満足しているという傾向があるということがわかりました。
このことから、「肯定度」が高いとその商品に満足し、次回の購入にも繋がりやすいということが言えます。そう考えると、次回購入の可能性は「初回購入前の肯定度」が密接に関係しているとも考えられます。
図:「肯定度」が「次回購入意向」に及ぼす影響は?
岩村:では、どの様な情報検索行動が「肯定度」を高めるのでしょうか。
下図によると、自ら求めに行った情報(能動的情報探索)から大きく影響を受けていることがわかります。また、自身の中の「肯定度」が低い状態では情報収集に積極的になり、逆に「もう調べ切った!」というような「肯定度」の高い状態では、情報収集に消極的になることもわかってきました。
図:肯定度を高める情報探索とは
■購買行動を「点」ではなく「線」で考えるマーケティング施策が必要
岩村:では企業はどのように肯定度を高める情報収集を促せば良いのでしょうか。
前述のように、消費者の「肯定度」を高めるような情報収集を促すために、企業は常に新しい情報を発信することで、消費者の能動的探索行動を刺激し続け、購買意欲を高めることができます。
このようにして消費者をより強い「肯定度」に導くことで、消費者の「満足度」が高まり、「次回購入」意向を醸成します。
そして、このような購買行動は「点」では起こらないことを知るべきです。商品購入前の時点で、次回購入の可能性が醸成されるとお話したように、商品と生活者の間に長期的な関係を構築するためには、初回購入前の接点にも注意を向けることが重要です。「点」ではなく一連の行動を通じての「線」であると考え、各フェーズにおける情報接点を考慮したメディアプランニングをすることで、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の最大化を図ることができると考えます。
図:LTVを最大化するためのデジタルマーケティング
「肯定度」を活用したWeb広告配信の2つの実例
株式会社ヴァリューズ 松尾武将(以下、松尾):「これからは、「肯定度」をキーにして展開したWeb広告事例を2パターンご紹介します。
■家電メーカー編:肯定度が高まるタイミングにピンポイントで有効な広告を配信
松尾:まずは、消費者の実際の探索行動を調査して、肯定度を高める広告を配信したケース。今までお話してきた以下2点をカバーした施策です。
・生活者が自発的に探索する情報は肯定度を高めることに効果的
・肯定度を維持させるためには企業からの情報のインプットが重要
消費者の検索行動の実態が掴みきれず、適切なアプローチや他社へのスイッチングなども確認できないという家電メーカーの課題に対し、自社・他社の両方で当該製品を購入した購買者の購買前30日間のWeb検討行動をヴァリューズデータを用い、徹底分析しました。
情報検索行動が深まる様子(どの様なキーワードで、どの様な商品を見ているか、候補をどの様に絞っていくのか)を把握することで、自社製品が有効にアプローチできているかを始め、前述の「肯定度」が高まる情報検索ポイントに、どのようにターゲットが到達しているかを知ることができます。このポイントを知ることで、ターゲット層にヒットする有効なキーワードや広告内容の決定へと、施策を導くことが可能です。
図:自社・競合の検討プロセス調査(掃除機カテゴリのデータ例)
■飲料EC編:継続購入につながる良い広告と、継続購入されているかの判定を実現
松尾:続いては、継続購入につながる(=肯定度を高める)良い広告と、そうでない広告を判別できるようにしていった事例です。
下の図をご覧ください。まずGDN広告への接触から始まった検討行動が、最終的にはGoogle上での指名検索でCVにつながった様子を表しています。最初のGDN接触を起点にCVにつながっていったので、この広告は貢献度が高いと評価したいところですが、GAのような通常の計測範囲ですと、こちらのGDN広告は購入に貢献しなかったことになってしまいます。
図:CV計測の精緻化
松尾:それに加えて、この計測範囲ですと、CV以降に同じユーザーが行った検索やメールの閲覧といった行動が、別のユーザーの行動のように見えてしまい、継続購入されているのかがわからない状態になってしまいます。
そこで、顧客側の保有するデータを整理・可視化し、DX促進を行うことで、各広告の貢献度を可視化し、継続購入の判定を実現しました。
図:経路別の新規CV獲得の貢献、LTVの可視化
岩村:今回、初めて「肯定度」のお話をさせていただきましたが、なんとなく買い続けているもの、初回購入時の思いなど、皆さんにも思い当たる経験がある話ではないかと思います。
そういったところから想起されたこの「肯定度」という概念は、“肌感”で感じられる新たな購買行動モデルだと自負しています。まだ新しいモデルではありますが、同じくGoogleがヴァリューズのWeb行動ログデータをもとに開発した「バタフライ・サーキット」とともに思案の軸としてプランニングし、PDCAを回すことで、広告事業にさらなるバリューをもたらしていきたいと考えています。
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セミナー資料ダウンロード【無料】| Googleが提唱する購買行動の最新トレンド~“肯定度”を活用した広告配信の事例紹介
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マナミナ 編集部 編集兼ライター。
金融・通信・メディア業界を経て現職。
趣味は食と旅行。