【解説者紹介】
あつ森もメタバース?10月にFacebookが最新事例を発表
岩間:12月のコンテンツマーケティング最新動向レポートでは、メタバースについて取り上げていますね。この数年でメタバースという言葉は一気に認知が広がりましたが、まだよくわからないという人も多いと感じます。メタバースとは一体何か、改めて教えてもらえますか?
蒋:メタバースとは、メタ(超)とユニバース(宇宙)を組み合わせた造語です。最初に出てきたのは1992年。作家のニール・スティーヴンスン氏のサイバーパンク小説『スノウ・クラッシュ』の中で、「アバター」とともに、架空の仮想空間サービスの名称として登場しました。
岩間:メタバースという言葉自体は、昔からあるんですね。言葉の意味はわかったのですが、正直言うと、サービスの範囲がよくわかりません…。例えば、2009年にサイバーエージェントが提供を開始した、仮想空間アバターコミュニティサービス「アメーバピグ」もメタバースになるんですかね。あの中でもアバター同士でコミュニケーションを楽しめたのですが。
アメーバピグ公式サイト「ゲーム紹介」より
https://s.pigg.ameba.jp/
蒋:いろいろと調べましたが、メタバースに対する理解は本当にバラバラです。広い意味で、任天堂のゲーム『あつまれ どうぶつの森』も、メタバースのひとつと認識している人もいます。
岩間:今振り返ってみれば、あのサービスも実はメタバースだったのかと思うものも多いのかもしれませんね。
蒋:そうだと思います。その中でも今、メタバースとして認識され盛り上がっているのは、AR(拡張現実)とVR(仮想現実)、そしてバーチャルワールド(仮想空間)の主に3種類。今月の最新動向レポートでもこの3種類をメタバースとし、解説しています。
ARは特別な装置を必要とせず、スマホなどを使って現実世界にデジタル情報を表示させる機能。VRは装置などをつけて、デジタルの世界で情報を入手します。バーチャルワールドは、VRよりも1段バージョンアップした感じで、完全にデジタルのみで成立している世界です。
岩間:なるほど。すでに盛り上がっている感があるメタバースを、今回このタイミングで取り上げたのには、どんな背景があったんですか。
蒋:2022年10月にFacebook JAPANが主催イベント「House of Insgatram」において、現在Metaが注力しているメタバースがビジネスに活用された最新事例を発表したためです。これを受けて、メタバースは今後ますます盛り上がりを見せると考えられます。今回はマーケティングの観点から、その最新動向をお伝えしていきます。
メタバース利用率は5%。8割は女性アバターを利用
岩間:メタバースという言葉の認知度はだいぶ高くなったと思いますが、実際に関心のある人ってどんな人なのでしょう。
蒋:ヴァリューズのデータによると、「メタバース」検索者は男性が約66%と多めで、30〜40代が特に多い結果となっています。MMD研究所の調査結果では、日本の実際のメタバース利用者は男性が約7割、20代が最多とのことです。また、利用者自体は男性が多いものの、約8割は女性型のアバターを利用しているという興味深い調査結果も出ています。
岩間:面白いですね。実際にどれくらいの人が利用しているのでしょう。
蒋:MMD研究所が2022年に行った調査によると、メタバースの認知度は43.4%、利用経験は5.1%と、利用率はまだ低い状況です。VR装置の単価が高いので、普及するのはもう少し時間がかかるかもしれませんね。
利用者がメタバース内でどのようなことをしているのかというと、60.0%は買い物・課金をしたことがあると回答。興味のあるメタバースのジャンルとしては、ゲーム(19.9%)が最も多く、次いで音楽・ライブ(17.8%)、ショッピング(12.5%)となっています。
PRや認知拡大に活用!企業のメタバース活用事例
蒋:メタバースをPRや認知拡大に活用している企業も増えています。
具体例として、大手ファストフードチェーンの「ウェンディーズ」の事例を紹介します。2022年4月、同社はバーチャルワールド「Meta Horizon Worlds」内に、バーチャルレストラン「Wendyverse」をオープンすると発表しました。CMをオフライン店頭、メタバース空間内で同時放映し、複数のタッチポイントで利用者と接触することで、広告効果を上げたそうです。
また現在、においや味、食感をメタバース上でも体験できるよう技術開発を進めているとのこと。没入感のある今までにない体験を提供することで、利用者の購買意欲をより引き出すほか、従来のプロモーションより強くブランドを印象づけることを目指しています。
蒋:もう1つ、ARエフェクトを用いた事例も紹介しましょう。総合家電・情報通信メーカーのLG Electronicsは、部屋に家具を置いた時のシミュレーションができるARエフェクトをプロモーションに活用。利用者は店舗に足を運ばなくても、スマホだけで自分の部屋に家具を置いたらどのような感じになるのか、サイズ感や色合いなどを把握できるようになりました。
Meta社の調査結果によると、本施策により、消費者の購入意向が5.0ポイント上昇したそうです。さらに、先進的なブランド体験を楽しめたということから、好感度の上昇にもつながりました。
岩間:メタバースの活用はマーケティングにも効果があることがよくわかりますね。
蒋:そうですね。他にもアパレル業界では、試着をしなくても自分がその洋服を実際に着てみたらどうなるか、確認できる店舗が最近増えてきています。
マーケティングにメタバースを活用することの可能性
岩間:ARのマーケティング活用は、かなり進んでいる印象を受けました。VRは技術的にも予算的にもまだ難しい面があり、一般的になるのはこれからかもしれませんね。
蒋:そうですね。理想的なメタバースを作り上げるために解決すべき点はまだありますが、インフラ整備の改善やクリエイターの参入による未来は期待できるでしょう。
そしてマーケターの観点から見ると、今後、広告体験をより没入型で提供できるようになり、PRコンテンツの多様性が大幅に広がっていくと考えられます。そして、メタバースという流行を取り入れることは、話題作りという面でも非常に有効だと思います。
蒋:以上、12月のコンテンツマーケティング動向「メタバース編」でした。来年も最新情報をお届けしていきますので、楽しみにお待ちください。
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IT企業でコンテンツマーケティングに従事した後、独立。現在はフリーランスのライターとして、ビジネスパーソンに向けた情報を発信しています。読んでよかったと思っていただける記事を届けたいです。