共に稼ぐ「パワーカップル」の不動産トレンドを調査 ~ タワマンやリノベに注目?

共に稼ぐ「パワーカップル」の不動産トレンドを調査 ~ タワマンやリノベに注目?

「パワーカップル」に明確な定義はありませんが、一般的に夫婦それぞれが高年収を得ている共働き夫婦のことを指します。高い購買力のあるパワーカップルは、不動産への関心も高いことがWebログの調査からわかりました。


背景

「パワーカップル」に明確な定義はありません。それぞれの年収が700万円以上の夫婦を指すこともあれば、夫婦あわせた年収、すなわち世帯年収が1,000万円以上の夫婦を指す場合もあります。いずれにしても、それぞれが高年収を得ている共働き夫婦を、一般的にはパワーカップルと呼んでいます。例えば、夫の年収が1,000万円、妻の年収が300万円の場合は、世帯年収は1,300万円ですが、パワーカップルには該当しません。

共働きの家庭が増えたこともあり、パワーカップルの割合は少しずつ増加しています。パワーカップルは、外食やテイクアウトなどにもお金をかける傾向があり、高い購買力があると言われています。そんなパワーカップルは不動産をどう見ているのでしょうか。ヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を用いて、調査・分析しました。

パワーカップルの業界シェアトップは東急リバブル

今回は、世帯年収1000万円以上、既婚、子供のいない人をパワーカップルと設定しました。

まず、パワーカップルが利用している不動産サイトを調査したところ、業界シェア1位は東急リバブルとなっていました。直近1年間を見ると、減少傾向にはあるものの、依然として業界シェアはトップです。

また、2023年2月に三井不動産レジデンシャルの業界シェアが急増しています。これは、「HARUMI FLAG SKY DUO」の情報公開の影響が考えられます。

「HARUMI FLAG」は、2021年に開催された東京オリンピック・パラリンピックの選手村跡地の都市開発プロジェクトです。大会前の2019年から一部のマンションの販売が開始されており、当時から高い人気が話題になっていました。2023年1月に新たに情報が更新され、「HARUMI FLAG」の目玉とも言える地上50階建てのタワー棟「HARUMI FLAG SKY DUO」の第1期販売が6月下旬に開始されることがわかりました。

出典:https://www.31sumai.com/mfr/X1604/#!/article/8
図:「HARUMI FLAG」敷地配置完成予想CG

図:業界シェア
期間:2022年3月~2023年2月
分析ツール:Dockpit
デバイス:PC、スマートフォン
※世帯年収1000万円以上、既婚、子供のいない人をパワーカップルとしてセグメント

図:業界シェア推移
期間:2022年3月~2023年2月
分析ツール:Dockpit
デバイス:PC、スマートフォン
※世帯年収1000万円以上、既婚、子供のいない人をパワーカップルとしてセグメント

パワーカップルは不動産に高い関心を持つ

不動産業界のWebサイト基本指標を見てみます。パワーカップルは、一般的なネットユーザーに比べて1人当たりセッション数や1人当たりページビュー数が高いことがわかります。このことから、パワーカップルは、不動産への関心が高いと言えるでしょう。

図:業界基本指標
期間:2022年3月~2023年2月
分析ツール:Dockpit
デバイス:PC、スマートフォン

大手不動産会社への注目度が高い

では、不動産への関心が高いパワーカップルは、どのような不動産会社に注目しているのでしょうか。パワーカップルの業界シェアトップの東急リバブルはもちろん、住友不動産や三菱地所レジデンス、三井住友トラスト不動産など、大手不動産会社が並んでいます。ノムコムは、野村不動産ソリューションズが運営する首都圏・関西圏の不動産情報サイトです。

図:ポジショニングマップ
期間:2022年3月~2023年2月
分析ツール:Dockpit
デバイス:PC、スマートフォン

大手不動産会社の特徴

パワーカップルの間で注目度の高い、大手不動産会社にはそれぞれどのような特徴があるのかを見ていきます。

まずは東急リバブル。「交通」「不動産」「生活サービス」「ホテル・リゾート」の4つの事業領域を持つ東急グループの一員です。東急リバブルは、東急不動産ホールディングスの主要5社のうちの1社で、不動産流通事業として建物の売買や賃貸の仲介などを行っています。東急グループの一員として、他事業と連携しながらサービス展開できるのが強みです。

次は住友不動産。住友グループの一員で、不動産賃貸事業を成長基盤としています。高級賃貸マンション「La Tour」(ラ・トゥール)シリーズを展開しています。また、「新築そっくりさん」というオーダーメイドリフォーム事業も手がけています。

続いては野村不動産。一戸建てや賃貸マンション、シニアレジデンスなどを提供しています。分譲住宅に強みがあり、高級新築分譲マンション「プラウド」や、郊外型の新築分譲マンション「オハナ」などが有名です。

次は三菱地所。日本のビジネスの中心地とも言える丸の内のオフィス事業が主力事業です。住宅事業のうち、不動産の販売や賃貸借は三菱地所レジデンスが担っています。幅広い世代のニーズに応えるべく徹底的に考え抜かれた品質の「ザ・パークハウス」が代表的なブランドです。

最後は三井不動産。三井ショッピングパークららぽーとや三井アウトレットパークなどの商業施設でも有名です。ポジショニングマップにある三井不動産レジデンシャルは、新築分譲が中心事業です。代表的なブランドは「パークマンション」です。

パワーカップルの不動産への関心ごと3点

パワーカップルの不動産への関心ごと3点を推察しました。

1点目は、リノベーションです。パワーカップルとはいえ、新築物件の購入はリスクをともないます。たとえば、子どもを持つことを考えている場合、育休取得や時短勤務などで、収入が減ることは避けられません。そこで登場したのが、中古の3LDKや4LDKなどの広い物件を、リノベーションして購入するという選択肢です。そうすれば、購入費用を抑えながら、子どもを持つことも可能です。SNSで簡単に情報収集できることもあり、最近ますます注目されている選択肢のひとつです。

2点目は、タワマン購入です。共働きのため、通勤の利便性はもちろんのこと、将来の子育てを考えると教育環境も重要です。多くの場合、タワマン周辺は、病院やお店などの生活環境が整っています。そのため、生活のしやすさを優先して、タワマン購入を検討するパワーカップルもいるでしょう。先ほど紹介した「HARUMI FLAG SKY DUO」は、まさにパワーカップルが注目している物件だといえそうです。

3点目は、不動産投資です。夫あるいは妻が、独身時代に購入したマンションに結婚後も居住します。しかし、子どもができると手狭になるため、それまで住んでいたマンションを賃貸に出し、新たに住宅を購入します。これがいわゆる不動産投資です。この場合、住宅ローン控除を活用すれば、減税の恩恵も受けられるでしょう。

高年収のパワーカップルは不動産テックにも注目?

不動産テックとは、不動産×テクノロジーの略です。テクノロジーを活用して、不動産業界が抱える課題を解決したり、これまでの習慣を見直したりするための取り組みを意味しています。

たとえば、VRを使って内見できたり、マッチングサービスを使って最適な住宅ローンを選べたり、住宅の市場価格を可視化したりといったサービスの展開が期待されています。不動産テックは、不動産業界全体の発展だけでなく、利用者にとってもメリットがあると考えられます。不動産テックのひとつに、不動産投資にクラウドファンディングを活用する取り組みもあります。不動産投資を考えているような、とくに高年収なパワーカップルは、不動産テックにともなうサービスの拡大に注目しているとも考えられます。

まとめ

今回はWebログを使って、パワーカップルの不動産の関心ごとを調査しました。

パワーカップルとは、明確な定義はありませんが、それぞれの年収が700万円以上の共働き夫婦や世帯年収が1,000万円以上の共働き夫婦を指します。高い購買力が期待できるため、高級マンションの賃貸に限らず、不動産の購入や不動産投資を検討している人もいるでしょう。業界シェアのトップは東急リバブルですが、その他の大手不動産会社にも関心を寄せています。

最近では、広い中古物件を購入し、リノベーションするという選択肢も注目されています。一方で、利便性や教育環境に優位なタワマン購入も選択肢のひとつです。また、不動産テックを活用して不動産投資を検討するパワーカップルもいるでしょう。

共働き家庭が増えている背景もあり、今後もパワーカップルは増えていくと考えられます。不動産テックの発展も相まって、リノベーションや不動産投資などへの関心は、ますます高まるのではないでしょうか。

▼今回の調査にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えます。Dockpitには無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。

dockpit 無料版の登録はこちら

この記事のライター

Webライター。転職、キャリア、美容、不動産、金融ジャンルの記事を執筆中。新卒からシステムエンジニアとして働いていました。ライティングにおいては、わかりやすい文章を書くことはもちろん、どこかくすっと笑えるような、読み手が温かい気持ちになれる記事を書くことを心がけています。

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