スローライフに憧れを抱く現代人の増加|中国トレンド記事

スローライフに憧れを抱く現代人の増加|中国トレンド記事

経済が高い水準で成長していくにつれて、中国人は常に「速さ」を追求してきました。一方、ここ数年、中国の若者の生活は、消費のアップグレードや新型コロナウイルスの影響によって、以前とは少しずつ変わり始めており、「スローライフ」という新たな生活理念がトレンドになりつつあります。この文章は最近中国で流行っている新しいライフスタイルを紹介します。


キャンプブーム

近年、中国ではキャンプブームが盛り上がりを見せています。ニッチな領域だったものが、大衆のトレンドへと急速に変化しています。新型コロナウイルスの影響で、中国のキャンプ産業の発展が少なくとも5~10年繰り上げられました。コロナ禍では遠距離の旅行ができないため、近場の自然豊かな野外でスローライフを味わいたい、という若者たちの憧れが大きく強まりました。

中国のソーシャルメディアや観光メディアのデータによると、3月に入って中国の各都市のキャンプ場が高い人気を集めています。成都、広州、深圳、上海は、キャンプ人気が最上位の都市になっています。キャンプは2023年のゴールデンウイークに最も人気のある野外活動になると予想されています。

2023年春は、徐々に暖かくなりキャンプシーズンが到来する中、移動制限がなくなったため、中国のキャンプ経済は加速を見せています。各種のソーシャルメディアにおいては、キャンプに関連するキーワードの検索数が急増しています。美団(中国の生活関連サービス企業。 電子商取引プラットフォームである美団と、中国最大の口コミサイトである大衆点評を運営している)のデータによると、3月初め「キャンプ」の関連検索件数は前年同期比450%、投稿件数は約300%増加しました。

出典:创投新风向|露营热了三年,谁在陪跑谁在赚钱?

キャンプブームはテント、炊事道具といったキャンピング用品産業の発展をもたらしました。2022年には、中国のキャンピング用品の市場規模が初めて1000億人民元を超えました。2022年6月18日(中国のネットショッピングデーの一つ)に天猫(Tmall)のアウトドア部門の売上順位によると、Camel、Naturehike、The Primitiveといった中国の国産メーカーも好調な売行きを示しました。

出典:创投新风向|露营热了三年,谁在陪跑谁在赚钱?
記事をもとに、ヴァリューズが作成

中国のキャンピング用品産業は、新型コロナウイルス感染症の流行以前はあまり発展していませんでした。牧高笛(Mobi garden)、Naturehikeといったキャンピング用品メーカーもハイキング、登山、旅行装備と並行してキャンピング用品を販売するにとどまっていました。ところが現在では、こうしたブランドの公式サイトは、キャンピング用品に関する情報で埋め尽くされています。

ただし、中国ブランドは海外のブランドに比べてまだ成熟していません。日本のアウトドアブランドスノーピーク(SnowPeak)は60年以上の歴史がある一方で、中国では最高齢ブランドである牧高笛もまだ創業19年と、若いブランドばかりです。

今後数年間、キャンプ場が若者たちに最も人気のある観光地の一つになるものと予想されます。また、観光業界が成長し、テント、キャンピング用品など関連業界もさらに市場規模を拡大させていくでしょう。

囲炉裏でお茶会

炭火と、焼き網の上に、温かいお茶、ピーナッツ、栗、みかんなどの食べ物が置かれていて、友達と座ってお茶を飲みながらお喋りをする――このような光景は2022の秋冬に中国でブームになった「囲炉裏でお茶会」のことを指します。

小紅書(中国版のインスタグラム)では20万件近い投稿が遊び方を共有しており、抖音(TikTok)などショートムービー投稿プラットフォームでは「囲炉裏でお茶会」がテーマの動画再生数が40億件を超えました。

一種の新しいライフスタイルのように見えますが、実はこの「囲炉裏でお茶会」という習慣は、中国で昔から存在します。唐宋時代から中国人たちは茶汁を煎じ、囲炉裏を囲んで談議に花を咲かす習慣があり、茶百戯などの茶道と類似する活動も発展しました。今日の雲南、甘粛、陝西といった地域では、かまどを囲んで茶を沸かす生活習慣がまだ残っています。

出典:小紅書

イベント感があり雰囲気もあるため、心地良くリラックスすることができます。旧正月を迎え、家族の集まりの必須行事としてお茶会をする人が少なくありません。

社交性が高く、情緒的価値を提供するこのアクティビティは、インフルエンサー経済に支えられ、旧正月に茶文化の新しい慣習として浮上し、若者たちに人気を集めています。同時に、若い世代の「スローライフ」に対する憧れを叶えるだけでなく、中高年層の余暇習慣にも合致して、老若男女みんなが楽しむことができるため、家庭関係を重視するという伝統的な考え方に合わせた新たな消費を生み出しています。

スローライフに関する映像が人気


ここ数年、中国では食やライフスタイルといったジャンルの映像が人気を集めています。日本の映画「リトル・フォレスト」と李子柒(リーズーチー、中国のビデオブロガー)のビデオが人気を集めているのはその代表的な例です。

「リトル・フォレスト」シリーズは、監督を森淳一、主演を橋本愛が務め、夏秋編と冬春編の2本の映画で構成されている作品です。現在、豆瓣(中国の大手ソーシャルメディア・カルチャーサイト)では夏秋編、冬春編共に8.9点、9.0点の評点を受けており、中国人から非常に高い評価を集めています。

「リトル・フォレスト」は作者自身が岩手県で生活した際の実体験をもとに、大自然に囲まれた小さな集落で暮らす一人の女性の姿が描かれています。一人で生活し、忙しく畑を耕し、台所で様々な食べ物を作っていくというストーリーにはあまり起伏はありませんが、この映画はなぜ高い評価を受けたのでしょうか。「スローなライフスタイルを見せている」というのが一番大きな原因だと考えられます。ある中国のネットユーザーは「リトル・フォレスト」は単なるグルメ映画ではなく、食べ物を通じてスローライフに対する考えや感情を伝えていると評価しました。

出典:baidu

李子柒(リー・ズーチー)は、中国の有名なビデオブロガーです。伝統的な中国料理や生活風景をテーマとした動画を配信しています。李子柒は2021年2月2日、ユーチューブチャンネル登録者数1410万人で、ユーチューブ中国語チャンネル最多登録者数のギネス記録を更新しました。2023年1月1日までに中国国内のフォロワーを含めて合計7000万人以上がチャンネルを登録しています。

李子柒のビデオは主に四川省綿陽市の山中を舞台に作成されています。人気を集めている理由について、理想的な田園生活、田舎を舞台に伝統的な中国文化で暮らす姿を見せていることが挙げられます。

出典:baidu

ほかにも、中国で最も多く利用されている動画サイト・bilibili動画では、若者たちを中心にグルメライフの関連動画も人気が上昇しています。他人が記録した田舎のスローライフを観ることは、一種の癒し効果を与えていると評価されます。

まとめ

都会の喧騒から抜け出して、囲炉裏でお茶会をしたり、野外でおいしい料理を作ったり食べたりする映像を観ることは、スローライフの中で生活の美しさを生み出し感じたいという目的からであり、高効率を高める生活が長い間強調されてきた中国人たちのスローライフに対する憧れを反映しています。

現在、暮らしに対して中国の若者たちは質、健康、美しさも追求しています。同時に、新たなライフスタイルは中国人の生活水準、経済水準の向上の表れであり、今後、中国の若者たちがはますます生活の質を重視して、「スローライフ」実現の機運が高まることによって、さらなる新しい消費ニーズが生じるでしょう。

参考文献

创投新风向|露营热了三年,谁在陪跑谁在赚钱?
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1738920145573183632&wfr=spider&for=pc
美媒发现中国年轻人两大变化,追求慢生活和买爆户外装备
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1750829543368927072&wfr=spider&for=pc
天幕下喝茶赏花3月露营持续升温
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1760723207846285146&wfr=spider&for=pc
“新晋网红”围炉煮茶成年轻人休闲社交新宠
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1755495780003319495&wfr=spider&for=pc

この記事のライター

広東省出身の中国人留学生。現在は名古屋大学でメディアを専攻している。

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