中国で人気急上昇の「シティウォーク」。その理由は?|中国トレンド記事

中国で人気急上昇の「シティウォーク」。その理由は?|中国トレンド記事

中国では2022年から「シティウォーク」が大流行し、若者の生活に浸透しつつあります。「シティウォーク」とは何ですか?単に新たな観光方式ですか?人気急上昇の理由は何ですか?今回の記事で詳しく説明します。


「シティウォーク」とは?

2022年に小紅書(中国版インスタグラム)が発表した「2022年の生活トレンドトップ10」では「Citywalk」が第5位となりました。「Citywalk」とは、英語の 「city 」と 「walk 」を組み合わせた合成語です。元々英国ロンドンで始まった都市観光方式で、歩行や自転車で町に入って歴史、地理、人文、風俗などを通じて都市に対する新たな理解を得ることを意味します。

一方、中国では「シティウォーク」に対する定義がそれほど厳しくなく、人がたくさん集まると一緒に歩くことができるために「シティウォーク」をそのまま「都市の中をぶらつく」いう意味で理解する人もたくさんいます。簡単に要約すると、参加者は独特な都市路線で町で散歩し、都市の歴史を探索して、都市の文化やセンスを感じることを意味します。参加者は外地からの観光客だけでなく、地元の人々もその地域を再認識することができるのです。現在、中国の若者はシティウォークのルートをSNSでシェアしており、若者はシティウォークに参加することで、街の歴史や文化、地理を深く理解し、街との深いつながりを作ろうとしています。また携程のような大手旅行会社も、このトレンドを利用して若者の最新の旅行ニーズに応えるため、さまざまな観光都市でシティウォークルートを開発しています。

小紅書のシティウォークに関するレポートによると、中国のシティウォーク人気都市トップ10は上海、北京、広州、杭州、深圳、武漢、南京、蘇州、成都、西安となっています。経済的に発展した都市ほどシティウォークの人気が高い様子が窺えます。

「シティウォーク」人気都市トップ10

実は、シティウォークは中国ではすでに2016年にインターネットで掲載されています。その後2022年になって、ようやくSNSで人気を集めました。2022年に小紅書では、「シティウォーク」と「休日のシティウォーク」というハッシュタグがそれぞれ1,420万ビュー4億1,150万ビューを記録しています。

過去一年間の小紅書における「シティウォーク」の検索傾向
小红书发布 City Walk 趋势报告

ではなぜ、これまで人気がなかったシティウォークが中国の若者の間で人気急上昇し他のでしょうか?以下に理由をまとめてみました。

中国の若者がシティウォークに魅了される理由

シティウォークは新しい旅行スタイルであり、同時に新しいライフスタイルでもある

シティウォークの参加者は外地観光客だけでなく、現地人たちも参加します。シティウォークは新しい旅行方式だけでなく、人々が自分の都市を再認識するキッカケになるのです。自分がよく知っていると思っていた都市もまだまだ発見されていない姿があるかもしれません。都市を散歩することで未知の領域を探究し、新鮮なことを発見するチャンスを与えるのです。これらはシティウォークの魅力的なところだと言えるでしょう。また緩やかな生活を強調したシティウォークは、忙しない都市の日常から脱しようとする若者たちの心理を反映しているとも思われます。

時間や空間の制約は小さく、コストは低い

シティウォークは、必ずしも自分のいる都市を離れる必要がありません。自分の住んでいる都市でも簡単にできます。これにより時間の制約も少なく、働く人でもシティウォークを簡単に楽しむことができます。小紅書の報告によると、中国の95後(1995年生まれ以降の世代)は00後(2000年生まれ以降の世代)よりもシティウォークに興味関心が高く、学生よりも働く人たちがこのレジャースタイルを好んでいることを示しています。
若者は過去のように特定の観光名所に縛られる必要がありません。代わりに新しい都市で目的のない散歩し、写真を撮り、道中の景色を楽しむだけで十分です。これにより観光のコストが大幅に削減され、旅行に多額のお金をかけるという一般的な概念が崩れました。これはコロナ時代の終了後、中国の若者の消費水準と消費意識が変化したことを示すかもしれません。すなわち、新鮮さを求める一方で、コスパも大事していると言えます。

REDによる City Walk の傾向に関するレポート

SNSの宣伝効果とブランド・マーケティング

インターネット時代において、SNSは中国の若者の注意を引き、彼らのライフスタイルに影響を与えています。さまざまなSNSがシティウォークに注力し、影響力のあるインフルエンサーやブロガーと協力し、シティウォークに関するオシャレな写真を発表することで、若者の間で急速に広がりました。
2023年7月、広州を拠点とするレモンティーのブランドであるLINLEEは、シティウォークをテーマにしたクロックス(Crocs)スタイルのサンダルを48.8元(約1000円)で発売しています。消費者にはレモンティーのボトル、光り輝く緑色のサンダル、おもちゃのアヒルが付いてきました。LINLEEのサンダルのタグは、小紅書で累計158万回以上閲覧され、ティックトック(TikTok)では3800万回以上の再生回数を記録しました。

これによりLINLEEのマーケティング戦略は成功したことが証明され、発売から3日間でこのシティウォークテーマのサンダルの注文は30万足を超え、売上高は1200万元を超えたのです。このようなブランド・マーケティング戦略により、シティウォークは更に多くの人々に知られ、知名度がどんどん高くなっていったと言えます。

Citywalkとお茶ブランドのコラボレーション

若者はどんなシティウォークが好き?

歩きながら珈琲

小紅書のデータによると、シティウォークの最もアクティブなグループは24歳から28歳で、お茶やコーヒーの主な消費者と重なります。街をぶらぶら歩き、コーヒーやレモンティーで一息つくのが、シティウォークの定番です。
元々若者たちは週末を過ごすために、おしゃれな飲料店を探すのが好きです。シティウォークの人気に伴い、彼らの多くがコーヒーショップを目的地に選ぶようになりました。小紅書ではブロガーがデザインしたシティウォークのコーヒールートを見ることができます。8月現在、小紅書には「コーヒーマップ」関連の投稿が11万件以上あり、シティウォークが生み出す話題性は、飲料業者にとって新たなビジネスチャンスとなっています。

小紅書における北京のコーヒーマップ

歩きながら撮影

中国のZ世代は間違いなく写真世代であり、SNS上でオシャレな写真を共有することは彼らの日常生活の重要な一部です。オシャレな写真を撮るために、ブロガーは都市の撮影に適した場所を推薦し、若者達を殺到させます。街の歴史的なスポットであれ、オシャレなショップであれ、すべてが若者の目的地になり得ます。撮影活動はシティウォークとは切り離せないポイントの一つです。

まとめ

シティウォークの出現は、中国の若者の根底にある社会心理の反映であり、スローペースなライフスタイルや低コスト旅行の追求、そして一種の都市アイデンティティの探究とも言えます。それは単に旅行の手段だけでなく、人々の都市生活の一部分でもあります。様々な大衆文化が存在し、変化し続ける中国社会において、シティウォークは単なる流行の波に過ぎず、中国の社会文化になり得るでしょうか?その行方を一緒に見守りましょう。

参考資料

「争议Citywalk:城市观光如何“游”向深处?」
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1775522014419200115
「年轻人为啥突然爱上Citywalk?」
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1771937930507094075
「广州Citywalk,发现城市不一样的美」
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1771597642792397674
「火遍全网的Citywalk,有茶饮品牌已带动销售1200万?」
https://www.sohu.com/a/710183557_350514

この記事のライター

広東省出身の中国人留学生。現在は名古屋大学でメディアを専攻している。

関連するキーワード


中国トレンド調査 中国市場

関連する投稿


中国の若者が「自愛」に目覚める、そのトレンドは?

中国の若者が「自愛」に目覚める、そのトレンドは?

2025年11月、SNS上で発信された投稿に載せられた「愛你老己 (アイ・ニー・ラオ・ジー)」というフレーズが中国の若者たちの間に広がり始めました。自分自身へ大切にしているよと呼びかける、短いながらも現代の若者の価値観を反映したこの言葉は、彼らの生活や消費行動にどのような影響を与えているのでしょうか。この記事では 、「愛你老己」という言葉が生まれた背景やそれに伴い生まれた消費トレンドを紹介します。


中国で注目される新しい消費行動「理感共生」を読み解く

中国で注目される新しい消費行動「理感共生」を読み解く

昼食代には迷う一方で、推し活には即決します。中国の若者に広がる「理感共生」は、節約と熱狂が同時に成立する新しい消費合理性です。本稿はこの概念を手がかりに、なぜ日常支出には極端に慎重でありながら、体験や感情価値には大胆に投資するのかを分析。将来不安や長期志向、補償的コントロールといった社会や心理的背景を整理し、この行動が中国の消費市場とマーケティング競争の軸をいかに変えつつあるのかを探ります。


【2026最新】訪日インバウンド観光客調査〜中国・台湾・タイ・韓国

【2026最新】訪日インバウンド観光客調査〜中国・台湾・タイ・韓国

2025年の訪日外国人客数(インバウンド)は、前年比15.8%増の約4,268万人となり、過去最高を記録した2024年を大幅に上回って過去最多を更新しました。背景には、大阪・関西万博の開催や円安による消費拡大も理由として考えられます。そんなインバウンド観光客の中でも、本レポートでは中国・台湾・タイ・韓国の観光客にフォーカスし、彼らの観光実態をアンケート調査しました。※本レポートは記事内のフォームから無料でダウンロードいただけます。


リアルなモニタリング!中国市場Web調査ツール「ValueQIC」日記調査機能のご紹介【第6回】

リアルなモニタリング!中国市場Web調査ツール「ValueQIC」日記調査機能のご紹介【第6回】

トレンドの変化が速い、と言われている中国市場。「最近、中国市場の変化が掴めない。言語の壁もあり、中国人生活者の生活実態がよくわからない。」という声も多く耳にします。Web調査ツール「ValueQIC(ヴァリュークイック)」なら、日記形式の調査を通じて、最大14日間分のモニタリング結果をご提供することが可能です。第6回は、日記調査機能の特徴を事例とともにご紹介します。


エスビー食品、中国挑戦の鍵は「生の声」。スピーディーな調査を叶えたValueQIC活用術

エスビー食品、中国挑戦の鍵は「生の声」。スピーディーな調査を叶えたValueQIC活用術

エスビー食品株式会社は、「S&Bブランドの世界定番化」をミッションに事業を展開しています。ヴァリューズが伴走支援に携わっているのは、レトルトカレーの中国市場への進出。中国人消費者の声を集める「ValueQIC」を活用し、現地の「生の声」を具体的な販売戦略へと落とし込んでいます。本記事では、同社の馬 嘉貝氏に取り組みの全容をうかがいました。


最新の投稿


BtoBマーケへの投資意欲は高く8割が予算増!トレンドは「安く大量に」から「決裁者へ確実に」【ProFuture調査】

BtoBマーケへの投資意欲は高く8割が予算増!トレンドは「安く大量に」から「決裁者へ確実に」【ProFuture調査】

ProFuture株式会社は、同社が運営する「マーケトランク」にて、BtoBマーケティング関連業務に従事する会社員を対象に「2026年度に向けたBtoBマーケティング実態調査」を実施し、結果を公開しました。


ホームページ作成費用の相場は「30〜50万円未満」が最多!予算と実費がほぼ一致し、8割以上が費用対効果に満足【ハイファクトリ調査】

ホームページ作成費用の相場は「30〜50万円未満」が最多!予算と実費がほぼ一致し、8割以上が費用対効果に満足【ハイファクトリ調査】

株式会社ハイファクトリは、同社が運営する「ウェブサクッ!」にて、過去5年以内に外部に依頼して自社のホームページを制作・リニューアルした全国20~50代の男女を対象に、「ホームページ作成費用の実態調査」を実施し、結果を公開しました。


中国の若者が「自愛」に目覚める、そのトレンドは?

中国の若者が「自愛」に目覚める、そのトレンドは?

2025年11月、SNS上で発信された投稿に載せられた「愛你老己 (アイ・ニー・ラオ・ジー)」というフレーズが中国の若者たちの間に広がり始めました。自分自身へ大切にしているよと呼びかける、短いながらも現代の若者の価値観を反映したこの言葉は、彼らの生活や消費行動にどのような影響を与えているのでしょうか。この記事では 、「愛你老己」という言葉が生まれた背景やそれに伴い生まれた消費トレンドを紹介します。


RASA JAPAN、日本人のTikTok購買行動に関する意識調査の結果を公開

RASA JAPAN、日本人のTikTok購買行動に関する意識調査の結果を公開

合同会社RASA JAPANは、全国の生活者を対象に、日本人のTikTok購買行動に関する意識調査を実施し、結果を公開しました。


情報システム・DX推進室のAI推進、最大の壁は「セキュリティ懸念」【Ragate調査】

情報システム・DX推進室のAI推進、最大の壁は「セキュリティ懸念」【Ragate調査】

Ragate株式会社は、生成AI推進の旗振り役を担う情報システム部門・DX推進室所属の意思決定者を対象に「AI推進部門の課題実態調査」を実施し、結果を公開しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

ページトップへ