ユーザー拡大中のTVer。関心層と利用者をWeb行動ログから分析。NetflixやU-NEXTとの違いは?

ユーザー拡大中のTVer。関心層と利用者をWeb行動ログから分析。NetflixやU-NEXTとの違いは?

民放公式テレビ配信サービス「TVer(ティーバー)」は、常時約650番組の見逃し配信のほか、スポーツ等のライブ配信や民放5系列が放送と同時に視聴できる「同時配信サービス」を提供するなど、急激にコンテンツ数とユーザー数を増やしマーケットを拡大し続けています。 今回は、そんなTVerに関心を寄せているユーザーの分析から、実際にTVerを利用しているユーザーの動向を探っていきたいと思います。


TVerに関心があるユーザーの特徴

まずはTVerに関心があるユーザーについて分析していきます。インターネットで「TVer」と検索したユーザーの検索の特徴やネットでの動きを見ていきましょう。

分析には、毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析や検索キーワード分析を行えるヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を用います。

TVer - 無料で動画見放題

TVer関心層のボリュームゾーンは40代と50代

直近1年間で「TVer」と検索したユーザーの属性は、男性が54.8%と半数よりやや多く、年代は40代が最多、次いで50代という結果でした。

「TVer」検索ユーザー属性/性別

「TVer」検索ユーザー属性/性別

期間:2022年10月〜2023年9月
デバイス:PCおよびスマホ

「TVer」検索ユーザー属性/年代

「TVer」検索ユーザー属性/年代

期間:2022年10月〜2023年9月
デバイス:PCおよびスマホ

TVerとの掛け合わせワードは「無料」「ドラマ」「ダウンロード」

「TVer」と同時に検索されたワードのランキングでは1位が「無料」でした。「ダウンロード」「パソコンで見る方法」なども多く、TVerの機能面の検索が目立ちました。

番組名で20位以内にランキングしたのは「水曜日のダウンタウン(10位)」「VIVANT(12位)」「SILENT(15位)」の3つでした。VIVANTは2023年7月クールで唯一のランクイン、SILENTは2022年10月クールにも関わらずランクイン、根強い人気を証明しました。

「TVer」と同時に検索されたワードランキング(1位〜20位)

「TVer」と同時に検索されたワードランキング(1位〜20位)

期間:2022年10月〜2023年9月
デバイス:PCおよびスマホ

TVer関心層の属性マップ

TVerとの同時検索ワードを属性別にマップで比較すると、以下のような傾向が見られました。

高齢男性:日本シリーズ・PCで見る方法・ダウンロード
高齢女性:ドラマ・韓国ドラマ・徹子の部屋
若年男性:お笑い・アニメ(ワンピース、プリキュアなど)・スポーツ
若年女性:音楽番組・ドラマ

TVer同時検索ワードの属性マップ

TVer同時検索ワードの属性マップ

期間:2022年10月〜2023年9月
デバイス:PCおよびスマホ

TVerサイト訪問ユーザーの特徴

続いて、TVerサイト 訪問者(TVer利用者)について分析していきます。

サイト訪問ユーザー数は増加傾向

直近1年間のサイト訪問ユーザー数の推移は以下のグラフのとおりです。

年間訪問ユーザー数は2,930万UU、新規ユーザー率は30.2%でした。
月ごとのサイト訪問ユーザー数は、2023年9月が期間内最多で828万UU、直近1年では好調に増加しているようです。

TVer公式サイト訪問ユーザー数推移

TVer公式サイト訪問ユーザー数推移

期間:2022年10月〜2023年9月
デバイス:PCおよびスマホ

サイト訪問ユーザー属性は男女同率、年代は40代・50代

サイト訪問ユーザー属性は関心層と大きな差はなく、男女比はほぼ同率、年代は40代・50代がメインでした。

サイト訪問ユーザー属性/性別

サイト訪問ユーザー属性/性別

期間:2022年10月〜2023年9月
デバイス:PCおよびスマホ

サイト訪問ユーザー属性/年代

サイト訪問ユーザー属性/年代

期間:2022年10月〜2023年9月
デバイス:PCおよびスマホ

ランディングページは「お気に入り」「検索」

次に、公式サイトのランディングページランキングを見てみましょう。トップページに続いて多かったのが「お気に入り(MyPage)」「検索」「ドラマ一覧ページ」「バラエティ一覧ページ」でした。お気に入り登録をして定期的に閲覧しているユーザーが多い様子がうかがえます。

TVer公式サイト訪問ユーザーのランディングページ

TVer公式サイト訪問ユーザーのランディングページ

期間:2022年10月〜2023年9月
デバイス:PCおよびスマホ

流入サイトはオウンドメディアに続いて「TBS」「フジ」「テレ朝」

TVer公式サイトへの流入元サイトは以下のランキングのとおりです。

1位はオウンドメディアTVerプラス - 最新エンタメニュース。2位以降は民法各社サイトが続きました。
2位:TBSテレビ 3位:フジテレビ 4位:テレビ朝日 5位:日本テレビ放送網

TVer公式サイトへの流入元サイトランキング

期間:2022年10月〜2023年9月
デバイス:PCおよびスマホ

その他のテレビ視聴メディアとの比較

最後に、その他のテレビ番組が視聴可能なメディアとのユーザー数、属性などの比較を見ていきます。

今回は、TVer、U-NEXT、Netflix、ABEMA、Huluの5つで比較しますが、それぞれサービスが異なり、リアルタイムでドラマ視聴が可能な民放公式アプリはTVerのみで、TVer以外は基本的には有料サービスです。

テレビ番組視聴サービスユーザー数比較

テレビ番組視聴サービスユーザー数比較

期間:2022年10月〜2023年9月
デバイス:PCおよびスマホ
※分析対象メディアは現在放送中または過去放送の日本ドラマが視聴可能なサービスの中から筆者が独自に選定

伸びているのはU-NEXT、TVerも1位のABEMAに迫る勢い

<各メディアの特徴>
TVer:見逃した番組を楽しめる民放公式サービス(無料)
U-NEXT:最新のドラマや映画が視聴可能(有料)
Netflix:過去の海外ドラマ・映画、日本映画・ドラマ、一部の新作ドラマが視聴可能(有料)
ABEMA:過去の人気ドラマがいつでも楽しめたり、オリジナルコンテンツがある(無料)
Hulu:日本のテレビ番組がいつでも見放題(有料)

ユーザー数が多く好調なのがABEMA、2023年7月からユーザー数が急増し1位のABEMAに追いつくまでに成長したのがU-NEXTです。3番手のTVerは、放送中のテレビ番組はテレビ放送から1週間以内の期限付き公開という制限があるものの、コンテンツ数も増え、プロモーションも積極的なこともあり、好調にユーザー数を獲得しているようです。

男性はABEMA、若者はNetflixを利用

最後に、それぞれのユーザー属性を比較します。

ABEMAが男性比率が特に高いようです。年代を比較すると、Netflixが20代・30代が多いことがわかります。
TVerのユーザー属性はHuluと類似していることがわかります。

コンテンツ視聴サービスユーザー属性比較/性別

コンテンツ視聴サービスユーザー属性比較/性別

期間:2022年10月〜2023年9月
デバイス:PCおよびスマホ

コンテンツ視聴サービスユーザー属性比較/年代

コンテンツ視聴サービスユーザー属性比較/年代

期間:2022年10月〜2023年9月
デバイス:PCおよびスマホ

まとめ

TVerに関心があるユーザーの特徴は?

直近1年間で「TVer」と検索したユーザーの属性は、男性が54.8%と半数よりやや多く、年代は40代が最多、次いで50代でした。

TVerと同時に検索されたワードは?

同時検索ワードの1位は「無料」でした。「ダウンロード」「パソコンで見る方法」なども多く、TVerの機能面の検索が目立ちました。番組名で20位以内にランキングしたのは「水曜日のダウンタウン(10位)」「VIVANT(12位)」「SILENT(15位)」の3つでした。

TVerとの同時検索ワードの属性別特徴は?

同時検索ワードを属性別に特徴を分析すると、以下のような傾向が見られました。
高齢男性:日本シリーズ・PCで見る方法・ダウンロード
高齢女性:ドラマ・韓国ドラマ・徹子の部屋
若年男性:お笑い・アニメ(ワンピース、プリキュアなど)・スポーツ
若年女性:音楽番組・ドラマ

TVerサイト 訪問者(TVer利用者)の特徴は?

TVerのサイト訪問ユーザー数は年間2930万UU、新規ユーザー率は30.2%でした。
月ごとのサイト訪問ユーザー数は、2023年9月が期間内最多で828万UU、好調に増加しているようです。
サイト訪問ユーザー属性は関心層と大きな差はなく、男女比はほぼ同率、年代は40代・50代がメインでした。

TVerのどのページに流入しているの?

公式サイトへのランディングページのランキングを分析すると、1位のトップページに続いて多かったのが「お気に入り(MyPage)」「検索」「ドラマ一覧ページ」「バラエティ一覧ページ」でした。お気に入り登録をして定期的に閲覧しているユーザーが多いようです。

TVer公式サイトへの流入元サイトは?

流入元サイトの1位はオウンドメディアTVerプラス - 最新エンタメニュース。2位以降は民法各社サイトが続きました。2位:TBSテレビ 3位:フジテレビ 4位:テレビ朝日 5位:日本テレビ放送網

その他のテレビ番組が視聴可能なサービスとの比較は?

現在放送中または過去放送の日本ドラマが視聴可能なサービスの中からヴァリューズが独自に選定した以下のメディアについてユーザー比較を行いました。
「TVer」「U-NEXT」「Netflix」「ABEMA」「Hulu」

ユーザー数が多く好調なのがABEMA、U-NEXTです。3番手のTVerは、放送中のテレビ番組はテレビ放送から1週間以内の期限付き公開という制限があるものの、コンテンツ数も増え、プロモーションも積極的なこともあり、好調にユーザー数を獲得していることがわかりました。

利用ユーザー属性を比較すると、ABEMAが男性比率が特に高く、Netflixが20代・30代が多いことがわかりました。

▼今回の分析にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザでキーワード分析やトレンド調査を行えます。無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。
dockpit 無料版の登録はこちら

この記事のライター

フリーライター。大手キャリア系企業で編集の仕事に出会い、その後、3つのメディアの立ち上げなど行い、2014年にフリーランスに。医療系、就活系、教育系、結婚系のサイトで執筆中。

関連する投稿


「○○とは」検索に見るトレンドや生活者の気になりごとは?「インボイス」「NISA」「猫ミーム」など

「○○とは」検索に見るトレンドや生活者の気になりごとは?「インボイス」「NISA」「猫ミーム」など

検索エンジンで調べ物をするときによく使われる「〇〇とは」検索。今回は、直近1年間で検索数が多かった注目ワードや、時期によって急上昇したトレンドワードをご紹介します。「とは」検索から見えてくる最新の流行りやみんなの関心事を読み解いていきます。


Supportive fans are willing to spend money? “Oshikatsu” insights & applying it to marketing strategy

Supportive fans are willing to spend money? “Oshikatsu” insights & applying it to marketing strategy

“Oshikatsu” stimulates consumption in Japan. In fact, more than 80-90% of teens answered that they have an “Oshi.” We will deepen our understanding by investigating the current state of the “Oshikatsu” market, behaviors like time and money spent on “Oshikatsu,” and its connection with collaborations, etc. in marketing.


【TVドラマランキング】共感性や独自性が話題に。「不適切にもほどがある!」「君が心をくれたから」など

【TVドラマランキング】共感性や独自性が話題に。「不適切にもほどがある!」「君が心をくれたから」など

近年動画配信サービスが普及し、時間や場所にとらわれず様々なジャンルの動画を手軽に視聴できるようになりました。テレビ離れが幅広い年代で囁かれている時代、話題になるテレビドラマとは、どのようなものなのでしょうか。今回は、2024年1月~3月に放送されたドラマについて、認知度や視聴方法、満足度、満足理由などをランキング化。その実態を探りました。


いま「note」がアツい!人気の秘訣はSEO?noteの集客動向を調査<後編>

いま「note」がアツい!人気の秘訣はSEO?noteの集客動向を調査<後編>

2023年夏頃から集客数を急激に伸ばしているメディアプラットフォーム「note」。人気を後押ししているのはどのような人々なのでしょうか?前編では、noteが集客しているユーザーの特徴を深掘り調査し、後編では、noteが規模を拡大している要因を探っていきます。


Marketing strategy of three Chinese & Taiwanese home appliance manufacturers: HUAWEI, Xiaomi, & ASUS

Marketing strategy of three Chinese & Taiwanese home appliance manufacturers: HUAWEI, Xiaomi, & ASUS

Chinese and Taiwanese manufacturers have been growing their market share and number of users, and they are expected to compete with Japanese companies. We will analyze the current sales trends of HUAWEI, Xiaomi, and ASUS in Japan and predict their future while comparing with Japanese brands.


最新の投稿


日本テレビ、AR撮影装置を活用した「没入体験型CM」の実証実験を開始 GW期間内に大型ショッピングモール内にて

日本テレビ、AR撮影装置を活用した「没入体験型CM」の実証実験を開始 GW期間内に大型ショッピングモール内にて

日本テレビ放送網株式会社は、日本テレビが事業展開する XR分野のコンテンツ制作および開発支援サービス『日テレXR』において、新たな広告没入体験ができるサービスの実証実験を開始しました。


ギブリー、生成AIがマーケティング業務を支援するサービス「マーケGAI」の提供を開始

ギブリー、生成AIがマーケティング業務を支援するサービス「マーケGAI」の提供を開始

株式会社ギブリーは、生成AI技術を活用してマーケティング業務を自動化・効率化するAIマーケティング支援ツール「マーケGAI」の提供を開始したことを発表しました。


「○○とは」検索に見るトレンドや生活者の気になりごとは?「インボイス」「NISA」「猫ミーム」など

「○○とは」検索に見るトレンドや生活者の気になりごとは?「インボイス」「NISA」「猫ミーム」など

検索エンジンで調べ物をするときによく使われる「〇〇とは」検索。今回は、直近1年間で検索数が多かった注目ワードや、時期によって急上昇したトレンドワードをご紹介します。「とは」検索から見えてくる最新の流行りやみんなの関心事を読み解いていきます。


GWに10連休を取得する人は約2割!連休の予定はインバウンドの影響か「国内旅行」が下降し「家事」が上昇【mitoriz調査】

GWに10連休を取得する人は約2割!連休の予定はインバウンドの影響か「国内旅行」が下降し「家事」が上昇【mitoriz調査】

株式会社mitorizは、消費者購買行動データサービス「Point of Buy®」の会員に対し「大型連休に関する調査」を実施し、結果を公開しました。


Supportive fans are willing to spend money? “Oshikatsu” insights & applying it to marketing strategy

Supportive fans are willing to spend money? “Oshikatsu” insights & applying it to marketing strategy

“Oshikatsu” stimulates consumption in Japan. In fact, more than 80-90% of teens answered that they have an “Oshi.” We will deepen our understanding by investigating the current state of the “Oshikatsu” market, behaviors like time and money spent on “Oshikatsu,” and its connection with collaborations, etc. in marketing.


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

ページトップへ