もうすぐバレンタイン! 百貨店のバレンタイン催事は毎年大人気
2月といえばバレンタイン!
以前は女性から男性へ愛の告白として送る、いわゆる「本命チョコ」が主流でしたが、「義理チョコ」や「友チョコ」など様々な「○○チョコ」が生まれ、近年では自分へのご褒美としてチョコレートを購入する「自分チョコ」も増えています。
そんな「自分チョコ」を購入する場所として、毎年注目されているのが百貨店で行われるバレンタイン催事です。この時期にしか買えない海外のチョコレートブランドも多数出店し、特に、伊勢丹新宿で開催される『サロン・デュ・ショコラ』や、ジェイアール名古屋タカシマヤで開催される『アムール・デュ・ショコラ』は、会場の入場制限が行われるほど大人気の催事です。売上も年々伸びており、2023年の『サロン・デュ・ショコラ』ではECの売上が前年比30%増、リアル会場の売上も前年比40%増となりました。
今回は、そのような百貨店で行われるバレンタイン催事に興味をもつ人はどんな人々か、ヴァリューズが保有する消費者のWeb行動データを用いて、読み解いていきます。
バレンタインや百貨店の催事への関心は減少傾向
まずは、バレンタイン自体への関心がどう変化してきているか、「バレンタイン」を含むキーワードで検索をした人の推移を見てみましょう。
>「バレンタイン」を含むキーワードでの検索者数の推移
対象期間:2018/12~2023/11
デバイス:PC, SP
毎年1月に検索者が急上昇し、2月にピークが見られます。ピーク時の検索者数を比較すると、直近5年間では2021年が最も多く、2022年・2023年にかけて検索者数は減少傾向にあることが見てとれます。
次に、サロン・デュ・ショコラ(三越伊勢丹)やアムール・デュ・ショコラ(高島屋)など、百貨店で行われるバレンタイン催事の名称で検索した人の推移も調べてみましょう。
>以下の百貨店のバレンタイン催事の名称を含むキーワードでの検索者数の推移(略称・表記ゆれ含む)
・サロン・デュ・ショコラ(三越伊勢丹)
・アムール・デュ・ショコラ(髙島屋)
・チョコレート博覧会(阪急百貨店)
・ショコラプロムナード(大丸松坂屋)
・チョコレートパラダイス(西武百貨店)
・ショコラマルシェ(東武百貨店)
・ショコラモード(伊勢丹浦和店・伊勢丹立川店など)
対象期間:2018/12~2023/11
デバイス:PC, SP
こちらは「バレンタイン」検索者数とは異なり、毎年1月にピークが見られます。多くの百貨店が、1月上旬からバレンタインギフトのオンライン販売を開始しており、1月下旬にはオフラインでも催事が始まるため、早くから検索をする人が多いのでしょう。
また、ピーク時の検索者数は、2022年までは順調に右肩上がりで増加していましたが、2023年は前年の約6割ほどに減少しており、推移の傾向も「バレンタイン」検索者とは異なっています。
百貨店のバレンタイン催事は特に20‐30代女性が注目!
次に、バレンタインに関心を持っているのはどんな層か、その中でも百貨店のバレンタイン催事に興味を持っているのはどんな層か、検索者の性年代分布を見てみましょう。
「バレンタイン」を含むキーワードでの検索者および百貨店のバレンタイン催事の名称を含むキーワードでの検索者の性年代比率
対象期間:2018/12~2023/11
デバイス:PC, SP
どちらも女性の割合が60%を超えており、バレンタインへの関心は女性の方が強いことが推測されます。
特に、百貨店のバレンタイン催事の検索者は70%以上を女性が占めており、その中でも20‐30代の関心が特に高いことが分かります。
普段から食への関心が高い人が百貨店の催事にも興味あり!
続いて、百貨店のバレンタイン催事に関心のある人は、普段どのようなことに興味を持っているのか、検索者の普段の閲覧サイトランキングから調べてみましょう。
>百貨店のバレンタイン催事の検索者の閲覧サイトランキング(パネル全体とのリーチ差順)
対象期間:2022/12~2023/11
デバイス:PC, SP
一般のネット利用者が訪問した割合よりも、百貨店のバレンタイン催事の検索者が訪問した割合が高かった順に見てみると、1位は「PR TIMES」でした。様々な企業のプレスリリースが閲覧できることから、情報感度の高い人が多いと言えるかもしれません。また、以下のようなグルメ関連のプレスリリースも多数上がっているため、このような記事から最新グルメやイベントの情報を得ている可能性も考えられます。
2位に「食べログ」、13位に「ホットペッパーグルメ」、14位に「COOKPAD」がランクインしていることからも、普段から食に興味がある人が多いと言えそうです。
さらに、8位に「三越伊勢丹」、9位に「髙島屋」が入っており、バレンタイン時期だけでなく通年で百貨店のサイトを訪問していることが分かります。
早期検索者は料理への関心が高く、日頃からチョコレート関連の情報収集が盛ん
さらに、百貨店のバレンタイン催事に関心のある人のうち、早期から調べている人が特に興味のあるコンテンツを調べてみましょう。
>百貨店のバレンタイン催事の検索者の閲覧サイトランキング(パネル全体とのリーチ差順 上位15位)
早期検索者:2022/12, 2023/09~11に百貨店のバレンタイン催事の名称を含む検索をした人
シーズン検索者:2023/01~02のみ百貨店のバレンタイン催事の名称を含む検索をした人
対象期間:2022/12~2023/11
デバイス:PC, SP
9~12月の早期に検索している人と、1~2月のバレンタインシーズンにのみ検索している人を比較すると、早期検索者は「三越伊勢丹」が1位に入っている一方、「髙島屋」はランキング外という結果でした。シーズン検索者では、順序が逆転し、「髙島屋」が8位で「三越伊勢丹」が13位という結果になりました。
早期検索者のランキングにおいて、百貨店の中でも三越伊勢丹のみ顕著に順位が高かったことから、三越伊勢丹で行われる『サロン・デュ・ショコラ』に関心がある人は、特に早いうちから調べる傾向があるのかもしれません。
百貨店以外のサイトを見てみると、早期検索者は「COOKPAD」が5位に入っており、シーズン検索者のランキングには見られない「DELISH KITCHEN」もランクインしていることから、料理が好きな人やよく自炊する人が多いことが分かります。
また、シーズン検索者は、「PRTIMES」の順位が早期検索者よりも高く、「食べログ」や「ホットペッパーグルメ」も高順位に入っていることから、情報感度が高く、外食好きな人が多いと推測されます。
以上のことから、バレンタイン催事に関心を持つ人でも、早いうちから調べている人とシーズン直前に調べている人では、興味関心が異なっていると言えそうです。
最後に、早期検索者がより特徴的に見ているサイトを見てみましょう。
>2022/12, 2023/09~11に1回以上百貨店のバレンタイン催事の名称を含む検索をした人の閲覧サイトランキング(パネル全体とのLIFT値※順)
対象期間:2022/12~2023/11
デバイス:PC, SP
※LIFT値:早期検索者のリーチ率(早期検索者全体における該当サイト閲覧者数の割合)÷パネル全体でのリーチ率
一般のネット利用者の閲覧割合が低く、早期検索者の閲覧割合が高いサイトが上位に出てくる指標を用いて、サイトランキングを算出しました。
上位15サイト中7サイトがチョコレートブランドのサイトとなっており、チョコレートへの関心の高さが窺えます。(1,2,4,6,7,9,10,13位)
特に10位の「パリスウェーブ」は、フランスからチョコレートを個人輸入できる通販サイトであり、日本で買えないチョコレートブランドも食べたいという気持ちの強さの表れかもしれません。
3位の「ツール・デュ・ショコラ」は、三越伊勢丹が運営するチョコレートコミュニティで、チョコレート好き同士でコミュニケーションができる掲示板や、コミュニティ限定のコンテンツ・招待イベントなどもあり、チョコ好きには魅力的なサービスです。
また、5位には旧サロンデュショコラの公式サイト、8位・14位にも三越伊勢丹関連のサイトがランクインしています。
12位にはお取り寄せスイーツのレポートサイト、15位にはスイーツ関連メディアが入っており、これらもチョコレート・スイーツの情報収集に利用しているのかもしれません。
まとめ
今回は、バレンタインへの世間の関心や、特に百貨店のバレンタイン催事に関心を持つ人の特徴について調査しました。その結果、以下のような特徴が見られました。
・近年バレンタイン・百貨店のバレンタイン催事への関心は、ともに減少傾向。 検索数がピークになるのは、バレンタインは2月、百貨店のバレンタイン催事は1月と違いあり。
・バレンタインは女性からの関心が高いイベントであり、特に百貨店のバレンタイン催事は、20‐30代女性が注目している。
・百貨店のバレンタイン催事に関心がある人は、「PRTIMES」「食べログ」を閲覧している割合が高く、情報通&グルメ好き?
・早期検索者は「COOKPAD」や「DELISH KITCHEN」を閲覧している料理好きな人が多い一方、シーズン検索者は「食べログ」や「ホットペッパーグルメ」を閲覧する外食好きな人が多い。また、早期検索者が特徴的に見ているサイトは、上位15サイト中7サイトがチョコレートブランドのサイトであり、チョコレートへの熱量の高さが窺える。
百貨店のバレンタイン催事に関心があると言っても、人々が情報収集しているタイミングで分けて見てみると、その特徴が異なってくるのは面白いですね!別の切り口で比較してみたら、また新たな特徴が見つかるかもしれません。
このように、検索した時期など、記憶では曖昧な観点でも分析ができることもログデータの特徴の1つです。他テーマでの行動ログデータ分析など、ご要望・ご相談はこちらから。
■参考資料
・三越伊勢丹HD、バレンタインのEC売上30%増 「サロン・デュ・ショコラ」が好調
https://netkeizai.com/articles/detail/8208
2023年ヴァリューズに新卒入社。
データアナリストとして、web行動ログの分析をしています。
大学時代はコアラの性格と遺伝について研究していました。
趣味は食べること(チョコレート・パン・スイーツが脳内のほとんどを占めています)