ポストコロナ時代における「中国のペット経済」の発展状況とトレンド

ポストコロナ時代における「中国のペット経済」の発展状況とトレンド

中国の独身者の増加と消費能力の向上に伴い、若者の一人暮らしがますます定番化してきています。ペットは人も精神的な支えにもなるため、独身の若者たちのパートナーとして徐々に位置づけられ、ペット経済もそれに伴って成長しています。ポストコロナ時代に中国のペット経済の発展状況や新しいトレンドについて、本稿で詳細にご紹介します。


中国のペット経済産業の規模と予測

まず中国のペット経済産業の規模の発展状況を見てみましょう。iiMedia Research(艾媒咨询)のデータによると、2022年の中国のペット経済産業の規模は4936億元(約9.87兆円)に達し、前年比で25.2%増加しました。2025年には市場規模が8114億元(約16.23兆円)に達する見通しです。コロナの影響を受けて2021年以降ペット経済産業の成長率はやや鈍化しましたが、経済の回復に伴い、産業規模は引き続き拡大しています

人々にとってペットが精神的な支えとなり、同時に家族の一員へと変わっています。その結果、人々のペットへ関連への消費も増加しています。この傾向はペットフードや用品、医療、娯楽など、あらゆる面での消費の成長を促進しており、中国のペット経済産業は広大な成長を迎えることになります。

また、中国のペット飼育世帯数の浸透状況を見ると、艾媒咨询のデータでは2019年から2023年までの間に中国のペット飼育世帯数の浸透率は年々上昇し、2023年には22%に達しました。これは米国の70%や欧州の46%と比較して、まだ差があることを示していますが、同時に中国のペット市場にはまだ大きな発展余地があることを示しています。

さらなるデータによると、2023年で中国の1,309万匹のペットが高齢化段階に入りました。ペットの年齢構造の変化はペットフード、用品、医療、介護などの需要に影響を与え、新たなペット消費の需要変化をもたらします。例えば、高齢犬の飼い主は酵素や軟骨素などの成分が添加された焼き菓子犬用フードを選ぶ傾向があるかもしれません。このような需要の変化はブランドが新しいペットフードや用品を開発し、中国のペット産業が多様化の方向に進むことを促します。同時にペットの医療と介護への需要はますます厳格で精密化されることが予想され、これによりペット病院やペットケア施設の発展が促進されるかもしれません

近年のペット産業の新しいトレンド

ペット宿

ペット宿とは、一般的にはペットの飼い主が外出する際など、一時的にペットの世話ができない場合に、他の人や第三者にペットの世話を預けるサービスを指します。飛行機や新幹線などの公共交通機関では、通常ペットを同行させることが許可されていません。またペットを輸送する場合は長時間の輸送時間や高額な費用、および輸送中に発生する可能性のあるリスクなどがあるため、多くの人々がペットを連れて外出することを避けています。そのため比較的安全で信頼できるペット宿が多くの人々の選択肢となっています。

現在中国の市場ではペット宿サービスは主にペットショップ、ペット病院が中心です。ペット宿の料金はペットの体重に応じて異なり、小型動物や中小型動物、中型動物、大型動物の4つの階級に分かれます。さらに部屋ごとに異なる料金が設定されており、部屋が大きくなるほど料金も高くなります。

その他にも、より良い寄宿環境を提供するペットショップもあります。各ペットは個別の「部屋」を持ち、活動スペースや内装はより高級です。一部の部屋には内蔵カメラもあり、飼い主がペットの状況をリアルタイムで確認できます。昼間はペットに専属のスタッフが付き添い、ペットはいつでも部屋の外で遊ぶことができますが、夜になると部屋に戻ります。ただし、このような寄宿サービスは料金が高く、日額200〜400元(4000円~8000円)となっており、その一部は人間が宿泊するホテルを超える価格設定です。

人工知能でペット飼育

飼い主が長期間家にいない場合、ペットを預けることは良い選択肢ですが、短期間で費用が高すぎると考える場合、ハイテクなペット用品を選択する人も多いです。例えば、「スマートフィーダー」や「スマートウォーターディスペンサー」などです。スマートフィーダーと従来のフィーダーの最大の違いは、「スマート」で「便利」であることです。スマートフォンアプリとフィーダーを接続し、リモートで一括給餌や定時定量の給餌が可能であり、また監視器を通じて食事量や頻度をリアルタイムに監視し、亜健康リスクの警告を受け取り、科学的な給餌計画をカスタマイズできます。これにより飼い主の科学的、健康的なペットの飼育ニーズを満たせます。

さらに、市場で利用可能なスマートフィーダーの価格は250元(約5100円)から600元(約12200円)までさまざまです。ペット宿サービスと比較して、スマートテクノロジーを活用することは明らかにコストパフォーマンスの高い選択肢です。スマートフィーダー以外にも、市場ではスマートな位置追跡デバイスやスマートキャットリターなどの製品があります。中国のブランドは常に消費者のニーズを敏感に感知し、迅速にニーズに応じて新製品を発売しています。

XIAOMIブランドのスマートフィーダー

データによると、中国のペット用のスマート製品の浸透率は年々上昇しており、住民の生活がよりスマート化するにつれて、ペット用品のスマート化度合いも高まっています。猫や犬のフードなどのペットフードと比較して、スマートフィーダーやスマートヒーターベッドなどのスマート製品はまだ「必需品」としては普及していません。そのため、市場の浸透率は比較的低いですが、新規参入の売り手はまだ大きなビジネスチャンスがあります

ペットブロガーが新しい職業となる

従来の考え方では、ペットを飼うことはかなりお金がかかります。一定の経済的収入がなければ、気軽にペットを飼うことはできませんでした。しかし、ソーシャルメディアの台頭により、多くのペット飼い主が数百万人のフォロワーを持つペットブロガーに昇格し、自分のペットで収入を得ています。多くのペットブロガーは、TikTok、Bilibili、Weiboなどのプラットフォームでペットの短い動画を投稿することで有名になり、その収入もかなりのものです。一部のブロガーは広告のみを行い、平均して月に約2万元(約41万円)の税引後収入があります。また、何百万人ものフォロワーを集めたブロガーもおり、1つの広告の価格は1万元(約20.5万円)以上です。

BILIBI動画サイトのペットブロガー フォロワー数35.5万人

可愛いペットのビデオ以外にも多くのブロガーは自分が飼っている珍しい生き物もソーシャルメディア上で紹介しており、かなりの注目を集めることができます。また中国の比較的若いペット市場では、スマート製品などを用いて、より快適に飼育する方法やペットの健康知識の普及が不足しており、もし普通の社会人が短い動画を通じてペットの健康知識を理解することができれば、科学的なペットの飼育を実現できます。そのためペット飼育の知識を発信するブロガーもニーズが大きいです。全体的に見て、ペットブロガーは中国でも将来的にかなりの成長余地があると考えられます。

まとめ

中国はすでにペット経済の安定成長期に入っており、ペット産業は徐々にペットの生涯全体をカバーする産業チェーンを発展させています。中国ブランドの台頭に伴い、将来の市場競争はますます激しくなるでしょう。さらに、時代の発展に伴い、中国のペット経済への投資は単純に過去の先進国の経験を模倣することではなく、「ペット+スマート」「ペット+ソーシャルメディア」が現在の中国のペット経済市場で無視できないトレンドです

参考資料

宠物经济:情感的尽头是生意
https://36kr.com/p/2390566034772873
2024年中国宠物行业研究报告
https://www.21jingji.com/article/20240117/herald/100e75780066b931e56c2d585b19b3a5.html
全球千亿级宠物消费市场 宠物经济是一门好生意吗?
https://m.ebrun.com/538542.html
解读《中国宠物行业白皮书——2022年中国宠物消费报告》:挺过疫情,行业迎来第二春?
https://36kr.com/p/2155618644196871
猫狗“标间”直逼400+元,宠物寄养正火爆
https://www.cbndata.com/information/278372
95后宠物博主,“恰饭”不易
https://m.jiemian.com/article/7550369.html
宠物经济方兴未艾 年增相关企业近百万家
http://www.news.cn/fortune/2023-06/08/c_1129678194.htm
艾媒咨询 | 2023-2024年中国宠物行业运行状况及消费市场监测报告
https://www.iimedia.cn/c400/96795.html

この記事のライター

広東省出身の中国人留学生。現在は名古屋大学でメディアを専攻している。

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