消費者データ活用の開示は信頼の維持につながっている
企業はAIを活用して顧客とのパーソナライズされたエンゲージメントを促進するために、各顧客のクリック、共有、フォロー、いいね、購入に関する情報を収集し、好みやニーズを把握しています。
本レポートでは、消費者のほぼ半数(49%)が、AIを活用したコミュニケーションにおいて顧客データがどのように使用されるかを開示していれば、ブランドをより信頼すると回答しています(日本:45%)。
透明性の高さを求める日本の消費者
データプライバシーを懸念しているのは消費者だけではありません。調査対象となった企業の40%が、セキュリティと顧客の体験のバランスをとることが今年最も差し迫った課題の1つであると回答しています。
また、企業に対して、消費者の情報をAIに使用していることについて通知している (透明性がある) かを質問したところ、91%が「透明性が高い」と述べていました。
しかし、消費者側に「AIを使ってコミュニケーションを取り、あなたの情報をAIに活用していることを企業から情報提供されていますか」と質問したところ、同意した回答は48%に留まりました。
特に日本ではこの情報のギャップが大きく、透明性があると考えた企業側の回答は92%だったにも関わらず、消費者側でこの質問に同意した企業は28%にとどまっており、企業側と消費者の情報のギャップが特に大きいことが明らかになりました。
また、消費者との間で信頼を築くために必要な項目については、世界レベルではトップ3が「顧客情報の保護」「返品や返金が簡単にできること」「きめ細やかなカスタマーサービス」となっていた一方、日本では「顧客情報の保護」「きめ細やかなカスタマーサービス」「透明性の高いコミュニケーション」となっており、特に透明性の高さに対して消費者の意識が高いことが明らかになりました。
企業が不正行為者を排除できるよう、適度な制約を保ちながら、ユーザー認証や二要素認証によって個人情報を保護するよう計画的に取り組み、信頼関係を構築することが求められると考えられます。
AIが企業と顧客のギャップを埋める一方、データ活用が依然として課題
パーソナライズされたエンゲージメントについては、消費者と企業の間に大きなギャップがあることも明らかになりました。
84%の企業が、「優れた」または「良い」とされるパーソナライズされた顧客エンゲージメント体験を提供していると回答していますが、それに同意している消費者はわずか54%です。
日本では、企業側で「優れた」パーソナライズされた体験を提供していると回答した企業は10%に留まっていますが、消費者側でそれに同意したのはさらに少ない2%のみになっており、低いながらも世界の傾向と同様にギャップが出ました。
また、本調査を通じて、多くの企業がAIによってこのギャップを埋め、顧客エンゲージメントを向上させようとしていることがわかりました。
AIの活用方法について質問したところ、世界では70%がすでにAIを活用してコンテンツやマーケティングをパーソナライズしていることがわかりました(日本:62%)。また日本では、消費者からの情報を分析し、ニーズや欠点を理解することに活用するという回答が最も多くなっています(67%)。
ただし、AIを導入する企業は増えている中で、大半の企業は消費者のデータの活用や獲得に苦労していることも明らかになっています。
自社が消費者のことを把握するために十分なデータを所持していると強く同意する企業はグローバルでわずか16%でした。
消費者の幅広いプロフィールを所持していることについて、「強くそう思う」「ある程度そう思う」とした企業は、グローバルでは66%でしたが、日本では調査国内最低の44%となっており、特にユーザー情報の収集に苦労していると推定されます。
主な調査結果
・AIを活用したコミュニケーションにおいて、消費者のデータの活用方法が伝われば、企業への信頼が高まると考えた消費者は49%にのぼりました(日本:45%)。
・世界の91%の企業が、消費者の情報のAI活用の透明性があると認識している一方で、AIに自分の情報が活用されていることを企業から通知を受けているとする回答は48%に留まりました。日本では特にこのギャップの大きさが顕著であり、透明性に対する意識が他国と比較して非常に高いことを示しています。
・パーソナライズされたエンゲージメントについては、84%の企業が、「優れた」または「良い」とされるパーソナライズされた顧客エンゲージメントを提供していると回答した一方、それに同意している消費者はわずか54%に留まりました。
・AIの活用方法については、グローバルでの企業回答のうち70%がAIを活用してコンテンツやマーケティングをパーソナライズしていることがわかりました(日本:62%)。
・パーソナライズされたエンゲージメントに関して企業と消費者側の間で生まれている認識の大きなギャップについて、企業側はAIによってこのギャップを埋め、顧客エンゲージメントを向上させようとしていますが、大半の企業は消費者のデータの活用や獲得に苦労していることも明らかになりました。
調査概要
調査日:2023年11月16日~12月22日
調査対象地域:オーストラリア、ブラジル、チリ、コロンビア、フランス、ドイツ、香港、インド、インドネシア、イタリア、日本、マレーシア、メキシコ、フィリピン、シンガポール、スペイン、イギリス、アメリカ
調査機関:Lawless Research LLCに委託
調査方法:Quest Mindshare社のB2Cパネルを使用した15分間のオンラインブラインド調査および、Quest Mindshare社のコンシューマーパネルを使用した10分間のオンラインブラインド調査
調査対象および調査人数:Twilioの「顧客エンゲージメント最新動向」、主要セクターの4,750人を超えるB2C企業の幹部を対象とした調査と、18か国の6,300人を超える消費者を対象とした同時調査に基づいています。また、Twilioの顧客エンゲージメント プラットフォーム(Customer Engagement Platform)からのデータも組み込まれています。
出典元:Twilio Japan合同会社
※詳細については出典元の企業にお問い合わせください。
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