人気急拡大「ガチャガチャ」の関心層をデータで分析! マーケティングに活かした事例も紹介

人気急拡大「ガチャガチャ」の関心層をデータで分析! マーケティングに活かした事例も紹介

「カプセルトイ」、通称「ガチャガチャ」は、子どもから大人まで幅広い層に愛され続けてきました。小さなカプセルに入っている多様なアイテムは、価格の手ごろさとコレクション性から、今や世界中で人気を博しています。特に、ここ数年で日本では、「ガチャガチャの専門店」ができるなどさらに人気が急拡大しています。本記事では、ガチャガチャに興味を持つユーザー層を分析するとともに、企業においてどのようにマーケティング戦略に活かせるかを考察します!


空前のガチャガチャブーム到来

カプセルトイとは、小さなカプセルに入ったおもちゃやフィギュア、雑貨などのアイテムを指します。これらは、ガシャポンやガチャガチャと呼ばれる専用の自動販売機を通じて販売されます。比較的手が届きやすい価格で、ランダムにアイテムがでてくる仕組みが、ドキドキ感を提供したり、コレクション欲を刺激したりして、人々を虜にしています。日本カプセルトイ協会によると、2023年度の市場規模(製造元出荷ベース)は約1,150億円で、前年の720億円から60%増となっており、人気が急拡大していることがわかります。


本記事では、カプセルトイ業界をリードする3つの企業のサイト(バンダイナムコ・タカラトミーアーツ・キタンクラブ)に注目してガチャガチャの関心層を分析します。

なお分析には、毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行える株式会社ヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を用います。

ガシャポン(バンダイナムコ)

玩具市場を牽引するバンダイナムコホールディングスは、1977年から「ガシャポン」ブランドとしてカプセルトイの販売を展開しています。幅広いラインナップのガシャポン自販機を揃えた「ガシャポンのデパート」も手掛け、海外進出も見据えています。

ガチャ(タカラトミーアーツ)

株式会社タカラトミーの連結子会社であるタカラトミーアーツは日本の有名玩具メーカーであり、1986年よりカプセルトイの製造・販売をスタートしました。1996年には「ガチャ/GACHA」の商標登録をしています。

カプセルトイ(キタンクラブ)

どこにも無いアイデアとクオリティをモットーに愛のあるモノづくりをする会社。独自性の強いラインナップで、大手メーカーとは異なる存在感を発揮しています。2021年時点で販売2,000万個の特大ヒットを記録した「コップのふち子」(小さなOLキャラクター「フチ子さん」が、コップの縁に座ったりぶら下がったりするフィギュアシリーズ)の生みの親。

「ガチャガチャ」関心層は急増 女性が6割超

3つのサイトは、それぞれどのような属性のユーザーを獲得しているのでしょうか。まずはじめに、各サイトへの直近2年間の訪問者数の変化を見ていきます。

バンダイナムコ(青)・タカラトミーアーツ(ピンク)・キタンクラブ(緑)のサイト訪問者数推移
期間:2022年8月~2024年7月
デバイス:PC、スマートフォン

全てのサイトの訪問者数が増加していることがわかりました。特にバンダイナムコ(青)は2年前と比較して、訪問者数が約4倍近くに増加しています。

続いてそれぞれのサイト訪問者の属性をみていきます。

バンダイナムコ(上)タカラトミーアーツ(中央)キタンクラブ(下)サイト訪問者の性別割合
期間:2022年8月~2024年7月
デバイス:PC、スマートフォン

どのサイトも女性訪問者が6割以上を占めていることがわかりました。なかでも、キタンクラブは女性が約7.5割超を占めています。キタンクラブの代表的な作品として「コップのフチ子」「ねこのかぶりもの」「おにぎりん具」などがあげられます。これらのアイテムが全て女性の興味を引きやすいものであることが、他サイトと比較して、より高い割合で女性訪問者を引き寄せている要因かもしれません。

次にサイト訪問者の年代割合をみていきます。

バンダイナムコ(青)・タカラトミーアーツ(ピンク)・キタンクラブ(緑)のサイト訪問者の年代別割合
期間:2022年8月~2024年7月
デバイス:PC、スマートフォン

サイト訪問者の年代割合は、ネット利用者全体の割合と比較して20代、30代が多いことがわかりました。

ここまでは、ガチャガチャの人気3社の公式サイトの訪問者について調べてきましたが、ガチャガチャに興味を持っている人をさらに理解するために、以降は「ガチャガチャ」関連ワードについて検索している人を見ていきます。「ガチャガチャ」、「がちゃがちゃ」、「カプセルトイ」、「ガチャポン」、「ガシャポン」を含むキーワードで検索した人を「ガチャガチャ関連検索」と定義し、分析していきます。

まず、検索者がガチャガチャの何に注目しているのかを知るために、「ガチャガチャ」関連ワードと一緒に検索されているキーワードについて検索ユーザー数順で上位30個を見てみます。

「ガチャガチャ」検索者の掛け合わせワード(検索ユーザー数順)
期間:2022年8月~2024年7月
デバイス:PC、スマートフォン

ガチャガチャの設置場所(上図青枠)や有名・人気キャラクターのガチャガチャ(上図赤枠)をインターネットで検索している人が多いようです。街中をふらっと歩いていてガチャガチャに目を惹かれ、利用する人も多いと考えられる一方で、明確に手に入れたいアイテムがある人は、インターネット検索で設置場所やアイテムの詳細をチェックしているのかもしれません。このような人々は、ガチャガチャへの熱量が高いと言えそうです。

また、ディズニー(上図緑枠)を掛け合わせて検索する人も多いようです。ディズニーリゾート(ディズニーランド・ディズニーシー)では、ここでしか手に入れることのできない、オリジナルのデザインのガチャガチャが設置されています。ディズニーファンはもちろん、そうでなくとも、誰しもが欲しくなる可愛さのアイテムです。どのような種類があるのか、広大な敷地のなかでガチャガチャがどこに設置されているのか、などを調べているのかもしれません。

「ガチャガチャ」検索者はサブカルチャーに強い興味をもつ傾向

続いて、ガチャガチャ検索者はどのようなことに興味を持っているのか、消費者の検討背景やニーズ、購入のアクションを起こすきっかけを定量的に把握できる株式会社ヴァリューズのツール「story bank」を用いて調べてみました。

以下はガチャガチャ検索者が興味関心をもつカテゴリを可視化したデータです。アンケート結果をもとにリーチ率*を縦軸、特徴値*を横軸にとっています。

*リーチ率:対象者のうち、アンケートで当該項目に回答した人数の比率
*特徴値:対象者のリーチ率−ネット人口全体のリーチ率

「ガチャガチャ」検索者のカテゴリ別リーチ率、特徴値
対象期間:2023年8月~2024年7月
デバイス:PC、スマートフォン

ガチャガチャ検索者は、動画共有サイトやゲーム、アニメ、漫画、音楽など、いわゆるサブカルチャーに強い興味があることがわかりました。人気アニメや漫画のキャラクターが、ガチャガチャのアイテムになっていることも多いため、親和性が高いのかもしれません。

さらに「ガチャガチャ」検索者の理解を深めるために、買い物時の行動傾向を分析していきます。

「ガチャガチャ」検索者の買い物時の行動傾向
対象期間:2023年8月~2024年7月
デバイス:PC、スマートフォン

サブカルチャーに強い興味があることが影響してか、「イベント・グッズ購入」や「CD・DVDの購入」「ライブ、コンサートの購入」「動画サービスへの課金」などの項目で、ネット利用者全体の平均と比較して高いということがわかりました。

ガチャガチャに興味を持っている人が世の中的に増えていること、サブカルチャーへの関心が高く、それらにお金をかける傾向が高いことを考え併せると、当該ターゲットを自社の顧客層として捉えている/捉え得る企業においては、ガチャガチャを活用することで自社の認知度や売上の向上に寄与できるかもしれません。

以降はガチャガチャを導入した企業例を参考に、ガチャガチャを導入する利点について考察していきます。

ガチャガチャ活用は有効なマーケティング施策か

事例1:くら寿司

くら寿司は、寿司皿5枚ごとに1回、景品のあたるゲームに参加できることでも有名な寿司チェーン店です。この「ビッくらポン!」の景品として、流行のキャラクターとコラボしたイベントを実施することで、ファン層の集客を獲得しています。新規客の獲得とともに、店の認知度向上に役立っているかもしれません。

これは、くら寿司と「ちいかわ」がコラボしたイベントの例です。大好評でイベントが終了したようです。また、2020年の「鬼滅の刃」とのコラボキャンペーンでは、初日の全店売上高は平日として過去最高に至ったそう。「ビッくらポン!」の景品が来店動機のひとつとなり、結果的に売り上げを伸ばしています。飲食店において、「何がでるかわからない」というガチャガチャ特有のエンタメ性を付加できることは、顧客満足度の上昇にもつながっているのかもしれません。

くら寿司のように、自店舗内にガチャガチャを設置して、オペレーションの改善と集客のフックにするやり方は、他企業では真似しにくい特殊な例でしょう。しかし、導入することで他企業との差別化の要因になったり、消費者の注目を集めたりできることも事実。人気のIPを自社の集客のフックにできる手法としても注目に値します。

事例2:無印良品

無印良品では、新宿4店舗限定で2023年から設置されたガチャガチャがSNSを中心に人気を集めました。お馴染みの「ぽち菓子」や「ドリンク」「カレー」などが、ミニチュアサイズのマスコットやマスキングテープとなってガチャガチャの景品となっています。

無印良品のガチャガチャは特にX(旧Twitter)やInstagramで拡散され、ガチャガチャが設置された当初は、行列が生まれ、売り切れが相次いでいました。新宿にある無印良品4店舗限定での実施にすることで、在庫リスクを最小限に抑えたトライアルをしつつ、遠方からの集客に成功したといえます。

また、ガチャガチャの開封体験やユニークなアイテムは、SNSでシェアされやすいコンテンツです。TikTokでも「#ガチャガチャ」がついた動画は執筆時点(2024/08/22)で58万本近くが投稿されています。無印良品は、ユニークなガチャガチャを通じて、SNSでのエンゲージメントを拡大させたといえるかもしれません。

“自社商品を小さく可愛くしてガチャガチャに”というシンプルな施策ですが、ここ数年のモーメントを捉えた動きだったといえるでしょう。これらの例のように、ガチャガチャは、顧客の獲得や自社の認知度向上につなげられる有効な施策と考えられるかもしれません。

無印良品のアプリユーザーをUNIQLO、ニトリと比較。興味関心と購買行動の特徴とは

https://manamina.valuesccg.com/articles/3569

シンプルで洗練されたデザインと低価格を両立した商品づくりで人気を博している無印良品。そんな無印良品のユーザーの関心や購買行動の特徴を、UNIQLO、ニトリと比較しながら紐解いていきます。その上で、無印良品のマーケティング戦略も分析しました。

まとめ

今回は、ガチャガチャの関心層の分析と、マーケティング施策の1つとしてのガチャガチャの強みを検討しました。

ガチャガチャは特に女性を中心に幅広い年代層に興味を持たれ、企業のサイトを訪問する人の多くは、能動的にガチャガチャの情報を取得しようとしている「ガチャガチャへの熱量が高い層」であることがわかりました。また、企業がガチャガチャを導入することは、顧客や認知度の獲得の課題に対する効果的な施策の1つになるといえるかもしれません。

今後さらに注目を集め続けるであろう「ガチャガチャ」の業界に引き続き目が離せません!

【無料ダウンロード】総ページ数150P以上のライフスタイル・消費トレンドレポート|デジタル・トレンド白書2024

https://manamina.valuesccg.com/articles/3792

ヴァリューズは、国内最大規模の消費者Web行動ログパネルを保有し、データマーケティング・メディア「マナミナ」にて消費トレンドの自主調査を発信してきました。その中から注目領域の調査・コラムをピックアップし、白書として収録。2021年の発行から4回目を迎える「デジタル・トレンド白書2024」は、Z世代トレンド・SNS動向編、ライフスタイル・消費トレンド編の2部構成になっています。(「ライフスタイル・消費トレンド編」ページ数|153P)

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この記事のライター

2025年入社予定の大学4年生です。

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